いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
「705m!?」
「やっとヒーローらしい記録出したよーー!」
「指が腫れ上がっているぞ!入試の件といい…
おかしな〝個性〟だ……。」
「スマートじゃないよね。」
緑谷の個性が発動させ、脅威的な記録を叩き出し
切島、麗日、飯田、青山と騒めく。
「‥‥!!?」
一方で隣で見ていた爆豪は、
目を見開いて口を開け驚いていた。
何を思ったのか爆豪は怒りを露わにして緑谷へと駆け出す。
「どーいう事だコラ!訳を言え!デクてめぇ!!」
「うわああ!!!」
緑谷はビビって硬直状態となり、オーズ事映司は
まずいと思ったのかその後に続き駆け出そうとしたその時。
「ぐぇっ!?」
手の平の爆破が消え、爆豪の身体に布が巻きつかれる。
どうやら相澤が個性を使って止めたみたいだ。
「ぐっ…!!んだ、この布、固っ…!!」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ
『捕縛武器』だ。ったく、何度も“個性”を使わすなよ…。
俺はドライアイなんだ!」
(((個性凄いのにもったいない!!))
恐らく全員がそう思っただろう。
戦意喪失した爆豪を見て相澤は布を解き、
個性を解除して常備しているのか目薬を
両目に指していた。
「時間が勿体ない。次準備しろ。」
相澤の言葉に生徒は返事をし、残りの種目の準備をし始める。
「指大丈夫?」
「緑谷君大丈夫?君の個性反動が凄いんだね。」
「あぁっ‥うん。平気だよ‥っ。」
麗日とオーズは緑谷に駆け寄る。
緑谷はそう答えるが余程痛いのか
涙目となって指を手で押さえていた。
緑谷出久
個性『超パワー』(映司等視点)
超人的なパワーを発揮する!
だが使えばその反動も凄まじく
使ったその場からバッキバキ!
まさに諸刃の剣ってやつだ!
☆★☆★☆★☆★
あの後は残り三種目、上体起こしと持久走、
長座体前屈だったが前半で盛り上がりすぎたのか
スムーズに事は終わり今全種目を終え、
相澤の前に生徒等が集合していた。
短直に上体起こしは尾白、常闇、蛙吹が高記録を出し、
八百万は腹筋マシーン的な道具で一位の記録を出しており、
持久走も同じく八百万が一位の記録を出し、
なんと個性で原付を作り出し走行していた。
絵的にもシュールな光景で思わず笑ってしまうのもしばしば。
一方でオーズは脚部をチーターのコアメダルを選び
タカトラーターとなって挑戦したが制御が効かず
開始一回目にしてフルスピードを出して
思い切りコースアウトしてしまい、最下位となってしまう。
「臨機応変といっても個性を持て余すだけじゃ
ヒーローは務まらん」と相澤に指摘され
意外にも落ち込んでいたらしい。
最後の長座体前屈は八百万が個性で鉄のパイプを、出し
またもや測定不能という記録を残していた。
その次に障子、常闇、瀬呂と高記録を出していた。
そして。
「んじゃパパっと結果発表。トータルは単純に
各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは
時間の無駄なので、一括開示する。」
相澤が端末を操作してその映像が空中に投影され、
全員は我先にと言わんばかりに自分の名前が
どの順位かを探す。結果はこうだ。
1 八百万百
2 火野映司
3 轟焦凍
4 爆豪勝己
5 飯田天哉
6 常闇踏陰
7 障子目蔵
8 尾白猿夫
9 切島鋭児郎
10 芦戸三奈
11 麗日お茶子
12 砂藤力道
13 蛙吹梅雨
14 青山優雅
15 瀬呂 範太
16 上鳴電気
17 耳郎響香
18 葉隠透
19 峰田実
20 緑谷出久
「一位‥当然ですわ。」
「あぁ!?何で四位何だよクソが!!」
「俺‥あのナルシストに負けたのか‥。」
「あっぶねぇ‥ギリギリセーフだぜ‥。」
「ケロ‥私もまだまだね‥。」
各々がその評価を見て納得いかない者もいれば
己の力がまだまだと反省する者がいたが
一人、絶望の表情で固まっている緑谷がいた。
最下位‥。それは相澤に指令されていた
除籍という結果になっていたからである。
変身を解除した火野は緑谷に声を掛けようとするが
その手は留まり、俯いていた。
ここで声をかけても同情されると思われるだけだ。
そしてここは雄英、ヒーローになる為には
犠牲は付き物と言うが勿論火野は納得していない。
だが、自分が高記録を出した彼に
何て言えばいいか分からない。
悔しそうにする火野。
すると、相澤が急に順位のグラフを消し出す。
「ちなみに除籍は嘘な。」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
「君らの最大限を引き出す。合理的虚偽。」
「「「「はーーーーーー!!!!??」」」」」
生徒は何人か除いて声を荒げる。
特に緑谷は魂が抜けてしまいそうな程驚き
その色も抜け真っ白になっていた。
「あんなの嘘に決まってるじゃない…。
ちょっと考えれば分かりますわ…。」
八百万は言う。確かにかの有名な雄英が
初日の個性把握テストで落とすとは考えられない、
八百万はそれを見通してそう発言したのだろう。
「今日はこれにて終わりだ。教室にカリキュラム等の
書類あるから目ぇ通しとけ。
緑谷、
その指治してもらえ。明日からは
もっと過酷な試練の目白押しだ。」
「はっ、はいっ‥ありがとうございます‥。」
相澤は保健室利用書の紙を緑谷に渡すと
そのまま校舎裏へと去って行く。
残された生徒等は疲れたーなどの声を出しながら
更衣室へと向かって行く。
「あ、あの!火野君!」
「ん?どうしたの緑谷君?」
映司も更衣室へ行こうとすると緑谷に呼ばれ
足を止め振り返る。
「えと‥‥改めてよろしく‥!」
「!‥うん、よろしくっ。」
ぎこちない挨拶。けれどもそれはお互いの関係を深める挨拶。
入試の時にお互い頑張ろうと誓ったあの日から
今日までを待ち望んでいたのかもしれない。
二人は無事入学し、その喜びをほんの少し噛み締めていた。
☆★☆★☆★☆★
ー 雄英高校の二日目 ー
午前は必修科目・英語等の普通の授業!
「やっべええ!消しゴム忘れたぁ!!」
「そんな事で騒がないで下さい峰田さん。
はい、これあげますわ。」
「(八百万の肢体から出てきた消しゴム‥やおゴム‥!
くぅ‥!全体的に卑猥!!)ん?これ‥
スゲェ!!?めっちゃ綺麗に消えるぅ!!
「峰田君、五月蝿い。」
‥‥普通!
昼は大食堂で一流の料理を安価で頂ける!
「火野君それってふぉあぐらって食べ物だよね?
ここの食堂やばっ!」
「あ、麗日さん。俺色んなとこ行くの好きで
外国の料理とかもよく食べてたんだけど
ここの料理すっごい美味しいね!
アメリカの三つ星レストランよりも
下手したら美味しいかも‥。」
「三つ星レストラン‥!?金持ちや!!」
会話も至って普通!!
そして、午後の授業!いよいよ待ちに待った
ヒーロー基礎学!
「わーたーしーがー!!
普通にドアから来た!!!」
HAHAHAHAと字幕が見えそうな笑い声と共に
教室へやってきたのはヒーロースーツを着用した
オールマイトだった。
その画風故に存在感が凄すぎて何人かは鳥肌が立ち
震え、歓喜を見せた。
「オールマイトだ…!!
すげぇや本当に先生やってるんだな…!!!」
「銀時代のコスチュームだ………!
画風が違いすぎて鳥肌が……!」
切島の言う通り、そのコスチュームは
数年前、オールマイトが世に知らしめた時の戦闘服で
数々の事件や救助をこなした平和の象徴と飾るべき姿。
誰もが圧倒、勇気、そして憧れを抱いた時期。
オールマイトはやや大袈裟に腰を捻り、
『battle』と書かれたカードを見せる。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為、
様々な訓練を行う課目だ!単位数も最も多いぞ!
早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」
「戦闘‥訓練‥!」
緑谷は呟く。すると、オールマイトは腰から
リモコンみたいな端末機を取り出しボタンを押すと
正面から左側の何もない壁から四列の棚が
ゆっくりと出現する。その中には1から20と
番号の書かれたアタッシュケースな様な物が
入っているのを確認する。
「そしてそいつに伴って…こちら!!!
入学前に送って貰った『個性届』と『要望』に
沿ってあつらえた…『戦闘服』!!」
「
おおおっ!とクラスは盛り上がる。
オールマイトの言う通り、入学前に書類と共に送られた
コスチュームの要望書。ヒーロー科は自身の要望を
書き込み、雄英のコスチューム制作会社が
その要望以上の仕上がりとして生徒等に配られる。
「着替えたら順次、グラウンド・βに集まるんだ!!」
「「「はーい!!!」」」
オールマイトは先に教室から出ると
生徒等は自分の出席番号のケースを取り出して行く。
火野も『17』と書かれていたケースを取り出す。
が、本人は他の人等よりもそこまで嬉しそうな
表情はしていなかった。
「お?どした火野。」
「いや、俺のコスチュームってアレだから‥。」
「‥あぁ!そっか!お前変身したらもう
あの姿コスチュームだもんな!」
声を掛けた上鳴が納得する。
火野は変身してオーズとなるがその見た目は初見から見てもコスチュームと言えば納得できる姿だからだ。
「なら、その中何が入ってんだ?」
「まあ動きやすい私服かな?」
「そこはもうちょっと考えとこーぜ!?」
「んー、まあ俺は気にしないよ?さっ!
早く行こう!皆も早く着たいだろ?」
砂藤に続き、瀬呂が加わる。
入学して二日が経過したが、このクラスの生徒は
かなりフレンドリーな人達で素性をろくに知らない
人にも関わらず接してくる。その中に居る映司は
何処となく嬉しそうな表情を浮かべ、
ケースを手に取り、教室を出て行った。
☆★☆★☆★
「さあ!始めようか有精卵共!!!
君達が来たと知らしめる時間だ!!」
グラウンド・βに集合したA組生徒達。
各々はその要望に答えたコスチュームをその身に纏い
ヒーローの第一歩を歩み出すのだった。