いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
「ウヴァ…!やっぱり君は………!」
「フン、先に仕掛けて来たのはそっちだろが!俺は俺のやり方で動く!…あの暴走しているオーズにも用があるしな」
激戦区となり、苦戦を強いられていた状況で突如現れたグリードのアンクとウヴァ。屑ヤミーを引き連れて敵意を示すウヴァにヴィランオーズは愕然と、
「貴様らの相手はコイツらで十分だ…行け」
ウヴァは指示を出すと、骨が軋むような音と同時に唸り声を上げながら屑ヤミー達は
「…!トゥワイス…!私の…分身作れる……!?」
「任せろッ!拒否する!」
自身が戦えない上に、マグネとスピナーは意識を失っている。槍無も変身出来ない今は、頼れるのはトゥワイスのみとなっており、ヴィランオーズはお願いをすると、トゥワイスは矛盾した態度で頷き、ヴィランオーズの分身を作り出す。
「こっちもかなり戦力失ってるってのに……君って奴は……!!ハァッ!!」
分身したヴィランオーズは、ウヴァの行動に怒りを拳に変え、屑ヤミー達へと駆け出した。そのまま激突し、屑ヤミーと交戦を開始している分身体。その中、本物のヴィランオーズはアンクの方を見遣る。燃え盛る炎が壁となり、その先にオーズが立っている。恐らく、そっちに邪魔者が来ないように炎で行手を阻んでいるのだろう。状況が状況なので、暴走するオーズと戦わずに済んだ事に、少しだけホッとしているヴィランオーズ。
「…今は、コイツらと…
暴走するオーズを相手に捕まえて連れて帰るのは危険すぎる。増してや重症を負ってしまっては返って足手まといになってしまう。ズクンと激痛が絶え間なく襲い来る肩に、ヴィランオーズはせめて、屑ヤミーが死柄木達の方へ行かせまいと分身体に頼るのだった。
予想外の助っ人の登場に、緑谷達は驚いていた。
「アンク君…!?」
「一緒に居るあの怪物…、もしかして奴がウヴァか?」
飯田が言うと、初めて見るグリード化したウヴァを見て轟が驚く。鍬形を模した顔に昆虫のような鎧をした上半身、だが下半身は
すると、必死に策はないかと模索し続けていた緑谷が、空を駆け抜けて現れた事を思い出した。
「隙……!」
ハッとした緑谷は戦場を見ていた飯田達に声を掛ける。
「飯田くん、皆!」
「だめだぞ…緑谷くん……!!」
「違うんだよ、あるんだよ!決して戦闘行為にはならない!僕らもこの場から去れる!かっちゃんと火野君を救け出せれる方法が…!!」
「救け出せれるって…火野は!?あんな状態じゃあ連れ出せるなんて無茶だよ…!?」
「変身を強制的に解除すれば行けるんじゃねえか?」
「切島さんの言う事には一理あります…。ですが、それでは戦闘をせざるを得ないと言う事にもなりますわ…!
緑谷の言い分に耳郎が問う。何か策があったとしても暴走するオーズを連れて行くのは無謀すぎる。仮に切島の案で、強制的に変身を解けば何とか連れ去られるかもしれない。だが、八百万の言う通りそれだと戦う事になり、緑谷達が戦闘無しで救うと言う意に反してしまう。
「いや…!今の火野君は
「そんな…!」
「大丈夫耳郎さん…!その為に
「「「「!」」」」
「……!成る程な…緑谷、言ってみてくれ」
緑谷の考えにハッとした耳郎。それに理解した飯田達もまたハッとし、轟が続きを聞く。
「でもこれは…かっちゃん次第でもあってーー…」
来んな、デク……
爆豪くん、皆に救けられんの…屈辱なんと違うかな……
緑谷の脳内に爆豪と麗日の言葉が過ぎる。その突き刺すような言葉の余韻を吹き飛ばすように緑谷は続けて口を開いた。
「この策だと多分……僕じゃ…成功しない。だから切島君。君達が成功率を上げる鍵だ」
「俺が…?」
まさかの自分を指名されてキョトンとする切島。堀の向こうで爆発音が響く中、緑谷はその意図を説明し始める。
「かっちゃんは相手を警戒して距離を保って戦ってる。火野君がかっちゃんの所に行って仕舞えばこの作戦はまず無理だと思う…でも、幸いにもアンク君が足止めをしてくれている。なら今が絶好のチャンスだ…。火野君はアンク君
「飯田さん…」
「…バクチではあるが、状況を考えれば俺達へのリスクは少ない…。何より成功すれば、状況の
不安を煽る八百万。だが爆豪を救け出せれば、暴走して手も足も出せないオーズに死柄木達は無理に近寄る事は無い筈だ。戦闘をせずに1人だけでも救出出来れば、少なくともオールマイトの負担が減ると判断した飯田は、緑谷の策に同意し、その身を委ねた。
その一方で、オール・フォー・ワンに拳を繰り出すオールマイトは、アンクの登場に驚き、声を上げる。
「アンク少年…!ついて来てしまったのか…!」
「ほぉ、アレが火野君の〝個性〟から生まれたグリードのアンクかい?とてもヒーロー側に居る存在とは思えない身なりじゃないか」
「アンク少年は立派なヒーローとして火野少年をサポートしている!貴様如きが見誤るな!!」
一旦距離を取るオール・フォー・ワンは言うと、オールマイトは激昂し、再度接近して拳を突き出す。腕を交差し、防御をとったオール・フォー・ワンは続けて口を開いた。
「君こそ勘違いをしてるんじゃないのか?あのオーズを見たまえ。無差別に人を襲い、破壊衝動に駆られている。もし僕がマグネ達を救けに行かなければ間違いなく彼らは死んでいたよ?賞賛して欲しいね、僕は人を救ける行為を行ったんだよ?」
「白々しい!何か目的があって近づいただけだろに!」
「人救けをしたのに酷い言われようだね…。まぁ、興味はあったさ。おかげであのオーズの事を少し知れたからね」
力を入れ激怒するオールマイト。だが、オール・フォー・ワンはその拳を払い退き、マスク越しでも分かる不気味な笑みを浮かべ口を開いた。
「あの姿は力を与える代わりに無差別な行動をとる。わかるかい!?暴走ってヤツさ!1度でもその力を味わってしまえば、何度も使ってしまうのが人間だからね!その内、手の付けられないようになる!そして何れは仲間に手を掛けてしまうだろう!!」
「そうなる前に、私が止める!」
「口では何とでも言えるさ。いい加減現実を見て考えろオールマイト。あの子はヒーロー側の人間ではない。脇真音優無のように、彼はこっち側に足を踏み入れたんだ。僕は忠告したよ?仮に今を守ったとしても、内側からきっと…壊れる」
「黙れっ!!」
染み込ませるような揺さ振りを言葉でかけるオール・フォー・ワンに、オールマイトは振り切るように吠え、巨悪に突っ込む。だが、その勢いには些か全力とは言えなかった。アンク達が来てくれたと言えど、理性を失ったオーズなや加え、死柄木達に責められている爆豪がこの区間にいる。2人の存在が、全力を出しきれていなかったのだ。しかし、その状況下で尚、オールマイトは諦めてはいない。危険を顧みず、駆けつけたアンクのように、オールマイトは拳を握らせ、声を張り上げた。
「どんな状況であろうと、私は決して諦めない!!」
「哀れだね、偽善だけ並べてヒーローは失うモノも沢山多いだろう!」
互いに吠え、両者の拳がぶつかる。風圧が全体に広がり、その風が地面に降りていたアンクにも渡り、土煙が彼を覆うように振りかぶる。
「ぐっ……チッ!あんの野郎、パンチ1つでどんだけの威力なんだよ…!?」
「グオア!!」
「!?」
余所見をしボヤいた瞬間、オーズが駆け出しメダガブリューを振り下ろしてきたのを、アンクは間一髪で体を逸らして避ける。ギリギリの範囲で避けた為か、服がハラリと切れた。
「アアアアア!!」
「おい、ウヴァ!屑をこっちにもよこせ!偽物オーズに手こずりすぎなんだよ!」
「は!?ならお前も作れば良いだろ!セルメダルだって貴重なんだ!」
「生憎、卑怯者のやる事は俺には性に合わないんでな!そう言う雑魚生産はお前だけで十分だろ!」
「…!!アンク貴様……!」
「こっちは命懸けで危なっかしい大馬鹿と相手してんだよ!
「…!!クソ、覚えてろよ!」
体を震わせ、怒りを押さえるウヴァは渋々と了承し、数枚のセルメダルを取り出すと、それを手で割っていく。そしてそれをアンクのいる場所へと投げると、その割れたセルメダルから屑ヤミーが何体か生成されたのだ。屑ヤミー達はオーズを標的とし、ゆっくりと前進して襲い掛かろうとする。
「!グオアッ!!」
何体かメダガブリューで斬りつける。火花が飛び散り倒れるかと思いきや、仰け反っただけで直ぐに屑ヤミー達は態勢を立て直す。ゾンビのように斬ってもノーダメージの屑ヤミー。
何だこいつらは…?と言わんばかりにオーズは警戒し、唸り声を上げているのを見たアンクは口を開いた。
「これで少しは時間を稼げるか……。後は……」
そう言い終わり、アンクは本物のヴィランオーズとトゥワイスがいる後方を見遣る。そこでは、先程からずっと、襲い掛かる死柄木達から爆豪が防戦一方で退けていた。
「ウゼぇ!!いい加減諦めろクソ
「嫌!私もそろそろ疲れてきたので貴方がさっさと諦めてください!」
「コイツ野蛮の割に軽快な動きしやがる!?逸材って凄いなぁ!てな訳で諦めて降伏しなよ!」
「寝言は寝て死ね!!」
器用に急所を狙わず手足をナイフで斬りつけようとするトガに避ける爆豪だが、その隙を突こうとMr.コンプレスと死柄木が襲い掛かる。だがその連携も爆豪はより威力を増した爆破で応戦していた。汗が出れば出る程爆破の範囲と威力が高まる爆豪にとって持久戦は有利に有りつつあるが、それでも人である事には変わりないのか、疲労が溜まり動きが鈍っていくのが見て分かる。これ以上戦いが続けば何方が負けるかは目に見えていた。
そこでアンクは隙を見て爆豪に加勢に行こうと考えている。雑魚の屑ヤミーでも時間稼ぎには打ってつけのヤミー。だが、一瞬でも離れて屑ヤミーが倒されてしまえば、オーズは目の前にいる動く獲物を襲い掛かろうとするだろう。そして何より、本人である火野の体力がいつまで持つのか分からない。オーズを止めている間に爆豪が捕らわれてしまうかもしれないし、爆豪に加勢しに行ってオーズの足止めが不可能になるかもしれない。
一刻を争う選択にアンクは戸惑っていたのである。
「チッ…!簡単に捕まりやがって…」
正直爆豪、人間を救ける事などどうでもいい。救けてアイスやセルメダルをくれる訳でもない上に、仮にあの爆豪を救けるなど虫唾が走るくらいの拒絶反応を起こすだろう。だが、ここで救出せねば、正気を戻した火野が絶望してしまう事にアンクは嫌気が刺していた。また無茶をされてしまっては困る。そう思ったアンクは、一か八かで、隙を見て飛び立とうとした、その時だった。
「行くよ!飯田君、切島君!!」
爆豪が爆破で距離を取った瞬間、タイミングを見計らっていた緑谷達が動き出した。緑谷のフルカウルと、飯田のレシプロバーストによって生まれる推進力を活かし、2人に抱えられた切島の硬化で堀の壁を打ち抜く。コンクリの瓦礫が飛び散り、戦場へとその身を投げ出した瞬間、すかさず轟が天高く登れる程の氷結を形成して繰り出し、緑谷達が駆け上がる。
「(
予想外の緑谷の策に、その場にいた
「何だ、奴らは!?」
「!?あいつら……!」
火野のクラスメイトの事を知らないウヴァは新手かと警戒する中、アンクはこちらを見ている緑谷に気付き、目を見開いていた。
すると、緑谷達に気付いたオール・フォー・ワンはまずいと思ったのか緑谷達に向けて右腕を上げる。だがその行動を緑谷は予測していた。巨悪が正義を食い止めているのなら逆もまた然り。土煙の中からオールマイトの裏拳が炸裂し、オール・フォー・ワンは横へと吹き飛ばされていた。
「切島君ッ!」
今だと、緑谷は叫ぶ。横断した状態で、緑谷が手を差し伸べても爆豪はその手を掴んでくれない。それは飯田、耳郎、轟、八百万も恐らく無理である。
だけど緑谷は確信していた。
ただ1人、入学してから今まで、近寄り難い爆豪の側をずっと追いかけ、対等な関係を築きあげていた、
「来いっ!!」
天高く跳ぶ切島は爆豪に向けて叫び、その手を伸ばす。愕然としていた爆豪は、逃がさないと死柄木が伸ばした腕を爆風で払い除けるように空を跳び……
「…バカかよ」
その手を強く掴んだ。
今をどう動くのが最善か、緑谷を含めて各々は、オールマイトを見てから不思議と体の萎縮が治っていた。
そしてこれが、彼ら達の最も最善な行動へと繋がったのである。
「お、おいおいマジかよ!?」
「何処にでも…現れやがる!!」
「アレは……爆豪君…の友達……!?」
「爆豪君!俺の合図に合わせ爆風で……」
「てめェが俺に合わせろや!!」
「張り合うなこんな時にィ!」
勢いが弱まり、爆豪に指示を申し出すが爆豪はそう言って吠え、切羽詰まっている状況なのか切島が張り上げながら宥める。その時、緑谷は空中を跳び交う中、地上にいるアンクを見つけると真剣な眼差しでコクリと頷いた。
火野君は頼んだよ、アンク君ーー。
「………フン、あぁ分かった」
アイコンタクトをした緑谷にアンクは鼻で笑い、屑ヤミーを斬って蹴散らすオーズを見遣る。爆豪が居なくなり、余計な心配をせずに済んだその表情はやる気に満ちているような顔をしていた。
「思ったとおりだ、向こうに釘付け!」
「今のうちに行きましょう…!」
堀に隠れていた轟、八百万はそう言い、隙を突いて密かに逃げ出そうと走り出す。耳郎も後を追おうとするが、その足は立ち止まり暴走するオーズの方を見遣る。
「……ごめん火野…!後は頼んだよ、アンク…!待ってるから…!」
自分達で救けられなかった事を謝り、同時にアンクに後を託すように言うと、耳郎もその場から駆け出した。せめて爆豪だけでもこの場から居なくなれば、オールマイトの負担を軽く出来きる。それが耳郎達に出来る最善の策だった。
「ちょっと、ちょっと…!爆豪君…連れ去られちゃったんだけど………!?」
「逃がすな!遠距離ある奴は!?」
「黒霧も荼毘も…マグ姉もスピナーもやられてる!」
屑ヤミーとウヴァは分身体のヴィランオーズに任せて、本体のヴィランオーズとトゥワイスはMr.コンプレスの元へと移動して連れ去られる緑谷達を見上げる。この場から彼らを追おうとしても遠距離で攻撃出来る者は全員ダウンし、ヴィランオーズも槍無も深手を負ってしまい追跡する事は出来ない。
「…!トゥワイス…!私を…もう一体作って…!分身でもアイツらを止めるくらいなら出来る…!」
ハッとしたヴィランオーズはトゥワイスにお願いする。トゥワイスは「任せろ、やだね!」と了承し、分身を作り出そうとしたその時。
「ぎゃっ…!?」
突然ヴィランオーズの後頭部に強い衝撃が走る。何事かとヴィランオーズは周りを見ると、次々とその場にいた
「何……爺さん……!?」
複眼のタカアイで目視をすると、脅威的なスピードで彼らの後頭部を蹴った老人、グラントリノが現れ、〝個性〟を使用して飛び交っていたのだ。
「遅いですよ!」
「お前が速すぎんだ」
オールマイトが気付き、声を掛けると呆れた様子でグラントリノは返事をし、アンクと対峙しているオーズ、そして屑ヤミーとウヴァの方を見ながら口を開いた。
「
「火野少年は突然変身して暴走しています…!今はアンク少年が押さえてますが……。アンク少年と一緒に居るのは恐らく火野少年の中にいたアンク少年と同じグリードのウヴァと言う奴です…!見ていた所、あの軍団はそのウヴァが出したモノだと…」
「……感ではあるが、見たところ今はあの怪物敵意は無さそうだな…だがあの紫のオーズ…これも直感じゃが、あの子は放ってはいかんぞ…!」
異様な殺気を感じるオーズを見て、長年の感が危険だと察知するグラントリノ。すると、グラントリノは空を跳び、かなり離れた場所で着地する緑谷達を確認したのかグラントリノは怒り気味で口を開いた。
「それとなア!あいつ緑谷!!!っとに益々お前に似て来とる!!悪い方向に!!!」
「保須の経験を経てまさか来ているとは……十代!…ゴホッ…だが、これで戦況は変えられる…!!」
裏拳で吹き飛ばされ、瓦礫を背に尻餅をついているオール・フォー・ワンに向かってオールマイトは指を指し言い放った。心残りが
「火野はひとまず奴らに任せるぞ!残りの連合は3人!終わらせる!」
「……!」
「くっ…!」
「弔君、優無ちゃん、終わりたくないです」
立っているのは死柄木とトガ、そして重症を負ったヴィランオーズ。ぐったりとしているヴィランオーズはトガに肩を借りて起き上がらせて貰っているが、肩の出血が酷く、もはや立っているのですらやっとな状態となっていた。戦力が激減してしまい、残された死柄木達はもはや万事休すとなっていた。
「…やれやれ、してやられたな。あの子達の一手に」
ボソッと呟くオール・フォー・ワン。すると同時に指先から黒い指をオールマイト目掛けて伸ばした。往生際が悪い攻撃かとオールマイトは横に顔をずらしてソレを避けるが、その黒い指の〝個性〟を思い出したのかハッとし、後ろを振り返る。それはオールマイトを狙ったのではなく、付近で横たわっているマグネへと突き刺していた。
〝強制発動 磁力!!〟
マグネ
個性『磁力』
自身から半径4.5m以内の人物に磁力を付加!
全身・一部力の調整可!男がS極、女がN極となる!!自身に付加はできないぞ!
突き刺されたマグネから強制的に〝個性〟が発動され、グラントリノを迎え打とうとした死柄木の体が急に仰け反り、グラントリノの足蹴りをかわす。その瞬間、死柄木の体が宙に浮き、トガ、及びヴィランオーズへと目掛けて飛んで行った。
「んえっ…ちょ…!?」
「やーー、そんな急に来られてもぉ」
N極となったトガとヴィランオーズに、死柄木を含め、気を失っている
「待て…ダメだ、先生!」
恩師を放って自分だけ救かるのは嫌だ。
必死に地面へ掴もうと抗うが、磁力の力は凄まじく、死柄木の力ではどうする事も出来ない。
「
懸命に伸ばす腕、だがそれは届かず、逆に離れていく一方だった。ゲートへと引きづり込まれていく中、死柄木は幼少期の頃を思い出す。絶望し、路上に傾れ込んでいた頃、手を差し伸べてくれた
「俺はまだーーーー…ッ!!」
「弔、君は戦い続けろ」
言い掛けた直後、死柄木はワープゲートの中へと飲み込まれ、渦巻いていたソレは黒霧事その場から消滅し、跡形も無く消え去った。教え子にそう言い残したオール・フォー・ワンは一気に詰め寄るオールマイトへと身構える。
「僕はただ、弔を助けに来ただけだが…戦うと言うなら受けて立つよ」
死柄木達がこの場に居なくなった以上、オール・フォー・ワンもまた全力を出さんと迎え討つ覚悟で言い放つ。その場に居たグラントリノを『転送』し、自身の目の前に出して身代わりをさせる。そして、プラスで『衝撃反転』をグラントリノに付与させ、勢いの止まる事のないオールマイトの拳がグラントリノに直撃し、同時にその衝撃が反転してオールマイトの右腕が弾き飛ばされる。恩師を殴ってしまった事に「すみません!!」と謝りながらもオールマイトは激進した。
その一方で、オーズは斬っても襲い掛かるウヴァの屑ヤミーを相手していた。
「ウヴァ!映司の注意を引け!その隙に止める!!」
「俺に命令するな!」
爆豪、
紫色に刃が光ったメダガブリューを薙ぎ払い、その場にいた屑ヤミーが消滅した直後、アンクはウヴァに向かって叫ぶと、ウヴァは嫌悪しながらも頭部から電撃を放出させ、オーズへと放電する。
「ッ!!ウオァア!!」
「っ!?化け物が、全く効いてねえぞ…!」
以前は放電だけでもダメージは入った筈なのだが、完全体では無い為、直撃しても火花が飛び散る程度で効いてない素振りを見せ雄叫びを上げるオーズ。そして攻撃を仕掛けたウヴァに標的を変え、足を踏み出そうとしたその時。
オーズの背後に詰め寄ったアンクはオーズドライバーへと手を突き出す。
「ッ!?ガアア!!」
「!?」
察知したオーズはメダガブリューを後ろに向かって横振りを繰り出すが、アンクは咄嗟に右腕で刃を受け止めた。
「…!!ぅぅ…っ!おおおっ!!!」
刃が食い込み、右腕からボロボロとセルメダルが落ちて激痛が走る。だがアンクは痛みを吹き飛ばすように声を張り上げ、左腕でオーズドライバーを掴み、傾けてある部分〝オースレイター〟をガチャン!と戻した。
「!?ぁ…………」
機能停止するように声を漏らし、オーズは持っていたメダガブリューを手放す。地面に落下したメダガブリューは紫の光と共に地面へと飲み込まれ、同時にその身を宿していた変身が解かれた。
「やったか…!」
「はぁ…はぁ………!ア…アン……ク………ありが……………」
暴走も相まってか酷く顔色が悪い様子で膝をつく火野にウヴァは警戒しながらも変身が解かれた事に安堵し、その火野は息遣いが荒くなりながらも目の前にいるアンクへと礼を言い残そうとするが、その場で気を失って倒れる。
「………この、大馬鹿が……!」
痛む右腕を押さえながら気絶している火野に吐き捨てるアンク。すると、直ぐに火野を担ぎ上げ、ウヴァに声を掛けた。
「さっさとここから離れるぞ。後は
「お、おう……」
ウヴァは了承すると、アンクは翼を広げてその場から飛び立つ。ウヴァも後を続くように昆虫の脚を活かした驚異的なジャンプ力で後を追うようにその場から跳躍し、姿を消す。それに気付いたオールマイトは安堵した様子でホッとし、拳を作る。その眼は口では言わずとも『ありがとう』とアンクの後ろ姿を見送っていた。そして、目の前にいる巨悪を睨み付けるように見つめ、口を開いたのだった。
「これで心残りは消え去った…!ここからが本当の勝負…決着をつけるぞ!!」
「そうだね…
No.95
更に向こうへ!Plus Ultra!!