いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
更新がだいぶ遅れてしまい申し訳ございません!
お引越しをしまして色々バタバタしてました汗
これからは落ち着くと思うので1週間程で投稿出来ると思います!
オール・フォー・ワン、オールマイトの激闘が続く中、その余波で被害にあった神野区は混乱に陥り、人々が逃げ惑う最中、緑谷の策で場を離れていた轟が耳郎、八百万を引き連れながら緑谷に電話をかけていた。
「緑谷、そっちは無事か?」
『何とか、うんっ!轟君の方は!?逃げ切れた!?』
「多分な。奴の背面方向に逃げてるプロ達が避難誘導をしてくれてる」
『よかった…。僕らは駅前にいるよ!あの衝撃波も圏外っぽい!奪還は成功だよ!』
「いいか!?俺ァ助けられたわけじゃねえ!一番良い脱出経路がてめェらだっただけだ!」
「ナイス判断!」
「オールマイトの足引っ張んのは嫌だったからな」
駅前に逃亡した緑谷が電話をしている時、爆豪が呟くと同時に電話をし終えたのか緑谷はスマホをしまうと、どこか浮かない表情になっていた。
「火野君の事が気になるのか?」
それに気付いた飯田が緑谷に声を掛ける。緑谷は俯きながら「うん…」と応えると顔を上げて口を開いた。
「かっちゃんの言う通り、あの場に居れば足を引っ張っていた…。これが、僕らに出来る最善の筈…。アンク君、グラントリノだって来てくれていた。アンク君達を信じてかっちゃんだけを連れ出したけど……正直『見捨てた』感じになった気がして………」
「…緑谷君、俺達は学生身分故に、戦闘を行ってはならない。本来ならば、あの場にいてはならない存在だ。火野君の救出は出来なかったが、爆豪君だけでも戦闘無しで救いだせたのだ。俺も悔しいが、俺達の出来る最善の行動をした。後はプロとアンク君に任せて俺達は信じて待つとしよう。君のやった事は間違ってはいないぞ」
友達の火野を残して去ってしまった事を悔やむ緑谷に、飯田は同じく悔しい気持ちを見せて同情する。緑谷の策はあの場に居たプロヒーロー達にとって予想外の出来事だったが、おかげで爆豪だけでも連れ出せたのはオールマイトにとってかなり楽な道へと繋げれた筈。恐れを振り切った行動に感服しながらも言う飯田に緑谷は「…ありがとう」と一言礼を言い、空を駆ける報道のヘリコプター数機が視界に入る。
緑谷はヘリコプターが行く先を見つめながら、その先にいるオールマイト達を気にかけ、心配そうに眺めていたのだった。
☆★☆★☆★☆★
「……うっ………」
「目ェ覚めたか?」
「アンク………?」
目が覚めて火野は目の前にいるアンクに気付く。ぼんやりとした意識の中、火野はゆっくりと体を起き上がらせると、そこにいたのはマンションの屋上だった。夜の神野区の街並みが明かりに照らされているその中で火野はハッとし、状況を確かめようとアンクに声をかけた。
「アイツらは…!?うっ…!」
「馬鹿が、暴走したんだからダメージは体に残ってる。今は大人しく座っとけ」
「暴走……?俺…何がどうなったんだ……?」
「紫のメダルだ。力が強い分、その力の強大さに飲み込まれたんだろな。…お前、いつからあのメダルを持ってやがった?」
「紫のメダルって……前にアンクが言ってたコアメダルだよな…?…分からない、ウヴァに乗っ取られて何とかしようって思ったら急に……!そう言えばウヴァは…!?」
「俺はここだ」
アンクと話している際、火野はウヴァの事を思い出して言うと、屋上の柵に寄りかかっていたウヴァが反応する。
「ウヴァ……。何でアンクと一緒に…?確か、2人って仲悪かったんじゃ…?」
「フン、お前に頼みがあって協力して残っているらしいぞ。まァ、俺にとってこいつはいない方がいいがなぁ」
「お前は黙ってろ…!」
不仲だと聞いた火野はこの場に一緒にいる事に疑問を抱いていると、アンクのぼやきにキレ気味に怒るウヴァ。そして大きく溜息を吐くとウヴァは火野に近づき、その口を開いた。
「オーズ……『取引』だ。俺もお前と共に行動させてもらうぞ」
「…え?」
突然の言葉に火野はキョトンとしてしまう。
一度協力を申し出て断られたウヴァが何故そう提案してきたのか。そして仲の悪いアンクと何故一緒にいるのか。
それは、オーズが暴走していた時にアンクと〝交渉〟していたのだった。
☆★☆★☆★
「あ?……取引だと?」
「お前の言う通り、この世界の人間は前の世界とは大きく違う変な力を持ってやがる。セルメダルを集めた所で、
「…フン、まさかお前が、少しは知恵を絞れる事を考えるようになったか…。だが…お前と一緒にいるメリットは俺にはあるのか?」
「奴はヤミーを作れると言ったな?その分前は
そのウヴァの提案にアンクは目を見開き、「ほお…」と呟く。だがその表情は直ぐに疑心暗鬼となって口を動かした。
「都合の良過ぎる提案だな。どうせ、何か企んでるだろ?」
「……あぁ、確かにな。俺の要求は………」
☆★☆★☆★
「え…?
ウヴァからの取引の要求内容に再び火野はキョトンとそう言い、大きく目を見開いていた。その理由をウヴァは続けて喋る。
「お前の体を乗っ取って、グリードである俺は初めて
ウヴァはそう言い、夜の空を見上げる。燻んでボヤけた視界、その光景どれもが色彩など一切無い。ウヴァは火野の体に入ってその色鮮やかな景色に感動したのだろう。すると、アンクが鼻を鳴らして口を開いた。
「フン、おい映司。コイツは自分の為なら平気で裏切る奴だ。それを急に心変わりして協力するなんて虫の良い話にも程がある。俺は信用出来ないぞ」
「何だと?さっき手伝ってやっただろうが!」
「ハッ!それはお前が勝手に協力したからだろ?お前如きの虫ケラを信用する要素が何処にある?」
「…!!貴様ァ…!!」
アンクの言い分に拳を震わせ今にも襲い掛かろうとした直後、火野は「ちょちょちょ!?」と声を張り上げそれを止めた。
「アンク!お前だって人の事言えないだろ!」
「あ?…フン、人か……そいつはグリードだぞ?」
「グリードって…、ならそれこそお前もグリードじゃんか」
「なっ…!?」
ボソッと悪態染みた言葉を呟き、アンクは絶句する。いつもなら手を出してもおかしくないアンクなのだが、暴走による疲労とダメージが蓄積されている火野の姿を見て同情したのだろう。アンクは返す言葉も無くなり、舌打ちをしていると、火野が「…とりあえず」と口を開いた。
「…さっきまでの記憶が曖昧だから、確信は持てないけど、今現状仲の悪い2人がここにいるって事は、ウヴァがアンクに協力して俺を救けてくれたんだろ?で、行く宛が無くて…俺達と一緒に居る代わりに、ウヴァは俺の体を貸して欲しいって事だよな?」
「おい待て、何だ、お前コイツを信用するのか?」
話の流れ的に取引を飲もうとする火野の言葉にアンクが割入る。その発言に火野は首を傾げながら口を動かした。
「え…いやだって、事情は如何であれ、救けてくれた事には変わりないだろ。それを断る理由なんてどこにも無いし」
「…!?良いのか…?」
「良いも何も、俺は最初からそうするつもりだったんだから、逆にこっちからお願いしたいくらいだよ」
「…おい映司、こいつは俺とは違うんだぞ。そうやってまた…」
「それはもう
火野はそう言って、重い足を上げて立ち上がる。若干千鳥足になりながらもウヴァに歩み寄り、そっと手を差し伸べた。
「ウヴァ。俺の体を好きにしても別にいい。でもその代わり、人を襲うような事は絶対しない事。メダルを優先に動くような事もしない事。俺との約束、守れる?」
その差し伸べた手。そして曇りの無い真っ直ぐな瞳で火野は言う。
「……良いだろう。オーズ、お前に協力してやる」
「うんっ。…あ、それともう一つ」
ウヴァは了承し、その手を掴もうとすると、火野は思い出したかのように口を挟んだ。
「オーズじゃなくて、俺は火野映司。ちゃんと名前があるんだからその名前で呼んで」
「ム……分かった。よろしく頼む、映司」
「よし、決まり!よろしくウヴァ」
ニコッと笑い、火野はウヴァの手を掴み握手を交わした。それを見ていたアンクは不服そうに眺め、腕を組みながら鼻を鳴らす。
「何処までもお人好しが……」
「まあまあ、戦力は多い方がアンクだって助かるだろ?」
「フン!脳筋野郎の虫が戦力になると思うか?せいぜい囮ぐらいが関の山ってとこだな」
「何だと!?アンク!あの
「上等だ!お前みたいな虫ケラが今の俺に敵うと思うのか!?ここでぶっ潰してやる!」
「ちょちょ!!?ま、待ってってば!」
歪み合うアンクとウヴァの真ん中に入り、それを止めようとする火野は、何か思い出したのか「あ」と声を漏らす。
「ウヴァが仲間になるって事は…う〜ん…大丈夫なのかな……」
「何がだ?」
「…フン、馬鹿が。こいつは今学生の身分、それで尚お前のせいで今回の事件の人質となっていた状態なんだ。敵に企てたお前を庇うのに色々手続きとかが必要なんだよ。もっとも、ヒーロー側がお前を許してくれるとは思えないがなぁ?」
火野を救け出せたは良いものの、今回の事件は警察とヒーローが大きく含有している為、
「今まで俺の中にはアンクだけが入れたんだけど、
「「……そっち?「あ?」「ム?」
予想打にもしない一言にアンクとウヴァは思わずツッコミを入れてしまう。そして、2人揃って声を漏らしたのか、同時に互いは顔を見合わせていたのだった。
☆★☆★☆★☆
「俊典…!」
爆豪、火野、
「ワンフォーオール先代継承者、志村菜奈から…」
「貴様の穢れた口で…お師匠の名を出すな…!!」
拳の先に倒れているオール・フォー・ワンは、オールマイトの一撃で仮面のマスクが大破し、のっぺらぼうのような悍ましい顔が露わとなりながらも、そのオールマイトの先代の名を口にし、オールマイトは逆鱗に触れられたのか怒りをぶつける。だがそのねっとりとした感覚は止まる事無く巨悪は口を動かした。
「理想ばかりが先行し、まるで実力の伴わない女だった…!ワン・フォー・オール生みの親として恥ずかしくなったよ。実にみっともない死に様だった。…どこから話そうか…」
誇れ俊典!ハナから持ってる奴とじゃ本質が違う。お前は〝力〟を勝ち取ったんだ!
「ッ!!Enough!!」
瞬間、オールマイトの脳内に〝先代〟の言葉が過ぎる。〝力〟が無い自分に
「俊典!」
「!」
ジェットで跳躍し、ボロボロのオールマイトを寸前で受け止めたグラントリノ。オール・フォー・ワンは「邪魔を……」と咳き込みながら立ち上がり見上げていた。
「6年前と同じだ!落ち着け!!そうやって挑発に乗って!奴を捕り損ねた!!腹に穴を開けられた!お前のダメなとこだ!奴と言葉を交わすな!」
「…………はい…」
感情任せに動いてしまった弟子に喝を入れながら、オール・フォー・ワンから離れた場所へと無理矢理着地するグラントリノ。過去にも同じ過ちを繰り返す所だったオールマイトは何も言えずにただ頷いていた。
「前とは戦法も使う〝個性〟もまるで違うぞ。正面からはまず有効打にならん!虚を突くしかねえ。まだ動けるな!?限界超えろ!正念場だぞ!!」
「………はい!」
既に満身創痍。活動限界を超えつつある体は悲鳴を上げていた。だが相手は1人、こちらは2人。今、巨悪を逃してしまえば平和という概念が壊されてしまう。グラントリノの言う通り、怒りを力に変えるよう、限界の体を奮い立たせ、オールマイトは強く頷いた。
その一方で、先程飛び交っていた報道のヘリが地獄絵図と化している神野区をカメラで映しながらライブ中継を行って全国に知らせていた。
『悪夢のような光景!突如として神野区が半壊滅状態となってしまいました!現在オールマイト氏が元凶と思われる
それは瞬く間に伝わっていき、テレビ、パソコン等を通して視覚していた国民達は驚愕し、不安が押し付けられ、皆は画面へ釘付けとなっていた。駅前へと逃げた緑谷達もまたそうだ。そして、緑谷と合流しようとして神野区の繁華街を通っていたアンクや火野達もまた、ビルに映っていた大画面のその中継を愕然としながら見守っていた。
「弔がせっせと崩してきたヒーローへの信頼、決定打を僕が打ってしまってよいものか…」
中継されている中、オール・フォー・ワンは警戒するオールマイト、グラントリノに向かって両手を広げ、言うと一旦区切り、その悍ましいのっぺらぼうの表情でニヤリと不気味に笑うような仕草を見せ、続けて口を動かした。
「でもねオールマイト。君が僕を憎むように、僕も君が憎いんだぜ?僕は君の師を殺したが、君も僕の築き上げてきたモノを奪っただろう?だから君には可能な限り醜く惨たらしい死を迎えてほしいんだ!」
悪魔にも似たその顔で言い終わるとその左腕が大きく膨らむ。
「でけえの来るぞ!避けて反撃をーーー」
「避けていいのか?」
攻撃を仕掛ける素振りを見せ、グラントリノは空中へと飛び出す。だが、手を突き出したと同時にオール・フォー・ワンは違和感のある言葉を投げかける。その瞬間だった。オールマイトも避けようと体を動かした直後、背後から瓦礫が動くような音が聞こえる。そこには、逃げ遅れたのか瓦礫に埋もれていた女性が取り残されていたのだ。
「おい!!」
慌ててグラントリノは動かなかったオールマイトに気付き、引き返そうとオールマイトの元へ飛んで行く。
「君が守ってきたものを奪う」
刹那、オール・フォー・ワンの左腕から空気を圧縮させた衝撃波が放たれる。辺りの瓦礫は吹き飛ばされ、地面が抉れる程の威力にグラントリノは防御をとるが吹き飛ばされそうになる。
「まずは怪我をおして通し続けたその矜持…」
土煙が舞う中、オール・フォー・ワンは言いながら不敵にも笑みを浮かべる。こうなる事を予測していたかのように。
「惨めな姿を、世間に晒せ」
その目先にいるのは、血まみれの拳を突き出していたオールマイトだった。立っていた場所の背後以外は衝撃波で原形を留めていない抉れた地面が広がっていた。自分を犠牲にしてまで市民を救けるのはヒーローの証。だが、満身創痍だったボロボロのオールマイトはその受け止める力で全てを出し切ってしまい、その身体は筋骨隆々の時とは正反対の
そしてそれは、平和の象徴であった姿とは比べ物にならない姿で、中継を通して世間に晒されてしまったのだった。
No.96 ヒーローの原点
更に向こうへ!Plus Ultra!!