皆の傷になって死にたい転生者がベルの兄で才禍の怪物なのは間違っている 作:マタタビネガー
スマホの画面壊れた、スマホにパソコンのマウス使えるの初めて知ったわ
七年前、とある村。
──────ほんのボタンのかけ違いだった。
ほんの少しでもタイミングが違えばまったく違う結果になっていたはずだし、 そのボタンの掛け違いに気が付かなければ、やはりまったく違う結末になっていただろう。
けれど、そのほんの小さな間違いが結末を変えた。
「············感傷と言うには些か遅すぎたな」
灰色の女がそこにはいた。地上の誰よりも膨大な魔力を持っておきながら地上の誰よりも静かな女。
最凶の眷属として名声と畏怖をほしいままにし、三大冒険者依頼の一角である『海の覇王リヴァイアサン』討伐の立役者となった前時代の英雄。
だが、そんな名声も畏怖も、今の彼女には何の意味もない。
最凶の眷属達は死んだのだ。
今の彼女はただの亡霊にすぎない。
英雄達は零落した。たった一体の竜に敗北して全てを失った。
灰色の女をして背中を預けるに足ると認めていた英雄達はその五体を引き裂かれ、灰色の女をして自身以上の英雄と認めていた最強の男と最凶の女は惨めに敗走した。
零落した大神と女神の派閥に代わるように今のオラリオには道化神と美神の派閥が二大派閥として台頭しているがその両派閥は灰色の女に言わせれば力不足に過ぎる。
『小巨人』や『猛者』のような突出した者もいることにはいるがそれでも昔日の英雄には到底及ばない。
今の地上に『英雄』はいない。
女帝が目をかけ、英傑が後を託した彼等でさえ世界を救うに足る英雄には未だ成り得ない。
だからこそ最凶の亡霊として彼女には彼等が英雄となるための後押しをするという最後の責務が残されている。
無辜の多に犠牲を迫り、英雄足る少を生みだす外道を成す。
かの冥神の誘いに乗り、これから彼女の手は悪逆に穢れる。かろうじて残る昔日の名誉すら擲つ。
─────世界は英雄を求めている
もとより穢れた身だ。今更罪の数が二つや三つ増えた所でそれは変わらない。
かつては同じ都市の守り手だった者たちを悪逆で以って殺す。
彼女にしてみれば、ただそれだけのことだった。そこに葛藤も、後悔も存在しない。
彼女は既に誓いを立てた亡霊に過ぎないのだから。
だが、僅かばかりの感傷はあった。
それはこれから犯す大罪に対してではなく、彼女にとって始まりの、産まれながらに背負った原罪。
自身の罪の表れである片割れの遺した忘れ形見。間違っても妹の代わりになろうなんては思わなかったし、直接会うつもりも無かった。
ただ、全てを終わらせる前に妹の遺した子供を遠目に見るだけだと。
そう思っていただけの、ほんの些細な感傷だった。
────仮に、この時目にしたのが弟、或いは兄弟二人であれば彼女とその兄弟の運命は大きく変わっていただろう。
「助かったが────あんた、誰だ? ジジイの客か?」
「················命の恩人相手に言葉遣いがなっていないな、餓鬼」
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ダンジョン中層、未開拓領域。
一見隙間なく敷き詰められた岩壁のごくわずかな隙間とも言えぬひび割れを縫うように進んだ先にあるごくわずかな領域。
四方5メドルもないかというその領域には乱雑に積まれたごくわずかな食料とほとんど中身のないポーション 瓶が置かれていた。
ダンジョンの各階層各地に点在する未開拓領域、その中でも自らを異端児と自称するモンスターが利用する隠れ家の一つ。
だがその狭い内部は生者が生活する空間としてはあまりにもお粗末であり、明らかに急造とわかる最低限を下回った家具や道具とも言えぬガラクタがただただ並べられていた。
だがその中に一つだけ淡い魔力光を放つものが存在した。
その光は空間の片隅に置かれた宝石のような魔道具から発せられており、この隠れ家に唯一存在する生者の存在を示していた。
『──、───、以上が今の地上の状況だ。········分かっているとは思うが逸らないでくれ、ラーニェ』
「···········言われずともわかっている」
もとよりしばらくはまともに動けんしな、と瑞々しい唇が自嘲げに吊り上がる。
魔道具────元賢者の作りし通信型魔道具によって映し出されている映像を苦々しく睨みつけながら自らの胸の内にある黒い激情を抑えこむように腹部へと手を当てた。
ややもすると爆ぜてしまいそうな激情を理性によって抑えこみながら、既に完治したはずというにもかかわらず疼く痛みに僅かな苦笑を浮かべる。
現在、ラーニェがいるのは地上に散らばった同胞たちが本拠地に戻れるよう、地上に行かなかった異端児達のうち比較的上位に位置する戦闘能力を持った者たちが急造した中継拠点の一つである。
今はラーニェ一人だがそろそろ他の者たちも戻ってくるだろう。
いくら今のダンジョンには冒険者がいないとはいえほんの少し前まで重傷を負っていたラーニェにはいささか荷が重いがじっとなどしていられないと後方支援のような形ではあるが復帰早々地上に残る同胞が本拠地に戻る支援を行っていた。
仲間を思ってこその行動には違いないが、心の裡から湧き出すとある感情に蓋をするためでもあった。
「フェルズ、本当なのか? あの人間が、アル・クラネルが他の人間達の目前でウィーネを庇ったというのは」
『··········ああ、今は我々とは別行動だが他の冒険者達から身を隠している』
その感情をなんと形容すれば良いのだろうか。困惑、嫌悪、嫉妬、感謝、様々な感情が混ざり合ってラーニェの心中を駆け巡る。
己の感情を持て余すラーニェはフェルズからもたらされた情報に小さく唇を噛むことしかできなかった。
同胞の命を救ってもらったことに対する感謝とアル・クラネルという人間に対する恐怖にも似た暗い嫌悪。相反する感情が胸の中で荒れ狂いラーニェの中で大きな葛藤を生み出す。
ウィーネを庇った人間、地上で絶大な人気を誇るという人間の英雄。
アル・クラネルが地上の人間達にとってどのような存在なのか、それはラーニェにはわからない。
だが少なくとも人間達は種にとっての根源的な敵であるモンスターを庇った者を自分達の英雄とは決して認めないだろう。
これまで人間達に近づこうとした異端児達と同じように、或いは元々の好意が裏返るかのようにそれ以上の排斥が待っている。
アル・クラネルが雑多な人間達に逐われるほど弱いとは思わない。
だが、単純な力の強弱ではないのだ。
排斥と蔑如、恐怖、侮蔑、嫌悪、忌避、拒絶、憎悪、悪意、殺意、害意、怨恨、畏怖、憤怒、厭悪、軽蔑、嘲罵、差別、蔑視、隔絶、迫害、弾圧。
それらに晒された時に彼我の力量等関係がない。いくら強かろうと耐えがたい敵意というものは存在する。
リド達と同じように、或いは諦めたが故により強くラーニェはその味を識っている。
異端児達と触れ合ってきたアル・クラネルがそれを理解していないはずがない。
ならば、なぜ。
「────────くそっ」
フェルズとの通信が終わり、光の落ちた隠れ家の中でラーニェは小さく毒づいた。
同胞の命を救ってくれたことへの感謝と、なぜという困惑。そして、そんな人間に対して抱いた恐怖と嫌悪がラーニェの中でせめぎ合う。
ラーニェには理解できない。未だ、あの英雄の心の裡を見抜くことはできない。
だが、事実としてアル・クラネルは大衆の、人間の英雄であることよりも『異端の英雄』であることを選んだ。
「·······················」
そこにどんな葛藤が、思惑があったのか。ラーニェにはわからない。或いはこの状況すらあの化物の策謀の一つなのかもしれない。
だが、それでもラーニェはもうアル・クラネルを敵視することができない。
もはやラーニェはアル・クラネルという人間に対して恐怖と嫌悪以外の感情を抱いてしまっている。
あの時、異端児達のために怒り、同胞の傷を癒し、そしてウィーネを守るためにその身を晒した英雄への憧憬にも似た感情。
それは──────
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実のところ、ベル・クラネルは【ロキ・ファミリア】についてあまり詳しくはない。
兄やアイズ、師であるベートは当然として既に当代の英雄として都市内外にその勇名を轟かせている『勇者』や『九魔姫』などの第一級冒険者の幹部達については一度顔を合わせた事もあって知っている。
しかし、それ以外の団員については顔や名前こそ知ってはいるものの、その人柄や能力などの深い部分についてはほとんど知らないのだ。
これはベートがベルと自ファミリアの団員を引き合わせることで果てしなく面倒な事になるのを予期し、意図してベルを【ロキ・ファミリア】から遠ざけたのもある。
それに都市最大派閥所属の団員ともなれば第二級以下の団員であっても零細ファミリア所属のベルからすれば天上人であり、会話どころか目を合わせる事さえ恐れ多かったという事もある。
まぁ、幹部を兄と師に持ち、ともすれば兄以上の速度でランクアップを重ねているベルに恐れ多いと思われていると彼らが知れば苦笑してしまうだろうが。
ともかく、ベルにとって【ロキ・ファミリア】の団員の大多数はほぼほぼよく知らない相手である。
だからだろう。
ベルがそのエルフの少女に抱いた第一印象はなんで睨まれているんだろう、だった。
歳は恐らくベルと同じか少し上くらいだろうか。
見るからに後衛の純魔導士。ポニーテールに纏められて腰まで届く長い山吹色の髪に青みがかった翡翠色の瞳。
エルフ特有の気品ある美しさと、どこかあどけなさを感じさせる可愛らしさの同居した顔立ち。
だがその少女の瞳には、ベルを見るなり親の仇でも見つけたかの様な強い感情が浮かんでいた。
いや、怒っているわけではなさそうだ。どちらかと言えば、興味とか、驚愕とか·········人間関係の機微に疎いベルには残念ながらそれが何かは分からないがそんな感情が強そうに思えた。
さてそんな知らない少女のいきなりの眼光に困惑しているベルへのエルフの少女────レフィーヤの第一声は。
「───ベル・クラネル!! あのモンスター達について、知っていることを教えてくだ、っ、教えなさい!!」
年頃のエルフにありがちないつもの御家芸だった。
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都市全体に散っていた団員達をダイダロス通りに戻らせる指示を出させたフィンは仮設本部にリヴェリアと二人残っていた。
「フィン、そろそろ休んだらどうだ?」
アルという精神的支柱を失った【ロキ・ファミリア】だが、フィンという揺るがない柱がいる限り、進むべき道を過つことはない。
こんな状況においても冷静さを失わずに一切鈍らない采配を下す頭領の姿に流石は『勇者』だと誰もが称賛した。
だが、他でもないリヴェリアは知っている。その心労を。気丈に振る舞ってこそいるが、その実、フィンの精神はギリギリだ。
アルとの不和もそうだがそれ以上に都市全域を覆う異常事態への対処に追われ続けているのだ。
都市の安否に関わる問題から派閥内のゴタゴタまで問題は尽きず、それを全て抱え込んでいるのだから当然と言えば当然なのだが。
それでも一切の弱音を吐くことなく立ち続けているのは流石だが、それでも限界はある。
リヴェリアの言葉にフィンは僅かに目を瞑るが、すぐに目を開き、首を横に振った。
此度の件について、フィンと同じ視点を持っているのはおそらくはロキや創設神といった人ならざる神とアルという人外の存在だけだろう。
幾百もの策謀と謀略が絡み合う中で、フィンは一人その中心で戦い続けている。
だが、フィンはその重みを微塵も感じさせないようにしている。
それがどれだけ困難なことか───いや、不可能だろう。常人ならとっくに潰れている。
それでも尚、フィンは折れない。折れてなどいられないのだ。
「フィン」
だが、『勇者』となる前のフィンを知るハイエルフのリヴェリアにはそれが痛ましくて仕方がない。
フィンという小人がどれだけ強いか、その強靭にすぎる心の硬さは理解している。だが、それでも、その心に幾度と無く触れてきたからこそ、フィンという小人の歪な在り方をリヴェリアは知っている。
「焦り過ぎだ。長として皆の前で虚勢を張るのは良いが、それでお前自身が潰れてしまっては意味がない。少しは───」
「リヴェリア」
その時、不意にフィンから発せられた声に、リヴェリアの言葉が途切れる。その翡翠眼を見据えるように見つめてくるその瞳にリヴェリアは一瞬たじろいだ。
熱い。
フィンの小さな身体からは熱気が吹き上がるようだった。
「·········っ、フィン?」
気圧された。リヴェリアは目の前の小人の目に今まで感じたことのない熱を見た。
「···········気を使わせてしまってすまない。ただ、無理はしていないよ、むしろこうして頭を使っていないと
リヴェリアの目にはフィンの蒼玉の双眸に兇猛の魔法を使っているかのような紅蓮の炎が揺らめいているように見えた。
余裕がないわけではない。だが、それとは別にフィンの中で煮えたぎるモノがあるのは確かだろう。
僅かに苦笑を浮かべたフィンは頭を掻きながら、続ける。
「少し、神イケロスの言葉が引っかかってね。まぁ、揶揄もあるんだろうけれどせっかくの神託だ、無下にするわけにもいかない」
あの神が言うには今の僕の魂は息苦しそうらしい、とフィンは僅かに遠い目をしながら呟いた。
ざわり、とリヴェリアの背筋に冷たいものが走った。それはフィンが今まで見せたことのない表情だった。
リヴェリアの知るフィンは小人族の希望たらんとして英雄を演出する夢想家でありながらそれ以上に現実主義者だ。
利を尊び、時に冷酷な判断すらも下すことができる。その姿勢はまさしく小人族の希望たらんとする理想の体現者に相応しいものだ。
だが、今のフィンには普段の、作られた英雄然とした雰囲気は無く、まるで人が変わったような雰囲気を身に纏っている。
今のフィンはリヴェリアにはなにかをしでかす前のアルと被って見えた。
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「てめぇ······なんでここにいやがる」
おっ、アレンやんけ。
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最初のは公式チートとまだ方向性が固まってなくてベルとゼウス相手にいつものをやろうとして通りすがりの公式チートに阻止された白髪バカです。
当然恩恵受ける前なので古代モード。
ちなみに本編アルにアルゴノゥトぶつけると面白いぐらいにぼこぼこにされてアミッドの比じゃないくらいトラウマになります。
【アル・クラネルヒロインレース】
本命 アレン:両片想い(ものは言いよう)
対抗 ジャガノート:画面外でめちゃくちゃ会ってる、そろそろアルメタの上位種がでてきそう
穴 ダンジョン:作中でアルを一番嫌っている存在、実質メインヒロインまである
大穴 〇〇〇〇:ラスボス
【その他キャラ→アル】
・ラーニェ
人間やモンスターの区分を越えた『化物』。
・カーリー
最強の種馬。かぁーっ、これで下半身が緩ければなあ。
・バーチェ
やること成すこと全て未知と新鮮さの塊。
闘国の外の世界の象徴(全方面への熱い風評被害)。
・ヘルメス
ゼウスとヘラの系譜、当代最高の英雄の器。
「あれ?もしかして俺、嫌われてる?」
・ゼウス
「大成するか、すぐ死ぬなコイツ············」
・ヘイズ
うちにいなくてよかった。
・ヘルン
意味不明理解不能の怪物。
・アレン
「死ね、殺す」
・ジャガーノート
「死ね、殺す」
・ダンジョン
「死ね、殺す」
・ディアンケヒトの皆様
あ☆ほ
・バルドル
この世界に空いた黒い孔。
・アポロン
* + 巛 ヽ
〒 ! + 。 + 。 * 。
+ 。 | |
* + / / アルぎゅんサイコォォォォオオオオオオオオオ!!!
∧_∧ / /
(´∀` / / + 。 + 。 * 。
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/ ! + 。 + + *
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ガタン ||| j / | | |||
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【レフィーヤ→ベル】
成長速度→アルの身内だしまぁ
人間関係→ベートの印象が強い
ので原作ほどの嫉妬とかはないので平時ならまだ穏当
今回は焦ってる&潜在的にアルの弟だしコイツもやべー奴なんだろうな、強気でいかないと喰われるってのが混ざった結果
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