皆の傷になって死にたい転生者がベルの兄で才禍の怪物なのは間違っている 作:マタタビネガー
ベル視点のダンメモストーリーを長々やっても本筋が進まなくなるだけだと思うのであと何話かロキF主導でやって11章行った方が良いかな
「上級冒険者行方不明事件の調査?」
「ああ、先にフィン、リヴェリア、ガレス、ベートが行ってるがアイズ、お前も別ルートから行け。多分、闇派閥関係の事件だからな」
「闇派閥········!! アルはどうするの?」
「俺は留守番、過剰戦力だろうし五人も抜ける以上、万が一に備えて待機しとくべきだからな」
「········ん、わかった」
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気は進まない、本当に進まないが、共闘させてアイズを異端児と和解させるとするか。クノッソスで仲違いされても困るからなぁ。
まあ、実際これ以上異端児でどうこうやってもファミリアの方針が決まっちゃってる以上、アイズ一人が何言っても変わらんし、俺としてもうだうだやられても美味しくもなんともないからな。
割り切って異端児での曇らせは完全に諦めるわ。
全然、曇らせ成功しないでなんというか何もやる気起きなくて全てがめんどくさいし、アレンたちで少し遊んだら帰って寝るから、あとよろしく。
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創設神ウラノスによって千年前にその雛形が作られた都市運営を始めとした様々な分野で冒険者や迷宮の管理を行うための機関、ギルド。
その窓口受付にはいつも喧騒が満ちている。迷宮から帰ってきたばかりなのか、武装した集団が大挙して押し寄せては列をなしている。
ヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人など様々な種族が入り交じった光景。ロビーでは依頼達成の報告をする者、魔石やドロップアイテムを換金する者など、大勢の人でごった返していた。
窓口に並ぶ受付嬢達はいずれもが才女と呼ぶに相応しい器量の持ち主達だ。冒険者と同じように様々な種族が混在しており、皆一様に美女揃いで男性冒険者から羨望の目を集めていた。
能力や人当たりが優れているのは前提として冒険者のギルドへの好感度に直結する窓口受付という仕事であるがゆえに容姿に恵まれた者を集めるのはある意味当然だった。
そんな受付嬢のもとに顔を出したのは白髪赤目の少年、ベル・クラネル。ギルドからのミッションによる『遠征』を間近に控えた【ヘスティア・ファミリア】団長であるベルはぽかん、としていた。
「·········え、朝のうちに終わってる?」
「はい、記録では 【ヘスティア・ファミリア】の納税は午前中に処理されています」
「じゃあ、リリと春姫さん··············【ファミリア】の団員は、もう帰ったっていうことですか?」
「すみません、私共もそこまでは···············」
「あ、そうですよね·············。すいません、ありがとうございます」
Lv.4のベルがいるとはいえ、新興派閥である【ヘスティア・ファミリア】は中堅派閥に比べれば大した額ではないのだが、ある程度、勢力を増した【ファミリア】にはランクに応じた額をギルドに納税する義務が生まれる。
「税を払い終えて、 二人で買い物でもしてるのかな? どこに行っちゃったんだろう、リリと春姫さん···········」
豊穣の女主人の手伝いの後、税を払い終えたリリルカ、春姫と合流するつもりだったベルはすでにギルドにはいない二人に首を傾げるがふと、上級冒険者たちの噂話が耳に届く。
─────なあ、聞いたか? レンドラーのやつが行方不明らしいぞ
─────またかよ·············アイツも上級冒険者じゃねーか
─────最近、多いよな·············まあ、よくあることっちゃあよくあることだが···············
─────ダンジョンを飯のタネにしてんだ、しかたねえよな、そこらへんは
「冒険者が行方不明·············? 流行ってるのかな? 明日は我が身っていうし、決して他人事じゃないけど················」
穏やかじゃない話題に眉を顰める。冒険者としてダンジョンに潜る生活を送っていて五体満足でその冒険者人生を終えられるものはそう多くはない。
ほんの一部の例外を除いて殺意を持ってこちらに襲いかかってくる多種多様なモンスター、同業者からの怪物進呈にアウトローからの闇討ち。
そんな物理的なもの以外にも時としてダンジョンという環境そのものが冒険者の命を奪おうと、その牙を剥いてくる。
ダンジョンでは常に死と隣合わせであり、人肉を食むモンスターと戦う以上ダンジョンで死体も残らずに死ぬのは珍しくもなんともない。
だからこそその上で噂になる程なのだ、相当に深刻な事態なのだろう。
「クラネル氏。 先程お尋ね頂いた件ですが、小人族と狐人のサポーターを見かけたという職員がいました」
「あ、本当ですか? わざわざありがとうございます。それで、リリ達はどこに·············」
「それが···········今朝方、バベルを下り、ダンジョンに向かったそうです」
そんなことをベルが考えているとわざわざ調べてくれたのかヒューマンの受付嬢がベルにそう告げる。
「···········えっ」
アルがついて行っているならいざ知らずLv.1のサポーターであり、単体での戦闘能力が乏しい二人が自分達抜きで迷宮探索をする筈がない。
「················何かがあった? 手がかりはないけど··············ダンジョン、行ってみるか」
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「─────フェルズ!! これを!!」
「これは···········竜鱗? ウィーネのものか!! リリルカ・アーデ達もいない、まさか襲撃に遭い、剥がれ落ちた············?」
ダンジョン中層域、『大樹の迷宮』。自然の迷路を構成する床や壁そのものが下手な石材よりも硬質な木皮で出来ている緑の迷路。
樹木の甘い香と血の匂いが混ざり合ってむせ返る様な香りが鼻をつく腐臭にも近しい匂いが嗅覚を責め立てる。
陽光の代わりに青緑色の苔が照らす視界は薄暗く、恩恵を受けた冒険者でなければ足元もおぼつかない。
その上、様々な配色の枝葉に阻まれて視界の確保すら難儀する程だ。森林での戦闘に慣れたエルフであっても油断すれば簡単に道を見失いかねない自然の迷路。
そんな中を進むのはダンジョン内で逸れたウィーネとリリルカ達を探す元賢者フェルズと異端児のレイ達だ。
「戦いが苦手とはいえ、ウィーネは竜種。この階層の同族に後れをとることはまずありえない··············」
「──────儂等が追っている「失踪事件」と結びつけるのは、ちと強引か? どう思う、魔術師?」
「チッ、また、てめぇらかよ」
「『重傑』、『凶狼』···········」
「儂らはギルドの命で失踪した冒険者の手がかりを探っておっての、どうやらフィンの読みどおり、一筋縄では行かないようだしの。『クノッソス』に向かう前の肩慣らしにちょうど良い、合同調査、いや『共同戦線』だ、文句はあるまい?」
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「おい、アレン。俺はお客様だぞ、茶菓子と茶出せ。客にお茶も出せねぇのか、天下の【フレイヤ・ファミリア】は」
「···············マジで殺すぞ」
「なら、私が淹れてあげようかしら」
「フレイヤ様ッ?!」
「いやだよ、なんでこんなところで【
「············オッタル、アレン、ヘディン、ドヴァリン、ベーリング、グレール、お客様がお帰りよ、送ってあげなさい」
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「さて·················情報通りなら、行方不明になった冒険者のひとりがこの辺りで消息を絶ったそうだが············」
ガレスたちとは別ルートで痕跡を探るのは【ロキ・ファミリア】団長、副団長のフィンとリヴェリア。【ロキ・ファミリア】の首脳陣である彼等はクノッソス侵攻の準備があらかたおわり、闇派閥につながっていそうな今回の事件についてダンジョンに赴いて調べていた。
ただでさえ複雑怪奇な大樹の迷宮の緑がかった薄暗がりの中で既に十箇所近く一帯を調査したがことごとく空振りでこれといった 目立つ痕跡は発見できていない。
「まぁ、もとより下見のつもりだったからね。なにも見つからないようなら日を改めてラウル達を動員するつもりだったけど──────どうやらその心配はなさそうだ」
「なに? 何か発見したのか?」
「ああ、茂みの中に落ちていた。見てごらん」
「これは、花弁··········?」
黄緑色の額を持った桃色の不気味な花弁、フィンたちにはもはや、嫌というほど見覚えのあるそれは闇派閥の使役する『極彩色のモンスター』のそれに酷似していた。
「············この辺りでいいか。リヴェリア、頼む」
「ふむ、範囲は?」
「最大」
「出力は?」
「最高」
「やれやれ··············どうか徒労で終わらせてくれるなよ、フィン」
通路全域に展開された翡翠色の魔法円。あまりにも膨大な魔力のもと超広域展開されたそれは意思を持っているかのように広がり、複数地帯を掠め取った。
「···········一番、人もモンスターも通る階層のこの地点で上級魔導士が詠唱し、全力で『魔法』を行使したなら─────」
『ガァアアアアアアアアア────ッ!!』
「─────魔力に反応する存在がいた場合、釣れる可能性は高い」
沸き立つ翠の魔力粒子。間違いなく都市最高の────白髪の化け物は例外────魔力を持つリヴェリアの全力の魔力励起は周りに精霊の手先たる『極彩色のモンスター』がいれば明かりに群がる羽虫のように簡単に引き寄せられる。
「食人花のモンスター········方角は、南か」
「ああ。階層南方を中心に洗い直そう。通路が密集する場所でまた、魔力を解放して誘き寄せる」
「まったく、人使いが荒い·················私の精神力も無限にあるわけではないぞ」
食人花程度、リヴェリアが手を出すまでもなくフィンによって容易く解体され、食人花が現れた方角────敵の本拠地が割り出せる。
「広大な階層の中で、複数の地帯を跨いで大規模な魔力を発散できるのは無尽蔵のアルを除けば都市最強魔導師である君くらいしかいないからね。で、どうだった?」
「憎らしいほどお前の読み通りだ。【レア・ラーヴァテイン】の魔法円を広げ、地形を探索してみたがこの壁の向こうに、広大な空洞がある」
第二位階攻撃魔法【レア・ラーヴァテイン】。全魔法の中でも一、二を争う効果範囲を持つその魔法をあえて発動させず、待機状態で維持することによってその巨大な魔法円に踏み入った全てのものを感知する、都市最強魔導士であるリヴェリアにしかできぬ広範囲感知。
「なるほど、地図にも載っていない場所だ。敵の拠点と呼べるものがあるとしたら、間違いなくそこだろう」
「ベートとガレスを待たなくていいのか?」
「まずは先遣隊としての仕事をしよう。敵に気付かれる前に情報を集めておきたいしね。それにあの二人なら、僕達より先にこの領域へ辿り着いているかもしれない」
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「『お風呂の神様ケヒトの湯』、か。俺が言えたことじゃないけどお前も大変だな」
「·············································································································································································································································································································································································································はい」
「ディアンケヒトに煮汁温める種火に俺の魔法と精霊炉使わせろと言われた時は何を言ってるんだと思ったが·············」
ボイラー室を思わせる········というか真ん中にパイプに繋がれた巨大な風呂釜がある以外は完全にボイラー室な空間に半裸の少女と着崩した浴衣姿の青年の姿があった。
湯船に半身を沈め、身体から湯気を漂わせる少女の方といえばその美しい裸身を僅かでも隠そうとディアンケヒト印のバスタオルを胸から下半身にまで巻き付けている。
対して湯船には入っていない青年の方は着崩した浴衣からその鍛えられた身体を惜しげもなく晒し、その身体に刻まれた古傷を湯船から立ち昇る湯気に撫でられながらディアンケヒトが報酬として金の代わりに用意した酒瓶に入った水晶飴製の超高級かき氷シロップ原液(くそ甘)を傾けていた。
「私の言いたいことはわかりますね、アル」
「········································ディアンケヒトを送還せよ?」
「一瞬そうだと頷きかけましたが違います」
ディアンケヒトが【ミアハ・ファミリア】に貸し付けている借金のかたに掠め取ったアイディアを元に急遽営業開始した【ディアンケヒト・ファミリア】運営の『お風呂の神様ケヒトの湯』。
闇派閥残党討滅の為のクノッソス侵攻を目前に控えて何をやってるんだという話ではあるがディアンケヒトに言わせれば最近【ロキ・ファミリア】にアミッドをいいように使われていてその分の損益を回収する為には致し方ない事らしい。
良くも悪くも信頼と安心のディアンケヒト印の温泉施設は地上にモンスターが現れた件で荒んでいた市井にこれでもかと刺さった。
値段がお手頃で風呂の質が良いのだから当然と言えば当然だ。無論、オラリオの地下はダンジョンであり、いくら掘ったところで温泉どころかモンスターしか湧いてこないので実際はただのお湯だが気持ちよければぶっちゃけなんでも良いのだ。
早い話が天然温泉を騙るスーパー銭湯である。
しかし、ただのお湯では客足が続かないとディアンケヒトが考案したのがアミッドの出汁───もとい、聖女の残り湯を流したらお湯に治癒効果乗るんじゃね?という無茶苦茶なものであった。
19歳の少女の尊厳を代価に試されたこれが実際、美肌効果、疲労回復、肩凝り腰痛の緩和、解毒、損傷治癒、増毛、といった効能が確認され、一般市民のみならず冒険者や神々も足繁く通うオラリオ随一の人気施設となりつつある。
そんな、聖女の出汁風呂の効能を更に高めるべくアミッド関連の弱みに付け込めば人件費無料でいくらでも働かせられるアルの付与魔法と精霊誘引体質を利用できないかとディアンケヒトが考えたのはある意味当然の話だった。
「·················今更なんだという話ではありますし、これに関しては貴方に非はないので、まあ。··················ただ、お嫁に行けなくなるので口外だけはしないでください」
「あ、はい」
若干煤けた表情になったアミッドにかわいそうなものを見る目を向けて素直に頷く。
「·································それにしても、今のお前────」
「っ、なんですか?」
中身のなくなった酒瓶を火精霊に預け、改めてアミッドに目をむけたアルは僅かに湯船の方を覗き込むような仕草で首を傾げながらアミッドに性の悪い笑みを向ける。
湯船に浸かっているとはいえ、湯の熱と羞恥に頬を染めるアミッドはアルの視線から逃れるように肩までお湯の中に身体を沈めた。
無駄に良い声と顔を持つアルにそんな仕草をされると無駄に、本当に無駄だが様になる、そんな考えを振り払うようにキッとアルを睨む。
よく知った仲とはいえ同年代の男の前で半裸を晒すこと自体、約二時間にわたる葛藤の末の諦念がなければアミッドには到底耐えられるものではない。
というか半分以上自棄になっている今はいいが一通りことが終わった後に死にたくなりそうと白い肌を赤くする。
二人きりになることはこれまでもいくらでもあったがこのような格好、状況では当然初めてだ。異性への機微など思慮の果てに捨て去ったようなアルとはいえ、流石に何か思うところでもあるのかもしれない。
しかし、そんな少女の警戒と葛藤、ほんの僅かな期待をよそにアルは顎に手を当てながらアミッドの姿を頭のてっぺんから湯船の中の爪先までまじまじと見定めて笑った。
「昆布みてぇだな」
その時、未だかつてない衝撃がアルのみぞおちを襲った。
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▼アルのノンデリ発言
▼アミッドに効果バツグンだ!!
▼アミッドの急所打ち
▼アルに効果バツグンだ!!
【レァ・ポイニクス】
美肌効果、疲労回復、肩凝り腰痛の緩和、解毒、解呪、損傷治癒、増毛効果あり。ついでにアルからの精神力供給と生命力の割譲も可能。
【英斬と残光】
白髪「クソジジイの眷属が使ってた技よりベルの技のが強いに決まってんだろ」
獅子「あれ残光かな、いや明らか属性乗ってるし魔法の延長の通常技っぽいから残光じゃないか·········いや、飛ぶ光る斬撃だし残光かな·········てかコイツ、絶対灰の魔女の系譜だろ··········あっ、推定残光で風印から漏れた飛竜斬った·········よし、汝は残光使い」
【自動迎撃抜きのアル】
四年間で編み出した六つの奥義(奥義という名のクソしょっぱい自分ルール技)か第三魔法を使いだしてくる。
別名、一人で死ぬとか馬鹿なの?モード。