皆の傷になって死にたい転生者がベルの兄で才禍の怪物なのは間違っている 作:マタタビネガー
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「···············侵入者ぁ? えぇ、なんでぇ? 今までうまーくやってたよねぇ? どうしてココが見つかっちゃったの?」
大樹の迷宮の奥に位置する未到達領域。ダンジョンに住まう異端児たちですら知り得ないその領域にはそこが穢れた精霊のテリトリーであることを示すように緑肉が壁や床にこびりつき脈打っている。
そんな生物的な空気感とは打って変わってその内部には金属管が張り巡らされていた。緑肉の柱から金属管が伸び、その柱から組み上げられたなにかが緑色に淡く発光している。
脈動する肉の柱はその光に反応するように一定のリズムで脈打ち、その度に鼓動の音が反響して聞こえてくる。
中に電極らしきものを刺されたモンスターが溶液に入った巨大な水槽などが並べてあるどこか科学的な雰囲気を漂わせた異相がそこにはあった。
「理由は定かではなく·············も、申し訳ありません」
「あ〜、いいよぉ別にぃ。究明はしなくても解明くらいはしてほしいけどさぁ·············。はぁ~まぁいいや。どうせ迷い込んできた冒険者でしょ、始末しといてくれる?」
慌ただしげに走り回る闇派閥の雑兵である白いローブに身を包んだ死神の使徒とそのまとめ役である黒いローブの男。そんな黒いローブの男から上位者として扱われ、報告を受ける男が一人。白衣を着てメガネをつけた薄桃色の髪の研究者然とした男がいた。
「それが··················侵入者は四組。しかもほぼ同時刻にここへ姿を現しており·················」
「············二までは許容できる、でも四?··········あぁ、ダメだダメだ。偶々が四つも重なったらそれはもう偶然でも奇跡でも、神の悪戯でもなぁあい。必然だ」
明確な目的を持った誰かがこの基地に侵入を果たした。それを理解している男は苛立ちを顕にしながら、頭をガシガシと掻き毟る。
頭が痛い、と言わんばかりの男の様子に死神の使徒は冷や汗を流しながら委縮する。なんでバレたのかと研究者然とした男は乱雑に椅子へ座ると足を組む。
非人間的な昏い輝きを湛えた瞳を閉じ、嘆息を漏らす白衣の男。
「四組全て、解き放った食人花を撃破しながら進んできます··············ど、どうなさいますか?」
「撤収しかないじゃん」
なにを当たり前のことを聞いているのか、と呆れながら白衣の男は立ち上がる。
「て、撤収されるのですか?!」
「当然でしょ、持ってける研究資料は全部まとめてー。それ以外はさっさと処理しちゃって」
侵入者がこの基地を目指して未到達領域に辿り着いてしまった以上、どちらにせよ詰みだ。ならば、とっとと逃げるに越したことはない。
闇派閥に属して後ろ暗い研究をしているこの基地を暴かれては遠からず【ロキ・ファミリア】や【ガネーシャ・ファミリア】などの大手派閥が徒党を組んで掃討にくるだろう。
そうなればいくらこの基地の戦力が充実しているとはいえども勝ち目はない。
「お、お待ちください!! 我々にはこの領域を与えられた責務が···········?」
「責務なんて侵入者を許してる時点でもうなにも果たせてないよねぇ·············。それに研究は僕の頭さえ残ってればいくらでもできるからさぁ」
闇派閥による『研究』。実際の『研究』はすべて白衣の男によって行われていて、ローブの男たちは思案しない手足にすぎず、彼らではどうしようもない。そして、白衣の男の言葉は正しい。
「っ?!」
「だからさ、必要なものを外に逃がす時間、稼いでよ。例の『研究成果』、全部使っちゃっていいからさぁ。未完成だけど、ついでに情報もとっちゃおうよ。」
「その間、僕は『あの子達』とお話してくるからさぁ」
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夢を見る。
甘く、儚い幸福な夢。瞳を閉じればいつだって瞼の裏に浮かぶ昔日の冒険。まだ第一級冒険者となる前の■■■■と共に何度もダンジョンへ潜った。
『大樹の迷宮』では強化種のグリーンドラゴンと、『水の迷都』では他派閥の者達と共にアンフィス・バエナと戦った。命がいくつあっても足りない危険極まる冒険の日々だったが、ひたむきに前に進む■■■■の隣にいるときだけは自分が、『■■』であることを忘れられた。
························楽しかった、つらい現実を忘れられるほどに楽しかったんだ。
だが、冒険の日々はそう長くは続かなかった。
■■■■は本物の英雄の器の持ち主だった。一年と数週間、それが■■■■が恩恵を受けてから第一級冒険者───Lv.5へと至るのにかかった期間。才ある冒険者が長年かけてようやく辿り着けるかどうかという、一つの頂。異例も異例の早さで【ロキ・ファミリア】幹部まで上りつめた史上最高の神才。
第一級ともなれば都市最大派閥【ロキ・ファミリア】の主力としてそれ相応の立場と責任がついてまわる。中小派閥の第二級冒険者とのパーティーなど組み続けられる道理はなかった。
·················もっとも、Lv.3の魔法剣士ではもとより足手まといにしかならないのは目に見えていたのだが。
そこからの今に至るまでの三年間は、················地獄だった。
私は、『英雄』を知ってしまった。『英雄』の光に目を焼かれてしまった。もう、何をどうやってもあの日々を忘れられない。
自身の穢れも罪も忘れてあの『英雄』ならばもしかしたら、私を救ってくれるんじゃないかと思ってしまうほどに焼き付いてしまった。
六年前のあの事件、蠢く緑肉の蠢動、奇怪な金切り声、なす術なく蹂躙される先達。倒れた身体に『魔石』を埋め込まれ────『■■』として生まれ変わったあの悪夢の日に闇に覆われた心を、照らされてしまった。
こんなことなら最初から出会わなければ良かったのに、そうすれば──────こんな痛々しい夢など見なくてすんだのに。
瞼を閉じる、この残酷な現実から目を背けるように。
「殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺してころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころして─────私を、終わらせて」
叶うのなら、私という『怪物』は『英雄』の手で終わりたい。
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「そうか················お主らも行方不明事件に関して、核心的な情報は持っておらんか」
『ああ、残念ながら。 ダンジョンを随時監視している異端児からも目ぼしい情報は上がっていない。逆に彼らが何も掴んでないとなると事件はモンスター主導の案件だとは考えにくい』
【ヘスティア・ファミリア】と関わりが多く、リリルカ達の体臭も───変態的な意味ではなく───把握しているであろうベートを先頭としたガレス、フェルズ達の一団は敵の本拠地が隠されているであろう不自然に膨らんだ迷宮の壁の前までたどり着いていた。
「そうなると、やはり今回の件は闇派閥··················いや、少なくとも組織だった人の動きが裏にあるのは間違いないか」
「────そらッ!!」
話し合う二人を放り、銀靴による蹴撃を壁へ叩き込み、分厚い壁を粉砕するベート。轟音と共に、迷宮の壁は破壊され、巻き上がった土埃の奥にはこれまでとは全く様相の変わった緑色の壁や床が脈打つ不気味極まる空間が広がっていた。
『これほど分厚い壁を蹴破るとは流石は【ロキ・ファミリア】、驚くのも疲れてきたな』
『··············しかし、この領域の構造は···············あきらかに『人の手』が入っている』
生物的にすぎる緑肉の領域。しかし、どこか規則性のあるその様は何者かの手が入らねば不可能なもの。
超級の魔術師であり、自分自身工房を手掛けたことのあるフェルズには明らかに魔術師か呪術師の手が入ったものだと推測出来た。
「────この感じ、24階層の食料庫に似てやがんな。空気も、様相も、そしてこのクセェ臭いも」
『『剣姫』と【ヘルメス・ファミリア】に託したあの事件か·········』
以前、24階層で行われた『宝玉の胎児』をめぐる戦い。ベートには穢れた精霊の領域となった食料庫と眼前の脈打つ緑肉の領域が同じように見えていた。
モンスターの食料である液体を無尽に汲み出す食料庫の大主柱に階層主サイズの食人花を宿り木のように寄生させて食料庫そのものを食人花の苗床と『宝玉の胎児』の育苗場と化していた怪人の領域。
その事態の解決に一役買ったのが他ならぬベートやフェルズだったがあの時とは状況が違いすぎる。
「·············だが、24階層の緑肉の構造自体、食料庫の養分に依存していたものだ。だが、このあたりに食料庫などはない。いや、あるいはその『養分』こそが···········」
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「············っ?! ここは········?」
身体に走る鈍痛に顔を歪めながら目を覚ましたリリルカの視界に入ったのは機械的にすぎる様々な実験器具と凄まじいまでに対照的で生物的である緑肉の壁や床。
リリルカには一切、見覚えのない異相。ただただ不味い、とこれまで幾度となく死線を潜り抜けてきたリリルカの直感がけたたましく警報を鳴らしている。
「リリ様っ、気づかれましたか!!」
「リリ、よかった··········」
意識を取り戻したリリルカの顔を覗き込む春姫とウィーネ。
リリルカの記憶にあるのはフェルズに手引され、春姫とともにウィーネとあったこと。そして、意識を失う前に目にした黄緑色の─────。
「な、何があったんですか·············?」
「それが················未到達領域に近づいてしまってそこでなにかに襲撃されたようです··············」
「しゅ、襲撃?! どういうことです?」
意識を取り戻したばかりでまだぼやつく頭を左右に振って無理矢理に覚醒させ、春姫へと問いかける。思考はまとまらないが、少なくとも今の状況が良くないものなのは漠然とだが理解できる。
「私達をウィーネ様が庇ってくださったおかげで怪我こそありませんでしたが意識を失っている間に運ばれてしまったようです·············」
このダンジョンとは思えない不気味な領域といい、相手がまともな相手ではないのは確実だ、そう考えたリリルカの顔が歪む。
「···············わたし、すぐやられちゃったけど···············『アレ』、こわかった。見たことのない、怖いものだった」
怯えたようなウィーネの言葉にリリルカの思考がますます冴える。
「アレ? 怖い? 正直まだ混乱していて、まったく状況は掴めませんが····················」
自分よりも事態を理解していそうなウィーネにより詳しく話を聞こうとするリリルカだったが。
「─────ああ、やっぱり原因はこっちかぁ」
「誰か来ますッ」
規則的な足音とともにやってくる神経質そうな若い男の声にリリルカ達は身構えるが、その声の主である白衣の男には危険な瞳をしたローブに身を包んだ者たちが何人も付き従っていた。
「異常事態を持ち込んでくれたのは、君たちだったみたいだねぇ···············やっぱり、計画にない突発的な行動は避けるべきだったかな」
栄養に追加しようと近くまで来た冒険者を攫ったのは間違いだったかなあ、と独り言のように呟く男。
「あ、貴方は············」
「闇派閥·······の、残党の·······、『雇われ』ってとこかな、僕は。そうだなあ。円滑な意思疎通のために、自己紹介、しとこうか。僕はミュラー、オラリオでは何かと日陰者の『研究者』というやつだ」
不吉という言葉を体現したかのような男、ミュラーはリリルカ達へと名乗りながら、その目だけは笑っていない笑みを向けてくる。
「け、研究者············?」
狂気に目を爛々と光らせる数十の使徒を前にウィーネはリリルカたちを逃がすために立ちふさがる。その背中を見てリリルカは悲鳴に似た声を上げる。確かに竜種のポテンシャルを持つウィーネはそこらの冒険者よりも余程高いステイタスを持ち、そこらの雑兵であれば一方的に圧倒できる。
だが、数が違いすぎる。いくら上級冒険者並みのステイタスを持つウィーネでも曲がりなりにも恩恵を受けた数十もの狂信者たちを相手に無事で済むわけがない。
「···············こわくても、誰かを守りたいって、じぶんが痛くても、悲しくても··················だれかを守りたい、ベルを見てね、わたしもそう思ったの!!」
「ウィーネ様··············」
竜の少女の成長。助けられるばかりだったウィーネは、自分の『英雄』のように今度は自分が皆を助けるのだと奮起し、春姫はその言葉に目を潤ませる。
「わたし、ベル達とまたいっしょに暮らすって約束したの!! だからわたしも強くならなくちゃ!! ベルみたいに、誰かを守れるように!!」
そして、狂信者達の後ろにとぐろを巻いているのは蛇のような風体をした巨大な蔓、毒々しいまでに鮮やかな花弁を持つ花の化け物。
体表をびっしりと覆う黄緑色の表皮はまるで鱗のように逆立ち、鋭い牙が並ぶ口元からはだらだらと唾液を流している極彩色の魔石を持ったモンスター、食人花。
「歯向かうと言うなら··········殺せっ!!」
リリルカ達は知る由もないが彼女達では到底打倒不可能な下層種に相当する食人花が狂信者のまとめ役の男の号令によって放たれる。
「ッッ·········ウィーネ様ぁぁぁ!!」
────その時、ダンジョンに一陣の黄金の風が奔った。
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今頃、アイズが暴れてる頃かなぁ。
前座はくそどうでもいいからかかわる気ないけどそろそろクノッソス侵攻本番だから準備しとかないとなあ。
賢者の石間に合いそうにないからやっぱり第一次は適当に流して第二次で決めに行くか。
···········うーん、しゃーない。
レフィーヤの曇らせはフィルヴィスに譲ってやろう。
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巫女「いっそ、殺してくれ」
白髪「絶対死なさないけど死の偽装までは邪魔しないであげる」
・【憧憬追想】
呪いの装備その1。曇らせのためにこれ以上強くなりたくないと望めば望むほど成長速度が上がる。意識して経験値を取らないようにして相殺しているがちょっとしたことで経験値がめっちゃ入ってくる。
・【天授才禍】
呪いの装備その2。ぶっちゃけこのスキルだけでだいたい大丈夫。ちゃんとやればザルドボディのアルフィアとかいう意味わからん存在になれるが本人のやる気がとことんないためアルフィアほどのめちゃくちゃさはない。
・【加護精霊】
呪いの装備その3。アルが望む望まずにかかわらず精霊が力を無理やり貸してくる。大抵の不調は弾く上、少しでも魔力を消耗するとこぞって供給してくる。精霊やそれに類するものと戦う際にはそれと相克属性の精霊がめっちゃ頑張るため有利を強制される。
【呪いの装備×3】
アルの精神性が歪めば歪むほどその意志に反してパワーアップし、ちゃんと英雄願望を持った状態で恩恵を受けると合体して最適化する。今が一番中途半端で不活性状態、これ以下は恋愛とか食道楽とかに目覚めでもしないとならない。
・【サンダーボルト】
雷版ファイアボルト。【魔導】の発展アビリティと魔法そのものの攻撃性からファイアボルトより単純火力は高い。伯母のに比べると単発ではかなり劣る。
・【レァ・ポイニクス】
大体こいつでいい。死にかけると【闘争本能】で自動発動する。
・【リーヴ・ユグドラシル/■■■■■・■■■】
ダンジョンで試し撃ちする度にジャガーノートが派遣される。特定条件下では魔法名と特攻対象が変わる。
・【不壊剣ミスティルテイン】
ロキ命名。出番がほぼない不壊属性の剣。ぶん投げるとちょっとだけホーミングする特殊能力があるが本当にちょっとだけなのと斬撃を飛ばした方が手軽なため発揮されない。
・【枝の破滅ロプトル・ラーヴァーナ】
出番がほぼない呪武具の剣。火傷を負う代わりに攻撃力を引き上げる呪詛が刻まれた武器だが【闘争本能】が自傷をあんまりしたがらない為ろくに発揮されない。
【黒竜剣バルムンク】
柄にミスリルの装飾が施された杖としての性質もある大剣。アルの戦い方には片手剣のが向いてるし、アル的には剣より槍のが強い。
なんかもう話数的には50話以上に多くなっちゃってますがこれでようやく改訂前の内容に完全に追いつきました!!
ここまで本当にありがとうございました これからもどうかよろしくお願いします!!