皆の傷になって死にたい転生者がベルの兄で才禍の怪物なのは間違っている 作:マタタビネガー
溜め回
クノッソス十二層。
ダンジョン12階層に発見されていたクノッソスへの出入り口から侵攻しているのはたった三人の冒険者。
張り巡らされた多種多様な罠や凶悪極まるモンスターは第一級冒険者を含んだ中規模パーティーであっても一歩間違えれば簡単に全滅しうる。
そんな魔窟にたった三人のみで攻め入るなぞ自殺行為にほかならない。
だが、この三人に限っていえばそれは当てはまらない。
彼らが踏み入った階層にはすでにモンスターの影はなく、その残滓が残るのみ。闇派閥の雑兵も自爆するどころか彼らの視界に入った時点でこれまでに行ってきた非道の代償を支払わされる。
鎧袖一触なんて言葉すら生ぬるい蹂躙。
「──────────────がっ」
先頭を歩く二人の『覇者』の歩みを妨げようとした者はなんの抵抗も許されずに破断され、一切の例外なく物言わぬ亡骸を晒す。
一歩踏み出すごとに地が揺らぎ、命が絶たれていく、死の凱旋。雑兵の放つ魔法が、刀剣が、弓矢が、槍が、斧が、鎚が、魔剣が、『覇者』の身体を掠めることすらなく弾かれ、逆に雑兵たちは一人、また一人と倒れ伏せる。
その身に宿した膨大な膂力と、力任せに振るわれる剛剣によって火に入る羽虫のように命を散らせてく。
中には冒険者で言うところの第二級の実力者すらもいたが、『覇者』には傷一つつけられずに一撃のもとに絶命する。
二人の『覇者』。
オラリオ───否、この下界において最も高みへと登り詰めた究極の個。
ゼウスとヘラ亡き現代において迷うことのない最強の眷属。互いと学区の騎士を除いて彼等を止められる神の眷属は存在しまい。
第一級冒険者すら歯牙に掛けないその二人にLv.4にも満たない者達がどうやって追いすがることができようか。
「戦馬鹿共め」
競い合うように突き進む二人の『覇者』の後ろ、中後衛として追従するヘディンは呆れるように舌を打って女性にも見間違う美貌を歪ませる。
ただでさえ過剰戦力のLv.8が二人も前衛としているのだ。圧倒的な中衛と評されるヘディンだがほぼほぼここまで何もせずについてきてしまっていることに文句の一つも言いたくなる。
ヘイズは部隊の生存率を引き上げるために、オッタルは怪人級の個との戦闘のために今回の侵攻に同行しているがヘディンは指揮官として後方に残るべき人材だ。
眼晶によって場所を選ばず指揮を行えるとはいえ今回の第一侵攻でヘディンがすべき事はあまりない。
戦力という意味ならばLv.8二人がいる時点で過剰だし、指揮官としてもフィンが全体指揮を執っている以上は自分がでる幕はないだろう。
フィンになにかあった際の代理、としてもわざわざ敵対派閥から呼びつけるくらいならアルがやった方がマシだろう。
かと言って目前の二人は指揮なぞ不要···········というよりは思慮を断つ勢いで吶喊させるのが最適な運用方法な以上、後方指揮なんてやる必要はない。
女神からの勅命故に従って同行したが、これでは何のために来たのかと思わずにはいられない。
だが、アルは阿呆だが愚図ではないし、明確な理由もなしに敵対派閥の幹部の力を借りるほど愚かでもないはずだ。
ならば、わざわざ自分を指名した何かしらの意味があるのだろう。
どちらにせよ、今回の本命はこの部隊を抑える為に確実にやってくるであろう怪人と会敵してからだ。
ヘディンは前に視線を戻して、相変わらず競い合うように突き進む二人に呆れながら少しだけ足を速めた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「(──────速すぎる)」
タナトスと同じく迷主の間で【ロキ・ファミリア】の侵攻を受けているクノッソスの戦局を俯瞰して見ながらバルカは戦慄と共に内心で呟く。
各々がLv.6級の戦力を複数抱えた五つの部隊。そのいずれもがクノッソス内に張り巡らされた罠や邪神の奸計も歯牙に掛けず、全てを圧倒しながら突破してくる。
自らの犠牲を厭わない偽装兵の呪武器や自爆兵の火炎石が部隊に微かな損傷を与えることもあったが次の瞬間には銀と金の奇跡によって全快してしまう。
罠は悉くが力尽くで破られ、簡易苗花から湧き出る極彩色のモンスターたちは鎧袖一触に斬り伏せられる。
「我らの千年はダンジョンの未知には届かなかったというわけか··················」
人の意図と悪意を元に造られたクノッソスは確かに脅威だっただろうが一度でもその脅威に晒され、生還した冒険者達にとってはもう『既知』の脅威でしかない。
常に『未知』を迫るダンジョンの神秘に人の造った紛い物では到底届かないのは道理とばかりに蹂躙されていく。
千年前、神々がオラリオに降臨した神時代の始まりに今もなおその威容をオラリオの中心で保つ白き摩天楼バベルを建造した神域の天才ダイダロス。
ダンジョンという混沌の美に魅了され、人の手でもってその混沌の美を探求せんとした天才にして狂気の探究者。
そして──そんなダイダロスが己の生涯を費やして作りあげた未完の作品。
それがこの地下深くに広がる人造迷宮クノッソスである。
始祖たるダイダロスの妄念。1000年もの間一族に受け継がれてきた悲願であり、呪縛。
混沌の美の完成の先にあるものを求めて、完成を見ることなく散ったダイダロスの遺志を継ぐ一族の末裔によって造られ続けてきた地下迷宮。
その千年が、たった二度の交戦の経験で打ち砕かれる。
その現実をバルカは受け入れざるを得ない。
趨勢が決したとは言わない。未だ、怪人もあの切り札も前線に出していない。
あの大戦力を以ってすればまだ戦局を覆す目は残っている。
だが、あの切り札を切るのはクノッソスの崩壊と同義。
「············································································································································································································································」
長考。自我ではなく呪縛によってこれまでを生きてきたバルカの人生の中で最も長い熟考が思考の海へと飛び込む。
間違ってもバルカには闇派閥への愛着もタナトスへの忠誠心もない。
ただ、千年もの間血族に受け継がれてきた呪縛の成就。
それだけがバルカのよすがであり、それさえ叶わなければもうバルカは何者でもない。
そのためだけに生きてきたし、そのために死ぬことに何の疑問も抱かない。
ただひたすらに迷宮の完成を目指す。そこに何があるのかなど興味もない。
ただ、一族の悲願を達成することこそが彼の存在理由であったから。祖から継がれる血の呪縛から逃れられなかったから。
だから、彼がこれまで歩んできた道程には感傷も感激もない。なぜならば、それは彼にとって単なる作業に過ぎなかったから。
クノッソスを完成させるためだけの機構としてのみ生きる彼に喜びはなかったし、悲しみや怒りを感じる心すら存在しなかった。
生まれついて以来、他者と関わることもなく外界に触れることもなくただひたすらに千年の妄執に従うだけの人生。
彼を動かしているのは自我ではなく呪縛。物心つかぬままに魂に刻み込まれた呪いにも似た使命だけが判断基準であり指針である無機質な機械のような人生。
そんなバルカの人生は今日この日まで一度たりとも揺らいだことはなかった。
今もそうだ。
このまま闇派閥と運命を共にするわけにはいかない。
自分一人が死ぬ分にはどうだって良いがクノッソスが朽ちるのだけは許容できない。
ならば─────
「バールーカーちゃん♪」
思考の海から引き上げるように不意に自分を呼ぶ声をバルカの耳が捉えた。
主神であるタナトスが蛇が舌を伸ばすように自分の肩に纏わりついて耳元で囁いてくる。
「もしかしてたけどさぁ─────【ロキ・ファミリア】に寝返ろうとか考えちゃってる?」
己の内心を見抜くように神たるタナトスの目が細められ、蛇のようにバルカの首にその腕が絡みつく。
「クノッソスのために俺達を裏切っちゃう?」
闇派閥に未来がないのなら彼らを【ロキ・ファミリア】に売り渡してクノッソスだけは残す、簡単な足し引きの計算。
だが、その計算は全知零能の神によって見抜かれ、棄却される。
「別にいいよぉウチはギブアンドテイクの好きにやる集まりだしさ。·················でも、俺達を裏切ったとしてもギルドはこれ以上のクノッソスの拡張は絶対に認めないと思うよ?」
「··················」
経緯はどうあれ『異端児』達が地上に出てきたように今後モンスターの地上進出に繋がりかねないダンジョンと外界をつなぐ横穴なんてギルドにとっては邪魔でしかない。
都市の平穏のためにもギルドがクノッソスの拡張を許すことは決してないというタナトスの言葉は的をいている。
だが、それでもバルカは微塵も動揺を見せずに沈黙を貫く。
「次のダイダロスの為にも、クノッソスの完成を果たす為にも、何をしてでも悲願を阻む障害を取り除いておこうよ」
穢れを知らない乙女を誑かす悪魔のように、タナトスはバルカに囁く。その苦い甘言が毒蛇の誘いであると理解しながらバルカはその毒を拒むことができない。
諦観にも似た無感情の瞳でバルカは己の神の横顔を見つめる。その視線を正面から受け止めながら、タナトスがバルカの魂の底を覗くように囁く。
「どうだい? バルカちゃん」
「······················································································································································································································わかった」
それがバルカの答え。ここに来ても一切の機微を見せずに神の提案を承諾する。
その答えに満足げに微笑むとバルカの耳元から顔を離してタナトスは楽しげに声を上げる。
「何か手伝うことはあるー?」
「ない、指揮を頼む」
感情のこもらない機械の応答。神の提案を引き受けた後、バルカは迷いを見せることもなくタナトスに背を向けて円形の広間へと繋がる階段へと足を向ける。
幽鬼のような足取りで歩き去るバルカの背中を見送りながら、タナトスは暗い笑みを浮かべた。
「·······································································································································································································」
間もなくたどり着いたのはその中心に台座が置かれた円形の広場。
以前、【ロキ・ファミリア】がクノッソスに初めて攻め入った際、『剣聖』の全てを食い破らんとする快進撃に苦渋を飲みながらも発動を決断したクノッソスの一部『崩壊』。
ダイダロスの血族千年の妄執。生まれて間もなくしてその呪縛を脳髄に刻まれたバルカとは違い、自我を得てから呪縛に縛られた異父兄弟のディックス・ペルディクス。
自我を侵す抗えぬ呪いを嫌悪し、一族の全てを唾棄しながらもその呪縛から逃れることはできなかった憐れな血族の同胞。
その呪縛の根幹であるクノッソスを憎みながらも、バルカと同様に悲願成就のために生まれてきた彼はクノッソスにとある仕掛けを施していた。
迷宮を自壊させる機構。特定の支柱を破壊することで階層そのものを崩落させる切り札とは到底言えぬ自爆のような悪あがき。
「───────────っ」
躊躇う。無我を生きてきたバルカの心に迷いがよぎる。
バルカとて一部といえど自らの手でクノッソスを壊したくはない。一部であっても階層を破壊してしまえばその修繕には多大な時間と労力を要する。
それも一部区域を崩落させただけに留まる前回とは違い、今回崩落させるのは階層一つ。
18階層あるクノッソスの内一層。単純に考えても血族千年の十八分の一をバルカ自らの手で破壊することになる。
己のこれまでの人生で築き上げてきた領域を上回る破壊行為を、神の命令で決行する。
葛藤がバルカの動きを僅かに止める。踏み出そうとした足が躊躇いに止まりかける。
されど躊躇いは数瞬。
冷たい計算のもと、多大な犠牲を強いるこの手こそ最善手であるとバルカは断じる。
故に、その足は再び動き出し、台座へと歩みより、そして────
「───────ぐっ!?」
不可視の風切り音が崩壊の台座に手を伸ばしたバルカの手を掠め、鮮血が舞った。
咄嗟に身を捻って回避行動を取るも完全には躱しきれずに指が数本切断され、台座の周りに散らばる。
傷を負った痛痒なぞまるで感じぬようにバルカは無感情にその風切り音の出所へと目を向ける。
「────外しましたか」
何もない空間が歪み、一人の美女が吐き出されるように虚空から姿を現す。
己の存在を誇示するように外された漆黒の兜が光を照り返し、端正な顔立ちに映える水色の髪もそよぐ。
「························『万能者』!?」
血に濡れた短剣を手にするその姿にバルカは驚愕を顕わにする。団長であるアスフィが姿を現したのを皮切りに同じく透明化していた【ヘルメス・ファミリア】の団員達も続々と姿を現す。
「『暴蛮者』の異父兄弟にしてダイダロスの末裔、バルカ・ペルディクスですね」
「【ヘルメス・ファミリア】···············どうやってここまで、手記もなしにこの部屋を見つけ出すことは到底不可能のはずだ」
当然の疑問。透明化は魔道具によるものだと推測できるが、迷主の間に並ぶ重要施設であるこの広間はダイダロスの手記を見でもしない限りは見つけることすらできない。
「簡単なことです、『人』に聞きました」
情報を抜き取られることがないように闇派閥の兵は即自爆を徹底しているがそれも透明化を維持したまま不意を突けばどうとでも無力化できる。
一度捕らえれば自白の魔道具で情報を引き出すことも容易い。『万能者』の二つ名の所以である多種多様な魔道具をこれでもかと駆使し、アスフィ達はここまで辿り着いた。
「目的は私とタナトスか···············」
「それと、この手記ですね」
切りつけられた拍子にバルカが床に落としたダイダロスの手記を拾い上げ、アスフィはペラペラと頁をめくる。
クノッソスの設計図、つまりは複雑怪奇なクノッソスの地図ともいえる手記。
ぱさり、と手記を閉じ、シーフである犬人のルルネに渡してアスフィがバルカに向き直る。
「詰みです、バルカ・ペルディクス」
そう静かに言い放ち、短剣を真っ直ぐと突きつける。【ロキ・ファミリア】を中心とした派閥混成部隊。
破竹の勢いでクノッソスを踏破していた五つの部隊は陽動であり、囮。透明化して密かにバルカを捕らえるためにここまでやってきたアスフィ達【ヘルメス・ファミリア】こそがある意味の本隊。
「『鍵』はどうした、お前たち以外の部隊は全部で五つ。神イシュタルが持っていたものを回収したとしても『鍵』は同じく五つまでで終わりな筈だ」
当然の疑問。ここまで来た手段と目的については理解したがそもそもの前提。
『鍵』がなくては最硬精錬金属の扉を開けることはできず、攻め入るなぞ不可能。
【ロキ・ファミリア】並びにギルド側戦力が有している『鍵』の数は全部で五。
『異端児』が持っていたものが二つ。
二度目の戦いで奪取したものが二つ。
そして、イシュタルが持っていた『鍵』もイシュタルがフレイヤに討たれることでその行方を誰からも見落とされ、最終的にはヘルメスを通して【ロキ・ファミリア】の手に渡った。
だが、アスフィ達を除いた部隊の数はそれだけで限界数の五。
六つ目の部隊である【ヘルメス・ファミリア】が持つ分の『鍵』はないはずだとバルカは訴える。
その訴えをアスフィは冷たく切り捨てた。
「
「─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────」
バルカの時が、止まった。
アスフィの告げた言葉の意味が理解できない。いや、理解したくないと脳が拒んでいる。
『剣聖』や『聖女』にも感じなかった戦慄がバルカの魂に恐怖にも近い情動となって叩きつけられる。
「『鍵』の実物を見せてもらい、最硬精錬金属の扉を調べ上げて貴方達血族の瞳を再現可能なダンジョンの素材を探しました」
【神秘】の探究者、アスフィ・アンドロメダ。無から有を作り出すことはできなくとも不可能を可能にする神秘の業をその身に宿した稀代の魔道具作成者。
奇しくも同じアビリティを持つとある元賢者の作り出した規格外の魔道具を見せつけられて魔道具作成者としての矜持が騒いでしまった、とアスフィは独白する。
「手記を確保した!! ルートは全部把握した!!」
二人の【神秘】持ちの掛け合いを他所にダイダロスの手記を高速で読み込んでいたルルネが全て覚えたと眼晶に吠えるように叫ぶ。
「敵の拠点は────九層だ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
規格外の通信魔道具である眼晶を介して迅雷の情報共有を行って数分。
畳みかけるかのような驚愕に無我の心の器を揺るがされ、茫然自失のバルカを他所に広間へ【ロキ・ファミリア】が雪崩れ込む。
踏み入ってきたのはフィンが率いる北東の部隊。
三人のLv.6と都市最高のヒーラーを擁した特大戦力はレベルこそそれなりに高いが戦闘者ではないバルカにはどうすることも出来ない。
「···························ここが、私の終わりか」
無我故に一切の葛藤なく諦観がバルカの心に宿る。アスフィが言ったようにこの盤面はすでに詰んでいる。
ここから覆す手は少なくともバルカには思いつかない。
バルカは懐から取り出した呪武器の短剣を自らの胸へと突きつける。それも一本だけではなく次々に何本も。
「···························ぐ、ふ」
呪詛の詰まった真っ黒な血潮を吐き出す。致死量を超えたそれはバルカの命脈を絶つだろう。
ごぼごほと、もはや声ではなく血塊がバルカの口から零れる。
「なっ、何をやって────」
「自害···················?」
その条理を逸した行動に【ロキ・ファミリア】はおろかアミッドですら驚愕を露わにする。
急速に元々白かった顔色をさらに白くしながらバルカは短剣を自らの胸へ突き立て続ける。
「私はっ、闇派閥はここで終わる。──────だが、クノッソスは朽ちん!!」
「───────っ、あの宝玉は!!」
最後に懐から出したのは精霊の分身の種ともいうべき『宝玉の胎児』。
それをバルカは激情のまま、自らの胸に刻まれた治らずの傷口に押し当てる。
穢れた精霊の寄生。その力は人間、モンスター区別なく寄生対象とする。
今の今から怪人のような在り方にはなれない、できるとすれば宝玉を取り込んで女体型や精霊の分身と近い存在へとなり果てること。
フィン達が驚愕を捻じ伏せ、駆け出すよりも早くバルカは己に宝玉を同化させ、最後の呪詛を残す。
「私が死のうと我らの悲願はッ、我らの執念は途切れん!! 始祖が見出だした混沌の夢、クノッソスを完成させる為一人でも多く道連れにしてやろう────!!」
バルカの無感情な生涯において最初で最後の激情、それが呪詛として吐き出される。叫喚、あるいは慟哭。広間中が震え上がるような雄叫びと共に宝玉はバルカの心臓と同化、その肉体を変質させていく。
「『────ァ、アアァ、アアアァアアアアアッ!!』」
破鐘のような雄叫びに呼応するように宝玉がバルカの全身へと根を張り巡らせ、異形の怪物へとその形を歪めていく。
ボコボコと肉が沸き立ち、両足が捻くれ、肥大化した両腕が広間の天井を突き破りかねないほど高々と掲げられる。
人の形を失くし、異形へと成り果てていくバルカ。両足は腐り落ちてどちゃりと崩れ落ちて蛞蝓のようになり、絶え間なく脈打つ管が触手のよう伸びていく。
頭は完全に醜悪な肉塊となって人の形を失い、大型級のモンスターに比肩する巨軀へと膨れ上がり、口であった部位から放たれる咆哮が広間の空気をビリビリと震撼させる。
「『死に絶エろッ··········冒険者ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』」
人間としての肉体を失い、ようやく獲得した自我も溶解していく。その最期の狭間に血族の悲願を阻む者たちに絶殺を誓わんと呪詛を吐き出す。
見るものに生理的嫌悪を強制する醜悪な肉塊。その中心、人の形を保っていた頃の面影を残した左目だけが憎悪と怨嗟に爛々と輝く。
もはや人の言葉を話すことも叶わない異形、言うなればバルカの怪物。
漆黒の管から噴き出される黒血が雨のように広間へ降り注ぐ。
見るからに毒々しい、考えるまでもなく 多大な呪詛を孕んだそれを前に冒険者達は盾や魔剣を構える。
そして、その全てより早く広間に聖なる調べが響き渡る。
女王型を優に凌駕する脅威、その誕生の産声を耳にして聖女が誰よりも早くその歌を歌った。
「【聖想の名をもって───私が癒す】」
「【ディア・フラーテル】」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あっ、アミッドがまためちゃくちゃやってんな、コレ。
眼晶使わなくてもわかるわ。
違う部隊でよかったー。
────────────────────────────────────────────────────────────────────────
アルは精霊関係とアミッド、ベル相手だと感知力跳ね上がります。
白髪「全体治癒できるヘイズは絶対として··············後は面倒事投げれて色々と便利なヘディンにするか」
ヘディン「は?」
【階位を覆す自己強化】
フィン→魔槍
オッタル→獣化
レオン→至剣
アル→自動迎撃解除(才禍モード)
皆さん、いつも本作を読んでいただきありがとうございます。
これまでとこれからの内容について活動報告で事前に皆さんのご意見を頂いてましたがこちらでも伝えさせていただきます。
一点だけ無かったことというか少し改変したい部分があります。
以下、活動報告に載せたものを少し修正。
原作で第三魔法発現しちゃって本来やるはずだったことができなくてどっちつかずで活躍されられてないから今からでも原作に寄せたい。
濁すまでもなくリューのことなんだけどどうしよう。
書き換えるとしたらリュー関連の曇らせはアリーゼエミュとかで軽くやったけど闇派閥やらジャガノート関連はなし、ランクアップも原作通りのタイミングに修正って感じかな。
修正後はアポロンfの助っ人以外は大体原作通りとして13巻〜の内容も画面外で起きる予定。
アストレア√はどうあれそのままのつもりで本編の中で変わるのはハイエルフ熱愛報道前の話とvsアイズ戦くらい。
変えるとしたら活動報告でのアドバイスをもとに
・変える前にPDF保存期間として数日とる
・変えた部分は活動報告に記載
・書き直す部分は少しなので要するのは一日程度
・全体書き直しなどは絶対にしない
・書き直し中の非公開はしないし、するとしてもパスワード
このあたりは徹底します。
ちゃんとキャラを活かせてるならまだしもリューに関しては取ってつけた設定だけあるみたいな感じで全然活かせてなくて心苦しいので修正したいです。
改訂前のデータは控えておくので場合によっては本編完結後などに一種のIFとして過去編含めて再掲することも考えています。
急なお話で申し訳ありません。
これ関係のことでご意見等あれば必ず目を通しますので活動報告の方にお願いします。