皆の傷になって死にたい転生者がベルの兄で才禍の怪物なのは間違っている 作:マタタビネガー
バルカの怪物。
クノッソスを作り上げるためだけに複数回のランクアップを重ね、第二級冒険者に匹敵する階位まで登り詰めた無我の狂人、バルカ・ペルディクス。
その血肉に呪詛を蓄えた彼を素体にして生まれたそれはただの怪物と呼ぶにはあまりに醜悪な形をしていた。
肉塊を無理矢理人の形に押し込めたかのような歪な巨軀、そこから生え伸びる無数の管が触手のようにのたうち回り、広間の床や天井を打ち付けるたびに腐臭を放つ黒血が撒き散らされる。
その中心で爛々と輝く左目だけが人の名残を感じさせるがそれ以外はもはや元が人間であることすら疑わしいほどに異形に成り果てている魔。
『宝玉の胎児』から産まれる女体型と精霊の分身を複数回討ち破っている【ロキ・ファミリア】をして難敵だと見るだけでわかる異形。
単純な戦闘力だけならば59階層の精霊の分身はおろか、初めてのクノッソス侵攻で怪人との戦いを中断されたアルが一蹴したパワーブルを素体とした精霊の分身にも劣るかもしれない。
だが、その身に宿る呪詛。
巨体から生み出せる膂力、無尽蔵に再生する肉体、全身に張り巡らされた呪詛の罠。
専用の解呪薬ですら対応不可能な呪詛の黒血を癒せるのはアミッドを除けばここにはいないアルのみ。
─────勝てる。
─────だが、誰か死ぬ。
その脅威の程にフィンは勝利の確信を胸に抱くが同時にその結末も悟る。この異形、バルカの怪物は間違いなくクノッソス第一侵攻において指折りの難敵である。
生半可な覚悟で挑めばその時点で数名は確実に死ぬだろうと予測を立てる。
そのフィンの危惧を、バルカの執念も含めて全てを凌駕する奇跡が高らかに謳われた。
「【ディア・フラーテル】」
バルカの怪物から呪詛の黒血が放たれる事、都合六度。
【ロキ・ファミリア】及び【ヘルメス・ファミリア】に損耗なし───全員無傷。
黒血が冒険者達に降りかかるよりも早く清浄の歌にただの赤へと色を薄めてなんの危害も与えない
回復魔法の持続展開による絶対清浄の聖域を構築することでアミッドはバルカの怪物がもたらした黒血をただの赤へと還元する。
その光景に冒険者達は言葉を失う。
一介のヒーラーでありながら魔導士の結界や前衛壁役の大楯を思わせる盤石の護り。第一級冒険者ですら二の足を踏む呪詛を解呪どころか無効化する彼女を誰がLv.3となったばかりだと思おうか。
それだけで偉業と呼ばれてしかるべき偉業。
だが、それで終わらないのが『戦場の聖女』。
おそらく、このオラリオの冒険者で最もアル・クラネルに『感化』されている『聖女』の本領。
アミッドは歌を止めることなく、その魔法を維持したままに杖を高く掲げる。
そして、高速詠唱に次ぐ高速詠唱。
光の奏律が紡がれるたびに光が闇を切り払い、バルカの怪物の彩を白へ染めていく。
魔法を重ねるごとにバルカの呪詛に対応した効果へと最適化されていく。そして、六度目の呪詛を浄化しきったアミッドは最後の仕上げとばかりに杖を床に突き立てる。
「【─────私が癒す】」
瞬間、広間が白に染まった。
聖光の波濤。その輝きがバルカの怪物を包み込む。それはもはや回復魔法と呼ぶには過ぎたる
押される、後退る。
バルカの怪物がその巨体を後退させる。呪詛は解呪され、怪物に果てた肉体は聖光の波濤に押し流されるように押し下げられていく。
物理的圧力なぞ一切持たないはずの聖光の波濤はしかし、怪物を押しとどめる。
呪詛の黒血が蒸発し、肉塊が光に焼き尽くされる。
「ヒーラーでありながらモンスターを無力化するのか、君は··············」
フィンの喘ぐような感嘆が正邪の衝突に塗りつぶされる。
「そうなってしまった貴方を癒すことは私にはできない」
懺悔するように光の只中にあるアミッドは聖光の波濤を維持したままに、怪物と成り果てたバルカへ語りかける。
「傲慢かもしれない、冒涜なのかもしれない。貴方の思いに理解を示さず、救うことも諦めた私では偽善者にしかなれはしない」
「だから、だからこそ、その『呪い』は────私が殺す」
【ディア・フラーテル】と七度目の呪詛を浄化した聖光の波濤がその輝きを一層強くする。
アミッドは杖に込める魔力を増大させ、光圧を更に高める。
バルカの怪物はせめてもの抵抗をするかのように金属すら粉砕する怪腕の一撃を見舞わんとするがそれを許すフィン達ではなく、アミッドの詠唱を邪魔させまいと総攻撃が怪物に叩き込まれる。
その全てを受け止めながらバルカの怪物は呪詛を吐き出すが、もはやそれは光の壁に阻まれてアミッドには届かない。
『────ォ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?』
極光。バルカを、ダイダロスの血族の千年にもわたる執念と悲願から解放するようにアミッドは杖を振り下ろす。
怪物を焼き尽くさんとする白光に、怪物が放つ呪詛の黒血が僅かに拮抗し、やがて────
『ダィ········ダロッ········スッ··············!!』
「眠りなさい、ダイダロス」
聖女の白が執念の黒を塗り潰した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
進む進む進む。
茶番だとわかっていて、全てを欺く罪の上塗りだと知っていてなお進む。
全ての罪を黒い仮面に押し付け、自分は白い妖精のままだと自分自身を騙すように。
終わりが近いと囁く仮面から逃れるように前に進む。
進んだ先も黒い闇だと言うのに。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ガ、ァァアアアアアアアアアアァァアア─────」
通路に響き渡る破鐘の絶叫。体表をびっしりと覆う黄緑色の表皮はまるで鱗のように逆立たせて鋭い牙が並ぶ口元からはだらだらと唾液をこぼしている食人花の群れ。
百や二百では収まらない、通路の幅一杯に広がったその群れは濁流のように雪崩れ込んで来る。
いくら灰に還そうとも無尽蔵に湧き出て来る極彩色のモンスターは一つの波が終わる頃に別の波が押し寄せる。
まさしく底なし。他の部隊に数倍する物量を向けられる南西の部隊は思わぬ苦戦を強いられていた。
Lv.2からLv.3に相当する食人花をほとんどがLv.1の【ディオニュソス・ファミリア】が相手取るには些か分が悪い。
【ディオニュソス・ファミリア】を守るように【ロキ・ファミリア】が矢面に立つ。
「【狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢────アルクス・レイ】!!」
視界を覆う食人花の群れに短文詠唱からなる砲撃をレフィーヤが撃ち込み、一射で十以上の食人花を一切の抵抗を許さずに消し飛ばすが焼け石に水。
倒しても倒しても後から押し寄せる食人花の群れは留まる事を知らずに徐々に部隊は追い詰められていく。
「〜〜〜〜〜〜〜っ」
むしろ、レフィーヤのいる戦域はまだマシだ。二人の主神を守るガレスとリヴェリアが相手をしている戦力はレフィーヤの比ではない。
宙を走る食人花だけでなく地を這う水黽型の極彩色モンスターや精錬金属すら溶かす消化液を吐き出す芋虫型の極彩色モンスターも相手にしなければならない。
「【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を───】───うっっ!?」
物量で潰しにかかる極彩色モンスターを広域攻撃魔法で殲滅せんと最近慣れてきた並列詠唱からの詠唱に入ったレフィーヤにぶつけられる多大な衝撃。
「フーゥッ、フーーーッ!!」
『怪人兵』。波を打つ食人花の群の合間から狂気を漏らしながらその膂力でもってメイスをレフィーヤにぶつける簡易怪人。
「っ!!」
ただでさえ極彩色モンスターの相手だけで手一杯。そこに食人花の間を縫って駆け抜ける『怪人兵』の襲撃はレフィーヤに詠唱を続けさせることを許さない。
格上の身体能力によって振るわれる一撃をかろうじて杖で受け止めたレフィーヤだがその人外の膂力に転がされる。
レフィーヤは杖を地面に突き立ててすぐに立ち上がろうとするがその背後から別の『怪人兵』が大剣を振りかぶる。
Lv.4上位の前衛職に匹敵する速度にレフィーヤは反応が遅れる。その刃がレフィーヤの体を両断する寸前。
「【───ディオ・テュルソス】!!」
「───ガ、ア」
純白の雷撃の矢がレフィーヤを両断しようとした『怪人兵』を撃ち据えて紫電を迸らせ、今まさに飛びかかろうとしていた複数の食人花も例外なく白雷の激流に包まれる。
「無事か、レフィーヤ!!」
「フィルヴィスさんっ」
並列詠唱を完全な形で修めた魔法剣士として立ちまわるフィルヴィスが駆けつけ、レフィーヤはフィルヴィスに守られながらも再び杖をついて立ち上がる。
その視線の先には波となって押し寄せる極彩色モンスターの群れと煙を吐きながら叫声をあげる二体の『怪人兵』。
「行くぞ、レフィーヤ!」
「はいっ!!」
Lv.5の第一級冒険者でも下手を打てばすり潰されるその物量を前に二人のエルフの魔導士は杖を握りしめる。
苦戦は免れないだろうが二人が協力して対処すれば切り開くことは可能な戦況。
────が
『いつまで遊んでいる』
不意に響く男女の判別もつかない声。呼気が止まる。怖気がレフィーヤの背筋を駆け登る。
食人花の濁流が二つに分かれる。まるで代行者たる『女王』の道を空けているかのように左右に割れる。
その向こうから姿を現すのは紫の外套に奇っ怪な仮面を嵌めた男とも女ともわからない不気味な人型。
目にした者の心胆を寒からしめる、その人型は食人花の間を通って現れる。その歩みは優雅さすら感じさせるほど。しかし、それがかえってレフィーヤの恐怖を煽る。
「·················怪、人」
敵を前にして臆する愚かさをレフィーヤは頭では理解していても心が怯える。
自分では未だ足元にも届かないアイズやベートを一蹴し、アルすら終始圧倒し続けたその人型の怪物。
いずれかの部隊が相対する事は分かっていたが、しかし、いざ相対してみると心の準備とはまるで違う。
それはフィルヴィスも同じだったようでその双眸は大きく見開き、顔色は青白いを通り越して蒼白に染まっている。
だが、そんな二人の様子などまるで気にも留めず食人花の海を割った仮面の怪人は悠々と歩き続ける。
『白を気取る道化が、いい加減ごっこ遊びも終わりだ』
「············?」
そこで、レフィーヤははたと違和感を三つ覚える。
一つ目は怪人の言動。特定の誰かへの罵倒のようでありながら独り言のようにも聞こえるそれはレフィーヤの目耳から見てもまるで要領を得ない。
支離滅裂とはまでは言わないが幻聴に答えているかのように歪だ。
二つ目は怪人の強さ。────弱い。以前、このクノッソスでアルと相対してる怪人から感じた圧倒的強者故の鬼気、それが酷く薄い。
所作から感じられる身体能力の丈は神の眷属で言うところのLv.5に届くかどうかという程度。
レフィーヤよりは遥かに強いだろうがアイズ達【ロキ・ファミリア】の主力に比べれば確実に弱い。
ならば姿だけを象った別人かと思うもののその虚無を覗いているかのような雰囲気は記憶にある怪人のそれと重なる。
そして最後の違和感。
「あ、あぁ··············もう、なのか」
「─────フィルヴィスさん!?」
怪人をまるで死を前にしたかのような眼差しで見据えるフィルヴィス。その口から漏れる言葉の羅列は誰の耳にも届かないほどに微かなもの。
レフィーヤの抱いた警戒故の怯えではなく、フィルヴィス本人の心の整理のつかない当惑と葛藤によって出る困惑の声。
端正な顔が悲痛に歪んでいる。まるで何かに耐え切れないとばかりにフィルヴィスの体が震え、歯の根が合わずにカチカチと音が鳴る。
頼れる歳上の同胞の初めて見る姿に精神錯乱の呪詛を浴びたのではないかとレフィーヤは疑うが、そんなはずはない。
ならどうして────
『行け、『怪人兵』共』
レフィーヤの困惑を断つように告げられる怪人の勅命。
怪人の言葉と共に鳴り響く『光の共鳴音』に新たに食人花に乗ってきた六体と合わせた八体の『怪人兵』がLv.4相当の身体能力を遺憾無く発揮して疾走を始める。
その狙いは言うまでもなくレフィーヤであり、フィルヴィス。
ただでさえ個々が自身と同じ階位の『怪人兵』の連携に常ならば技と駆け引きで以っていかようにも対応できるはずのフィルヴィスは怪人の存在に縛られるようにその反応を遅らせる。
「ぐ············っ!!」
「フィルヴィスさん!!」
それでも純正のLv.4としての意地を見せるように八対一の檻の中でフィルヴィスは食らいつく。
短剣を振り回し、雷鳴を行使して立ち回りながら食人花に群がられるレフィーヤの援護も忘れない。
だがその奮戦も虚しく徐々に追い詰められていく。八対一という数の優位に加えて怪人の言葉に縛られた動きはまるで機械仕掛けの人形のように精細を欠く。
そしてついに────
「────か、は」
ドゴォッ!!と鈍い音を立ててレフィーヤが吹き飛ぶ。Lv.4と怪物の檻にLv.3の身で抗ったレフィーヤだがフィルヴィスの援護を失って食人花と『怪人兵』に
同時に攻められてはひとたまりもない。深手には届かないが臓腑を叩く衝撃の丈に肺の空気が吐き出され、目に火花が散る。
それでも杖だけは手放さずに済んだものの仰向けに転がったレフィーヤに八つのLv.4は食らいつかんと殺到する。
「レフィーヤ、駄目だっ、【一掃せよ、破邪の聖杖───ディオ・テュルソス─『茶番だな』──】っっ」
八の殺意に斬り裂かれんとする同胞の姿にそれだけはとフィルヴィスが絶叫、窮地に動きに精彩を取り戻して反射のように超短文詠唱の砲撃で以って『怪人兵』を薙ぎ払うが、そこまで。
幽鬼のようにフィルヴィスに肉薄した怪人の手が後ろからフィルヴィスの白い首を掴む。
万全であればあるいは振り払えたかもしれないがここまでの連戦に次ぐ連戦、意識の散漫、そして怪人の人外の膂力。
メタルグローブの爪に掴みあげられたフィルヴィスの足が地面から離れ、締め上げられる苦悶の声と共にその口から白い泡が溢れる。
怪人の腕を叩いてもがくフィルヴィスの抵抗などまるで無視して仮面の奥で昏い色を宿す目が覗き込むようにフィルヴィスに向けられる。
『今更、何を藻搔く。憐れもそこまで来ると失笑すら浮かばないぞ』
時が凍る。その情景を倒れ伏しながら見るレフィーヤの全てが緩慢に流れる。
現状を理解できない、その情景を目にしながら痛痒を返すのみで動かない己の四肢が恨めしい。
理解したくないと恐怖で麻痺していた体が震える。まるで足元から這い上がって来るかのように背筋を走る怖気。
駄目だ、やめて、待って、お願いだから、それだけは。
詠唱どころか呼吸すらおぼつかないレフィーヤの口から喘ぐような懇願の声が漏れ出る。
リヴェリア達に眼晶で助けを求める間はない、二人の周りにいる冒険者は全てLv.3以下。
未知を既知へ、非常識を常識へ、困惑を理解へ。
奇しくもここ最近、アルによって刻み込まれた薫陶がレフィーヤに現実を否応なしに理解させた。
「フィルヴィスさっ────」
想起される。これまでのフィルヴィスとの日々が、不器用で、でも優しくて、自らを醜いと汚れていると自嘲するなにより美しい妖精の先達、そして友人の姿が。
巡る巡る巡る。レフィーヤの意思と乖離した諦観がフィルヴィスとの思い出の情景をぐるぐると巡る。
明確にフィルヴィスの生の終わりを告げる光景を目に焼き付けろという残酷な神の啓示のようにレフィーヤの脳裏を這う。
駄目だ、止めろ、止まって、誰か、お願いだから────
『人形遊びも漸く終わりだ』
ぐっ、とメタルグローブに覆われた怪人の片腕に力が籠る。
「止めっッ─────」
手を伸ばす。届かぬとわかっていながらフィルヴィスに向けてレフィーヤは手を伸ばす。
そして────
ゴギリッ、と冒険者の耐久力を容易く超越する音を立てて呆気なくフィルヴィスの首がへし折れる。
最後までもがいた手から力が抜け、だらりと垂れ下がる。
壊れた人形のように、フィルヴィスの体に崩れ落ちる。レフィーヤはただ呆然とそれを見る事しかできない。
闇派閥に殺されたと思われる仲間たちと同じ死に様を晒す団長の姿に【ディオニュソス・ファミリア】の団員達は時が凍ったかのように固まる。
「ぁ」
レフィーヤの口から絶望に満ちた声がぽつりと溢れる。
脳裏を巡った記憶の全てが黒く塗りつぶされて、現実を認識することを本能が拒絶する。
黒い沼にゆっくりと沈んでいくように意識が明滅していく。その最中でレフィーヤの目に映ったのは怪人と視線が合うフィルヴィスの姿。
艷やかな黒髪に隠れた赤緋の双眸と一瞬だけ目があった。その瞳に宿る光を見て、レフィーヤの脳裏に思い起こされる一つの会話。
『一緒に光冠を見に行きましょう』
『あぁ、全てが終わったら、行こう。約束だ』
この戦いに身を投じる少し前、この戦いが終わったら二人でレフィーヤの故郷であるウィーシェの森の大聖樹の『光冠』を見に行こうと約束した会話。
「あぁ」
なぜそれを思い出したかはレフィーヤ自身にも分からない。ただ、フィルヴィスの涙に濡れた瞳を見て想起してしまった。
そう、約束をした。他愛もない約束。しかし大切な約束だった。その約束をこの残酷な現実が無慈悲に奪っていく。
レフィーヤの悲嘆に目を向けることもなく力を喪って真実、人形となったフィルヴィスの身体をゴミのように放り捨てる。
『餌だ、食人花』
無造作に、まるで壊れた玩具を捨てるようにフィルヴィスの身体を食人花の顎へ放る怪人。
なんの情緒もなく閉じられる食人花の顎に遺体が砕かれる間際────
フィルヴィス・シャリアは最後に笑った。
その涙と血で濡れた顔に似つかわしくない、優しい微笑みをレフィーヤは確かに見た。
「すま·········レ、フィ········」
ぐちゃり、と血華が散る。そして食人花の顎からぼとりと落ちるフィルヴィスの手首だけが今更、鮮血を撒き散らす。
それを皮切りに緩慢だった時の流れが加速する。まるで沼底からゆっくりと引き上げられるように意識が浮上していく。
「ぁ、ああ」
「あ、あ、ああああ」
「ぁあぁあああああっっ!!」
言葉にならない慟哭がレフィーヤの口から溢れる。堰を切ったように涙が溢れ、視界が白く霞む。
「うぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ─────!?」
フィルヴィス・シャリアは、死んだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
おつかれ。
自分が死んで曇り爆発する瞬間を自分の目で見れるとか最高かよ。
【リーヴ・ユグドラシル】とおまけで【加護精霊】もあげるから代わりに【エインセル】ちょうだい、なんなら【幸運】もつけるよ。
···················すげぇ勢いでこっち来てるヤツいるな。
流石に切り替え早すぎない? エイン。
────────────────────────────────────────────────────────────────────────
【闘争本能】
・自動迎撃
本来は対暗殺用。意識外からの初撃に対応するためだけのもののため技量の反映が遅く、これに委ねている間は技と駆け引きが三年分くらい前のものになる。
自動迎撃「おっと危ねえ、反応してなかった一撃防いだよ!!ちょ、早く自分で対処してよ、いつまで私が迎撃すんの!?」
白髪「そりゃ自殺はしないけどさ、そもそもこっちは戦う気ないんだよ」
・バフ面
自動迎撃解除した上で逆境なら基本アビリティと発展アビリティにそれなりの補正が入る。
内容変更について多くの方にご理解の方いただきましてありがとうございます。
あともう少し間を置いた上で どうするか決定させていただきます。
いただいた低評価等については辛いですが仕方のないことだと思いますのでできるだけモチベーションを崩さないよう受け止めさせていただきます。
皆さんに楽しんでいただけるようこれからもできるだけ早いペースで更新を続けさせていただくのでので今後ともよろしくお願いいたします。