皆の傷になって死にたい転生者がベルの兄で才禍の怪物なのは間違っている 作:マタタビネガー
すまぬ
正午からダンまち重大告知らしいので
二次侵攻における『部隊』の数は倒すべき『精霊の分身』の数と同じ六部隊。
第一部隊、『勇者』『凶狼』『象神の杖』、その他Lv.4の第二級冒険者。
第二部隊、『九魔姫』『赤戦の豹』、その他エルフを中心とした第二級、第三級冒険者。
第三部隊、『重傑』『単眼の巨師』、その他ドワーフを中心とした第二級、第三級冒険者。
第四部隊、『怒蛇』『大切断』、その他第二級、第三級冒険者。
第五部隊、『剣姫』『千の妖精』『超凡夫』『貴猫』その他第二級、第三級冒険者。
第六部隊、『異端児』約30体。
それぞれが独立して行動し、他部隊と通信ができる愚者謹製の魔道具『眼晶』を各々所持している。
冒険者と『異端児』合わせて300名弱の部隊。それが、二次侵攻においてオラリオが用意したよりすぐりの戦力。
人造迷宮のマッピングの為に質より量の編成であった一次侵攻とは違い、質に重点を置いた編成となっている。
「(僕達が討つべき『
そのうちの一つであり三名の第一級冒険者を擁する第一部隊の指揮を執るフィンは目標へと進みながら内心でそう独りごちる。
クノッソスに踏み込んだ段階で凄まじい震動と轟音が地を揺らし、悍ましさが消えた代わりにより純度を増した緑肉に覆われた通路に気を配れないほどの緊張が冒険者達の間で張り詰めている。
『
六体いる『
ダンジョンを覆うバベルへの最短ルートを外れて『
フィン、と言うよりもフェルズとウラノスの予測ではバベルどころかオラリオそのもの吹き飛ばす爆弾と成りうる、『
『
どちらも同じ『
ダンジョンの尖兵である『
神を殺す漆黒である『
オリジナルのバロールと七年前の『大最悪』の強さとこれまでの『
ならば同士討ちしてもらい、『
もともとは18階層のあたりで戦う予定だったが離れた戦線を一つ増やすよりはこちらの方がずっといいだろう。
できれば戦わずしてそれで六円環の歌が途切れ、儀式が破断すればいいのだがウラノスの私見では多少の遅延は見込めるだろうが他の分身に影響が引き継がれて最後の一体が倒されるまでは術式は維持されるだろうとのことだ。
むしろ、そうでなければ『
『
故にフィン達、第一部隊が10階層の広間に到着するタイミングとしては『
そのために調整を重ねてのこの突入だ。
最も多くの第一級冒険者を擁する第一部隊の人数は六部隊の中で最も少なく、最も質が高い。
少数精鋭。広範囲の精霊魔法を連発してくるであろう『
「─────なんだ、この熱気は」
これと言った障害もなく10階層までたどり着いた一行を迎え入れたのはより濃密な魔素と茹だるような熱量だった。
火片すら燻らせる熱気に第一部隊の面々が顔を顰め、シャクティは思わずと言った様子で呟く。
通路を覆う緑肉の膜もその熱気によって乾燥してひび割れているところを見るにこの熱気の原因は『穢れた精霊』ではなく『
火口のような熱気に包まれた通へ第一部隊が歩を進める。
誰もが困惑と緊張を顔に浮かべる中、二人のLv.6だけはこの熱気に覚えがあるようなそんな顔をしていた。
「おい、フィン。この感じは··········」
苦虫を噛みしめるかのようなベートの視線の時には通路の途中に不自然に空いた縦穴が今も煙を上げていた。
その縦穴の淵には溶けた超硬金属がへばりついており、それはその穴を作ったであろう熱によって赤熱して輝いている。
「あぁ、下からの階層無視の砲撃にこの熱気、まるで『竜の壺』だ」
10階層というダンジョンでいうところの上層であり、地上からもほど近い層域がここから40階層分以上も深い深層と同じ環境になりつつあるという危惧に第一部隊の面々に緊張が走る。
このまま『
「·················急ぐぞ」
すでに計算に計算を重ねてちょうどいいタイミングで現着できると分かっているフィンをして、この戦いに敗れれば地上の全てがこの地獄と化しかねないという確信にその歩を必要以上に急がせる。
その歩を後押しするように、あるいは警告するかのように、通路の向こうから凄まじい熱と衝撃がフィン達の肌を殴りつける。
「「──────っ!?」」
そして───。
『穢れた精霊』の領域となったクノッソスが冒険者と『
「─────魔法円?」
通路を覆う緑肉が光を発し、するとそれに合わせて宙に円が描かれる。
炎、氷、雷、土、光、闇。
それぞれが全くもって別種の魔力光を放つ魔法円が通路を覆うように展開される。
壁や天井、宙空そのものを砲門とした魔法円に装填される輝きはその一つ一つが必殺の威力を秘めた魔法の矢弾。
そしてそれはフィン達がその魔法円に危機感を抱くと同時に発動する。
六種多数の砲門から放たれるのはまさしく必殺の威力を秘めたそれぞれの属性の砲撃。
一つの空間で発動するには過剰が過ぎる威力の魔法攻撃の発射の豪雨がたった数十名の冒険者達を襲った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
冒険者達の中で独立行動を許され、六つの部隊のいずれにも属さない特大戦力は二つある。
片や雪辱を果たすことを誓う『猛者』。片や────。
幾重にも重なる衝撃と魔力の波動に震える人造迷宮。
脈打つかのように蠢動し、腐臭を漂わせる緑肉の肉絨毯に覆われた空間、死臭とも腐臭ともとれる悪臭に満ちた生理的嫌悪感を覚える異界。
黄緑の肉壁の中で咲く赤紫の花弁からは、粘性のある蜜のような液体が流れ落ちている。それはまるで花の香りに誘われた昆虫たちを捕食する食虫植物を彷彿とさせる姿だった。
意思を持っているかのように胎動する無数の触手の先端には、吸盤にも似たイボ状の器官がついている。粘液で濡れ光るそれらは、獲物を求めるようにゆらゆらと揺れている。
肉を引き裂く水っぽい生々しい音が響くたびに、粘液まみれの触手が激しく波打ち、花びらが妖しく明滅する。そして再び聞こえる、何かを引き摺るような湿った音。
だが、その異様極まる光景も十層に踏み込むとその様相をがらりと変える。
床壁が緑肉に覆われているのは変わらないが無秩序にぶよぶよとした表面ではなく、滑らかな平面へと変わり、淡い輝きを放つ回路のようなラインが奔っている。
魔窟というよりも神殿や廟といった趣きすら感じられるどこか神秘的な風景であり、どこから微かに歌うような詠唱が延々と聞こえてくる。
そんな異質な空間の中を一つの人影が進み行く。
一切の光を吸収する黒一色の衣をまとい、目深にかぶったフードで顔さえ隠しているため、体格や年齢はおろか種族さえ定かではない。
するすると地面に影を残すような独特な歩法。大抵の眷属では追いすがることもできない疾走にも関わらず足音どころか衣擦れの音すら発さず、気配すらも希薄な人影。
「さて、『穢れた精霊』に感づかれる前に済ませないとな」
人影─────アルは周囲の様子を探りながら手のひらサイズのランプのような魔道具を肉畳を奔る精霊の魔法円のラインに合わせて次々と設置していく。
『身体透過』
『臭気遮断』
『音響断絶』
『感覚阻害』
『周辺探知』
『魔力閉鎖』
『空気操作』
フェルズ謹製の魔道具を改悪、改良した魔道具を駆使することで『穢れた精霊』の感知から逃れ、【セクメト・ファミリア】に伝わる隠密技法や極東の忍が使う隠行などを組み合わせた独自の歩法によって食人花などによる物理的な知覚からも抜けて誰にも悟られることなく魔窟と化した人造迷宮を踏破しながら魔道具を設置して回る。
第一侵攻の際にリド達に撒かせたモノと同質の使い捨ての炉。
今後の戦いが予定通りに進むのであれば不要な備え。
エニュオ及びエインがアルの想定を完全に上回り対処不可能となった際に起爆させ、自らの大願を諦める代わりに自陣以外の全てを吹き飛ばす対精霊に特化した切り札。
一次侵攻の際とは違い、祭壇の起動から時間が経ち『穢れた精霊』の魔力に統制が取れている今の人造迷宮では前回ほどの規模での祭儀は難しいかもしれないが自死と引き換えに【枝の破滅】による代償火力を最大にまで引き上げれば同等の結果を生むことは可能だろう。
自死はアルの本懐でこそないが、今回の戦いにおいては次善の妥協案としては十分だ。
逆に戦いが予定通りに進むのであれば人造迷宮内の魔力を乱すための爆弾として運用する。
前回の侵攻において緑肉の氾濫を焼き切った大祭儀【
侵攻が進み、全ての『
正直、これ以上アルにできる下準備はもうない。
できる限り犠牲となる者が出ないように手は回してきたが流石にエインとの戦いが始まってしまえばそれにかかりきりになってしまうだろう。
元々はこの戦いにたどり着く前に大願を果たすつもりであったのだ。万が一、機を逃し続けてしまったことを考えて準備してきた数々の備えもあくまで アルが知る知識に拠るもの。
その成長を間近で見てきたエインはともかくとしてアルの知識にはない『
アル自身がただ戦って勝つだけならば相性もあって十中八九勝てるだろうがエインの相手をする以上、アルが戦うことはできない。
戦力が足らないことは重々承知しているがそこはオッタルとフィンに果たしてもらわなくてはならない。
最悪、突出したその二体とおそらくはいるであろう『
無論、最善はオッタルが『
そう思案を巡らせながらこれまでの侵攻で概ね掴んだ人造迷宮の構造とオラリオの地形を照らし合わせて辺り一帯での魔道具の設置を完了させる。
「そろそろエインのとこ、行くか」
さて、状況を整理しておこう。
エニュオ側の戦力は儀式の柱である『
そして、おそらくは前人未到の階梯に至っているであろうエイン。
···············エニュオくん、マジ過ぎない?
いや、【直感】的に戦力が足らなくなるかも、とは予期してたけどいくらなんでも過剰が過ぎない?
単純な戦力で言えばオラリオを四回ぐらい滅ぼせそうじゃねーか。
流石に俺もエイン以外にそんな意識は割けないからオッタル達にやってもらうしかないんだがちょっと、うーん。
·················原作にいないし、もしかしなくても俺のせいかな?
単体では取るにたらないけどエイン相手にしてる時に片手間でどうにかできる相手じゃないし、明らか俺を意識して対策してきたよなぁ。
戦力を揃えてくれるのは大変ありがたいんだが俺の手の届かないところで暴れられても困るんだよね。
エインはともかく『
こちらの勝利条件は死者なく敵戦力を殲滅すること、あちらの勝利条件は俺、フィン、オッタルのいずれかを落とすこと。
『
となると、それまでは適当に流してベル達の戦いが終わったのを見届けた上でエインとの決着か。
まぁ、楽に勝つってだけなら地上にいるうちに酒カス送還させれば良いだけだったんだがアイツが消えたあと制御失ったエインとかがどう動くかイマイチ読めなかったからなあ。
幸い、『眼晶』のおかげで意図的に塞がなければ互いの様子は筒抜けだ。戦いの動きはリアルタイムで把握できるし、こちらの様子もいかようにも伝えれる。
遠隔とはいえオーディエンスには事欠かない。
戦いの趨勢さえ決まってしまえば後は憂いなくエインに殺されられる。
てか、フィン達も死闘中に俺の戦いを注視できないだろうからどのみち俺以外の戦いが一段落ついた後にするべきだしな。
····································後はなるべくアミッドから直線距離離れたところまで誘導した上で、だな。
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エニュオ「これだけやったんだから後はもうどうにでもなれー」
アル「まぁ、何が怖いって結局はアミッドが一番怖えけどな」
相性的には
オッタルはベヒーモスよりエインに、アルはエインよりベヒーモスに強いです(耐性獲得済みの毒、一応は精霊の分身、漆黒のモンスター?)。
【時を渡る道化師】
アストレアアル「あ?原作主人公サマが俺の曇らせ邪魔すんじゃねーよ」→一悶着→超前方兄貴面(歳下)「どけ!!!俺はお兄ちゃんだぞ!!!」
輝夜「」
精神限界ベルを前にして半分闇モンペモードに入る模様。