皆の傷になって死にたい転生者がベルの兄で才禍の怪物なのは間違っている   作:マタタビネガー

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帰宅途中、逆方向の電車乗っちゃって戻らなきゃと思いながらまた逆方向の乗ってしまった。····疲れてるのかなあ。

投稿途切れてしまってすみません、ちょっとしたスランプ入ってました。

⚠今回、試験的にAI挿絵を入れましたが脳内イメージを壊したくない、という方はノータッチでお願いします(人物ではなく背景です)





六十四話 ヘルメスの表に出たら困る悪事をネタにアスフィを脅······お願いして以下略

「助けて、くださいっ」

 

「私、悪い人たちに売られて、このままじゃ·····」

 

「おねがいします、何でもしますから」

 

「たすけて·······」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カジノにはスリリングな賭け事が好きな上級冒険者や商人が集まって来る。有力派閥の神々やオラリオ内外から金に糸目をつけない連中が集うのだ。

 

そんな都市外から来る富豪達になにかあってしまえばそれはカジノに留まらずオラリオそのものの権威に関わることになるだろう。

 

それを恐れる外聞と己の地位に固執するギルド長の働きかけもあってカジノには警備として高レベルの冒険者が常時滞在している。

 

中でも都市の憲兵と呼ばれる【ガネーシャ・ファミリア】は都市内で起こったトラブルを解決するオラリオでも選りすぐりの精鋭ファミリアだ。

 

都市で最も多く第一級冒険者を有する大派閥でもある。中でもオラリオでも指折りの実力を誇る団長のシャクティ・ヴァルマと戦闘になればアルとて素手では無力化するのに数秒かかるかもしれない。

 

そんな精鋭を配備している以上、ギルド上層部がこのカジノにどれだけの苦心を払っているのかわかるというものだ。

 

太陽が落ち、夜の帳に包まれたオラリオの街に灯された無数の明かりによって夜景が煌めく。

 

中央区画にも色とりどりの魔石灯が並び、街路樹のように等間隔で並べられている。その下では着飾った男女や冒険明けの冒険者達が楽しげに行き交っていた。

 

酒場からは酔っ払い達の歌声が響き、歓楽街の娼館から漏れ出る妖艶な香りが鼻腔をくすぐる。

 

何よりも賑やかなのはダンジョンでの冒険から帰ってきた冒険者達が集まる飯屋の軒先だった。そこに併設されている酒屋から漂うエールの匂いにつられて、今日の稼ぎを手にして上機嫌になった冒険者達が次々と吸い込まれていく。

 

戦いの興奮と恐怖を酒で洗い流し、明日への活力に変えようとする声が至る所で飛び交っている。

 

互いを讃え合い、労い合う光景はまさに冒険者の宴だ。吟遊詩人達が奏でる陽気な歌に釣られた観客達も集まり出し、一層賑わいを増していた。

 

神々や眷族達は思い思いに食事をとりながら談笑し、今日一日の出来事を語り合っている。

 

一日の労働を終えた職人や労働者達の姿もある。彼らもまた仕事終わりの一杯を求めて足早に飲み屋に向かっていく。

 

そしてところ変わってオラリオ南部の歓楽街。その一角に位置取るカジノ区域のエルドラド・リゾート。オラリオ外の複数の国が出店している様々なカジノの中でも五本の指に入るほどの大規模店であり、大富豪達も多く訪れる場所だ。

 

そこで働く従業員は全員最高クラスの教育を施されており、客に対して失礼の無いよう徹底されている。

 

南国のサバンナを模した外装には熱帯特有の植物や異国情緒に溢れた鮮やかな花々が植えられている。

 

カジノ区域の入り口である門には石像が鎮座しており、そこから続く大通りの左右には色とりどりの花が咲き乱れている。

 

道行く人々は皆一様に豪奢な衣服に身を包み、中には獣人などの亜人種もいる。そのいずれもが財界や冒険者界隈で一廉の人物として知られている金持ちだ。

 

不夜城のように輝く街には夜会服姿の男神や女神が行き交い、その誰もが豪華な衣装に負けぬほどに美しい容姿をしている。

 

警備を担当する冒険者が油断なく視線を配らせているが、その警戒も必要無い程に治安が良いのはこのカジノの特色でもあった。

 

こんな場で暴れれば即刻逮捕されることはなくとも、途端にその後の都市内外での立場が危うくなる。

 

世界中の大富豪達が集まるがゆえにならず者の盗賊が侵入を試みたこともあったが【ガネーシャ・ファミリア】の第一級冒険者を筆頭とした凄腕の警備たちを抜けられるはずも無かった。

 

それでも万が一に備えてなのか、魔石製品によるアラームや警報装置などがいくつも設置されている。

 

迷宮都市オラリオでしか生産できない質の高い魔石製品を喧伝するかのようにあちこちに設置されているのだ。上質な魔石製品は値段も高いが、それだけの価値がある品物ばかりである。

 

そんなカジノ区域の更に奥。厳重な警備が施されたカジノの奥にある建物こそがエルドラド・リゾート最大の目玉施設にしてオラリオ随一の賭博場であった。

 

夜の闇を塗りつぶす程にきらびやかな様々な色の魔石灯が照らす中、カジノ内の最奥に位置する巨大なドーム状の建造物。

 

オラリオとは別世界のようなきらびやかな雰囲気に包まれたその場所で、今宵もまた多くの富を得たもの、失ったものが最後の勝負に挑むべく集まっていた。

 

その付近の門、巨大市壁の南門が開け放たれている。市壁の外からは絢爛豪華に装飾された馬車が列をなして入ってきていた。オラリオ外の大富豪や名士、貴族などの有力者達が南のメインストリートを通ってこのリゾートにやってきたのだ。

 

馬車から降りてくる老若男女のヒューマンや亜人たちはいずれもが目を見張るほどに上質な衣服を身に着け、贅の限りを尽くした宝石や貴金属を身に付けている。

 

異国の名士や果ては一国を代表する王族の末席に名を連ねる者までいる。経済効果や都市の喧伝を推し進めようとするギルド長の意向もあって彼らはオラリオ外でも屈指の富豪達だ。

 

続々と南門ヘ馬車が入り込んでくる。門衛のエルフが検問を行い、問題なければそのまま通される。

 

そんな中、都市外から続く馬車の列に一台の馬車が近づいてきた。それは白と金の見事な意匠が刻まれた大型の二頭立ての箱馬車だ。

 

自然に富豪達の列に加わって進み始めたその馬車が歓楽街へと入っていく。門を潜ってからも速度を落とすことなく進み続け、カジノ区域に到着するとゆっくりと停車して扉が開かれた。

 

その中から最初に現れたのは切れ長の目で周囲を見回しながら馬車の外に降り立つアマゾネスの美女だった。黒を基調とした露出の多いドレスを纏った褐色の肌。

 

豊かな胸元が大胆に開かれており、妖艶な雰囲気を醸し出している。腰から下はスカートではなくスリットが深く入っているため太腿の半ばから下が見え隠れしていた。

 

肩までの長い砂色の髪は結い上げられ、その顔立ちは口元をフェイスベールで隠されていてもわかるほどに端麗だ。

 

次いで出てきたのは()()の髪の青年だ。黒いタキシードと白いシャツを着用した端麗な容姿の美男子だ。気品のある所作で地面に降り立った彼は周囲を見回すと感心したように息をつく。

 

周囲の貴婦人達がしばし時を忘れて魅入ってしまう程の美貌を持った青年────アスフィに急造させた魔道具を用いて変装しているアルとこちらは変装せずに服だけ上質なものに変えたベルだった。

 

最後に姿を現したのはおどおどした様子の美女だ。ドレスの上からでも分かる豊満な身体つきをした彼女は、緊張に顔を青ざめさせている。

 

長髪の垂れ目の女性は怯えたような表情を浮かべながら周囲をキョロキョロと見渡しており、時折不安そうにアルに声をかけている。

 

ここに来る途中、アルがちょうど会ったので連れてきた元【アポロン・ファミリア】のカサンドラ・イリオンである。

 

演技できそうにないベルはオラリオに来てから知り合った冒険者、バーチェは護衛、上級冒険者だが顔の売れていないカサンドラはパートナーという設定でここに来ていた。

 

「す、すごいところですね·····!!」

 

「前にアポロン様に連れられて来たことありましたけど、いつ来ても·····」

 

 ベルは初めて目にする煌びやかな世界に目を輝かせ、カサンドラは気後れしているのかその横で呆

然と呟く。

 

色とりどりの魔石灯によって照らされた煌びやかな風景。普段、オラリオでは目にすることのない豪華な光景に二人は圧倒されていた。

 

「───!!、─────?!」

 

 特に戦いしか娯楽のない石と血の孤島テルスキュラからロクに出たことのないバーチェは初めて見る彩り鮮やかな街並み、そしてそこに集う人々の多さに目を奪われていた。

 

普段は無愛想な彼女も流石に驚きを隠せないようで、キョロキョロと周囲を見渡しながら言葉にならない声を上げて初めて見る未知の世界に見惚れていた。

 

「それで·····その、アンナさんって人はどこに?」

 

「『エルドラド・リゾート』······あの建物だな」

 

 小さな声音で尋ねるベルに、アルはカジノ区画の最奥にある巨大な建造物を指し示す。

 

区画の中でも一際目立つ巨大な建物。建物の周囲はぐるりと円形に塀が囲っており、建物内部へ通じる門は開け放たれていた。

 

精巧な装飾が施された門の向こうには、夜闇を塗り潰すほどの魔石灯の光を受けて輝く絢爛な宮殿のような建物が鎮座していた。

 

金色の外壁。無数の魔石灯が備え付けられた塔のような建物の周囲には噴水が設置され、中央に鎮座する建物はまるで神殿のようにも見える。

その外観だけでも、この施設の大きさが窺えた。

 

その建物に金糸や銀糸をふんだんに使ったドレスやタキシードに身を包んだ人々が吸い込まれるようにして入っていく。そんな彼らを出迎えるのはこれまた高級そうな燕尾服を着た従業員達だ。

 

アル達もそれに続くように門の中へと足を踏み入れる。

 

「(早く終わらせて帰ろ···········)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────グランカジノ

 

オラリオ南部の歓楽街の一角に位置する巨大娯楽施設。その最大施設であるカジノの名前である。

 

オラリオの名産および外貨収入源といえばダンジョンから無尽蔵に得れる魔石によって作られた魔石製品だが、それとは別にもう一つの大きな産業が存在する。

 

それがカジノ事業だ。かつて、ダンジョンの大穴を塞ぐ蓋として作られ、ダンジョンに挑む冒険者とその主神が集うオラリオには、莫大な富と膨大な金が動く。

 

鍛冶、飲食、医療、商業など様々な分野がどんな大国よりも栄えるこの大都市オラリオにおいてもけして欠かせない要素の一つが『娯楽』なのだ。

 

日々の糧を得る為に命懸けでモンスターと相対する冒険者にとって、退屈を嫌う娯楽好きな神々にとって、そのどちらもが欠かすことのできないもの。

 

当時のギルドは賭博、演劇、色事、芸術、遊戯、音楽など彼らの要望に応えるためにありとあらゆるものを内包した娯楽区画をオラリオに作り出すことを決定した。

 

娯楽都市サントリオ・ベガなどが招致に名乗りを上げたものの、当時オラリオが抱えていた問題はあまりに多すぎた。

 

オラリオの周辺には数多くの国々があり、それぞれが異なる文化を持つ国同士。それぞれの国からやってくる娯楽の種も豊富だ。

 

それら全てをあくまでも冒険者の都であるオラリオ全体に網羅するのは現実的ではないと判断した当時のギルドによってある種の外付け区画として作られたのがグランカジノというわけである。

 

他にも大劇場などの娯楽施設が作られているが、このグランカジノは他の追随を許さない規模を誇っている。

 

産み出す利益は魔石産業にすら匹敵し、現在進行形で増え続けている。もはや、ギルドすら無視できない存在にまで成長している。

 

そんな巨大な利権と力を手にしたカジノの運営を牛耳る支配人こそがテリーと呼ばれる悪徳商人だった。

 

彼の運営するカジノは合法的な賭けごと以外にも非合法な取引で得た裏資金で運営されている。表向きは合法的に運営しているように見えるが、その実、その実態は完全に真っ黒だ。

 

その莫大な富と権力により、治外法権の領域まで踏み込んだグランカジノの闇を知る者はごく一部の人間だけだ。

 

「その、グラン・カジノの招聘券、か」

 

「せやせや、ウチが貰ったんやけど賭け事はリヴェリアママに止められとってなあ。捨てるのもアレやし、アルにあげるわ」

 

 昼間からホームの一室でアルが作った肴で酒を呑む駄女神の手には華美な意匠の施された招聘券が握られていた。それを無造作に放り投げてよこすロキにアルは眉根を寄せた。

 

大賭博場の最奥、各国の限られた大富豪しか入れぬVIP室。確かに都市最大派閥である【ロキ・ファミリア】はオラリオにおいて他国の王族よりも強い影響力を持っているが、それでもそう簡単に招待状が貰えるような代物でもない。

 

そんなカジノの入場チケットが目の前に転がっている。ギャンブラーでなくとも思わず手に取りたくなってしまうだろう。

 

「いや、俺も賭け事は、な。他の奴らにやれよ」

 

「そないいってもみーんなダンジョンに潜っとるからなぁ。リヴェリアママやフィンは残っとるけど『例の入口』探しに頭使っとるし、幹部でフリーなんはアルだけや」

 

 かと言って幹部ではない一団員にあげるのは角が立つ。その点、アルであれば不満は出ないだろう。

 

「最近、戦いっぱなしやったろ? Lv8記念も兼ねてパーッと羽伸ばしい」

 

 

 

 

 

 

 

いや、いらないです。

 

賭け事とか、絶対勝てるから面白くないんだよな。アイツらについてってダンジョンいきゃ良かったかな。

 

まあ、いいやせっかくだし行ってくるか······。

 

 

『助けて、くださいっ』

 

『私、悪い人たちに売られて、このままじゃ·····』

 

『おねがいします、何でもしますから』

 

『たすけて·······』

 

 ······何でも? え、じゃあ俺死んだら絶対曇れよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルは招聘券を受け取ったのか」

 

「たまには羽伸ばさんとな、リヴェリア。············最近ピリピリしとるからな、アル」

 

「········やはり、59階層と教会の件か」

 

 気づいていない者のほうが多いが、リヴェリアとロキはここ最近のアルが昔のような目をしていることに気がついていた。

 

「59階層でのことはむしろ話聞く限り、これ以上ない活躍やったようやけどなあ·······」

 

 教会に関しては言わずもがなであり、アルに非はない。59階層のことはレヴィスによって死にかけ、全滅しかねなかったことを気にしているのだろうと二人は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘルメスを強請って新しく入場券ゲットしたけど·····何人か誘えるのか、ならカモフラージュにベルでも誘うかな。

 

あ、カサンドラじゃん。どうした?枕がない?あー、多分、【ヘスティア・ファミリア】のホームにでもあんじゃないか。丁度いい、ベルとカジノ行くつもりなんだけどお前も来る?

 

 

 

「あ、兄さん!! ヴェルフと一緒にバーチェさんに鍛えてもらってたんです」

 

「······アル」

 

「なんでいるんだ········まあいい。バーチェ、お前も来い」

 

 

 

 

 

 

 

「すごいなぁ······」

 

 扉を潜り抜けたベルが感嘆の声を上げる。広大な空間。煌びやかなシャンデリアの光が室内を照らし、内装は豪奢かつ繊細に仕上げられており、各テーブルごとに置かれた調度品の数々はどれも一級品の芸術品ばかりだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

大理石で作られた床の上に敷かれた赤い絨毯は毛並みが良く、ふかふかとした感触を靴越しに伝えてくる。ベルの背後で同じく中に入ったカサンドラが緊張した面持ちで周囲を見回している。

 

バーチェに至っては未知の世界を前にキャパオーバーしたのか、一周まわって戦士の顔になっている。

 

シャンデリアの光に照らされる場内はまるで異世界に来たかのような錯覚さえ覚える。

 

アル達が入ったカジノの入場ゲートの正面には巨大なルーレット台が設置され、周囲にはディーラー達がそれぞれの席に着いてチップを受け取っていた。

 

その他にもポーカー、ブラックジャック、バカラなどの卓ゲームが並び、どこを見ても人だらけだった。

 

客層も老若男女問わずで、中にはエルフやドワーフなどの亜人の姿まで見受けられる。オラリオではまず見ない光景にベルは感動すら覚えてしまう。

 

一枚一枚が一般市民の月収に匹敵するような高額な賭札が無造作に山積みされていることからこの場にいる者達がどれ程の資産を持っているかが窺える。

 

湯水の如く消えていく金銭の嵐。それを目の当たりにしてベルはごくりと喉を鳴らす。

 

亜人の富豪達や冒険者らしき姿もちらほらと見える。皆、思い思いの場所で遊戯に興じているようだ。

 

「兄さんはこういうの、慣れているの?」

 

「ロキの付き添いで何度か、好きじゃあないけどな」

 

 ·······実のところ、アルは前日にもここへ足を運んでいた。

 

適当に冷やかして帰るつもりだったがVIP室の近くで静かに泣いている娘────アンナと偶然会い、助けを求められたのだ。

 

当然、アルであればその場で救出することは容易かったが、力任せにやれば【ロキ・ファミリア】に迷惑がかかるだろうと考え、変装した上で『正攻法』で救出することにしたのだ。

 

「それで。どうやってその、アンナさんを助けるんですか?」

 

 煌びやかな空気が合わないのかベル以上に気後れしているカサンドラだが、【アポロン・ファミリア】時代になれているのかどうにか体面を崩さないでいる。

 

「まずは人の目を集めるとこからだな」

 

 ロキから渡された招聘券であれば面倒なことをしなくてもアンナがいるであろうVIP室まで入れるがその招聘券は【ロキ・ファミリア】に対して渡されたものなのだ。変装している今、それは使えない。

 

今、リゾートに入るために使ったのはアルが新しくヘルメスを強請って用意させたものだ。

 

VIP室に正攻法で入るにはカジノ側が自らの懐に招いてくれるまで気前の良い客として振る舞わなければならない。

 

「えーと、つまり······お金を沢山使うってことですか?」

 

「まあな、当然、こんなとこに無駄に金を落としたくない。簡単なのは、賭博に勝ち続けることだ」

  

 金回りが良い客には目が集まる、それが新顔ならば尚更。アル達はカジノ側にとって上玉のカモとなる必要がある。

 

高額なサービスなどを率先して受けていけば自然とVIPルームに通される。そこでアンナを助け出す算段である。

 

「か、簡単ってむしろ難しいんじゃあ······」

  

 賭け事というものは基本、店側が最終的には勝つようにできている。そうでなくては損をするばかりだからだ。無論、客がつくように適度に勝たせはするだろうがそんな過剰に勝てるわけがない。

 

───────それは、プレイヤーがアルでなければ、だが。

 

「心配するな、俺は賭け事で負けたことがない」

 

 

 

 

 

『先程から勝ち続けているあの方はどなたでしょう?』

 

『はて、存じ上げませんな』

 

『どうやら、かの海国の王族に連なる方だとか····』

 

 流石に全戦全勝では悪い意味で目立ってしまうので抑えたが、それでも短時間で莫大な金額を稼いでいるアルに周囲から視線が集まってくる。

 

さりげなくカサンドラの手を引いて注目を集めながら、ベル達を連れてルーレット台へ向かって赤の18に全額。

 

ボールが転がった結果、狙い通りの数字で止まる。一瞬、周囲の喧騒が増したかと思うとすぐに静寂に包まれる。

 

ディーラーが手慣れた様子でボールを戻すとまたもや狙っていた数字に止まった。それからも、アルは順調に賭札を増やしていく。

 

それを見ていた周りの客達からは感嘆の声が上がり、ディーラー達の表情にも余裕が失われ始める。

 

『剣聖』の名は良くも悪くもオラリオ中に知れ渡っている。なにせ、【ゼウス・ファミリア】の域へ達した最強の冒険者なのだ、知らないもののほうが少ない。

 

変装の魔道具に加えて、ヘルメスの表に出たら困る悪事をネタにアスフィを脅······お願いして偽装させた身分は彼女の故郷である海国の貴人ということになっている。

 

アルの思惑通り周囲の視線は彼に釘付けとなり、徐々に注目が集まり始めた。

 

そして、カジノ側の注目も集めたのかしばらくしてアル達はVIPルームへと案内されることとなった。

 




誰か、改定前のをpdfにしてた人いないかな

『バーチェ・カリフ』
自己主張控えめなアマゾネスということでアルからの心象は割といい。

『カサンドラ・イリオン』
元【アポロンファミリア】団員。前に【アポロンファミリア】が滅ぼされなかったのは主にカサンドラのおかげ。同系統の力(直感)&原作知識ありのアルとの相性は良かった(予言ではキレたフレイヤがオッタル達に命じてアポロンファミリアを血祭りに上げていた)。初めて原作知識が役に立ったな·······。

『アル・クラネル』
常時強制俺tueeee状態。一人でも曇らせ候補増やそうとチャンスがあれば人助けして好感度上げている。

『アル・クラネル簡易年表』
あくまでも本編で言及したやつに限ります。

(四年前)
・ロキファミリア入団
・vs強化種インファントドラゴンでLv2
・アミッドの世話になる
・リューに弟子入り、付与魔法発現
・vsオッタルでLv3
・アミッドの世話になる
・アポロンに絡まれる、ロキ&フレイヤブチギレ
・カサンドラと知り合う
・vs黒いゴライアスでLv4
・アミッドの世話になる

(三年前)
・フィルヴィスとパーティ
・闇派閥関連でLv5
・アミッドの世話になる(二回ぐらい)

(二年前)
・イシュタルに絡まれ、鼻で笑う
・いろいろあって第三魔法発現、Lv6
・アミッドの世話になる(最低三回)

(一年前)
・異端児と知り合う
・遠征後に異常個体のバロール(Lv.8未満)でLv7
・アミッドの世話になる
・フェルズの世話になる

(今)
・曇らせ失敗
・アミッドの世話になる(今年二回目)
・Lv8
・絶賛やさぐれ中
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