皆の傷になって死にたい転生者がベルの兄で才禍の怪物なのは間違っている 作:マタタビネガー
悪くなって初めて健康の有り難みがわかるってのは、よく聞く話だけど本当だね
死にかけてせっかくの休みを毎週、病院通いに費やすことになる前にみなさんも健康に気をつけてください
あーーーー、百分の一でいいからアルの生命力がほしい
四年前。
日が高くなってきた昼下がり。今日もオラリオは快晴であり、都市内外の商人達はこぞってダンジョンに潜りに来る冒険者達を目当てに商売に精を出している。
商店から聞こえてくる、その店の大小を問わずに張り上げられた声が活気に満ちた街の雰囲気を作り出していた。
商人だけでなく、要塞のような重装備を身に着けたドワーフ、静凛とした魔法衣を纏うエルフ、軽装ながらも金属鎧で身を固めたヒューマン等々……様々な種族の冒険者達が街中を闊歩している。
活気溢れるメインストリートには昼時ということもあってか人通りが多く、特に飲食店や屋台が軒を連ねるエリアでは人がごった返していた。
そんな中で一際大きな喧騒を生み出している店があった。店の外まで薫ってくる香ばしい匂いと店内から漏れ出てくる熱気が食欲を刺激して止まない。
酒場を兼ねた食堂であるその店────【豊穣の女主人】は今日も盛況であった。
─────·······
店内は更に賑やかさを増しており、客層も様々だ。昼間から酒を浴びるように飲んでいる者、テーブルの上で豪勢な食事を楽しんでいる者……そんな光景が店内ではいつものように展開されていた。
様々な種族の可憐なウェイトレス達が「あぁ゛〜忙しいニャ」「猫の手も借りた·····ミャーが猫だったにゃぁ」「くうぅぅ···シルのやつ、帰ってきたらとっちめてやる!!」などと悲鳴を上げながら注文された料理を次々と運んでいく。
厨房の方ではガタイの良い女性店主ミア・グランドが図体に見合わぬ機敏な動きで次々と調理をこなしていく。
おっそろしいドワーフの女主人のもと、凄まじい回転率で料理を作る少女達の姿も見受けられる。ミアと彼女達が作る料理を求めてこの店を訪れる冒険者は後を絶たないのだ。
客層は様々で老若男女は勿論のこと、様々な種族の者たちが性別や種族の垣根なく食事を楽しむ姿が見られた。その中には神の姿もちらほらと見受けられ、他の客同様に美味しそうに舌鼓を打っていた。
中には子供連れの家族もいる。だがどの客も笑顔を浮かべていることからもこの店が居心地が良いことが窺えるだろう。
キィ、と賑やかな店内に木製の扉が開く音が響いた。店内にいた客達の視線がふと入り口に向けられる。そこに立っていたのはこの店の従業員の一人である薄鈍色の少女、そして一人の少年であった。
「今度は逃げられませんからねっ!!観念して食べていってください!」
薄鈍色の少女───シルはにこにことした笑みを顔に浮かべて店内を見回しながら後ろについてくる少年に言う。
よくよく見ればシルの右手は少年の手首をがっしりと掴んでおり、どう見ても逃さないといった様子だ。
「はぁ···」
少年は溜め息を吐くと抵抗する気力すら失ったのか項垂れたままずるずるとシルに引き摺られるように少年は諦めたようにして店内へと入っていく。
「随分、繁盛してるんだな」
ギィ、と開いた扉が閉まる。それにより差し込んできていた逆光が消え、少年の姿が露になった。
その場の全ての視線がどうしてか一瞬にして少年に集中する。しん、とさきほどまでとは打って変わって静まり返った店内。
少年が何をしたわけでもない。少年の荷姿が派手なわけでもなければ、服装だって冒険者としては普通だ。
しかしなぜか誰もが少年を視界に入れた途端に硬直してしまったのだ。そんな店内の様子を見て、シルは不思議そうな表情をして首を傾げる。
まず何よりも目を引くのは美しい銀色に輝く頭髪だ。まるで月光をそのまま紡いだかのような輝きを放つそれは、触れれば壊れてしまうのではないかと思ってしまう程に繊細で神秘的だ。
また瞳も吸い込まれてしまいそうになる程の紅玉のようで、見るものを虜にする魅力を放っている。中性的な容姿も相まって性別を超えた美しさを感じさせる不思議な雰囲気を持つ少年だった。
服装は冒険者としては一般的なものだが、腰に佩いている剣には目を奪われるような鬼気迫る存在感がある。
剣の質自体はけして高いものではない。おそらくは【ヘファイストス・ファミリア】の下級鍛治師の作品だろう。
だがそれでも、鞘に収められたその刀身からはただならぬものを感じさせられた。
その要因は異常なまでに擦り減った握りだろうか。使い古されていることは一目瞭然で、しかし手入れだけは欠かしていないらしく一切汚れはない。
「アルさんの席は······ここですね!」
静まった店内でシルのみが平常運転だった。シルは空いていたテーブルの一つに少年を連れていくとそのまま椅子を引いて座らせる。
アルと呼ばれた少年はされるがままにストン、と椅子に座ってしまったがどこか納得いかない様子であった。
少しずつ賑やかさが店内に戻っていくがそれでも皆チラチラと少年のことを気にしているようだ。
アル・クラネルがいる、それだけで店内の空気が自動的に律される。なにか特別なことをしたわけではない。
ただそこにいるだけなのに自然と目を向けさせられてしまうほどの何かが彼にはある。
それは神々ですら例外ではなく、魅了されたように女神達はその視線を釘付けにしている。男神達も少年に興味深げな視線を送っていた。
カリスマ、とも違う。どちらかといえば魔性の類いに近いだろう。
冒険者、一般人、神々、そのいずれをも区別なく惹きつける少年の存在感は異常だった。
─────背筋が凍るような感覚に囚われ、呼吸をすることすら忘却してしまいそうな強烈な畏怖。
それがクロエ・ロロがこの少年、アル・クラネルに対して抱いた最初の印象であった。
怪物祭やメレンで現れた食人花を闇派閥の残党がダンジョンから地上へ運び出すための搬入口として闇派閥の残党が利用しているであろうダンジョンへの第二の入り口。
ロキは過去二度の事例からオラリオの何処かに必ずあると確信をもっていた。既にオラリオ市壁内の『ダイダロス通り』以外の区画は【ヘルメス・ファミリア】と【ディオニュソス・ファミリア】が探索し尽している。
そして都市外部近郊のメレンになかったことから消去法的に『ダイダロス通り』に存在する可能性が限りなく高いと判断し、今回の捜索対象としたのだ。
オラリオの貧民街であり、複雑怪奇にすぎる広域住宅街『ダイダロス通り』には無許可の違法建築物が立ち並んでおり、迷路のような構造になっている。
千年も昔、次々とオラリオの地に降臨した神々。その始まりであったギルドの創設神ウラノスの眷属にして神才の持ち主『名工』ダイダロス。
今もなお、白亜の様相を保つ摩天楼バベルを建造した工匠。彼の死後も好き勝手な増築を繰り返し、迷宮めいた街並みを形成するに至らしめている。
「相変わらず、すっごいなぁ、ここ〜」
ティオナは目の前に広がる光景に感嘆の声を上げる。ティオナ達第一級冒険者を始めとした【ロキ・ファミリア】の団員達は今、ダイダロス通りに足を踏み入れていた。
賑やかなメインストリートから外界と隔絶されたかのように薄暗い路地裏に入り込むと、そこには道幅が狭く入り組んだ細道が続く。
メインストリートでは行き交う人々の喧騒が絶えなかったが、この狭い道に入れば途端に人の気配を感じなくなる。入っただけで辺りの雰囲気は一変し、薄暗い路地が続く。石造りの家屋が立ち並ぶ様はどこか退廃的だ。
それでいて庶民的な生活感が滲み出ており、そこかしこに住民達の生活する姿が見受けられる。
「ホームで話した通り、ここにうちらが探しとるダンジョンの第二の出入り口があるはずや」
古代の遺跡めいた街並みの中、信憑性の低い地図を広げながら進む一行。あるかもわからないものを探すというのは非常に骨が折れるが、それが見つからないことには何も始まらない。
消去法ではあるが『ダイダロス通り』に存在する可能性が高い以上、探さないわけにもいかないだろう。
「調べるっていっても、どうすんのよ。手がかりなんか何も無いじゃない」
ティオネがぼやくもそも『ダイダロス通り』自体が地上の迷宮と評される程の複雑怪奇さを誇っている。大通りであれば目印になるような建物も多いのだが、一本脇に入ると途端に目印となるものがなくなってしまう。
代わり映えのない灰色の壁と雑多な違法建築が並ぶ景色は、方向感覚を狂わせる。
「地道な聞き込みと、あとはしらみ潰しやな」
確かに後ろ暗いものを隠すのに『ダイダロス通り』は最適と言えるかもしれない。そしてそれは同時に、闇雲に探したところで見つかるものでもないということでもある。
ロキの呟きにえー、と不満げな声をあげるティオナ達。とはいえ他に方法などないのだ。まずは手近なところから探してみるしかない。
オラリオの下民層である『ダイダロス通り』の住民には冒険者くずれのチンピラも多くいるもののそれこそ【ロキ・ファミリア】を始めとした有力派閥の抑止力もあってか、治安は悪くない。
しかし、だからといって安心はできない。ここは怪物蔓延るダンジョンではないが、それでも悪党と呼ばれる人種が潜りやすい環境であることに変わりはないからだ。
遠目からこちらを興味深げに見てくる住民達に害意は感じられないが、念のため警戒しておくに越したことは無い。
「んじゃ、行動に移るで!! 二手に分かれて隅まで探せ! 怪しいもん見つけたらすぐ連絡!!」
細かく分かれると迷子になりかねないため、二班に分かれ行動する。それに予想どおり闇派閥残党の根城が『ダイダロス通り』というのならば探っている途中に強襲にあう可能性も高い。
流石に怪人が地上に出てくるとは考えにくいが、用心することに越したことはない。
戦力分散は避けるべきであり、多少効率が悪くとも戦力を集中させるべきだろう。ロキの指示に従い、第一級冒険者を筆頭に別れた団員達は手分けをしてダイダロス通りの捜索を始めた。
──────···········
探索を始めてから一体何時間たったのだろうか。真上にあった日は下がり、地平線に沈みかけようとしている。
紅に染まった陽の光が複雑怪奇な地上迷宮を照らす中、『ダイダロス通り』は迷宮のように入り組んでおり、既に通った道を戻っていてもわからないほどだ。
そんな中でもティオナは持ち前の勘の良さを発揮して、怪しげな箇所を見つけていく。
その度に他の者は白紙の紙に地図を描き写していく作業を繰り返していた。度々、住民に聞きこみを行い、怪しい人影を見かけなかったかを尋ねたりもした。
しかし────
「全然見つかんなーい!!」
捜索開始から数時間が経過したが、結局成果は得られずじまいだった。途中、怪しげな場所こそあったもののその全てが結局はただの家であったり、違法建築の廃屋であったりと徒労に終わる。
「うっさいっての······」
ティオナの叫びにうんざりした様子でティオネが応える。既に太陽は沈んでしまったのか、先程までの夕焼け空は既に夜闇へと変わりつつあった。
同じ通路をぐるぐる回ってしまったり、袋小路に迷い込んだりと無駄に気力と体力を消耗させられる。
ヒリュテ姉妹とアイズ───三名のLv6の第一級冒険者を除いた他の団員の疲れはその比ではないだろう。誰しもが表情に疲労の色を浮かべている。
「ううぅ、こんなことならアルについてきて貰えばよかったぁ〜!」
「アイツはアイツで団長達と探してるんだから仕方ないでしょ」
「でもぉ〜」
異様なまでに勘の良いアルならば複雑怪奇なこの『ダイダロス通り』の中からでも簡単に、隠された第二の出入り口を見つけることができるのではないかと、ティオナがぼやく。
無数の分かれ道が存在する中でそのどれもが数えきれないほどの分岐点があるこの『ダイダロス通り』において異常とも言える精度を誇るアルの直感は確かに頼りになるだろう。
実際に何度かモンスターや闇派閥の襲撃を事前に察知したこともある。そんな彼の力を借りられればすぐに見つかるのではないか、そう思ったティオナだったが、姉の言う通り、アルはアルで別の班と共に行動しているため、頼ることはできない。
「やっぱり、『ダイダロス通り』は骨が折れますね······。地上の迷宮と呼ばれるだけのことはありますね」
簡素な地図を書き写しながらレフィーヤは嘆息する。だまし絵のような構造をしているダイダロス通りは、地図を描いても描いても、空白が増えていくだけだ。
そもそも、本当にあるのかどうかすら疑わしいのだ。いくら探しても見つからないのではないかという不安感が募っていく。
それでも、皆が黙々と作業を続けてるのはひとえにロキとフィンの判断を信じているが故だろう。
とはいえ、螺旋階段のように複雑な構造をした『ダイダロス通り』で半日を過ごし、既に方角感覚は麻痺しつつある。
その惑乱さはまるで、自分達が本当に迷っているかのような錯覚さえ覚えてしまうほどだった。このまま闇雲に探していては時間ばかりが過ぎていき、以降の探索に差し支える恐れがある。
ダンジョンの遠征とはまた違った疲労感。流石にこれ以上は能率が悪い。
「えっと········どうする? 一度、広場まで戻る?」
アイズの言葉に一同は顔を見合わせる。確かにこのままグダグダと探し続けてもあまり意味はない。
げんなりとした面持ちで地図に目を落とすサポーターの団員や、地図を書く手を止めて肩を落としたエルフの少女達を見て、ティオナは頬を掻いた。
「駄目よ!! 団長の期待に応えるためにも、せめて手がかりの一つくらい見つけなきゃ!!」
そんな中、想い人ににいいところを見せようと張り切るティオネは拳を握って声を荒げた。
しかし、意気込む姉を尻目にティオナは大きく溜息をつく。流石に今回ばかりは賛同しかねるとティオナだけでなく、団員達は揃って首を横に振った。
今回の任務は闇派閥残党の利用しているであろうダンジョン第二の出入口の発見だ。
都市の破壊を目的とする闇派閥残党との戦いは時間との勝負だ。一刻も早く発見しなければ、被害は拡大の一途を辿ることになる。
闇派閥残党の切り札であると思われる『精霊の分身』の育成が終わりきるまでにかたをつけなければならない以上、悠長に構えてはいられない。
もっともティオネにはそんな事情など関係ない。想い人からの期待に応えたいが故に必死なのだ。しかし、彼女の気持ちもわかるが、やはり無謀だとティオナや他の団員達は思う。
「でも、どこにあるかもわからないのに一日二日で見つけられるわけないじゃん······」
意見が割れる中、ぽつりと呟かれたティオナの一言は最早、総意に近いものだった。うーん、と進退窮まる一行は再び大きなため息をついた。
「レフィーヤ!!」
「フィルヴィスさん!!」
頭を悩ませていた時だった。不意に聞き慣れた声に呼ばれたレフィーヤは同時に振り返り、驚愕に目を丸くした。
一人のエルフが建物の屋根から飛び降りてくる。射干玉の髪に紅玉の瞳を輝かせながら、その少女は軽やかな足取りで地面に降り立つと、レフィーヤ達のもとへと歩み寄ってくる。
「どうしてここに?」
「ディオニュソス様の指示だ。お前達【ロキ・ファミリア】の『ダイダロス通り』の探索に同行して協力するように言われてな」
同行しても構わないだろうか、と尋ねてきた戦闘衣の美女にレフィーヤは思わず笑みを浮かべる。
「ランクアップしたんですよね? おめでとうございます!!」
「い、いやクラネルに比べれば······」
レフィーヤと親しげに話すエルフにティオナ達は興味深げな視線を送る。その中でアイズは彼女に覚えがあったのか、驚いたように小さく目を見開いていた。
ダンジョン24階層、食料庫で起きた怪人絡みの事件において期せずして共闘することになった酒神の眷属、フィルヴィス・シャリア。
彼女はヒュリテ姉妹の言い合いを聞きつけてやってきたらしく、レフィーヤ達の会話に加わることはなかったが、それでもその美貌に見惚れるような視線を向けてくるティオナ達に、彼女は少しだけ居心地悪そうに身を捩った。
「えっと、ティオネさん、フィルヴィスさんが加わっても······」
「人手は多いに越したことないでしょ? 構わないんじゃない?」
「うんうん、いいと思うよ!! にぎやかになってさ!!」
ティオナとティオネが賛成の意を示すと他の者達も異論はないようだ。
「あたし、ティオナ!!よろしくね!!」
真っ先に自己紹介を始めたティオナに、フィルヴィスは一瞬戸惑ったような表情を見せた後、こくりと小さく頭を下げた。次はフィルヴィスが名乗る番だったが────。
「フィルヴィス・シャリアだ」
フィルヴィスの自己紹介、これで終わり。あまりの素っ気なさにえぇ····と戸惑いの声が上がる。
潔癖で取っつきにくいきらいがある典型的なエルフらしい態度にレフィーヤも苦笑いを零す。
そこで、ふとフィルヴィスの視線がポカン、としているアイズの方へ向く。
「········『剣姫』、か」
「? うん······」
怒りではない、恨みではない、だがどこか昏い感情を仄かに感じさせるフィルヴィスの視線に戸惑ったのか、アイズが僅かに身じろぐ。
少なくとも食糧庫での戦いのあとにはこのような刺々しさはなかったはずなのに、とアイズの脳裏に疑問符が生まれた。
いや、それよりも醸し出す雰囲気にこそ疑問が浮かぶ、どうやらティオナ達も感じているようで怪訝な表情を浮かばせていた。
「(Lv4なりたて? それにしては·······少なくともラウルやアキ達よりよっぽど·····)」
純後衛のレフィーヤはわかっていないようだが、アイズやティオナ達、Lv6の目から見ればフィルヴィスの実力はレベルと見合っていないように感じられる。
それはレベルに実力が、ではなく実力にレベルが追いついていない、そんな印象を受けた。
さり気ない一挙手一動に一切の無駄がなく、洗練されている。そんな彼女の佇まいは確かに達人のそれであった。
確かな戦闘経験の積み重ねによるものだろうがその技量は純戦士だとしても並の第一級冒険者よりは確実に上、或いはアイズやベートたちにも迫る技量を持つかもしれない。
ステイタスはLv4最上位からLv5下位相当。総合的に考えて24階層の食糧庫ヘ【ヘルメス・ファミリア】と共に同行した覆面のエルフと同等かやや勝るくらいだろうか。
以前の食糧庫でも当時、Lv3だということに驚愕したが、これはどう考えてもランクアップしたてとは思えない。
加えて言うならば、彼女からは何か、それ以外の違和感のようなものも感じられた。
その正体まではわからない。一体何なのか、とアイズは思考を走らせるが答えは出なかった。
だが、この実力のチグハグさ、歪さにアイズは覚えがある──フィルヴィスの動きにも既視感がある。
「(······アルみたい)」
(······アルみたい)←ぶん殴られて仕方のない罵倒
消えたアミッド√のアルちゃんのステイタスやイラストどうしよ