∵月◎日
紅魔館捜索を始めてはや十数年。手掛かりと言っていいのは幻想郷とかいう眉唾物の話のみ。
月光館は俺の能力を使って結界を張って守っているが、確かに外の妖魔の数が減ってきている。それに最近は近くで妖精をめっきりと見なくもなった。
……まさか、本当で存在するのか?少し調べてみよう。
幻想郷は忘れ去られしものが最後に行き着く郷。しかし、俺のような吸血鬼は大雑把だが未だに記録に残っているため、完全に忘れ去られないために中途半端にこの世界に残ってしまっている。俺と繋がりのある下僕と眷属も同様だ。
ならば、幻想郷に行くのならば探し出して突入しなければならない。なら、幻想郷はどこにあるのか?
可能性1
魔界等の異界に存在する。
これは普通に可能性として存在する。しかし、幻想郷の性質上、この世界と密接に繋がってしまっている可能性がとても高い。下手に異なる世界同士が繋がったままだと両世界に影響が起きる。それは世界にとって好ましくないため、可能性としては低いだろう。
可能性2
夢などを基点とした精神世界。
夢とは空想、非現実等が描かれるもっとも有名な場。妖魔妖精幽霊神仏。全員人間の恐れを始めとした『存在している』という考え方によってこの世界に位置づけられている。
故に、夢の世界などでは妖魔の存在は相性がよく、暮らしていける可能性がある。
しかし、幻想郷には人間も居ると聞く。夢などの精神世界では人間も存在することができるが、それは精神体のみ。実態を持っての生活はできないため、『幻想郷に居る』では無く、『幻想郷に入れる』という表現が正しくなるだろう。しかし、幻想郷に居るというのだから、精神世界は限りなく可能性が低い。というか、皆無だ。
可能性3
結界内に作られたコミュニティ
月光館と同様に何者かの力で貼られた結界内に広がる箱庭のような世界として、幻想郷が存在する。これならば、世界に及ぼす影響は少なく、人間も幻想郷内で暮らしていける。
故に幻想郷は今俺の居る同世界上のどこかに存在していると考えられる。
結界ならば、魔力やら霊力やら、構築している力を感知することができるだろう。そして、幻想郷は『忘れ去られたものが最後に行き着く』場所だ。結界の外と内の線引は俺の張っている結界よりも緩いはず。ならば、高性能の感知なら、結界内のスカーレットの魔力を感じれるはず。
そして、もしまだ紅魔館内に『レーヴァテイン』が存在するなら、その魔力を辿ることでも辿り着ける。
取り敢えずの方針は決まったので、早速探し出すための魔道具を作ろう。
⊂月≯日
幻想郷を探すための道具は出来た。しかし、幻想郷に行くとなればこの月光館ごとになる。
しかし、下手に館ごと乗り込めば侵略と考えられるのではないか?
そんな時用に、手土産用の物品を幾つか準備しよう。
それと、幻想郷内には海がない可能性が高いと調査によって判明したので、城の中に環境毎の人工海洋を空間魔法で創ったプチ異世界で作り、そこに魚を放流した。
淡水魚は庭の池で十分捕まえられるので問題はない。
しかし、戦闘となったとき用に戦力は整えておきたい。ので、暫くはそちらの準備になる。気を引き締めないと。
↸月@日
戦力増強として、戦闘用のゴーレムを二千八十機、空中戦用飛行ゴーレムを千七十機、戦闘訓練を施した妖精メイド二百八十体、召喚して契約を結んだ名もない下級悪魔二十匹。
そして、契約して俺の新しい下僕となった悪魔セーレ。能力は『あらゆる隔たりを越える程度の能力』を持つ。
この能力を使い、幻想郷を包む結界という『隔たり』を越えるのが今回たてた作戦だ。絶対に成功させてやる。