ロボット作ってたのに気づいたらパイロットしてた 作:なー02
この世界に来てから数ヶ月が経過した。
最初に感じていた不安は何処へやら。
今ではすっかり馴染んでしまったな。
仕事もどうなるかと思ったが案外なんとかなるもんだね。
この世界の技術はレベル高いだろうなと思ったけど何だかんだと構造がわかりやすく、何とか仕事をするのに問題がないことが判った。
そんな感じで過ごすこと5年が経過した。
なんだかんだで23歳になりました。
この世界にはコンビニというものが存在しない。
お陰様で自炊するのが当たり前となってしまった。
色々と人間関係にも変化ができた。
まずウーイッグの街で声を掛けてきた男性が言っていた“カテジナ”という女の子と仲良くなった。
前世を取り戻す前もたまに遊んであげていたらしい。
俺のことを“ソウヤ兄さん”と慕ってくれている。
遊んであげると言ってもカテジナちゃんが職場に来て適当に話をしているだけなんだけどね。
カテジナちゃんは現在12歳
どうやら家族の事が苦手…というより嫌いらしい。
12歳だし思春期か反抗期か、そういうお年頃なんだろうね。
働いてる日はここにいるからいつでもおいでと伝えるとほとんど毎日入り浸るようになってしまった。
職場の人達に迷惑じゃないかな?
と思っていたが親方も他の職人達もカテジナちゃんを歓迎しており問題がなかった。
仕事以外のプライベートでも同じような変化があった。
ご近所に住んでいたハンゲルグさんの息子ウッソ君と休日に遊ぶようになった。
前世では考えられないほどアクティブになったもんだ。
ふとウッソ君の気になる所が目についた。
ボールを使って遊んでいる時、ウッソ君は左手で投げていた。
しかし食事中の今彼は右手でスプーンを使っている。
何でだろうと聞いて見ると
「両方とも使えたほうが便利でしょう?」
と答えてくれたのはハンゲルグさんの奥さんであるミューラさん
この人見た目おっとりした感じだけどウッソ君にサバイバル的な事を教えるほどアクティブな人だ。
本来は技術屋らしい。
技術屋のクセにウッソ君にナイフの投げ方を教えたり機械弄りを教えたり方向性が見えない。
まぁ人様の家の教育方針に口出しする気はないけどね。
それとご近所さんに新しい人達が引っ越してきた。
親子3人で女の子はシャクティーちゃんという名前だ。
ウッソ君の2つ下で最初は人見知りか恥ずかしいのかモジモジしていたが段々と打ち解けていった。
この子は幼いながらも家事全般が得意で俺もたまにご馳走になるが料理が本当に上手だ。
将来の旦那さんが羨ましいねって言ったら照れながらウッソ君をチラチラと見ていた。
ちなみに俺の呼ばれ方は“ソウヤお兄ちゃん”である。
料理が美味すぎるので教わったりもしている。
そんなご近所さんも加えて過ごしているとある日ウッソ君から一緒にシミュレーターをしようと誘われた。
何のシミュレーターだろうと案内されるとそこには大型のシミュレーター機が設置されていた。
何でこんなところにこんな物がと思ったがミューラさんとハンゲルグさんの物らしい。
早速とばかりにウッソ君がシミュレーターを起動しやって見せてくれる。
これを見て思ったことが大きなリアルタイプのゲーム機だなぁと思った。
シミュレーターと言ってもきっとあの二人がウッソ君の為に作ったゲーム機なんだろうな。
と、ここでウッソ君が被弾、大破判定で終了してしまった。
「やっぱりここが難しいや」
うんうん、普段サバイバル的な訓練をやらされているがこんな所はやっぱり子供なんだなと悔しそうにしているウッソ君からやってみてよと提案された。
弟分からのリクエストとあってはやるしかあるまい。
今は技術屋ではあるけど前世ではロボコンを優勝出来るほどの腕前なんだぜ?
そんなことは言えるわけもないがここは兄貴分としてかっこいい所を見せたい所だ。
最初は操作性に慣れるために簡単なモードにしてシミュレーターを動かす。
さすがに簡単すぎたのでアッサリとクリアー
そのまま次々にミッションをクリアーしていくと先程ウッソ君がやられてしまった場所まで到達することができた。
確かに今までと比べて難しいと思うがやってやれないこともない。
何とかミッションをクリアーするとウッソ君から「凄い!凄いよ!」と喜ばれた。
そのまま他のミッションもどんどんとクリアーしていき最後のミッションも何とか大破せずにクリアーすることが出来た。
初見プレイでここまで出来たのは上出来じゃなかろうか?
しかし最後の方のミッションはえげつなさすぎる。
次はクリアー出来ないだろうなんて考えているといつの間にかハンゲルグさんとミューラさんがシミュレーターを見ていた。
ウッソ君は全部クリアーした俺をキラキラとした目で見てくれているけど二人は何とも言い表せない表情をしていた。
息子の為のシミュレーターを大人が独占してやってるんだもの。
そりゃ親としては怒りたくもなるだろう。
そう思った俺はすいませんでした。と謝るが二人は真剣な顔付きのまま「これは初めてやったんだよね?」と聞いてきた。
ウッソ君に連れてこられて初めて触れましたね。
なんて答えたら「ちょっと失礼」っとミューラさんがシミュレーターを弄りだした。
暫くするとシミュレーターの横にあるPCから紙が何枚か印刷される。
出てきた紙を二人共真剣に眺め、目を離したと思えば二人見つめ合い首を縦に振った。
俺とウッソ君は何がなんだか判らず二人を見ていた。
「どうだい?この後少し飲まないかい?」
ハンゲルグさんに誘われたのでせっかくだからお邪魔することに。
4人でミューラさんの作った食事を食べ談笑しているとウッソ君が寝てしまったので彼は部屋に戻り寝るようだ。
まぁまだ子供だからね。
俺ももう少ししたら帰るかなと思っているとハンゲルグさんから質問が来た。
「君は今の時代をどう思う?」
今の時代と来たか…これはどう答えるべきなんだろうか?
うーんと両手を組みながら考える。
「ちょっと抽象的過ぎたかな?戦争をどう思う?」
戦争…というとべスパとかいう軍隊と連邦軍の戦争の事かな?
正直に言えばくだらないと思っている。
なんで戦争してるのか俺には判らない。
せっかくの技術も戦争に使うより生活向上などに役立てるべきだと俺は考えている。
素直にそれを伝える。
「じゃあもし自分にその戦争を止める力があったとしたら?」
考えたこともなかった。
俺という人間はあくまで技術畑の人間だ。
戦争を止めるなんて発想は一切無かった。
ただもし自分みたいな人間でも戦争を止める事が出来るのであれば止めたいと思う。
「なんでだい?」
その問いに頭に浮かぶのはウッソ君、シャクティーちゃん、カテジナちゃんと子供たちの事が浮かんだ。
出来るだけ子供達には戦争なんて脅威に晒されず過ごしてほしいと思っている。
子供達には笑顔でいてほしい。
だから大人である俺が戦争を止められるなら止める。
っと少し熱く語ってしまった。
恥ずかしいので酒をクイッと煽る。
普通に考えれば戦争を止めるなんて出来るはずがない。
ハンゲルグさんが何かを考え、少しすると口を開いた。
「聞いてほしい話があるんだがいいかい?」
そう言われて俺はいいですよーと軽く答えてしまった。
これが俺のこれからの人生を左右する話だなんて夢にも思ってなかった。
シャクティーとウッソが出会ったのが何時頃か分からなかったので適当に出会わせました。
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