巨神聖戦記外伝 作:芹沢亀吉
『イジゲンノクニ』館内の全スピーカーが一斉にオルカの音波を流すと、程なくしてゴジラが明石海峡に出現し淡路島に上陸した。
この時ゴジラは大波を伴い、明石海峡大橋淡路島側の真下に位置する道の駅あわじを文字通り洗い流している。
刈屋は淡路SA下りで待機中の紫龍を起動させた。なおこ のマッドサイエンティストは、紫龍が神戸淡路鳴門自動車道、複数の保育園等を破壊し、幼児を含む多数の死者が出た件を些細なことと認識している。
「あ、ああ!!ああ!ゴジラの死体の前で、由衣が全裸になってこの俺に詫びる瞬間はまだか? 今度は修学旅行の時みたいにしくじらないからな! あ、ああ!ああっ!」
NIGOD 管制室の大画面を眺めながら性犯罪者特有の気色悪さを全開にして刈屋だが、直後に愕然とした。
紫龍が突然、制御不能に陥り、頭部が自爆で吹っ飛んだ上、胴体のあちこちも爆発し機体全体が木っ端微塵になったのである。
ダゴンの骨はゴジラと対峙した途端に自我が戻り、紫龍の制御を奪って自爆する形で兵器として利用されるのを断固拒否する意志を示したのだ。
なおゴジラが淡路島に上陸したのは同族ダコンの骨の行方を追うためで、 オルカの音波にはまるで興味が無い。
「私はアラン・ジョナ、反政府主義者だ。機械で巨神を操れると慢心していた頃の自分と決別するため、そして貴様にオルカを使わせ NIGOD本部の位置を特定するため Mr. Aの名でオルカを寄贈した。 」
「さて時間だ。 旧日本陸軍の系譜で超兵器を有する NIGODは戦争すなわち最悪の環境破壊の主犯になり得るから爆弾設置直後に本部を爆破する予定だったが、貴様の自慢の兵器の無様な敗北を見届けるまで爆破を延期させてもらったよ。」
Mr. A の正体と真意を今更知った刈屋は目の前の大画面に椅子を投げつけた。が直後にNIGOD本部爆破に伴う落盤で全身をぐちゃぐちゃに潰された。
陰湿極まりない性犯罪者 に相応しい末路だ。
MI6時代にペンタゴンやクレムリンに何度も潜入していたジョナにとって、NIGOD本部爆破は単純作業に過ぎない。 この爆破で刈屋が保有する膨大な量の機密情報全てが消し飛び、日本政府はNIGOD廃止を余儀なくされた。
「何で避難しなきゃいけねーの?自衛隊の皆さんがリアルゴジラ迎撃大作戦でゴジラをや つけてくれるから俺達はこのままシューティングゲームを楽しもうぜ。」
避難指示を無視し射撃に興じていたオタク連中は、程なくして全員冥界に旅立つこととなる。
ANOSAP が防衛省の意向を付度し、ゴジラは自衛隊が倒せる程度の存在と嘘宣伝 したのが完全に裏目に出た。
無論、紫龍が保育園を踏み潰し園児達を犠牲にするのを容認した自衛隊だけに避難指示の内容は杜撰そのものだが。
「ゴジラが破壊した一帯は半減期25000年の放射能で覆われるけど、 この後少しずつチェルノブイリ同様の緑の楽園と化していくから官民癒着テーマパークなんかよりずっといい。そもそも自衛隊が変な兵器でゴジラを怒らせなければ、 淡路島にゴジラが襲来することも無かった。ゴジラ詐欺アトラクション内ではゴジラと呼ぶに値しない愚物が文字 通り墓穴掘ってたけど、 実際は自衛隊が墓穴を掘っている。」
ジョナから送られてきたPDFで紫龍の詳細を知った一ノ瀬はダゴンの骨の兵器利用と いう生命への冒涜に憤ると同時に、 結局自衛隊はその生命への冒涜でゴジラの怒りを買い墓穴を掘っていたことを把握した。
自宅で一ノ瀬とアイリーン、 そしてペロが観ている特 番は淡路島で自衛隊を殲滅し「イジゲンノクに放射熱線を撃ち込むゴジラの姿を映していて、勿論あの醜悪なハリボテは原形をとどめていない。