生とか死とか。 作:あい
きっと俺は、ずっと昔に死んでるんだろう。
さっさと離婚すりゃいいのにずっと冷戦状態で冷え切った家庭環境とか。
友人とかも碌に居ないのに在籍してるからって理由だけで惰性で通い続けてる学校とか。
そんな俺に対し舐め腐ってふざけてるとしか思えない態度で接してくる教師とか。
そんなのに対して一番いい対処法が心を殺すだと気づいた日から、俺は死んでしまった。
誕生日だから買ってきた好物のはずのショートケーキの味がしなかった。みんなが綺麗って言ってる桜なんかを見てもただの記号のようにしか見えなかった。流行りのJ-POPなんかを聞いても何も感じなかった。
心を殺してしまった俺は、計算が苦手なAIみたいなもんだろ。人間がAIに唯一勝ってる感情って機能を、自ら殺してしまったんだから。
一種の自殺だろう、こんなのは。
生きてる理由なんて問われても困っちまうよ。生きてるから生きてる。
死んでしまうやつは大バカ者だ。そこにあるすべてを消してるんだから。
死にたくてもダラダラ生きてるやつは優秀だ。碌な自我がないから歯車として使えるから。
この世はプログラムされていて、自分はその中に組み込まれた命令の一つ。
変な自我を持った奴がバグを起こし、周囲のやつらに迷惑をかける。
どれだけ自分がそのプログラムの中で役に立てるか。それだけを目標に生きてるんだ。
歪んで、歪めて、歪められてなくなっちまった自分の心の中に唯一残ってる歪な自己愛。
どれだけスコアを伸ばせるかにしか生きる価値を見出せなくなった哀れなロボット。
傷ついて、傷つけて、ボロボロになって死んじまった俺の心。無理矢理生み出そうとしたら歪んで生まれちまった新しい俺の心。
ふと、酷く虚しくなった。なんて思ってみようとしても特に何も感じない。
やっぱり俺は死んでしまったようだ。人として重大な欠陥を抱えているなら死んでいるのと変わらない。
人として死んでいるなら、少しでも役に立って死にたい。少しでも社会に貢献したい。人のためじゃなく、社会のために。
意味もなく音楽を垂れ流しながらレポートなんかを書く。
現代社会に必要なこととは。
答えは個性を踏み潰すこと。それを薄めて、薄めて、婉曲に伝える。大衆に不満を与えてはいけない。それは社会にとって不利益だろう。
馬鹿が読んだときに一瞬納得して、心のどっかにとどまっておくように。少しでも社会のコマとして生きてってもらうように。
自殺した俺は、他人にも自殺を唆す。
全人類、コマとなって生きてくれ。
役に立ってから死ね。