家庭教師ヒットマンREBORN! ー鳳凰神と暁の炎ー   作:二首犬

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 サブタイトル通りに今回の話にこち亀の擬宝珠家が出てきます。


第二話 雨の守護者と擬宝珠家

 土曜日、ツナは母親や隼人達と沢田家の片付けをしていた。なお、ランボはフゥ太に頼んでイーピンと共に散歩に行かせていた。ビアンキは顔を見ると隼人が倒れてしまうので、マスクを着けて作業していた。

 

「かあさん、この荷物は向こうに持って行けばいいんだよね?」

「そうよ、ツっ君お願いね」

「十代目の母上、これは捨てていいやつですか?」

「それは友達からの贈り物だから捨てないで!」

「分かりました」

 

 一通り終えると一休みすることにした。ツナ達はお茶を飲みながら雑談していた。

 

「それにしても一通り片付いたね」

「そうですね十代目」

「私にかかればこんなの楽勝よ」

「二人が手伝ってくれるだけでもありがたいよ。それと明聖もありがとう」

「いいえ、気にしないで下さい」

 

 この明聖という少女はツナのかつての敵である光城輝夜の妹である。輝夜は死ぬ前にツナに彼女を託した。そして、現在は沢田家に居候している。

 

「そう言えば、ツナさん、掃除中にこんなモノを見つけたんですけど」

「ん!」

 

 明聖は何やら紙のようなモノをツナに渡した。

 その紙には巨大で炎を纏った鳥の絵が描かれていた。

 

「この鳥は何だろう、獄寺君は知らない?」

 

 ツナはUMA好きの隼人にこの絵を見せた。

 

「すいません十代目、俺でもよくわからないんです。ただ炎を纏った感じから不死鳥つまりフェニックスのように見えるっスね」

「そうなんだ!」

 

 ツナはそうかと頷いた。すると後ろからツナの母親の沢田奈々が声をかけてきた。

 

「この絵は私の御先祖様が描いた絵なのよ」

「そうなの、俺、そんな話一度も聞いたことないんだけど」

「だってツっ君があまり興味を示さないような物だと思ったからよ」

 

 奈々はやれやれといった感じで話した。

 

「けどこの絵って、すごい出来っス!十代目の母上の御先祖様は画家だったんすか?」

「違うわよ。この絵を描いた御先祖様は僧侶だったらしいわ」

「僧侶って、お寺のお坊さんのこと?」

「ええ!」

 

 ツナは母方の御先祖が僧侶だったことに驚いた。そして、そう思うと自分の中に流れている血は変な感じがした。ただでさえ自分の父方の御先祖はマフィアのボスなのだから。

 休憩を終わらせ掃除を再開しようとするとツナに電話がかかってきた。相手は武だった。

 

『よっツナ!』

「どうしたの山本、野球部で練習しているんじゃ」

『それが早く終わっちまってな。それより明日練習試合をすることになったんだぜ!』

「どこの中学と?」

『栄冠大学付属中学だ!』

「栄冠って!」

 

 ツナは対戦相手の名前を聞いて驚いた。栄冠大学付属中学と言えば中学野球最強と謳われている学校である。そして、多数のプロを輩出していることでも有名だ。

 

「よく練習試合の申し出を引き受けてくれたね?」

 

 ツナの疑問は最もであり、普通はそんな強豪校は普通の都立校とは絶対に練習試合をしないのが一般的である。

 

『なんかそこの二軍が俺達の相手らしいんだ』

「……それって凄く舐められているよね」

 

 ツナは納得した。つまり、栄冠大学側は二軍の肩慣らしの相手に偶々、並盛中学を選んだだけである。

 今度は気になったことを訊ねた。

 

「山本はともかく、他の部員はどうなの?」

『ビビッている奴が多いなぁ!だから、俺と薫で引っ張っていくぜ!』

「そっか!やっぱり山本はそうじゃなきゃな」

『もしよければ、見に来ないかツナ?』

「わかった。他の皆も連れて見に行くよ」

 

 ツナは武との電話を終えると隼人がツナに訊いてきた。

 

「山本からなんて言われたんすか?」

「明日、栄冠大学付属中学との練習試合をすることになったから見に来ないかって誘いだよ」

「そこって滅茶苦茶野球が強いところじゃないっすか。アイツ大丈夫っすかね」

「山本なら大丈夫だよ。水野君もいるしね。ん!?」

 

 テレビのニュースがツナの目に留まった。それには美女の映像が写っていた。

 

『ここ最近、頻繁に起きている行方不明事件の犯人がこの映像の女性であることが警察の調べで明らかとなりました。そして、警視庁はこの犯人を全国指名手配にすることを発表しました』

 

「行方不明事件って恐らくアレでしょ!」

「十中八九アレっスよね、十代目」

 

 行方不明事件というのはここロヴィーノ事件が終わった少し後から、日本で起きている事件である。

 その名の通り、日本全国、特に東京在住の人間が突然行方不明になっている。

 被害者たちはいずれも一般人であり、特に人間関係に問題は無かった。被害届は幾つも出ており、警察は総力を挙げて捜査していたが、今まで犯人の尻尾すら捕まえられなかった。

 

「この事件の背後にはロヴィーノ教団がいたりするのかな?」

「それは無いんじゃないのかしら。リーダーである光城輝夜は死に、大罪の七人(ベッカート・セッテ)復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄に幽閉されているから、今更、行動を起こす意味が分からないわ」

 

 ツナの疑問にビアンキは素っ気なく返した。

 彼女の言う通りロヴィーノ教団に現在そこまで力はない。

 

「もしかして、別の勢力が動いているのかな。エンマ達を影から操っていたD・スペードのような存在が!」

「そうだとしても、俺達で倒すだけっス!」

「……そうだねっ!」

 

 ツナは自分の不安が杞憂に終わってくれることを期待していたがそんなことにはならなかった。見えてないところで、刻一刻と危機は迫っていた。

 

 

 

「さぁ~て、明日の準備も終わったし、早く寝っかな!」

 

 夜になり、武は自宅でユニフォームなどの野球道具を揃えていると携帯電話が鳴っていたので出ることにした。名前を見ると「擬宝珠纏」だった。

 

『よっ!武!』

「纏ねぇ久しぶり、元気してたか?」

『当たり前だよ!それより明日試合何だってな?』

「ああ!栄冠大学付属中学との練習試合だぜ」

『そいつは凄いな!あ、そうだ。その練習試合が終わったらウチに来ないか?ばぁちゃんもお前に会いたがってるし!』

「ゲパばぁって今年で百三歳だろ。元気なのか?」

『元気だよ。あたし達、擬宝珠家にとってもお前は家族同然だからな。ばあちゃんも久しぶりに会いたがってるんだ来てくれよ』

「わかった。じゃあ、明日な」

 

 電話を終えた纏は家族達に声をかけた。

 

「明日の練習試合の後に、武はウチに寄るってさ」

「纏、それは本当か?武は本当に来るのか?」

「当然だろ檸檬。アイツはぬけてるところはあるけど、約束は絶対に守る男だからな」

 

 纏と呼ばれたポニーテールの美女は妹の檸檬に伝えた。すると今度は厳格そうな老女―纏の祖母で超神田寿司の女将である夏春都が口を開いた。

 

「武は元気にやっているのかい?」

「ああ、今も野球を続けてるようだよ」

「そうかい!憂鬱にも会って欲しかったんだけどね……」

「仕方ないよ!兄貴は今京都にいるんだしさ。まぁ武の野球の師だからな」

 

 纏の兄―擬宝珠憂鬱は現在、京都にある料亭「超雅」で修業している。武の父―山本剛は昔、超神田寿司で修業をしていた。

その縁で武も擬宝珠家と交流があり。憂鬱から野球について教えられていた。

 

「それより、アイツはどうすんだい?」

「武を勘吉に会わせない方がいいと思うけど、武に悪影響を与えそうだし……」

「けど勘吉は現在、日本にはいないんだったね?」

「どうやら少し前に部長を怒らせたとかで、カナダでメープルシロップ作りをしているらしいけど、もう少ししたら帰国するらしいよ!」

「ソイツはよかった。武と会わないでくれるなら万々歳だよ」

 

 夏春都は嬉しそうな表情を浮かべた。

 纏が言った勘吉とは彼女の親戚であり、葛飾区亀有公園前派出所の警官の両津勘吉である。彼はこの店で板前としても働いている。この数日前に普通のメープルシロップを高級メープルシロップと偽って販売していた。しかしそのことを知った部長は激怒して、メープルシロップ作りの苦労を味わえとカナダにあるメープルシロップの工場に飛ばされた。

 

「だぁー、だぁー」

「そう言えば、武は蜜柑ちゃんに会うのは初めてじゃろうな」

「そうだね~」

「檸檬の言う通りだな。さぁ、明日のために今日はもう寝るよ。お休み!」

「お休み、纏」

「お休みなのじゃ、纏」

 

 纏は自室に向かい、布団を敷くとすぐに寝た。

 一方、カナダでは両眉毛が繋がった中年男性―両津勘吉がカナダの工場でせっせと働いていた。

 

「あと少し、あと少しでワシは日本に帰れるぞ」

Don't hit the waste(無駄口を叩くな)

 

 両津のぼやきに反応した工場長は両津を叱った。

 大空と人情味あふれるこの悪徳警官が邂逅する日もそう遠くない。

 




 今回の話はここまでです。今回の話に出てきた栄冠大学付属中学のモデルは特にありません。なお、ツナ達の住んでいる並盛は西東京市にある設定です(原作に出てる並盛中学は都立だったので)。
 今回の小説に特殊刑事課も出したいと考えています。

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