今世紀で最悪の闇の魔法使いになってしまった ー1   作:シューズ

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プロローグ

 いつ、転生したと気付いたろう。もしくはこの少年の肉体に憑依、乗っ取ったと。

 キッカケは多分、不満な気持ちだ。孤児院で暮らせば当然抱く不快感が、僕には耐えがたかった。もっとずっと快適な生活を知っていたからじゃないか?

 

 ハリー・ポッターという作家J.K.ローリングのシリーズ作品を読んだ記憶もあった。

 将来の闇の帝王、トム・マールヴォロ・リドル少年だと自覚したのはいつだった?ホグワーツ入学?ダンブルドアに会った時?いいや、その数年前、杖なし魔法が使えた時だ。…蛇に話しかけられた時だったかも。どっちが先だったかは自信がない。記憶力には、というかあらゆる能力に自信があるのだが。

 

 ダンブルドアは初対面で開心術を使ってこなかった、たぶん。閉心術は初歩だが使えていたと思う。でも記憶にある物語を大筋でもなぞろうとは考えていなかった。その時には既に、闇の魔法使いにはなるまいと思っていた。社会秩序に従う方が良い、楽だろう。

 僕、少年トム・リドル、私、ホグワーツ魔法学校スリザリン生と同じように転生だか憑依だかをしている存在がいても、社会秩序に従う限り対応可能だろう。たとえ私を含む全てがそうだとしても、快適な生活に支障は無い。まあきっと私以外にそんなのいないけど。今のところは…

 

 

 孤児の僕には奨学金が支給された。さっさと返したい。というか成人したい。未成年の魔法使用を禁止する法律と同じく、うっとうしい枷だ。抜け道があると思うと殊更うっとうしい。

 学用品の準備で、ペットは買わなかった。フクロウは便利そうだが孤児院の連中に殺されるまではいかずとも怪我はさせられそうだし。高いのに。魔法の杖については、僕が既に知っているモノに選ばれた。ダンブルドアの不死鳥の羽根が芯の。現実としてダンブルドア教授とはあまり良くない出会い方をしたから、気に入らない。まあ、杖の相性、忠誠心があるはずだから我慢できる。

 孤児院に居た時とは違う孤独感。魔法使い達の中に埋もれる。息苦しい。実力を上げれば楽になるに決まってる。

 

 そしてグリフィンドールの、組み分け帽子。頭を空にして閉心術を使ったがかなり深く読まれた、と思う。スリザリン…体に流れる血からして、スリザリンの末裔として、当然の寮に振り分けられたのかな。他の寮で良かったんだけど。グリフィンドールに入っていたらグリフィンドールの剣を帽子から抜き出してみたかった。けっこう欲しい。皮肉が効いてるっていうのもあるし。

 

 他のホグワーツ創始者所縁の有名な品々も、できたら欲しい。場所は分かってる。レイブンクローの髪飾り、ハップルパフのカップ、そしてスリザリンのロケット。少なくとも最後のは所有する資格があると思う。髪飾り以外は他人のモノなんだが、まあ合法的にか少なくとも社会規範に明確には反さない上で、その内手に入れられるんじゃないか?手に入れられなきゃ、僕以外に似たようなのがいるんだろう。

 多分いない。

 

 

 

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