ソシャゲに出てきそうな組織の一般職員(女)の話 作:暗黒技士
「さくらさんはどこです!?」
焔は大声で職員達にそう聞いた。
職員の一人が
「今日はまだ来ていませんが…」
と言うと、焔は舌打ちをした。
(嫌な予感が当たった!いやでもまだ他にも…)
焔が急に止まり、それを引き気味に見ていた職員達だったが、その中の一人が焔に声を掛けた。
「さくらさんに何かあったんですか?」
なつきだった。後ろでりょうが小声で「やめとけ!」「戻れ!」と言うが無視しているようだった。
「その前に一つ、ほかにいない人は?」
「それを言ったら教えてくれるんですか?」
焔は頷こうとしたが
「焔ちゃん」
と金本に呼び止められた。
「ここじゃウェポナーへの放送は聞こえない。戻ろう」
焔は、金本は職員達に話を聞かせないように感じた。
「でも!「でもちょっと喉が渇いたな。焔ちゃんちょっと買ってきてくれない?」…は?」
「お金出すからさ、お願いだよ~」
断ろうとした焔だったが、 どうしてもと泣きついてくる金本に折れ、 買いに行くことにした。
「で、何でもいいんですか?
「じゃあ、コーラを…」
「コーラですね、分かり「三十本」三十本!?持てませんよ一人じゃ…」
「じゃあ協力してもらえば?ここにいる人にさ」
「・・・!そうですね、そうします!手伝ってください!」
そう言って焔はなつきの腕を取って走っていった。
「ちょ!?まっまって先輩も来てくださーい!」
「は?あーもう、ちょっと待てー!」
◆
三人は自販機の前に集まるように立っていた。
「じゃあ、情報を「待って!」って、どうしたんですか?」
焔が話し始めようとうすると、なつきが遮った。
どうしたのかとなつきの方を見ると、目線の先に監視カメラがあった。
だがりょうが首を振って
「大丈夫だ、ここのカメラは音は拾わない。しかも今は忙しいようだからな。誰も見てないさ」
と言った。
なつきは感心したように
「よく知ってますね」
と頷いた。
「まあ、いろいろあってな」
「じゃあ、続けていいですか?」
「あっはい大丈夫です。…確か、さくらさん以外にいない人、でしたよね。確かいなかったはずです。ね?」
「ああ、休みも早退もなしだ。さくらを除いてな」
「じゃあやっぱり…さくらさんが危ない…!」
焔は二人にさくらが何故か牢に入れらていたこと、そして謎のウェポナーに連れ去れたことを話した。
なつきは驚いていたが、りょうは比較的に落ち着いていた。
「早く助けないと!」
「いや、いるとしてもそういうやつは大抵『外』だろうし、下手に刺激してさくらに危害を加えないとは限らない」
「じゃあ、どうすれば…」
「ウェポナーに任せるしかなさそうだが…」
「・・・連絡先、交換しませんか?何か分かったらお互いに連絡しあいましょう」
焔がそう言うと、二人は頷いた。
(そういえばなんでこんなにイージスの目を気にしないといけないんだろう?)
焔はコーラを運びながらそう疑問を持った。
◆
「ここよ、お姉ちゃん」
そう言って案内された場所は地下室のようなところだった。そこには少し焼け焦げた布と、乱雑に置かれた本だけがあった。
「ごめんねお姉ちゃん、きっと…ううん、絶対住みづらいわよね。でも大丈夫よ、必要なものを集め終わったらすぐに別のところに行きましょう。それまではここにいてもらうけど…化け物は絶対入ってこないから、ね?」
(時間はあまりない、となると今説得するしか…いや無理です。自分でも口下手なのは理解しています。どうしましょうか)
「わたしは少しは出かけるから、お姉ちゃんはお留守番しててね」
そう言うと杏樹は地下室から出ていった。
さくらは出ていっても、惨殺されるだけだろうと思い、大人しく部屋にある本を読むことにした。
「・・・・・・?」
本を手に取り読もうとすると何か光るものを見つけた。
さくらが手に取ってみると、それはペンダントのようだった。丸いロケットが付いていて、中には何も入っていなかったが、端の方に薄く『AKARI』と刻まれていた。
(あかり…彼女のものでしょうか?後で聞いてみましょう)
そう考えたさくらはペンダントをポケットにしまい、読書に戻った。
◆
なつきはさくらの身を案じながら寮に帰宅していた。
(それにしても…私の部屋二階なんだよね、仕事から疲れて帰ってるのに階段上らせるって…嫌がらせ?まあさくらさんの上だからいいけど…さくらさん、大丈夫かな…)
そう思いながら自分の部屋に立つと違和感を感じた。
下から音が聞こえる。
それに気づいたなつきはすぐさまりょうと焔にメールを打った。
『さくらさんの部屋に誰かいる』
メールを送った後になつきは気づく。
寮には監視カメラがあるはず、音の様子から長く居るわけではないが、入ってきたばかりでもなさそうだ。ならばすでに警備員やらウェポナーでも来てもいいはずだ。
(職員だからってこと?[ピー]イージスめ…)
そう悪態付きながらなつきは玄関に置いてあった箒を持ってさくらの部屋に近づいた。
扉のノブをゆっくり回すと、鍵は開いたままになっていた。
玄関を開ければ部屋全体が見れるぐらいには狭い。
つまり開けた瞬間襲われる可能性が高い。
なつきは意を決して扉を勢いよく開け入っていった。
だが、予想に反して誰もいなかった。
(でも音は絶対した、間違いない。逃げた?窓は鍵が掛かってる。隠れた?でも隠れる場所なんてない)
どういうことだろうと部屋から出ようとすると、
ガクン
「!?」
なつきは膝裏をけられた感触を味わいながら崩れ落ちた。
立とうとすると
「動かないで」
と言われながら何かを当てられた。
ナイフのようだった。
「・・・あなた、子供?」
「だったら、なに?」
「泥棒はよくないよ、殺しもね」
「泥棒なんてしてないし、あなたが何もしなかったら殺しもしないわ」
(この子、何者?泥棒じゃないって、善悪の区別がついていない?…まさかさくらさんを攫ったウェポナー?後ろにいるから分からないけど、もしそうなら情報を…!)
(この人、何者?お姉ちゃんの知り合いかしら、友達?いや、あいつらの仲間かも。だとしたらお姉ちゃんを傷つけるかも…口を滑らせないようにしないと…)
「・・・ねえ、何もしないから後ろ、振り向いてもいい?」
「駄目よ、そのままでいなさい。こっちは聞きたいことがあるの」
「それって、対等じゃなくない?」
「そう思ってたの?」
「それはもちろん!」
「そんなわけないじゃない。いいから話してもらうわよ。…ここ以外に安全なとこあるかしら?」
「ふーん、そこに逃げるつもりか。でも外は異界獣だらけ。子供だけじゃ危ないよ」
「(異界獣というのね、あの化け物は)…いい考えがあるの、知る必要はないわ。いいから教えなさい」
「残念ながら私はここ以外知りませんよ~」
「・・・はぁ、ホントのようね。分かったわ、見逃してあげる」
そう言われたなつきは、首にあったナイフの感覚がなくなった。
その瞬間なつきは振り向き、飛びついた。
「!?放しなさい!」
「っかは…!う…」
だが、すぐに解かれ壁に叩きつけられた。
なつきが少女を見ると髪が赤く、ウェポナーだとすぐに分かった。
「見られた…ホントはしたくなかったけど、死んでもらうわ」
(体のあちこちが痛い…動けそうにない…)
「ごめんなさい、さようなら」
(でも…)
「勝った…!」
ナイフが振り下ろされそうになった瞬間、目の前の少女が横に吹き飛ばされた。
「大丈夫ですか!」
声の方には烈火のごとく燃えている大剣を持った焔と、銃のようなものを持ったりょうがいた。
「ぐぅ…痛いわね…」
なつきが少女が吹き飛ばされた方を見ると、少女はAEBWと思われるものを盾のように構えていた。
「これでも食らえっ!」
りょうがそう言いながら乱射した拳銃の弾丸はほとんど当たらず、二、三発AEBWに当たっただけだった。
「っち、時間を掛けすぎたのね…帰らさせてもらうわ、さよなら!」
少女は窓を突き破り、何処かへ去った。
「・・・いったか…おい、伊能大丈夫か?」
「私はどっちかというと先輩の射撃の方が心配です…」
「それだけ言えるなら大丈夫だな」
なつきはりょうに肩を借りながら聞いた。
「いいんですか、おわなくて」
「そのためのこの銃だ」
そういいながらりょうはなつきに銃を見せた。
「当たったところに張り付いて追跡するんだ。そこで拠点を見つけてからさくらを助ける」
「ここで捕まえて聞くのは駄目なんですか」
「イージスだぞ、たかが職員一人、助けるか?」
「はは、なるほ…ど…」
「なつきさん!」
「安心しろ、気絶しただけだ。こいつは俺が届ける。さくらは、任せたぞ」
りょうはそう言って部屋から出ていった。
「はい、絶対に、助けます…!・・・ん?あれは…」
ふと焔は部屋の端で光っているものを見つけた。
「・・・!」
焔はそれを握りしめて、走り出した。