ソシャゲに出てきそうな組織の一般職員(女)の話 作:暗黒技士
(・・・全て読み終わってしまいました。意外と私、速読なんですね)
さくらは暇をもて余していた。
やることがないので、仕方なく寝ようとすると
「う、ぐ・・・」
杏樹が倒れこんできた。
「・・・大丈夫ですか?」
さくらは急いで近づいた。
「ええ、心配ないわ、大丈夫。お姉ちゃん、心配しないで?」
そう言いつつも杏樹は焦点があっていなかった。
「今日はもう、寝ましょう。私もちょうど寝ようと思っていたんです」
「・・・そう、ね、そうす、る・・・おや、すみ・・・」
「・・・おやすみなさい」
さくらと杏樹は身を寄せ合い、すぐに眠りについた。
◆
「「はあああ!」」
ガキン、ガキンと何かがぶつかり合う音で目が覚めたさくらは、横にいるはずの杏樹がいないことに気がついた。
ぶつかり合う音は、外から聞こえてきているようだった。
さくらが外に出てみると、そこには焔と杏樹が戦っていた。
しかし、さくらが見てみる限り、焔が押されているようだった。
(・・・いえ、押されているというより、本気を出していない、出せていない?)
そんなことを考えていると、二人の声が聞こえた。どうやら会話をしているようだった。
「やめなさい、朱里!」
「わたしは、杏樹、よ!」
杏樹はつるはしを焔の首に振りかざし、焔は大剣の面で受け止める。
「わたしはっあなたのっ」
「何度も言わせないで!わたしのお姉ちゃんはっ一人だけよ!」
「っ!がはっ・・・」
焔は杏樹の回し蹴りを防げず、吹っ飛ばされた。
「・・・」
ふと、さくらは何かの足音が聞こえた。それも巨大な、腹の底に響く音。
しかし、二人は気づいている様子はなかった。
それどころか杏樹は焔にトドメを刺すところだった。
「これで、終わりよ!」
「・・・っ!」
焔は防御態勢に入れず、振り下ろされるAEBWに目を瞑るしかなった。
「―――っげほっ」
しかし、振り下ろされた刃は焔を貫くことはなかった。
焔が目を開けるとそこには、AEBWが肩に深く刺さったさくらが立っていた。
「さくらさん!」「お、お姉ちゃん…?」
焔は倒れるさくらを受け止めた。
「・・・二人とも、よく・・・きいて、くださ、げふっ!ごほっごほっ…」
「喋らないで!すぐ助けを―「巨大、異界獣が迫って、います」え!?」
「二人は、協力し、て倒してくださ、い」
「・・・っ分かりました!…朱里?」
杏樹は、虚ろな目をして
「わたしが…お姉ちゃんを…」
と呟いていた。
「・・・杏樹!」
「ひゃ!?」
「今から、とて、も大き、い化け物、がきます、それを、この人と、一緒に倒し、てください、いいですね?」
「でもわたし…「守って、くれるんでしょう?」…!」
「ここで倒せば、関係、あり、ません。杏樹、できますか?」
「・・・うん!」
さくらはポケットから淡く光り輝くペンダントを杏樹に渡した。
「きっと、あなたの、大切な宝物、です。持って行ってください」
そこでさくらは目を閉じた。
最後に赤く、眩い光を映しながら…
◆
あの子達を、支えてあげてください。
お願いします、さくらさん。
◆
「最近見た気がします、この景色」
さくらが目を開けると、白い壁、いや天井が映った。
ガラガラと扉の開く音がした。
さくらが体を起こし、扉の方を見てみると、青髪を一つに束ねた美しい女性が『浮きながら』入ってきた。
「あら、起きたの」
「あなたは…」
女性は垂らしていた眉を少し上げ
「私のこと、知らない?」
と控えめに驚いていた。どうやらさくらの目の前の女性も感情が出にくいタイプのようだった。さすがにさくらほどではなさそうだが。
「私、水野葵。見ての通り、ウェポナーよ」
「私は「名乗らなくていいわ、知っているもの」そうですか」
さくらはそういえば、と
「どれくらい、寝ていましたか?」
と水野に尋ねた。
「一週間ほど」
「そうですか、ありがとうございます」
「・・・あまり、驚いていないわね」
「いえ、ものすごく驚いています」
そう話すさくらの顔は眉一つ動かしていなかった。
「・・・焔さんと、杏樹…あのウェポナーは今どうなって…」
水野は軽く微笑み
「すぐ分かるわ」
と言った。
廊下の方からドタドタと、走る音が聞こえてきた。
それはだんだんと近づいてきて―
「「
どうやら走っていたのは焔と、杏樹のようだった。
「体大丈夫ですか!?」「何処か痛いところない!?」
「強いて言うなら耳が」
「「あ…ごめんなさい…」」
焔と杏樹はしゅんとなっていた。
その光景を見ていた水野は、クスクス笑っていた。
「そうだ、お姉ちゃん。わたしね
「そうですか、良かったですね」
そう言いながらさくらは杏樹の頭を撫でた。
「その様子だと、分かっているようだけど、一応話しておくわね」
水野は、杏樹の処遇とさくらが寝ていた一週間のことを話した。
杏樹―剣崎朱里は、イージスに侵入したとはいえ、誰も傷つけてはおらず、重要な施設なども破壊されていない、そしてただ処罰するには惜しい存在として上層部が判断し、イージス所属ウェポナーとして迎え入れた。しかし、常に監視がついた状態らしい。
焔は無断出撃の件で始末書を書かされていた。
その後二人は狂ったように訓練をさくらが起きる今日まで続けていたらしい。
「お姉ちゃん」
杏樹は真剣な顔をするとさくらに言った。
「もう、あんなことはしないで、傷つけたくないし、傷つくところを見たくないの」
(私が、焔さんを庇った時のことですか。杏樹が外に連れ出さなければこうならなかった、というのは酷なことを言うことになるのでしょうか)
「分かりました」
「皮肉というか、そのおかげで、活性化したのだけどね」
「活性化」
さくらは初めて聞く言葉に首をかしげた。
それを見た水野は丁寧に説明し始めた。
「本来ウェポナーは一年ほど訓練を積んでから戦場にいくの。戦いに慣れるためもあるけれど、AEBWの本来の力を出すため、こっちの側面が強いわ。活性化は時間が掛かるし、人によって条件が違うし、活性化してないと戦えないほどではないけれど、難しい…例外が、二人そこにいるけれどね」
「「?」」
「そうだったのですか。すごいんですね、二人とも」
二人はよく分からなそうにしていたが、さくらに誉めれてにやけていた。
「焔さんのこと、思い出しましたか?」
さくらは焔と水野に席を外して欲しいと言い、二人は部屋を出ていった。この部屋にはさくらと杏樹だけになった。
「うん、お姉ちゃんが渡してくれたペンダントを受け取ると、思い出したの。焔お姉ちゃんと、一緒に遊んだ記憶」
そう言いながら杏樹はポケットからペンダントを取り出した。
ロケット型のペンダントは、今は光っていなかった。
「ちょっとしか、思い出せなかったけど。お姉ちゃん、どこでこのペンダントを見つけたの?」
「杏樹が暮らしていたあの部屋にです。てっきり杏樹が持っていたものかと思いましたが…」
「・・・そういえば焔お姉ちゃんもペンダントを見つけたんだって。それも、さくらお姉ちゃんの部屋から。それで、わたしの事思い出したらしいわ」
さくらは、このペンダントが剣崎姉妹二人の謎を見つける手掛かりになるのではと思ったが、今はそんな話をするのではないことを思い出した。
「杏樹…いえ、朱里さん。もう、お姉ちゃんと呼ばなくていいんですよ」
さくらは、自分が
しかし、それを聞いた
「わたしのお姉ちゃんになるのは、いや…?」
と聞いた。
「いえ、そういうわけでは…」
「なら、お姉ちゃんになって欲しい。わたしにとって、焔お姉ちゃんも、さくらお姉ちゃんも、大切なお姉ちゃんなの。名前もそう。元からある朱里も、お姉ちゃんからもらった杏樹も、わたしの大切な名前。朱里であり、杏樹なの」
さくらは、自分だけで決めつけるのはよくない、そんな初歩的なことを忘れていたことを、恥ずかしく思っていた。
そうしてさくらは
「では、これからも、よろしくお願いします。杏樹」
と『微笑んだ』。
「!・・・うん、よろしくね」
窓から生暖かい風が入ってきた。もうすぐ夏だ。
◆
「ふっふっふ…待ってなさいよ、日本。超エリートのあたしが来るのを…!」
「あんまり、調子に乗っちゃいけないよ?いつもそういうときミスしちゃうんだから」
「うるさいわね!ほら、さっさと準備するわよ
「ボクはもう終わってるよ、