ロクでなし魔術講師とスタンド使いの暗殺者   作:nightマンサー

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これだけ書いて主人公視点無しという…


学院襲撃、視えぬ強襲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それまで学院で教えられていた魔術とは文字通り別次元のグレン先生の授業は、

連日立ち見の生徒が出る程に人気を博していた。

 

「それにしても、今日も多いわね」

 

システィが教室内を見渡してため息をつく。

今日は土曜日で本当なら学院は休みなのだけれど、

私達のクラスはヒューイ先生が急に辞めた事とグレン先生が自習にしていた分があって授業が遅れているので、

その分を取り戻すために今後何日かの土曜日も授業を行うことになっている。

 

「システィはグレン先生が人気者になって寂しいんだね」

 

「なっ!?そ、そんな訳ないでしょ!?」

 

システィは顔を赤らめて必死に否定してくるが、寧ろ信憑性が上がっただけなのは口にしない方がいいだろう。

そんなやり取りをしていると、不意に本を読んでいたリゾット君が扉の方へ鋭い視線を向けた。

 

「…?リゾット君、どうかしーーー」

 

リゾット君へ聞こうと言葉を発したのだが、それは扉が勢いよく開けられた事で中断させられてしまう。

見ると見知らぬ男2人がずかずかと教室に入ってくるところだった。

 

「ちーっす、邪魔するぜ」

 

男2人のうちバンダナを巻いた男が声を上げる。

 

「だ、誰ですか貴方達っ!ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ!」

 

システィが男達に声を上げーーー

 

「うるせぇな。【ズドン】」

 

瞬間、システィの真横を稲妻の弾丸が掠め壁に大きな傷を残した。

 

「ぐ、軍用魔術…!?」

 

「黙ってくれね?次逆らったら…ぶっ殺すよ?」

 

男の言葉に教室にいた生徒全員が状況を理解する。

そうして皆が黙るのを見ると、男はニヤついた顔で言葉を投げた。

 

「この中にルミアちゃんって子いる?居たら手ェ上げてくんね?」

 

自分の名前を呼ばれて驚くことを他所に、

男は近くにいたリンに知らないかと声をかけ、システィがそれを咎めると男の指がシスティに向く。

 

「私がルミアです…!」

 

「ルミア…」

 

「へぇ、君がルミアちゃんね…実は知ってた。君が名乗り出るまで1人ずつ殺すゲームしてたの」

 

システィに魔法が使われる前に、自分から名乗り出る。

システィの心配そうな声に続いて、バンダナ男が楽しげにそう発言した。

 

「…遊びはその辺にしておけ」

 

「へいへい」

 

もう1人の顔に傷のある男がバンダナ男を窘め、私に近付き同行するよう命令してくる。

 

「ダメよ、ルミア…!」

 

「大丈夫だよ、システィ。私には…とっても頼りになる人がいるから」

 

「ルミア…」

 

私の言葉を心配かけないようにする虚勢だと思ったのか、システィは泣きそうな顔をする。

 

(本当に大丈夫よ、システィ。今言った言葉は本当だから)

 

そうして私は男に連れられ、教室を後にする一瞬ーーー

リゾット君と目が合った気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティンジェルが連れ去られた後、フィーベルももう1人の男に連れ去られて、

教室に残っていた俺らは男達が張った結界の中に閉じ込められていた。

そんな中、俺ーーーカッシュ=ウィンガーとクラスメイトのギイブル=ウィズダンは途方にくれていた。

 

「なぁ、これから俺達どうなるんだ?」

 

「どうって…僕が分かるわけないだろ?」

 

皆が不安になる中、ふと足音が聞こえた。

音のするほうを見れば、そこにはリゾットが扉に向かって歩き出している所だった。

 

「お、おいリゾット、何を…」

 

そんなギイブルの声が聞こえて居ないかのように、リゾットは小声で何か呟くと結界に触れた。

 

 

 

ーーー瞬間、硝子が割れたような音が鳴り結界が無くなった。

 

 

 

その様子にその場にいた皆固まってしまう。

 

「お前らは撤退して何処かに身を隠せ」

 

そしてそれをやった張本人であるリゾットは一言そう言って扉を開け教室から出ていく。

 

「お、おいっ!」

 

それを見て一番最初に我に返り、リゾットを扉へとかけていく。

もし他にテロリストがいれば危険過ぎるためリゾットを連れ戻そうと思ったのだ。

そうして廊下へと目を向けたのだがーーー

 

 

ーーーそこには誰も居なかった。

 

 

 

「……え?」

 

思わず口から間抜けな声が漏れる。

だってそうであろう、リゾットが教室から出てまだ5秒程しか経っていない。

窓も全て閉まっているのにあの短い時間でこの廊下から居なくなるなんて不可能だ。

だというのに長い廊下には誰もいない。

なにか……なにか奇妙だ(・・・)…!

 

「おい、カッシュ!」

 

ギイブルに呼ばれ、俺はハッとしてギイブルの方を見る。

 

「リゾットはどうした?」

 

「わ、わからねぇ。ありのまま起こったことを話すなら、リゾットを追って廊下に出たら誰もいなかった。

何を言ってるか分からないと思うけど、俺自身もそう思ってる…」

 

俺のただならぬ様子を見てギイブルは何も言えなくなっていた。

今は考えても仕方ないと割り切り、俺達は移動するために行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おおよそ順調に計画が進んでいることに、レイク=フォーエンハイムは一先ず安心していた。

ジンがいつものお遊びしているが計画に支障はないため放置した。

俺の前を歩くルミア=ティンジェルーーー本当の名をエルミアナ。表向きでは流行病で死んだこととなっているアルザーノ帝国の第2王女である。

何故第2王女が表向き死んだことにされ、名を変えて生きているのか。その理由が我々が彼女を狙う理由である。

 

「私を狙ったということは、私の生まれを知っている…ということですか」

 

凛とした声で前を歩くエルミアナ王女が問いかけてくる。

 

「なるほど。今の態度といい、貴方は思った以上に聡明で覚悟している人のようだ」

 

「ある人に認められたくて、努力してきましたから」

 

この状況に悲観せず、かといって諦めている訳でもない。

今もし俺が隙を見せようものなら、確実に痛い目を見ると確信出来るほどの凄みが彼女にはある。

だからこそ、俺は今自身の魔術で剣を2つ自身の周りに展開している。

 

そうして彼女を指定の場所へ連行するため、1度屋外に出て数秒後。

 

 

 

ーーー喉に、違和感が生まれた。

 

 

 

「…っ!ごぼぉ!?」

 

次の瞬間、俺は口から何かを大量に吐き出す。

吐き出した体勢で地面を見れば、そこに俺の口から出た何かの正体があった。

 

(か、カミソリ(・・・・)!?何故こんな大量のカミソリが俺の口から!?)

 

「…っ!」

 

そうして意識が離れた隙を、あの王女が見逃す筈がなかった。

王女は走り一気に俺との距離をあけようとする。

 

「まっ…!」

 

待てと言葉に出したつもりが、先程のカミソリで喉が傷付いた直後の為か上手く発音出来ない。

すかさず展開しておいた剣を王女めがけ飛ばす。

殺してはいけないため、仕方ないが足を切りつけ動けなくするため王女の足を狙う。

 

 

 

ーーー瞬間、今度は口内に鋭い痛みが走った。

 

 

 

「…っ、がっ!?」

 

痛みにより剣の制御を手放してしまった。しかも何故か剣は 勢いが殺されたかのように(・・・・・・・・・・・・)王女に届かず地面に落下した。

その結果、王女に逃げられるという失態を犯してしまった。

 

(なんだ、何が起こっている…!?)

 

突然起こった不可解な現象。

喉からカミソリの出現、先程の痛みも口の物を吐き出して針である事が分かった。

 

(攻撃であることは間違いない。だが、敵は何処だ…!?)

 

今いるこの場所は屋外で見渡す限り隠れられる場所は皆無だ。

先程通ってきた建物の方にも姿は見えない。

 

「ならばっ!」

 

俺は再度剣の制御を行い、その剣を自分の周り出鱈目に切りつける。

その間に俺は辺りの様子を注意深く観察する。

 

そして、見つけた。

 

 

 

ーーー自分達が通ってきた部分以外の芝に、新しい踏まれた痕。

 

 

 

 

(やはり、いる(・・)!理由は分からないが、今この場に!王女を逃がし、俺を攻撃している敵が!)

 

 

「見えないが、いるのは分かった。ならば、殺すまでだ」

 

未だ見えぬ敵に、そう宣言した。

 

 


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