呪霊廻戦 〜呪霊で教師になります〜   作:れもんぷりん

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 投稿遅れてすみません!
 今はITパスポートの試験前で勉強が忙しくて・・・



体術

 

 朝、窓から差し込む光で目が覚めた。

 

 昨日は焼肉に行ってすごく楽しかったな〜

 少しは打ち解けられた気がする。

 

 身嗜みを整え、今日の予定をチェックする。

 よし、今日は授業だけだ。

 

 今日から授業、頑張るぞ!

 

 

 

 教室まで歩いていく間、何度か“窓”の人たちとすれ違った。

 

 その度に元気な挨拶をする。

 なんだか皆優しい目でみてくる感じがして心が暖かくなるのだ。

 

 10分程歩いて教室に着いた。どうやら既に全員来ているようだ。三人分の呪力を感じる。

 

「おはようございます!」

 

 そう言いながら扉を開ける。

 真希ちゃんは机に足を乗せてヤンキーのような姿勢をとり、狗巻君はパンダ君の体が気になるようでもふもふしていた。

 

 うん、仲良くなれそうだね!

 

「しゃけ」

「朝から元気だな」

 

 パンダ君と狗巻君は返事をくれる。真希ちゃんはなんか返事欲しいなぁ

 やっぱりこの時期の真希ちゃんはトゲトゲだね。

 

「ちゃんと皆いるね。じゃあ早速授業をします!」

 

 実は授業のカリキュラムは私が考えている。この三人に共通して間違いなく必要な分野。

 

 

 それは・・・体術だ。

 

 

 

 

 

 早速教室から校庭へ移動した。

 

「さて、一人ずつ見ていくので他の二人は準備運動でもしながら見学しておいてください。」

 

 この子たちは入学したばかり。

 まだ体術の基本すら知らないだろう。

 

 お互いに組み手をしたところで子供同士の喧嘩のようになるだけだ。

 

 そこでまずは私が相手をすることにした。勿論身体強化は使わず、自己流の武術も使わない。「理」は使うけどね。

 これは相手を傷つけることなく制圧するのに非常に向いているのだ。

 

「じゃあまずは狗巻君!」

「しゃけ」

 

 返事をして私の前に立つ狗巻君。原作では体術が苦手とされていた彼だが、意外にも今の時点で既に構えは出来ているようだ。

 やっぱり呪術師の家系は小さい時から仕込まれるのかな?

 

「さあ、何処からでもかかってきなさい」

 

 彼は一つ頷くと重心を低くし、こちらへと踏み込んでくる。

 私に近付くと右腕を軽く引いてから繰り出してきた。

 

 

 ちゃんと極めた「理」を使った戦闘を誰かに見せるのは初めてだろう。

 五条先生との戦闘では使っていないし、これを使った相手は皆祓われている。

 

 ここに宣言しよう。

 

 この「理」さえ掴めばそれだけでそこらの武術を凌駕する牙となると。

 

 

 全く踏み込む事を考えず、相手の意識に入り込む様に自然に踏み込んだ。

 別段速い踏み込みではないが、余りにも自然体で成されるこの動作を相手が意識するのは難しい。

 

 これは相手の意識の隙に流れるように入り込む技術。

 明希の記憶を追体験しなければ習得するのは不可能だっただろう。

 

 伸びてくる拳の左横に立ち、その勢いに逆らわない様に右手の甲を押し当てる。

 後は軽く押すだけで相手の動きの流れを掌握できる。

 

 本来ならこの後勢いを利用しながら空いている左手で相手の心臓の位置に平手を打ち、同時に呪力を流し込んで爆発させることで確実に息の根を止める。

 勿論生徒相手にそんな事は出来ないので右脚を使って狗巻君の足を巻き込み、くるりと一回転させて地面に転がした。

 

 呪力操作で地面にこっそりクッションを張っているので安心安全だ。

 

 狗巻君は何が起こったのか全く分かっていない様子で地面に仰向きで倒れ込んで目をパチパチさせている。

 

「ふむふむ。大体分かりました」

 

 狗巻君を起こし、頭を撫でる。頑張った時は褒めないとね!

 

「では次です。パンダ君!」

「おう」

 

 のっそりと立ち上がる大きなパンダ。2メートルはありそう。

 私の1.5倍はあるね。

 これは体術において大きな助けになるだろう。

 

「ではどうぞ」

「行くぞおおお」

 

 少し間延びした声で向かってくるパンダ君。

 なかなかの速度である。

 

 彼はまず地面を思い切り殴りつけ、砂埃を巻き起こした。

 パンダ君は呪骸と呼ばれる特殊な存在だ。凄く簡単に言うと動く人形であるので、砂埃が上がっても目に砂が入ることはない。

 

 良い作戦だ。だが、一定以上の相手だとこれは殆ど意味がない。

 呪力感知があるからだ。

 

 後ろに回り込み、大きく腕を振り上げるパンダ君に敢闘賞!

 後ろを向き、振り下ろされる腕に手を当てる。接触する瞬間に同じ方向、同じ速度で手を動かし、衝撃をいなしながら流れを掌握。

 

 その勢いのまま下へと引っ張る。自分が予想していた以上に腕が下へと向かわされ、前の方へと態勢を崩すパンダ君。

 彼の腕を更に下へ送ると同時にそこを起点にして跳び上がる。

 

 倒れ込んでくるパンダ君。

 

 そして跳ね上がる私。

 

 その勢いのまま顎を膝で蹴りぬいた。

 

 

 パンダ君がすごい勢いで後ろに倒れ込む。

 

 しまった!

 つい癖でやりすぎちゃったかも!

 

「パンダ君!」

 

 すぐに駆け寄り、様子を伺う。

 

「イテテ」

 

 顎を擦りながらむくりと起き上がる彼を見てほっとした。

 危なかった。もし呪力をこめるか身体強化をしていたら殺してしまうところだったかもしれない。

 

「ごめんね。やりすぎちゃった」

「訓練だから仕方ないさ」

 

 やばい。パンダ君がイケメンだ。しっかり謝り、待機組に戻ってもらう。

 

 

 次が本命だ。

 別に今までが前座だった訳じゃないけど、呪術廻戦で体術といえば彼女の分野。

 

「じゃあ真希ちゃん。やろうか」

 

 類稀なる身体能力の持ち主。フィジカルギフテッドの真希ちゃんだ。

 

 

 

 

「じゃあ真希ちゃん。やろうか」

 

 そう言われて今まで自分が呆けていた事に気がついた。

 体術には自信があった。自分は天与呪縛によって呪力が無く、代わりに高い身体能力を与えられたフィジカルギフテッド。

 

 呪術界でそれは汚点となる。

 

 だから体術を磨いた。それが自分の武器を活かす最大の方法だから。

 呪具の眼鏡が無ければ呪霊を見ることすら出来ない自分は間違いなく呪術師に向いていない。

 

 そんなことは分かってる。

 

 

 そんなの知ったことか。

 

 

 自分を馬鹿にした連中を見返す。

 やると決めたら後はやり通すだけ。

 

 そう思ってずっと暇を見つけては鍛錬してきた。

 

 だが彼女には及ばない。

 このヘンテコな教師の足元にすら届いていない。

 

 傍から見ていても何が起こったのか分からなかった。

 その動きの美麗さに目を奪われた。

 

 まるで踊り子が舞うかのように美しい動作。

 完成された武の極地を目に焼き付けた。

 

 

 立ち上がる。

 

 この人なら・・・

 

 

 初めてだった。

 純粋な思いで、本気で心の底から師事したいと思った。

 

 まずは私の全部をぶつけよう。

 

「お願いします」

 

 深く礼をし、構える。

 今までとの態度の違いに彼女がひどく驚いたような顔をしているが、それを気にしている余裕はない。

 

 深く入り込む。

 意識の奥深くまで落ちていく。

 息を吸い、自然体で構えた。

 

 こちらから仕掛けてもダメだ。

 相手の武術はどちらかというと受けが強いように思える。

 

「なるほど。正しい判断ですね」

 

 そう言いながら一歩前に踏み出す彼女の姿がぶれた。

 

 来る!

 

 ほとんど反射的に右腕を体の横に立てた。

 それと同時に感じる途轍もない衝撃。

 

 受けて初めて蹴られていたことに気がついた。

 吹き飛ばされないように体勢を低くして堪え、隙を見せないようにする。

 

 先程は警戒していたのに全く認識できなかった。あれは速度によるものでは無く、独特で特殊な歩法によるものだろう。

 

 腕に軽い痺れを感じながら体勢を整え、次こそは反撃に移れるように構えた。

 

 一手目の焼き直しのように彼女の体がぶれた。少しだけ目が慣れたのか、なんとなく攻撃の軌道を捉えられる。

 

 今度は左側から抉るようなアッパーが放たれていた。

 とんでもない速度で迫るそれをなんとか身を地に着くほど低くして躱し、腕を支点にして回し蹴りを差し込む。

 

 

 入ったと思った。

 

 完璧なカウンターだ。避けようがない。

 

 

 簡単に足を取られた時、アッパーが撒き餌だったことに気がついた。

 こちらのカウンターを誘発したのか、敢えて反応できる速度まで動きを落とし、自分のテリトリーに引き摺り込む。

 

 思考の流れを読まれたかのような完璧な試合運びだ。

 回し蹴りの勢いを殺され、何をされたかも分からず体が宙を舞う。

 

 全く敵わない。

 

 手も足も出ない。

 

 師事したところでこんな領域まで到達できるのだろうか・・・

 

 

 

「驚きました」

 

 

 地面に倒れ伏す私のすぐ横にしゃがみ込み、こちらの顔を見下ろす白い鬼。

 そのとき彼女の顔を初めてちゃんと見たかもしれない。

 

 馬鹿にしに来たのか・・・そう思った時。

 

 

「これまで出会った中で一番の才能です」

 

 

 何を・・・

 

 

「三ヶ月です」

 

「は?」

 

 

 

 

「三ヶ月で今の私を超えさせてあげましょう」

 

 

 

 

 もはやどう反応すれば良いのかさえ分からなかった。

 





 皆素人な訳ないよね〜
 今の私というのは身体強化も呪力感知も関係なく、「理」を扱う技術のことです。

 ちょっと解説!

「理」を利用した動きって?

 究極の自然体。動きの初動と過程が認識出来ないので、いきなり攻撃されたように錯角する。普通に頭おかしい技術。
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