乙骨憂太を形成する上で必要となる真希、狗巻との物語がありますね。
あれ、これ以上なく意味ないのでカットします。
今の二人をピンチにしようと思ったら特級が必要だからです。
それ故、他の形で乙骨は形成されていくことになります。
私が好きな言葉。
それは“友情”
この作品のテーマと言っても過言ではないですね。
乙骨君が編入してから一ヶ月が過ぎた。
まだまだ馴染めていない様子だが、三人共積極的に絡んでくれている。
すぐに仲良くなれる事だろう。
乙骨君の修業に関しては五条先生にカリキュラムを組んでもらっている。
理由は簡単、彼には全く魔改造が必要ないから。
知っている限りの原作内容から鑑みて呪術師最強は間違いなく五条先生。
次点で乙骨君だろう。
私が余計な事をしなくてもそれだけ強くなる。
原作において、同期四人の中でも隔絶して強かったのは決して才能だけが理由ではなかったと考えている。
五条先生の教えがこれ以上なく彼にマッチしていたのだ。
彼は天才だ。
呪術という分野において溢れんばかりの才能を持っている。それこそ五条先生と同じ位大きなものだろう。
だから教師と生徒としてこれ以上なく合った。
天才同士で分かり合うところがあったからだ。
明希は神才、何の努力もなく全ての事が出来てしまう。
天才キャラにありがちな努力しなかった故の敗北というのが起こり得ない。成そうと思えば全て成る。
そんな彼女は教育者に向いていない。
そして私は凡才。
才能で届かない所は努力で追いつく。私は食事をしている時も、授業をしている時も、寝ている最中だってずっと呪力操作の練習の為に軽い身体強化を施している。
授業の合間に発見報告のあった呪霊は吸収に向かっているし、羅刹流の練習は毎日怠らない。領域展開も一日一回精度を高める鍛錬を行っている。そうして此処まで這い上がってきた。
今では私個人で戦っても五条先生に勝利できる自信がある。
ここまで言えば分かるだろう。
私は天才に教えるのに向いていない。だが、凡才の範疇に燻る者を鍛えるとなれば私以上はいないだろう。
だからあの三人は伸びた。
実力は既に一級術師以上かもしれない。
逆に乙骨君に教えられることは何も無い。底なしの呪力を持つ彼に呪力贈与は必要ないし、反転術式だってすぐに覚えるだろう。
体術の才能に光るものは感じないので「理」を教えることも出来ない。
黒閃も放っておいたら撃てるようになるし、本当に何も手助け出来ないのだ。
だから唯一手助け出来るところを引き受けることにした。
◆
「ほぅ・・・」
かちゃり、と小さく音を鳴らしながらカップをテーブルに戻す。
中の紅茶が美しく光を反射した。
「なるほど、乙骨君のそんなところが好きなんですね」
「う゛ん゛」
「良いですね~青春してますねぇ」
「そ、そ゛うかな?」
「はい!乙女の顔しちゃって〜」
対面に座るのは里香ちゃん。
呪霊で女の子という点で気が合った私達は気がつけば親友となっていた。3日に1回ほどこうやって女子会を開く。
「お前も苦労するな、里香」
そしてもう一人。
「だが応援しているぞ」
遂に友達が出来た明希である。
お茶会は私の精神世界、つまり生得領域の中で開かれている。
この三人が呪霊女子会のメンバー。三人全員が世界を滅ぼし得る力を持つイカれた集団だ。
「あ゛り゛か゛とぉ」
「そう泣くな」
泣き始める里香ちゃんを明希が宥める。
いつもの光景。
なんて尊い空間なのだろうか。
「て゛も゛、こ゛ん゛な姿じゃぁ」
今の里香ちゃんは人間の頃とは似ても似つかぬ変わり果てた姿をしている。
これも可愛らしいと思うのだが、やはり本人からすれば結構なショックらしかった。
「心配しないで」
私は約束する。
「いつか必ず元の姿に戻してあげるからね!」
明希もうんうんと頷いている。
里香ちゃんはまた泣きそうになりながらも嬉しそうに笑っていた。
こうして里香ちゃんの教育とは名ばかりの時間は楽しく過ぎ去っていった。
◆
呪術高専一年生の四人は皆で街に出掛けていた。
亜鬼が授業に休みを設け、青春を満喫してくるようにと指示を出したのだ。仕方がないから取り敢えず外に出たのは良いが、何をすればいいか全く分からない。
真希は背で眠る亜鬼を気遣って極力揺らさぬようにしながら話しかける。
「てかこれ大丈夫なのか?」
亜鬼がぴくりとも動かず、魂が抜けたかのように脱力している様子を心配する真希に対してパンダが溜息をついた。
「それ四回目だぞ。亜鬼は大丈夫って言ってたしな」
「こんぶ」
余程大事なんだな、とからかうように笑う二人をキッと睨み付ける真希。
「ま、まあまあ真希さん、冗談なんだし」
そして宥める乙骨。
真希は面白くなさそうに鼻を鳴らし、辺りを見回した。
「で、何すんだよ」
雑多な街、特に東京には娯楽が多い。カラオケや映画館、服屋に飲食店でも良いだろう。
お金は亜鬼が奢ると言って聞かなかったので結構な額がある。
「ほら、噂のディズニーランドなんてどうだ?」
「しゃけ!」
パンダが名案を思いついたかの様に手を打つ。それに同意するように狗巻は目を輝かせた。
「よっしゃ、どうせなら東京を楽しみ尽くしてやるとするか」
真希も賛同し、楽しい空気になり始めたその時、乙骨がぽつりと呟く。
「そこ、千葉なんだよね」
結局、行き先は小さなマクドナルド。それでも彼らの間では笑顔で会話が飛び交う。
その後はカラオケでフリータイム。
それぞれ聞いたことがあるだけの曲を歌い尽くした後は焼肉屋に直行。
目を覚ました亜鬼と頬に浮かび上がる明希、乙骨の背から小さくなって飛び出すミニ里香ちゃん。
誰もが口元に笑みを浮かべている。
これ以上なく暖かな空間。
乙骨と里香の関係を皆で囃し立て、亜鬼が偶に見せるポンコツをからかう。
食べ放題を良いことに大食い大会を開催し、優勝は亜鬼が掻っ攫った。
そうして英気を養い、それぞれ部屋に戻って眠りにつく。
今夜は幸せな夢を見るだろう。
これが青春。
これが友達。
明希が何よりも欲しかったもの。
明希にとって何よりも得がたかったもの。
彼女は幸せを噛み締め、わざわざ毎日精神世界に来て眠る亜鬼に抱きついて眠った。
◆
無粋な影が一つ。
「やはり特級呪霊“死風”の力は圧倒的だと言わざるを得ないな」
袈裟に身を包んだ怪しげな男。
「存在しているだけで屈してしまいそうな程の圧を感じる。あれを調伏するのは厳しいだろう」
彼もまた、五条悟とは別の形で呪術界を変えようと企む者。
この世に僅か四人しか存在しない特級術師の一人。
「だが祈本里香、あれは使える」
かつての五条悟の親友でライバル。
「始めるとしようか・・・」
“百鬼夜行”をね
夏油傑が動き出した。
亜鬼が始め真希の背で眠っていたのは女子会をしていたからです。
乙骨の側にいる必要があるため、このような形をとっています。
因みに亜鬼を運ぶ係は真希ちゃんが自ら立候補しました。
視点質問!
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原作の視点で進めて欲しい。
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今のままの視点で進めて欲しい。
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それぞれ半々くらいで進めて欲しい。
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閑話で他視点をもっと追加してほしい。