呪霊廻戦 〜呪霊で教師になります〜   作:れもんぷりん

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 ちょっと短め。
 次への繋ぎの回です。



改変

 

「っ・・・ここは・・・?」

 

 虎杖は暗闇の中から目覚めた。

 自分は最後に何をしていたのだったか?

 確か三人で任務を受けに行って・・・

 

「伏黒!」

 

 自分が何をしていたのかを思い出し、寝ぼけていた頭が一気に覚醒した。

 思わず飛び起き、辺りを見渡す。

 

 側に立っていたのは白衣を着た女性と五条悟。

 

「おわっ!フルチンじゃん!!」

 

 五条は自分が裸なことに驚く虎杖に近づき、手を差し出した。

 

「悠仁!おかえり!!」

 

 何が何だかよく分からないが、虎杖は取り敢えず乗ることにした。

 

「オッス、ただいま!」

 

 ハイタッチを交わし、二人は再開を喜び合った。

 

 

 

 

 

 

 

 伏黒と釘崎はどこか暗い表情で階段に座り込んでいた。

 

「結局何にも出来なかったわ」

 

 そう呟く釘崎に対して慰めることすら出来ない伏黒。

 伏黒もまた、何も出来なかったと考えている一人だったからだ。

 

 虎杖は今も意識不明だという。

 あれだけボロボロになりながら戦ったのだから仕方のないことだろう。

 その損傷の9割以上を亜鬼が占めていることは言ってはいけない。

 

「暑いな」

 

「・・・そうね。夏服はまだかしら」

 

 話す話題も無く重い雰囲気の中、天気デッキ並みに続かない会話を続ける二人。

 

 

「なんだ?いつにも増して辛気臭いな・・・恵」

 

 真希はそんな二人に躊躇なく話しかけた。

 

「お通夜かよ」

「禪院先輩」

「私を苗字で呼ぶんじゃねえ」

 

「真希、そこまでにしとけ」

「おかか」

 

 不謹慎極まりないツッコミを入れた真希を止めたのはパンダと狗巻だ。

 真希の方を引っ張り、虎杖が昨日から意識不明なことを伝える。

 

「あぁ?死んでねえなら大丈夫だろ。先生もいるしな」

「だとしてもだ!」

「おかか!!」

 

 

「何?あの人達」

 

 いきなり出てきて漫才のようなやり取りを始める三人を見て、釘崎は伏黒に尋ねた。

 

「二年の先輩」

 

 伏黒は小さな頃から呪術高専に関わってきた。

 少なくとも生徒のことなら一年生の誰よりも知っているだろう。

 

「禪院先輩、学生の中で近接戦最強。呪言師の狗巻先輩、語彙がおにぎりの具しかない。パンダ先輩、見ての通りパンダだ。あと一人、乙骨先輩って唯一手放しで尊敬できる人がいるが、今海外」

「アンタ、パンダをパンダで済ませるつもりか」

 

 パンダを見た人間なら誰もが通る道だが、接している内にパンダが如何にマトモかが分かってくるので問題ない。

 

「スマンな、心の整理も着かん内から」

 

 やっと言い争いを終え、パンダが本題を切り出す。

 

「だがオマエ達に“京都姉妹校交流会”に出てほしくてな」 

 

 

 それは“強さ”を求める二人にぴったりの話だった。

 

 

 

 

 

 

 五条は考える。

 

 これからどうするか。

 

 急遽現場に駆け付けてくれた亜鬼のお陰で最悪の事態は避けられた。

 だが一度防いだだけ。これからも同じようなことが起こるであろうことは容易に想像が出来る。

 

 いっそ悠仁のことを死亡扱いにし、その期間で鍛えようかとも考えたが、流石に怪しまれるだろう。

 悠仁は運び込まれた時点で意識不明だと報告された。

 反転術式を施せる硝子がそれを治せないとは考え辛い。きっと上層部はまだ何か手を打ってくる。

 

 余程殺したいのだろう。

 今回の事で亜鬼が機嫌を損ねて自分達の命を狙う可能性すら考えられたのに、リスクを承知で始末したい位には。

 

 となるとどうしても時間が足りない。

 刺客が送り込まれて来たり、意図的に悪意のある任務を振られた際、今の悠仁では対処出来ないだろう。

 

 何とか悠仁を鍛える期間を作り出し、何度か任務を体験させて呪術師として成熟させる必要がある。

 やはり時間と人手が足りない。

 

 

 その時、扉が乱暴に開けられた。

 

「誰だ?」

 

 五条が今いるのは高専の地下、それも結構厳重な警備が為されている保健室の近く。

 となると伊地知だろうか?

 

 思考を妨げられた五条は不機嫌気味に入口へと目を向ける。

 そこにはいる筈の無い男が立っていた。

 

 

「何でオマエが此処にいる」

 

 

「なぁに。ちょっくら約束事だ」

 

 揺れる黒髪が目に映える。

 牢獄の中で生活していた癖に随分と元気そうだ。

 

「どうだ。今、鬼強い護衛とか欲しいんじゃねえのか?」

「鬼にやられた男は冗談が上手いな」

「お互い様だろ?坊ちゃん」

 

 その男はかつて五条を破った男。

 

 

 

 名を伏黒甚爾。

 

 

 

 

 

 

 カフェに入店した袈裟の男、羂索は注文をすることも無く、共に入店した三体の呪霊の内の一体、漏瑚と話し込んでいた。

 

「つまり、君たちのボスは今の人間と呪いの立場を逆転させたいと。そういう訳だね?」

 

 問いに対して漏瑚は機嫌を損ねながらも答える。

 

「少し違う。人間は嘘で出来ている、表に出る正の感情や行動には必ず裏がある。だが負の感情、憎悪や殺意などは偽りのない真実だ。そこから生まれ落ちた我々呪いこそ・・・」

 

 

──真に純粋な()()()“人間”なのだ

 

 

 漏瑚から濃密な呪力が溢れ出る。

 呪霊が全く見えていない周囲の人間ですら明確に異常を感じる程だった。

 

「偽物は消えて然るべき」

「・・・現状、消されるのは君達だ」

 

 その言葉を聞いて更に機嫌を損ねる漏瑚。

 

「だから貴様に聞いているのだ。我々はどうすれば呪術師に勝てる?」

 

 羂索は答えを大いに迷った。

 正直に答えて協力を取り付けるのが良いか、それとも自分の都合の良いように動くよう仕向けるか・・・

 

 やはり後者が良いか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中々に興味深い話ですね」

 

 

 美しい声が響いた。

 静謐な筈のその言葉はしかし、不思議と全員の興味を奪い取った。

 

 羂索は冷や汗をひた隠し、ポーカーフェイスを崩さない。

 

 漏瑚は気が付かぬ内に自らの肩にかけられた手がいつ自分の命を刈り取るのか不安で不安で仕方が無かった。

 友好の証な筈のそれが今は何よりも恐ろしい。

 

「あれ?続けて貰って構いませんよ?」

 

 誰も分からない筈だ・・・今の羂索の居場所など!

 呪霊陣営の存在すら知らず、裏で何かが蠢いていることすらも!

 

 何故だ・・・何故ここにいる!

 

「これはこれは、お初にお目に掛かるね」

 

 

──特級呪霊“死風”

 

 

 羂索は驚愕と不安、死の予感を全て飲み込んで話しかけた。

 他の誰であろうと出来ない勇気ある行動だと言えるだろう。

 

 だが返される言葉は無い。

 

 一手にて周りの全てを掌握した白き鬼はどこまでも穏やかに笑った。

 

 

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