呪霊廻戦 〜呪霊で教師になります〜   作:れもんぷりん

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 さあ、最強への第一歩!

 一気に時間が飛びます。


準備

 

 さて、黒閃を無事習得した訳だが。

 明らかにおかしな点がある。

 

 まず、呪力量が爆発的に増えている。

 領域展開に使われた呪力量を差し引いても特級に近い量を感じる。

 

 これは今まで封印に使われていた呪力がそのまま体に戻ってきたのだろう。かなりのリソースを封印に割いていたのが分かる。

 

 そして、呪力操作技術が有り得ないほど成長している。いや、これは成長という範囲内に収まるものではない。進化だ。

 

 意識なんてしなくても、ずっと体中の血管を滞りなく呪力が廻っている。

 

 

 心臓の鼓動。

 

 

 血管の脈動。

 

 

 筋繊維の動きの一つ一つに至るまで。

 身体中の遍く全てを完全に掌握。制御できる。

 

 また、第六感とは違う、新たな感覚を得た気がする。

 分かるのだ。自分を中心に半径五百メートル程の範囲内にある全てが。

 

 木がざわめくのも。

 

 水が流れるのも。

 

 聴覚じゃない、視覚じゃない。

 全能感が身を浸す。

 

 

 それと同時に理解した。

 これは私の力ではない。

 

 私はこんな馬鹿げた能力を有していない。

 

 これは私の半身の才能。今まで縛り付けられていた少女の持つ才能だ。

 

 こんな世界で生きていたのか。

 体の動かし方一つにしても生まれ変わったかのようだ。実際、私達は二人で一つの新たな呪霊として生まれ変わったのかもしれないが。

 

 頭は冴え渡り、もはや情報処理に手間取ることもない。少し回復してきた呪力で吸収術式を発動させた。

 

 

 そこからトランプを裏返すかのような気楽さでくるりと術式を反転する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

成った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒閃をモノにしてから早5年。

 私は拠点を変えてから、また修行に没頭していた。

 

 前の洞窟は私の中にいる明希ちゃんと名付けた少女による領域展開に巻き込まれて消滅。

 黒閃を放った際に派手に山を抉ったので、呪術師に追われる可能性も考えて早めに居場所を変えたのだ。

 

 都会とは言い切れないくらいの寂れた空き家に住み着いている。

 

 どうせ私のことは見えてないからね。

 

 

 

 

 さて。正直に言おう。

 

 修行はその工程の殆どを終えた。

 呪力操作は世界の中で誰よりも上手くなったと自信を持って言える。

 

 明希が持つ才能の力も勿論あったが、それに頼らず必死に試行錯誤した。

 吸収術式の封印を使った訓練方法は使えなくなったので、基本的には呪力を物質化する練習をしていた。

 

 物質化と言っても、禪院真衣が持つ構築術式のようなものではない。呪力を使って空中に絵を描き、それを固定化するといったものだ。

 これがまた難しく、呪力操作を次の段階まで引き上げてくれた。この呪力操作は私が好む近接戦法でも素晴らしく役に立つだろう。

 

 私が1級呪霊相手に試運転をした際にも使った技術である。

 足の裏に呪力の板を用意して、それを蹴ることで空中でも方向転換ができるというわけだ。それ以外にも咄嗟の防御や軽い牽制攻撃にも使えるだろう。

 

 

 また、術式反転の結果生まれた術式である、放出術式。

 

 これがまたチートだった。

 

 ガチートだった。

 

 その能力は言葉の通り放出。私が吸収術式にて取り込んだ物を、放出できるという訳だ。

 

 そう、呪力だけではない。

 このことに気がついたのは術式反転の練習に飽き、修行とは名ばかりの遊びをしていた時だ。

 

 

 私は身体能力の強化は出来るが、体を硬化することはできない。

 それがずっと心残りだった。

 というのも殴るときに腕が砕けるのではないかというほど痛いのだ。そのせいで連撃というのが出来ない。

 

 なので硬化を意識して呪力操作をしてみたのだ。

 勿論結果は全くの空振り。呪力は万能ではない。多少硬くはなるが、正直そこまで変化がある訳ではなく、普通に私の攻撃の反動は貫通してくる。

 

 だがその時、胸の中の明希がそっと私の手に自らの手を重ね、術式反転を行った。その時は何が起こったのか分からなかったが、次の瞬間。

 

 私は腕の硬化に成功していた。

 どうなっているんだと調べた結果、衝撃の事実が明らかになった。

 

 私の放出術式の本質は吸収した物を外に反映するということ。吸収した呪力を放出するのはもちろん、吸収した術式も扱えるようになる。

 

 つまり、過去に吸収した呪霊の術式が使えるようになっていたのだ。

 

 

 これが如何にチートかは分かって貰えると思う。

 例えの話だが、あの最強と名高い五条悟を吸収したとしよう。

 

 そうすると、私の放出術式によって無下限呪術を使えるようになるという訳だ。まあ使えるようになるだけで無下限呪術を扱うには六眼が必須らしいので意味はないだろうが・・・

 

 

 だが実際、そんなに甘い話では無かった。

 

 術式というのは唯一つをまともに扱うだけでも多大な苦労がいるものである。

 

 そんな術式を、ましてや他人のものをそんなに簡単に扱えるはずがない。硬化術式という単純極まりない術式でさえ、まだまだ上手く扱えない。

 

 私の吸収術式は正直に言って異常だ。

 だがここまで規格外のありえない能力でありながら、私は既にこれを使いこなしている。

 

 これは吸収術式が明希という人格の生まれ変わりであり、それと同時に私と一つになった明希が人間史上最高レベルの才能を持っていることが大きな要因である。

 

 特に前者の効果が大きく、私に最大限協力し、力を貸してくれる訳だ。

 同時にこの吸収術式が元々私に備わったものであり、本能的に使い方をうっすら理解していたというのも大きい。

 

 だが放出術式で使うのは他人の術式。

 

 つまり私は元の術式の持ち主が本能的に理解している術式を扱う方法を知らず、ただこの身に宿った才能だけで術式を使いこなさなければならない。

 

 ここからはひたすら反復練習をして硬化術式を使い続けた結果、2年間ほどかけてなんとか実践で使えるレベルまで持っていくことが出来た。

 そこからやっと術式の質を上げていき、今では本来の持ち主以上に使いこなすことができる。

 

 これだけ大変なので、沢山の呪霊を吸収してその術式を全て使うというのは不可能だ。

 

 

 それだけじゃない。

 少しずつコツコツとやっていた呪霊吸収が身を結び、ついに壁を越えた感覚があった。

 

 並の呪い達では到底辿り着けない呪いの頂点。

 

 

 特級呪霊の仲間入りだ。

 

 だからと言って何かが変わったというわけでも無いが、これによって最低限準備が整ったことになる。

 

 

 なんの準備かって?

 

 

 

 呪術高専に行く準備だ!

 

 これで最低限、逃げる間も無く祓われることはないだろう。

 

 実を言うと、私は結構人助けをしている。

 野良呪霊に襲われた一般人はみんな救出しているし、呪術師だろう人たちが殺されそうになっているのも何度も助けている。

 

 結構姿を見られていると思うから、”人を助ける呪霊”として報告されていたら嬉しい。

 今が原作の時系列のどこなのかは分からないが、それも確かめたいところだ。

 

 もしかしたら私の推しの高専2年生組が見られるかもしれない。

 ふふっ楽しみだ。

 

 今回は本当に軽ーく覗きに行くだけだ。

 

 高専の大体の位置は調べてあるが、正確に分かっているわけでは無い。

 場所を確認して、ちょっと様子を覗いて帰ってくるだけである。

 

 

 さあ行くぞ明希!

 友達を作りに!

 

(うん!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタ、どっかで会ったか?」

 

 

「気にすんな、俺も苦手だ」

 

 

 

男の名前覚えんのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 おいこれまだ星漿体編じゃねえか!

 





 次回「禪院甚爾死す!」デュエルスタンバイ!


 さあ、ついに原作介入が始まります。

 作品内で主人公は自分がやっと特級呪霊並みの呪力量を得たと勘違いしていますが、実際には違います。現時点で並みの特級呪霊くらいならボコボコにできるくらいには強く、呪力量も多いです。

並みの特級呪霊とは...?

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