A:本当に申し訳ない。もうちっとだけ続くんじゃ
俺が会場に来てから、だいたい一時間くらいが経過しただろうか。
ここに来た当初に比べ、会場にはかなり人が増えてきていた。
顔馴染みの者もちらほらと見受けられる。
ただ、料理を取ってくるのはディアブロに任せっきりなので、自分の席からはほとんど動いて無いから分からないけど、交流ができそうな親しい人物はもう会場に来ているだろうか。
そう言えば一つ言い忘れていたことがあった。
今回も前回と同様に、一般の者からの俺への交流には、一部の者を除いて原則制限を設けていた。
無論、無用なトラブルを避けるためだ。
少し違う点を挙げれば、前回は暗黙だが、今回は明確に。
そして今回の場合は俺だけに限った話ではなく、各国元首や魔王、勇者などの一定以上の立場や実力がある者にも、俺と同様に一般からの制限を設けている。
参加者が直接の招待者だけだったなら徒に交流をする心配は無いだろうから、制限を設ける必要は無い。しかし、今回も前回同様、招待者だけでなく代表随伴者の参加を認めている。
随伴者の中には
そういうわけで、カリギュリオの時のように俺の方から直接関わらない限りは、社交辞令の挨拶程度に留めてもらっているのだ。
まあこれも、俺が魔王だとか国のトップだとか、そういう立場や威厳などを、ちょっと気にし無さ過ぎるのが原因だったりするんだけどね。
交渉とか腹の探り合いとか、未だに苦手だし。
ああ、それと。
先に断っておくと、俺が現在温めている今後の計画や目標などを、今日この場で語るつもりはない。
その理由は単純に、明日の “世界会議” というそれを語るにふさわしい舞台が今回既に用意されているからだ。
もっとも世界会議の各出席者に関しては、今日までの事前調整で発表する内容を既に把握済み。
まあ事前調整とは言うが、一部の国や関係者とは、復興事業の段階から今後の目標に向けての協議や連携を綿密に重ねているし、計画そのものはもう動き出している。
そんな感じで、俺の計画をこの場で話しておく相手は、誰一人としていないのだ。
語る必要が無いから語らない。
実にシンプルな理由だ。
むしろ、思う存分にパーティを楽しめることを考えれば、こっちの方がみんな気が楽でいいだろう。
さてさて、そろそろ馴染みの深い誰かが俺のところへやって来てもおかしくない頃合いなのだが・・・・・・。
んー、おかしいな。思った以上に人が来ない。
さすがにちょっと暇になってきた。
目ぼしを付けていた料理は全て堪能できたことだし、ここはひとつ、こちらから挨拶に周ってみるか──────
*
案の定、俺が席を離れて会場を周り始めると、すぐに馴染みの者を見つけた。
というか、俺のところに人が全然来ない理由もそこでようやく分かったんだけど。
俺が初めに出会った人物というのは───
「よお、ギィ。ちゃんと楽しんでもらえてるみたいだな」
俺が最初に出会ったのは、 “
俺と同じく
「───ん、リムルか。存分に楽しませてもらってるぜ。最初は社公場なんて面倒だと思っていたが、ここに並ぶ料理だけでも来て正解だったな」
「そいつはどうも」
どうやら、ギィは今日の料理が大変お気に召したらしく、大皿を片手にテーブルに並ぶ料理を片っ端から堪能している様子だった。
この時はすぐに気が付かなかったが、俺のところになかなか人がやって来なかったのも、ギィのように先に料理を楽んでおこうという者が多かったからのようだ。
よくよく考えてみれば、事前調整の関係で前乗りしていた者達よりも、今日の前夜祭の日程に合わせて本日到着したという者のほうがはるかに多いのだ。
時間差はあれど、各々前乗り組と合流して明日に向けて色々と準備や確認があるだろうし、俺よりも会場入りが遅くなるのは当たり前といえば当たり前だろう。
それに、参加者に案内した前夜祭の開催時刻の目安は、厳密に言えばちょうど今頃なのだ。
また、今日のこの場で俺との要望の確認や協議の必要が無いのであれば、当然個人で料理を楽しんでから交流するという者も少なくはない。
ぶっちゃけ、俺自身がそのつもりで早めに会場入りしていたわけだし、完全に盲点だった。
そんな料理を楽しんでいるギィだが、唐突に辺りを見回し始めて誰かを探しているようだった。
俺がそのことをギィに問いかけようとしたのだが、それよりも早くギィは俺にある人物について尋ねてきた。
「なあ、ディアブロのヤツはいねぇのか? テメェがいるってことは、十中八九会場にはいるよな?」
「ああ。いるにはいるけど、参加者というより俺の護衛役でね。挨拶回りの邪魔しないように、離れて付いてきてると思うよ」
ギィが探していたのは、ディアブロだったらしい。
一応、ディアブロも一緒について来てはいる。
ただ、傍に控えさせると、無駄にお節介を焼いたり面倒の元になったりするのが目に見えているため、念のため離れた位置にいるようにと釘を刺しておいたのだ。
「なるほどな。来てるんなら色々と話したいことがあったんだが───まあ後でもいいか」
「ならよかった。あとでディアブロにも伝えとくよ。ところでギィ、その恰好なんだけど───」
「ああ、こいつか・・・・・・。ホントはいつもの恰好で来るつもりだったんだがよ、ヴェルザードのやつがうるさくて仕方なくな」
そう言って、やや疲れたような表情を浮かべるギィ。
さすがのギィと言えども、愛する女性に強く意見されると弱いらしい。
ギィには悪いが、今後の交渉のためにこの事は覚えておくとしよう。
そして肝心のギィの格好だが、遠目からでも良く目立つ深紅の長髪は、今日は後ろで大きな三つ編みにして纏めている。
服装のほうは、いつもとは打って変わってオーダーメイドと思しきフォーマルスーツに、紅いベストを組み合わせて着ていた。
意外とこれが様になっており、ギィの美貌と合わさることで、何とも言えない見る者を魅了する妖艶さを醸し出していた。
普段黙っていてもにじみ出る傲慢さと威圧感が、心なしか薄れている───ような気がする。
というかギィの礼服、なんかもの凄い力を感じるんだけど?
そう思ってざっと解析してみれば、その性能は計測下限値の時点で “
正確に測れたとしたら、おそらくは “
ただの礼服にこれだけの等級が付くとは、流石はギィが着るモノというべきか。
しかも、特筆すべきことはまだ他にもあった。
その礼服は一応、ギィの魔力にしっかりと馴染んでいるようだったが、悪魔特有の物質創造で具現化されたモノでは無いようだ。
なんと、材料の加工から仕立てまで、使用する材料にも、細部の装飾にまでこだわって丁寧に作られた、正真正銘の一品ものだった。
そうなるとやはり製作者が気になるところだが、流石にこのレベルだともう存命していないかもしれないな。
だが俺がそう結論を出そうとしたところで、シエルさんから鋭い指摘が飛んできた。
言われてよく観察してみれば、年代物にしてはかなり新しいデザインや装飾が使われているではないか。
そうするとこれは、比較的新しく作られたモノということになり───
「へぇ、かなりすごい代物みたいだけど、製作者って誰なんだ? その礼服って、性能の割に比較的新しく作られたモノだよな?」
「ああ。ヴェルザードが今日のために用意したって言ってたけど、詳しくは聞いてねーんだ。ぶっちゃけ、そこはあんま興味なかったしな」
おっと、いきなり目論見が外れてしまった。
ギィ曰く、聞くならヴェルザードさんに直接聞いてみてくれ、とのこと。
まあ、別にそこまでしなくとも俺にはシエルさんが付いているので、製作者の特定などお茶の子さいさいだ。
さっそくシエルさんに製作者を聞いてみたのが、その名を聞いた俺は、心の中で密かにビックリすることになった。
なんと、その製作者というのはシュナだったのだ。
遂にシュナも、クロベエのように “
後で聞いた話によると、ヴェルザードさんからシュナ個人に、正式な製作依頼があったらしいのだ。
ヴェルザードさんの要望を下にシュナが礼服を製作し、その仕上げとしてヴェルザードさんが魔力を馴染ませることで、 “
本来膨大な時間と労力を掛けて生み出されるはずの “
ヴェルグリンドも、俺と戦ったの際に『物質創造』で “
シュナが作品に込めた技量を見極め、作品を壊さないように、変質させないよう慎重に馴染ませるには、相当な技量と気力があってはじめて成せる、まさに神の御業だ。
ただ、 “
ギィを見つけた時から、礼服はギィ自ら選んだモノではないと予想していたが、まさかヴェルザードさんがギィのために用意した代物だったとはね。
ぶっちゃけいつもの恰好と比べると、目の前の魔王よりヴェルザードさんの方が良いセンスをしているのではなかろうか。
まあでも、俺には専門の知識も無ければ、普段着る物もほとんどシュナに選んでもらっている。
そんな色眼鏡に染まった俺の美的センスのことを考えれば、他人をどうこう言えたもんじゃないんだけど。
「おい、なんか失礼なこと考えてねーか?」
「いや全く? 普段とイメージが違うから、ちょっと感心してただけだよ」
ギィにではなく、ヴェルザードさんに、だけど。
「けっ。ならまあいいけどよ」
相変わらず勘の鋭いヤツだ。
口では納得してる素振りをしているが、未だにうっすらと疑いの眼差しを俺に向けていた。
表情と心理は悟られないように意識していたし、
もしかしたら慣れない恰好と交流で、外からの視線が気になって少し神経質になっているのかな?
意外とギィも繊細なヤツなのかもしれない───と思ったが、シエルさん曰くそういう訳ではないらしい。
曰く、長らく魔王として君臨し続け外部との交流を持たなかったたギィは、情勢の変わった世界で今後どの様に振舞うべきかを、慎重に見極めようとしているのだとか。
勝手な推測でしかないけど、シエルさんが言うなら大方当たっているのだろう。
基本的に傲慢に態度で振舞うギィだが、実際には意外とマメで真面目なヤツなのだ。
過去数千百年に渡って、世界のパワーバランスを地道に調整していたことを考えれば、それは間違いないだろう。
先ほどでまかせに、感心したなどと言ってしまったが、よもや本当に感心することになるとはね。
本人に直接言うと絶対怒られるし、後々面倒を押し付けられるから絶対に言わないけど。
そんなことを考えつつ、今話に挙がったヴェルザードさんにも挨拶をしようと辺りを見回したのだが・・・・・・。
しかし、ヴェルザードさんの姿は見当たらない。
少なくとも、目視できる範囲には居ないらしい。
軽く『万能感知』の範囲を会場全体に広げてみたけど、やはり会場にヴェルザードさんの気配は無し。
まあ、ギィならば所在を知っているはずだし、直接聞くのが手っ取り早いのでさっそく聞いてみよう。
「なあ、ギィ。ヴェルザードさんは来てないのか? 来てるなら、一応挨拶だけでもしておきたいんだけど」
『アイツならヴェルドラのところに居るんじゃねーか? 挨拶しに行くって言ってから、それっきり戻ってこねーんだ』
ギィはよほど料理が気に入ったのか、食べる手を止めることなく、器用に “念話” を使って俺の疑問に答えてみせる。
こっちから話しかけておいてなんだが、ちょっと行儀が悪いなと感じてしまうのは日本人としての感性だろう。
まあ本当に喋っているわけでもないし、単に俺が気にし過ぎてるだけだと思う。
それにしても、ヴェルドラのところか。
確かヴェルドラは、串焼きと鉄板焼きを提供する
ヴェルドラはこの
販売に使う店舗は、俺の思いつきで移動式のキッチンカーを採用しており、カイジンやドワーフ三兄弟の手を借りて、ヴェルドラ自身がデザインと設計を行い自ら製作したものだ。
さらに “串焼き” や “鉄板焼き” の調理方法も、シュナをはじめとする料理人たちに助言をもらい、前より美味しくなるようにと真面目に研究と練習を重ねていた。
以前、試しに食べてみてほしいと言われて作ってもらったが、実際本当に美味しかった。
ちなみに今回は、ラミリスもヴェルドラに協力している。
ラミリスは精霊工学に精通しているため、精霊魔導核を用いた鉄板焼きや串焼き用の加熱調理設備の開発と、そこで利用する精霊の召喚と調整役を任されていた。
もしかするとヴェルザードさんは、ヴェルドラの
ヴェルドラに苦手意識を持たれていることを知ってから、ちゃんとヴェルドラに向き合って接してあげたいと思っていたようだし、準備の手伝いという線は十分にあり得る。
「これだけ長いってことは、もしかしたらヴェルドラの準備を手伝ってくれているのかもな。まあ多分だけど。それが終わり次第こっちに来るんじゃない?」
「なるほどな。というか、ヴェルドラもなんかすんのか?」
「ああ。ほら前にヴェルドラが鉄板焼きと串焼きってのを作ってくれただろ? アレをその場で作って売る
「おーアレか。簡単に作れる割にけっこう美味かったから、よーく覚えてるぜ」
ギィは串焼きと鉄板焼きと聞いてすぐに思い出したようだ。
それもそのはず。
随分と前の話になるのだが、ギィがヴェルドラの作る串焼きと鉄板焼きを初めて食べた時のこと。
当初ギィは、その作り方を見てあまり期待していない様子だった。しかし、食べてすぐその美味しさを知り、それ以来鉄板焼きと串焼きの料理をギィはとても気に入っているのだ。
余談ではあるが、案の定ギィは、ヴェルドラにその作り方のレシピをレインとミザリーに伝授してやってほしいと、すぐさま交渉を持ち掛けた。
しかしヴェルドラは、「一子相伝、秘伝のレシピゆえに~」などと、良く分からない理由でレシピを教えることに対して難色を示した。
ぶっちゃけ漫画で得た知識なのだろうが、竜種であるヴェルドラに一子相伝もなにも無いだろうに。
当時同席していた俺は色々とツッコミを入れたかったが、どうせギィも同様にツッコミを入れるだろうと交渉の行方をそのまま見守っていた。
だが俺の予想に反してギィは、ヴェルドラとヴェルザードさんの関係性をダシにすることで、ヴェルドラとの交渉を華麗に成立させてしまった。
驚きとおり越して、呆れるとはまさにこのことだ。
無論、何がとはあえて明言しないが、ギィとヴェルドラのどちらに対してもだ。
まあそんな感じで、その日のうちにレインとミザリーは串焼きと鉄板焼きのレシピを、それもヴェルドラ秘伝のレシピを伝授してもらえたのだった。
さらに余談だが、ミザリーとレインの二人は本日一般参加ではなく、会場のスタッフの一員として前夜祭に協力してもらっていた。
別にギィが勧めてくれたわけでも、俺が頼み込んだわけでもなく、天魔大戦やらなんやらで力を借りたお礼にと、本人たちが自ら協力を申し出てくれたのだ。
そんな彼女たちの善意を、せっかくの協力を無下にするわけにもいかないため、一応ギィに確認を取ってみたところあっさりと許可が下り、本人たちの能力も十分なため即採用が決まった。
実際その能力に関しては、語るまでも無く非常に優秀だった。
悠久の時を生きる原初の名に相応しく、しかもギィの配下なだけあって、こと料理や給仕などにおいては達人の域をも軽く圧倒するほど優れた技術と知識を備えていた。
故に、そんな彼女たちを一般のスタッフと同列に扱うのは逆に困難なうえに、勿体ない。
ということで、会場運営の各責任者らを交えて入念な調整と相談をした結果、二人には料理と給仕における部門統括長を任せることが決定した。あとは、接客の技術指導を行う臨時顧問を担当することも同時に決まったのだった。
ぶっちゃけ、レインとミザリーの手を借りられたのは、こちらとしても非常にありがたかった。
前夜祭のスタッフの中には、当然
そんな、名付けにより強い者は
シュナやベスターが中心となって指導に回ってくれたのだが、彼らだけでは少々心許ないと言わざるを得なかった。
まあ別に、彼ら
じゃあ実際何が問題なのかというと、それは彼らの技術指導に掛かる時間的、人材的な都合だった。
受け入れた彼ら
そこからさらに話が発展し、今後の運用を想定した祭典に向けての技術指導が決定したのだが、完成した施設の運用を把握したうえで指導ができる人材の確保が予想以上に難航し、
故に、
まあ最悪の場合、ディアブロに教育を任せることも検討していたのだが、ディアブロの教育には
ヴェルザードさんに関しては予想外だったが、そういった事情が重なった結果、ギィはひとりで料理を楽しんでいたようだ。
そしてその最中に俺が交流に現れて、さらに串焼きと鉄板焼きの話題が持ち上がったところで、ギィがこれから何を聞いてくるのかは、シエルさんに聞かなくとも容易く想像がつく。
それはおそらく───
「ふむ。思い出したら久々に食いたくなってきたな。今日は色んな料理が揃ってるって聞いてるんだがよ、その串焼きと鉄板焼きは食えねーのか?」
「もちろん用意してるとも。あそこに赤い
予想した通り、ギィは鉄板焼きと串焼きを所望してきた。
俺は待ってましたと言わんばかりに、あえて周りに聞こえるようにやや大きな声で、しかもわざとらしい口調でギィに説明した。
それを聞いたギィは、俺の意図に気付いたのかニヤリと笑う。
「やっぱり今日は来て正解だったな。よし、せっかく来てやったんだ。ちょっくらオレに付き合って、美味い料理や他のオススメの一つや二つでも───いやきっちり全部教えやがれ」
おっと、これは流石に予想外。
てっきりここで別れる流れになって、ギィはヴェルザードさんが来るまで料理を一人で楽しむものと思っていた。
流石にヴェルドラが来るまで、まだまだかかるなんてことはないだろうし、そのちょっとの間の暇つぶしになら構わないかな。
「まあ教えるのは良いけど、ヴェルザードさんとヴェルドラが来るまでね。他にも挨拶しておきたい人が大勢いるし、どうせ明日もヴェルドラの
「チッ、しょうがねぇな。まあ、テメェの言う通り続きはヴェルドラのヤツにでも聞けばいいし、それでいいぜ」
ということでヴェルドラさんには悪いが、合流した後はギィの相手をしてもらうことにしよう。
どうせヴェルザードさんから逃げられるとは思えないから、親睦を深めるいい機会だと割り切って引き続き頑張ってもらうしかあるまい。
おそらく、ラミリスも一緒にいてくれるだろうし、俺もちょっとはフォローを入れるつもりだ。
まあ今日のギィは無性に優しい感じがするし、ひどいことにはならないだろう・・・・・・たぶん。
そんなこんなで、俺は少しの間だけ串焼きと鉄板焼きをギィと共に楽しんだ。
なお、その際に以前より大幅に増えたメニューに対して、ギィが目を丸くしていたのが少し面白かった。
串焼きと鉄板焼きのどちらにおいても、トッピングや味付け、好みの具材など豊富なバリエーションを選べるようになっている。
その初めて方式にギィは戸惑いながらも、俺のオススメや料理人さんのアドバイスをもらうことで、なんとか注文をすることが出来た。
そして、先に注文していた俺の鉄板焼きが出来上がったようで、それを食べ終えたタイミングでヴェルドラとラミリスが、ヴェルザードさんに連れられる形でやってきた。
とりえあずヴェルザードさんに挨拶を済ませ、ギィに断りを入れてそそくさと席を立つ。
案の定、おっさんとちびっ子が色々と言ってくるのだが、ヴェルザードさんのたった一言の圧を受けて一瞬で鎮静化した。
正直、俺もちょっとだけビクッとした。
ヴェルザードさんは、ヴェルグリンドとはまた違った凄みがあるんだよね・・・・・・。
身内で言えば───そう、シュナみたいな。
って、ちょっとギィさん、笑ってないでちゃんとヴェルドラにフォローをしてあげてください。
俺も気を取り直してヴェルドラにフォローを入れ、少し無理やりにではあるが一応納得してもらった。
ヴェルドラは俺のフォローで気を持ち直したのか、さっそく得意げに鉄板焼きと串焼きの解説を始めた。
やっぱりチョロいなこのおっさん。
それにしても、
これならギィの相手も問題ないだろうと、俺は心置きなくその場を後にしたのだが・・・・・・。
去り際にふと振り返って見ると、そこに並ぶ四人の姿はまるで家族のような───なんというか、とても微笑ましい光景が目に映った。
そんな光景を見た俺は、不意に家族のことを思い出して、少し懐かしい気持ちになったのだった。
思い出しついでに、俺も三上悟として前の世界で都合が付く時にでも、久々に家族に顔を出すとするかな───