親愛なる隣人、ウマ娘と共に。   作:elle/エル

6 / 6
ブラックダリア

 

「…え」

 

あの時の記憶が脳裏に蘇ってくる。

 

『これ…』

『ブラックダリア…』

『殺人事件の!』

 

急に懐かしくなって。

あれ、最近懐かしむことも無くなってきたはずなのに、な。

戻りたくても戻れないあの頃。そう思うと涙が。

 

「…ナーさん…レーナーさん…!トレーナーさん!」

 

「…あっ、え。あっ、そっか、ごめん。えーっと、今日からデビュー戦へ向けてトレーニングを始めていくよ。改めてよろしく。ブラックダリア。」

 

「あっ…は、はい。よろしくお願いします、トレーナーさん。」

 

彼女の名前を聞いてからのことをあまり覚えていない。

ふと、思い出してしまって。

ボーッとした気持ちで過ごして、気付いたら職員としての事務作業も終えていて、気付いたら1日経ってて、今は学園のトラックで、トレーニング初日と言うことで、改めて挨拶を交わしていた。

 

…まだ、MJとのことは乗り越えられていない。

ずっと引きずってしまってるんだなってことを自覚してしまった。

そして、これからもずっと引きずるんだろう。

 

…ずっとこんな気持ちでいたらダメだ。切り替えていかないと。とりあえず…

 

「ダリア。じゃあまずはこのトラックを一周してきて。」

 

「はい。」

 

ここ、トレセン学園の芝・ダート合わせたトラックは広大で、芝の一周だけでもかなり広い。

 

そんな場所をトレーニングで毎日走り抜けるんだからウマ娘のスタミナはとんでもないものだと言うのを改めて思う。

 

この上にアーマーとかを付けたらまた地球に脅威が迫った時とか、かなり強いんじゃないか…?

 

…っと、いけないいけない。僕はもうアベンジャーズには入っていないただの親愛なる隣人なんだ。こう言うことを考えても意味無い、か。

 

考えるのをやめて、トラックを走っているダリアに目を向ける。

フォームは綺麗で、一定のペースで走っている。

そのままどんどんこちらに近づいてきて…

 

芝の1800mのトレーニングコース。さて…

「タイムは1:49.8。平均より少し早いね。このペースでどんどん上げていこう。」

 

「はい…!」

 

走り終わりすぐ息を整え、次のトレーニングの指示を待つダリア。

 

「じゃあ、次のトレーニングは…」

 

それから陽が落ちる前くらいにトレーニングを辞め、僕はトレーナー室に。ダリアは寮に戻った。

____________________________

「それでねダリアちゃん!そのオペラオーちゃんって子が何かこう、すごくてね!」

 

「へー、どんな風に?」

 

「えっと…うーん、すごくて、すごいんだけど……あー、そう!すごく自分にすごく自信持ってて、それでいてすごく良い子なんだ!」

 

「へー…私も話してみたいな…」

 

今私がいるのは私の部屋がある栗東寮の私たちの部屋。

そこで同室になったナリタトップロードちゃんと友達になった子のことをお互い話していた。

 

トップロードちゃんはテイエムオペラオーちゃんって子のことを熱く語っていた。それだけすごい子なんだろう。私も話してみたい。

 

「それで、ダリアちゃんは、何か友達になった子で面白い子はいた?」

 

「あー、私は…」

何か記憶に残っている子は…

『『でやああああああああああ!!』』

 

「…あー、スペシャルウィークちゃんって子。私と模擬レースで一緒に走って一緒に叫んだ。」

 

「あはは!楽しそう!」

 

「うん、楽しい。」

 

「…多分、オペラオーちゃんにもトップロードにも負けないくらい、凄く強い子になるって、私は思う。」

 

「私たちも負けてられないね。」

「そうだね。」

 

そのまま他愛も無い話を続けて、そのまま布団に就き、次に目が覚めたのは小鳥のさえずりが聞こえて来る朝だった。

______________

 

「ふぅ…とりあえずひと段落、かな…」

自分に割り当てられているトレーナー室で、ある程度仕事を終わらせた僕。

とりあえず休憩していた。

 

「…学園の中、散策してみるか…」

 

思えば入学してからあまり詳しくは学園の内部を見ていない。

見取り図などを見て大まかな位置を知っているだけだ。

少し色々見てみよう、と思い、学園の施設に足を運ぶことにした。

 

まずはプール。

今もトレーニングをしている子たちがまばらにいる。

クロールや背泳ぎなど、色々な泳ぎ方でみんな頑張っている。

少し見ていたら、すぐ近くでバシャン、と音が鳴り1人の子がプールに飛び込んだ。

 

「Wow...!」

水しぶきが飛んできて、それをギリギリで避ける。

「危なかった…」

 

そのままそそくさと他の施設にも足を運んだ。

 

図書室。

トレセン学園と言うこともあって、トレーニングに関する本、レースに関する本、走り方に関する本など、ウマ娘に関する本が大量に置かれている場所。

 

そこで僕は走り方についての本を読んでいた。

今のダリアの走り方を見るに、恐らくあの子はマイル、中距離向けの脚を持っていて、走り方は多分先行が合っていると思う。

 

少し読み耽って、他の本も見てみることにした。

 

ウマ娘の本以外にも、小説や図鑑や伝記など、色々揃っている。

 

並んでいる本を見てみて、少し気になるものがあった。

 

『図鑑:世界を救ったアベンジャーズの英雄たち』

『伝記:トニー・スターク/アイアンマン』

 

やっぱりスタークさんはずっと昔から。

そう、スタークエキスポの時に僕を助けてくれた時から、命を懸けてサノスを倒して、それからも、これからもずっと。僕のヒーローなんだろう。

 

図鑑を読んでいて、ふと自分がどう言う書かれ方をしているのか、と気になって、自分のページを開いてみた。

 

『図鑑No.17 スパイダーマン:正体が不明の神出鬼没のヒーロー。2018年のスナップ騒動や2017年の現在収監中のエイドリアン・トゥームスによるヴァルチャー騒動で主に活躍していた。

だが、2023年に起こした伝説のヒーロー、Q・ベック、通称ミステリオを殺害した事件※と自由の女神で起こした騒動でしばらくの間姿を消していた。

現在はニューヨークなどで「親愛なる隣人」として活動していると言う噂が立っている。

※ミステリオ殺害事件は、証拠が不十分な点や、ミステリオ殺害時の映像が、合成可能であるとして、現在犯人はスパイダーマン以外にもいるかもしれないとされている。』

 

「…」

まあ、予想は付いていたけど、こういう書かれ方をされると凹む。

 

でも"あれ"は自分で選んだ道だから、当時を懐かしく思っても、後悔はしていない。あれで色んなユニバースが救えたんなら、それでいいと思う。

 

とりあえず何冊かウマ娘の本を借りて、研究しよう。

 

「すいません、これ借ります。」

 

「本の貸出ですね。…はい、どうぞ。またご利用してくださいね〜。」

司書のゼンノロブロイちゃんからそんな言葉を受けて、図書室を出る。

 

「疲れたし、そろそろ帰るか…」

 

それから少し歩いていて。

キィィィィィィィィーーーーーーン……______________

 

いきなり、スパイダーセンス(第六感)が反応した。

「…!」

 

意識を集中させる。そして…

 

ガラララ、とすぐ近くにあった部屋の扉が開き。

「やばい!!!!」

と、男が1人出てきて。

 

ドカァァァァン!!!

と、爆風が部屋から吹き荒れ、その衝撃で僕も吹き飛ぶ。

だが頑丈だからすぐ立ち上がり。

「大丈夫ですかッ!!!」

すぐに男の元へ駆けつけ、言葉を掛けた。

 

「あ、あぁ…大丈夫です…すいません、心配お掛けしました。それより…」

警報が鳴り響く中、中には倒れている1人のウマ娘がいた。

 

「…!」

ダッ、と彼女の元へ駆け寄り、容態を確認する。

「大丈夫、ただ気絶してるだけだ。早く保健室に連れて行って!」

 

「あ、ありがとう…本当に…!」

そのまま彼女を保健室に連れて行く彼。

心なしか、狂気を持つような目をしていたような気がする。

まるでゴブリンの様な…

 

 

 

 

それから少し経ち、彼女も回復して、今は爆発で残骸と化している部屋の前で僕とウマ娘とそのトレーナーと3人で話していた。

 

「本当に、ご迷惑をお掛けしました…!」

「私も、すまないと思っている。本当に助かったよ。」

「ああ…まあ、僕自身に傷は無いので。お2人に怪我が無いんだったら無問題ですよ。」

「所で、どうしてこんなことに?」

 

「ああ、それを説明する前に、私たちの自己紹介をしましょうか。まずはこの子から。」

「私の名前はアグネスタキオンだ。よろしく頼むよ。ヒーロー君。こちらの人は私のモルモ…トレーナー君だ。」

「タキオンのトレーナーの神永新二です。」

「ヒーローはやめてください…では僕も。僕の名前はピーター・パーカー。ここにはいませんが、ブラックダリアと言うウマ娘のトレーナーをしています。よろしくお願いします。」

 

「ふぅン。ピーターか。顔立ちから分かってはいたがやはり外国の方か。ではよろしく頼むよ、ピーター君。」

「よろしくお願いします、ピータートレーナー。」

 

「よろしくお願いします…!」

 

「そして、どうしてこんな事になっていたか、だが…」

「私はウマ娘の無限の可能性を信じていてね。それが夢でもあるんだ。だからここの今は残骸と化している研究室で毎日研究を重ねていた。だから、今日もいつものようにトレーナー君と研究をしていたんだが…」

 

 

 

『タキオン。この赤いやつと緑のやつを混ぜれば良いんだな?』

『そうだ、やってくれ、モルモット君。』

『よし、入れたぞ。次はどうすればいいんだ?タキオン。』

『あぁ、次は………ん?いや待てよ。赤いやつと緑のやつ…?いや待てモルモット君、その成分の名前は…』

『え?あぁえっと、確か、「硫黄」と「硝酸銀」…』

『モルモット君!!!!それから今すぐ手を離すんだ!!!!』

『えっ』

液体が入ってるフラスコが手から落ち、割れずに衝撃が伝わる。

『逃げるんだ!!!!今すぐ爆発するぞ!!!!』

『なッ…!?』

2人一斉に走り出し。

ガラララ。

『まずい!!!!!』

 

 

 

「そしてドカァァァァン、と。そう言う訳さ。」

「ほんとに何と言うべきか…」

「いえいえ、まあ大丈夫ですので…」

 

「ああ、そう。助けて頂いたお礼に、何かしたいな、と思っているのですが…」

「えぇ、そんな!そこまでして頂かなくても…」

 

「私なら何か作って欲しいものがあれば作れることも可能だが。」

「いやいやそんな……ん?」

 

いや、待てよ。スパイダーマン活動として使う。蜘蛛糸。ウェブシューターはホームセンターや工具店で材料を集めれば作れる。だが糸はそう言うわけにはいかない。

物質や素材を集めて少し設備も作って作らなければいけない。トレーナーをしながらそれは、かなり負担が掛かる。それに今目の前にいる彼女は相当頭が良いはず。それでいて設備もある。なら…!

 

「じゃあ、作って欲しいものがあるんですが…!」

 

 

 

 




お久しぶりです。
いざ書いてみたら筆が進んだので書いてみました。
タキオンの実験関連はあまり上手く描写出来てないです。すみません。
覇王世代が好きなのでどう絡ませれば良いのか考えて、トップロードは同室が不明なので使えると思ったのでダリアと同室になりました。
時系列はごっちゃです。
出てくるウマ娘のトレーナーにはそれぞれ名前を付ける予定です。タキオンのトレーナーの名前は神永新二です。
ウルトラなマンとは特に関係は無いです。

▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。