「わにゃー!(大王様ー!ケーキを運んできましたー!)」
「わにゃ!わにゃー!(大王様ー!フルーツ詰め合わせを持ってきましたー!)」
「わにゃ!わにゃ!(ほらそこ!遊ばないの!)」
「わにゃ?(あれどこにあるか知ってる?)」
「わにゃ……(調理場にあった様な気が…)」
「わにゃわにゃー!(それだー!)」
今日もいつもの様に響く『わにゃ』という声。
口の無い、よちよちと歩く丸い生物。
勘のいい人ならばわかったと思うが、これは星のカービィというゲームシリーズに登場する
【ワドルディ】という生命体だ。
それについて説明をさせてもらうと話はひどく遡る事になりとても長くなるため、今回は省略させてもらうが……
完結に言うと、俺…いや、ワドルディは僕というんだったっけか?まあとにかく、僕は転生したのだ。
僕の死因は、新作である星のカービィディスカバリーというソフトを買いに行ったときに、視界が悪く自動車と衝突してしまったためにここ、デデデ城で大王様に仕える一人のワドルディとして生を受けた。
先に言っておくが僕はバンダナワドルディじゃなくて普通のワドルディだ。いわゆるモブ。特に特徴もない軍団の内の一人。
一応槍は持っているし今までの貢献のお陰で一つの隊のまとめ役にも抜擢されたが所詮はワドルディだ。吸い込まれたら一瞬で倒されるザコ敵。キングオブザコ。弱さではクリボーとタメを張れるくらいだし、カービィを一撃で倒せないので何ならクリボーよりも弱い。
その分耐久力も少しは高いが能力を使われたら文字通り瞬殺される。
せめてブレイドナイト(ソード)やホットヘッド(ファイア)ならまだ戦えたものの……どうしてよりによってワドルディなんだふざけんな……と転生させた神か何かの上位存在に文句を言いたい。同じワドルディだとしてもせめてバンダナワドルディにしてほしかった。
話は変わるがこの世界はアニメ版の方のカービィではなく、ゲーム時空のカービィの様だ。
デデデ大王はZOYZOY言わないし、何故かエスカルゴンは居るが例の商会とは繋がっていない。
あと大王がイケメンすぎる。
スタアラとかのタラコ唇大王じゃなく64の時の大王の顔なのがポイントだ。まあ始まった原作によって顔の形が変わって行くのだが。
原理は知らん。
性格も良い。
カービィをライバル視はしているがアニメ時空とは違い助けるし僕達ワドルディを身を挺して庇ってくれる理想の上司だ。
どこぞの鬼の始祖とは大違いだ。
欲を言わせて貰えば星のカービィディスカバリーの本編を全てプレイしてから死にたかったが……
まあ贅沢は言えまい。
死んだのは自分の注意不足だったし、それで文句を言っても意味がないしどうにもならない。
ただ、俺は今までに数々の原作を経験してきたのだが……それら全てのストーリーから小ネタまでの大体を把握していたからいわゆる初見プレイでは無かった。
そのためPVや体験版以上の情報を知らない上、完全な別世界の話なのでこの第二の生の経験がほぼ通じないと考えてもいいだろう………。
HAL部屋は勿論、ラスボスの攻略法も知らないため、その…………とても不安なのだ。
この世界での生死の価値観も分からないため最悪の状態を予想して動くしかないのがきつい。シナリオを予め知っていた事は本当に幸運だったのだと再認識する。
しかし運が悪いことに、ディスカバリーにはあのドノツラフレンズ候補が居るのだ……………。
カービィは疑うことを知らないため玉乗りピエロやイカサマ卵などの前例があったのに警戒しないだろう。
カービィは例え共に冒険した仲間だとしても敵として現れるならボッコボコにするから大丈夫だと思うが、一人称が『ボク』で、言葉を喋って、女子ウケの良い見た目で、物語の序盤から味方であるなど、共通点が多すぎる。だからつい裏切るのではと疑ってしまうのだ。
64の【リボン】の様な感じならば良いのだが…
やはりどこか疑ってしまう。
………僕は今何をしているのか、だって?
大王様の暇つぶしに付き合ってるよ。今ゲームしてる。働いているのかとでも思ったかな?
大王様が暇だ暇だって言ってたからハルトマンワークスカンパニーに依頼して前世のゲーム機やソフトの案を元に作ってもらった。まあ世間的にはテストプレイみたいな感じだけどね。
向こうは新しい金の成る木を手に入れられてこちらは暇を潰すための娯楽を手に入れる事ができる。そんなWin-Winの関係というわけだよ。
前世によくやってたのも相まって、ゲームの腕ならワドルディの中で一番上手いのでこうして相手をしている。
やはり機械関係はあそこに頼むのが一番良い。マザーコンピューター、略してマザコンはカービィがぶっ壊したがそれでも設備などは辛うじて残っていたため我が大王様率いるワドルディ軍団の手伝いもあって復活することとなった。
流石に原作が始まる十数年前の出来事なので、【クィン・セクトニア】を救うif√を開拓できなかった。ッハァー……誠に、不甲斐ない。
セクトニアは鏡のせいで狂ってしまったため治すこともできずカービィが倒すしか道が無かったが、その過ちを活かし何とか【プレジデント・ハルトマン】の救済if√へは行けたのだ。
そのためデデデ城組とカンパニーとの親交は続いているという訳だ。これに関しては自分を全力で褒め称えたい。if化が成功したときにはもう叫びたい程に達成感を味わった。
誰かが死ぬのは、例え知らない者だろうと決していい気分にはならない。だから僕が目指すのは無犠牲END、ただ一つだ。
いつこの平和が乱されるのか分からない。
いつ次回の原作が始まるのか分からない。
だがそれでも、星の戦士が倒してくれると信じて、今はこの日常を謳歌する。
願わくば、誰も死なないでほしいと。
キャロレオを推せ。
レオキャロでも可。