東方平穏録   作:Elecom

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すみません。ここで、とある事実を明かします。

実は自分、幼女系ヒロインが大好きなんです。どれぐらい好きかと言うと、朝に食べる食パンの代わりに幼女系ヒロインにマーガリンないしバターを塗って齧りたいくらいです。










嘘です。


第3話

 魔理沙が泊まった次の日の朝。朝食を食べた魔理沙は家に帰って行った。その時に霊夢と一悶着あったのは言うまでも無い。

 

 さて、今日はどうしよう。

 午前中にいつも通りの朝食と掃除を終えたため、昼以降は暇になる。霊夢も今日は人町にある寺子屋の教師である慧音に用があるらしく、只今不在中。今は縁側で茶と金鍔を味わっているが、一人なので30分ぐらいで終わるだろう。

 

 ……寂しいなぁ。

 

 そう思いながら玉露を手に取ろうとすると、僕の前方に奇妙な影が迫っていた。何事かと上を見上げれば箒に乗った少女がいた。

 

「よぉ、ユマ。またまた遊びに来たぜ!」

 

 その箒に乗った少女は僕の目前にゆっくりと降下して、地に足を付ける。白いリボンが撒き付けられた黒のとんがり帽子を頭に、白と黒の服を身に纏った少女――魔理沙だ。地面に降り立った魔理沙は僕の元に目掛けて飛びついて来る。このままスルーしてやろうとも思ったけど、そんなことしたら魔理沙が怪我を負うかもしれないからやめておこう。

 

「いらっしゃい、魔理沙。そうは言っても、ついさっきぶりだけどね」

 

「そう言うなよ。少しの間とは言え、私がいなくて寂しかったろ?」

 

 おぉ、良く分かってるなぁ魔理沙。流石に長い付き合いにもなれば、そう言う事も分かってくれる。

 

「うん、寂しかった。魔理沙は朝早く帰っちゃうし、霊夢は人町に行っちゃったし……まぁ、君はすぐに帰って来たけどね」

 

「う、うん!そうだよな!私がいなくて寂しいのは当然だよな!」

 

 魔理沙は腕を組みながらウンウンとドヤ顔で頷いている。頬も少し赤が掛かっている所を見ると、照れてるようだ。うむ、可愛い。

 頷いていた魔理沙は何かを思い出したような表情になると、僕に詰め寄って聞いて来る。

 

「そうそう、ここに来た理由なんだけど、これから一緒に紅魔館(こうまかん)に行かないか?」

 

「紅魔館に?」

 

 紅魔館。湖の付近にある建物の名前で、全体が血に染まった様に赤いのが特徴である。他にも、時計台があったり、大図書館があったりする。そしてなんと言っても、一番の特徴はそこの住民だ。

 

 レミリア・スカーレット。蒼みの掛かった髪と小柄な体格で、顔もまだまだ乳臭さが抜け切っていない吸血鬼の少女だ。だが、実際の年齢は500で、見た目だけで子供扱いをすると痛い目を見る。

 そして、その妹であるフランドール・スカーレット。金色の髪にこれまた小柄な体格で、レミリア同様にまだまだ幼い容姿の吸血鬼の少女だ。レミリアとは5つの歳の差で495歳。本当に容姿詐欺である。

 レミリアの従者でメイド長の十六夜(いざよい)咲夜(さくや)。レミリアをひどく溺愛しており、その域は幻想郷の誰が見ても異常と言えるだろう。だが、家事等の能力はずば抜けて高い。

 来る日も来る日もチャイナドレスの(ホン)美鈴(メイリン)。華人小娘と呼ばれるだけあって、体術に秀でている。門番を始め、花の世話等を行っており、居眠りし易いのを除けば紅魔館で一番女性らしいかもしれない。

 そして、レミリアの友人で図書館に籠もっているパチュリー・ノーレッジ。魔法に長けており、魔理沙の好敵手(ライバル)と呼べる人物。だが、実際はご飯を食べて読書に耽る、言わば本の虫である。

 そして、図書館の司書である小悪魔のこぁ。名前の通り、時々S気を発揮して人をからかうという癖があるが、その割にしっかりしている子だ。一家に一台否、一人欲しい。

 他にも妖精メイドが多数いるが、彼らは役に立つとは言えない。

 

 こんな個性豊かな彼らが住む紅魔館。今から約一年前にレミリアが異変を起こし、その際に霊夢と魔理沙を筆頭に色々とやらかしたのは良い思い出だ。でもそんな事もあってか、紅魔館の住民たちとは仲良くやっていけているのが現状。

 

「んー……」

 

 それにしても、紅魔館か。最近は訪れてないし、久々に皆の顔が見たくなっていた頃だ。丁度良いのかもしれない。

 

「そうだね、僕も行くよ。魔理沙はパチュリーに本を借りに向かうんでしょ?」

 

「おぉ!やっぱり、ユマは私を一番分かっているぜ!」

 

 眼をキラキラさせて、僕を見つめて来る魔理沙。だけど、借りると言う言葉には語弊があるかも。

 

「だけど、魔理沙?パチュリーから本は盗っちゃいけないよ?」

 

「と、盗ってなんか無いぜ!ただ、死ぬまで借りるだけだ!」

 

「それは盗みと同じでしょ?紅魔館に行く前に魔理沙の家に寄って、パチュリーの本を全部持って行こう」

 

「うぅ……やっぱり、誘うんじゃなかったぜ」

 

 項垂れている魔理沙を見て、僕の口から笑いが零れる。魔理沙はいつも楽しいなぁ。

 

「ほら、早く行こう?」

 

「分かったぜ……」

 

 なんだかんだ言って、素直に聞いてくれる魔理沙は可愛いなぁ。そう思いながら、魔理沙の後ろに移動して箒に跨がった。安全のために魔理沙のお腹に腕を回すんだけど、毎度の事恥ずかしそうにする魔理沙が見れて一石二鳥だ。

 一瞬の浮遊感の後、神社はだんだん小さくなっていき、代わりに雲が近付いて来る。中々の高度だ。

 

「いやあ、こうやって魔理沙の箒に乗せてもらうのって久しぶりだね」

 

「そうだな。そ、それに……こうやって抱きしめてもらうのも……」

 

 魔理沙が何かを呟くが、上手く聞き取れなかった。魔理沙が扱うこの箒、意外と速度が速いためか、強い風を受けて聞き取るのが難航する。

 

「えっ、何?風の音で聞こえないよー?」

 

「な、何でもないぜ!それより、スピード上げるから……しっかり、掴まるんだぜ!」

 

「え、ちょ!急に――」

 

 魔理沙が言うや否や、箒に引っ張られる感覚と共に呼吸が困難になる。僕は振り落とされまいと、咄嗟に魔理沙にしがみつく。

 

ムニュッ

 

 ん、心なしか柔らかい気が。

 

「ひゃう!ユ、ユマ!どこ触って……!」

 

 魔理沙の反応を見て、僕が一体何処を掴んでいるのかをようやく理解した。あぁ、箒に乗るって最高だなぁ。僕は思わず顔を綻ばせた。魔理沙って、見た感じは小さいけど実際に触ってみると意外と柔ら――。

 

「ちょ、いい加減に離せぇ!」

 

グリンッ

 

「うわぁっ!?」

 

 魔理沙は僕を引き離そうと、箒で一回転した。完璧に油断していた僕は為す術も無く、森の中へと落ちてしまった。あぁ、僕は上げて落とされるのが頻繁だ。

 

 

  ◇

 

 

「ユマ、アタイと勝負しなさい!」

 

 僕は微かな肌寒さに気絶から目を覚まして上半身を起こしてみれば、目の前には一人の少女がいた。

 

 自称幻想郷最強の喧嘩っ早い性格の少女チルノ。

 セミショートの髪やワンピースは青……と言うよりは水色に近い。背中にある氷の結晶の様な羽を持ち、氷の妖精として威厳を保ちたいのか、良く勝負を引っ掛けては負かされるのが定番の子だ。この事の出会いは紅魔異変が発生した日だった。8割の確率で当たる霊夢の勘で、異変の原因が紅魔館にある事を知った僕達はそこに向かった。そんな道中に、チルノと大ちゃんが行く手を塞いだ。まぁ、霊夢に消されてたけど。

 補足ではあるけど、妖精というのは消滅しても時間が経てば元通りになるそうだ。ま、あ僕は実際に見た事無いけど。

 

 それにしても、チルノの後ろから僕の方へと吹く風が冷たくて気持ちいい。風がチルノに触れる際、空気が冷たくなってから流れて来ているのだろう。夏には天然のクーラーとして活用出来そうだなぁ。

 そんな邪な考えを察知したのか、チルノはフフンッと小さな胸を張ってドヤ顔をする。あ、違うなこれ。察知じゃなくて勘違いしていた。

 

「フフン、アタイの轟々(ごうごう)しさに声も出ないのね?まぁ、しょうがないものね!アタイってば最強だもの!」

 

 轟々しさって。確かにうるさいとは多少なりとも思ったけど、そこまでの轟音じゃない。それに、チルノが言いたいのは轟々しいじゃなくて、きっと神々(こうごう)しいなんだろう。どちらにせよ、両方とも違う。

 でも、ここでチルノの機嫌を損ねるのはいけないので、ちゃんと祭り上げておく事にしよう。

 

「うん、チルノの強さと可愛さに心を撃たれちゃったよ」

 

「にゃっ!?そ、そうよね!やっぱり、アタイって可愛いものね!しょうがないものね!」

 

 あれ、さっきは最強とか言ってなかったっけ?微妙に変わってるような……まぁ、いいや。早く紅魔館に行きたいから、チルノとはこの辺りで別れたい所だ。さて、如何してくれようか。チルノからは見えない角度で、僕は少しばかり悪人顔でほくそ笑む。

 

「最強で可愛い人は弱い者苛めなんてしないよね?」

 

「あったり前でしょ!最強はそんな事しないわ」

 

「でも、チルノのやろうとしてる事と変わらなくないかな?」

 

 僕が言うと、チルノは腕を組んで頭を傾けながらウ~ンと悩んでいる。フフフ、悩め悩め、うら若き氷の妖精。

 

「アタイが最強なのは間違いない。それにユマは私よりは弱い……はず。確かに、これだと弱い者苛めに……でも、アタイが挑むのは弾幕ごっこだし……うぅ、わかんない~」

 

 あぁ、困った顔で知恵熱を出すチルノは良いなぁ。この状態になったチルノには、彼女が嫌う言葉を贈呈してあげる事にしよう。

 

「そんな事も分からないの?チルノはバカ(・・)なんだね?」

 

「んなっ!?アタイがバカですって!?」

 

 口を大きく開けて反論するチルノ。うむ、この姿が可愛い。

 

「そうだよ、チルノはバカなんだよ」

 

「な、なによ!アタイがバカな訳無いじゃない!」

 

「や~い、バ~カバ~カバ~カ」

 

「ちょ、ちがっ!バカじゃないもん!」

 

 涙目になりながら否定し続けるチルノ。あぁ、可愛いったらありゃしない。

 

「バ~カバ~カバ~カ」

 

「バカって言う方がバカなのよ!」

 

「バ~カバ~カバ~カ」

 

「なによ、うるさいわね!このバカ(・・)!」

 

 チルノは自分の失言に気付いたらしく、口を慌てて手で隠す。だが、僕がそれを聞き逃す訳も無く……。

 

「あれ?チルノ、今バカって言った?」

 

「い、言ってない!」

 

「僕は聞き逃さなかったよ?バカって言った方がバカなんだよね?それってつまり、自分の事をバカって言った様なものだよ?」

 

「い、言ってなんか……う、うぅ~……」

 

 あ、そろそろ本格的に泣き始めそうだ。そろそろチルノ弄りはこの辺で止めておこう。僕は今にも泣きそうなチルノの元に寄り、頭を撫でる。強くクシャクシャと撫でるのではなく、少し触れた程度の撫で撫でだ。

 

「な、何よ!撫でられても許さないんだから……」

 

 チルノはそう言うが身体は正直な物で、僕の手のひらに押し付けるように寄って来る。

泣かせてしまいそうになったお詫びも兼ねて、僕はチルノの背中に腕を回して抱き寄せながら擦る。撫でたり擦ったりする場所は羽の付け根と頬だ。

 

「むぅー……」

 

そうすると、猫みたいに身動ぎしながら擦り寄って来る。うむ、可愛い。

さて、そろそろ時間も迫っているだろうし、ここら辺で止めてしまおう。僕が背中と頬から手を離すと、チルノはふやけきった目をパチクリとさせてから僕を一瞥する。すると、無意識に甘えていたことに気づいたのか、顔を真っ赤にしながら僕から離れる。

 

「な、何してんのよ!?」

 

「ん、ナデナデしてただけだよ」

 

「か、勝手にナデナデしないでよね!」

 

 あらら、プンプン怒ってらっしゃる。だけど、そんな顔のチルノもまた可愛い。

 

「な、何よ……そんなに見つめられても、何も出ないわよ!」

 

「あぁ、ごめんね?じゃぁ、これから用事があるからまた今度遊ぼうね」

 

「え?」

 

 捨てられた子犬の様な表情で僕を見ないで!余計に離れ辛くなっちゃう。

 

「……も、もう行っちゃうの?」

 

 両手を彷徨わせてアワアワと涙目になるチルノ。いつもは強気で元気(げんき)溌剌(はつらつ)なチルノ。でも、なんだかんだで寂しがり屋の妖精。僕は抱きしめて撫で撫でしまくりたい衝動を抑えるのに必死だ。

 

「も、もっと、遊んであげても……いいんだから、ね?」

 

「おぉう……」

 

 紅魔館に辿り着くのは、もう少し時間が掛かるだろうなぁ。そう思いながら、抱きついて来たチルノを抱えて近くの湖で精一杯遊んだ。

 

 

 

 それはもう、思い返すだけで恥ずかしい程にね。

 

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