平凡メイサーの異世界冒険譚   作:えんてぃ

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なぜ、こうもバトルバトルとなるのだろうか。と思う焔斗。しかし、戦闘経験は今の彼にとって必要不可欠。疲れるけどこれも仕方ないと、目の前のアイドル二人に集中するのであった
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第11話『堕天使』

「えいっ♪」

 

「くっ!」

 

ㅤ来羅の斧が高速で振り下ろされる。先程の可愛らしい掛け声とは全然マッチしていない。焔斗は盾で受け踏ん張るが、あまりの衝撃に地面が陥没する。

 

「なんてパワーだ……!」

 

「うっわぁー!すごい!これ正面から受け止めるんだね!」

 

ㅤそうしている間に背後に気配を感じる。闇華だ。彼女の片手直剣だが、不思議な見た目だけでなく、重さも異常だった。とても片手直剣とは思えない重さなのだ。確かに少し太めな気はするが、ここまで変わるものなのだろうか。

 

「そこ……!」

 

「ちっ、『焔後盾』!」

 

ㅤ背後に魔力のシールドを生成し、闇華の剣を防ぐ。斬られるのは防げても、衝撃までは緩和しきれずに焔斗はバランスを崩す。そして、今まで盾で受けていた来羅の斧を止めるものが無くなり、焔斗に迫る。

 

「っ!」

 

ㅤ焔斗は斜め前に脱出し、なんとか斧の直撃を避けることが出来た。だが、斧が地面に激突して生まれた衝撃波により吹き飛ばされる。

 

「うあっ……!」

 

ㅤ吹き飛ばされた焔斗は壁に打ち付けられる。痛みで止まってる暇なんてない、すぐに闇華が距離を詰めてくる。やっぱ太腿出しすぎだと思った。

 

「ふっ!」

 

「えっ?」

 

ㅤ思わず声が出たが、それほど謎な攻撃だった。剣を振りかぶって攻撃しようとしているのはわかるが、その距離が明らかに遠く、剣のリーチ的に届くはずがないのだ。斬撃波系の何かをする様子もない。しかし、嫌な予感がピリピリした焔斗はすぐさま横に転がって逃げる。次の瞬間、”片手直剣の数倍はある長さと太さの大剣”が彼の居た場所を深く抉っていた。

 

「はぁ!?」

 

「初見でこれを察知して避けるなんて……。あなた、戦闘の勘はなかなかのようね。」

 

ㅤそう言った後、彼女の大剣はもとの片手直剣の長さに戻る。不思議な機械構造の形をした剣だなとは思っていたが、まさか変形型とは思わなかったため、焔斗は驚いていた。

 

「スキありー!」

 

「っ!『螺旋焔』!」

 

「わっ!『魔風波動』!」

 

ㅤ速攻で放った焔斗の『螺旋焔』が、来羅の『魔風波動』の豪風により防がれた。

 

(かき消しただと!?)

 

ㅤ『螺旋焔』をかき消された上に、豪風の余波が焔斗を襲い、地面に押し付ける。

 

「がっ!?」

 

ㅤ真上からの風に、焔斗は押さえつけられて身動きが取れなくなっていた。

 

「終わりよ。『地獄の雷』。」

 

ㅤ闇華が腕を上に振り上げる。次の瞬間、”地面から空に落ちる雷”が焔斗を襲った。

 

「ぐあああぁぁぁ!!」

 

ㅤ地面に押さえつけられた状態で、それを避けることが出来るはずもなく、焔斗は直撃をくらった。

 

 

「……降参、リザイン、まいった。」

 

ㅤ『紅焔纏装』(こうえんてんそう)を解除しながら負けを認める。それを聞いた二人もそれぞれ纏っていた魔力を解除し、武器をしまうのであった。

 

「……ちょっと自信ついてたけど、やっぱ勝てないか〜……。」

 

「でも君すごいよ!あれだけ力があれば魔界の魔物相手でもそこまで苦労することないと思うな!」

 

「ええ、同感よ。魔力に関することもそうだけど、戦闘の勘が良い人はかなり強いのよ。ただ、最初も言ったように魔力効率を考えておかないと、途中でバテちゃうわね。」

 

ㅤ魔王レーヴァテインと戦った後の二戦。節狐戦は向こうの本気が出る前に終わったためどうなっていたか分からないが、しゃろんの試練ではかなりの能力アップを感じられた。それでもここまで一方的にやられたのだ。

 

「それにしてもあなた、前線向きじゃないでしょ?動きがなんだか慣れてない感じがしたわ。それに、対複数は苦手ね。何故かしら?」

 

「まぁ、いつもは隣に妹がいたからなぁ……」

 

「戦闘に影響が出るほど……うぅ、早く再会できる事を祈ってるよ〜!」

 

ㅤ来羅が、今度は抱きしめすぎないよう優しく抱擁をしてくる。それはそれで色々危ないので、そっと離れた。

 

「くっそ……、あの神、天界にいるのか?」

 

ㅤ焔斗が”天界”というワードを使った瞬間、空気が変わった。明らかに二人の表情が暗くなり、目配せをしたあと何かを覚悟したかのように頷いた。そして闇華が口を開く。

 

「その、天界のことなんだけれど、少しは情報を提供できると思うわ。」

 

「何?それはほんとうか!?……いやでもなんで?」

 

ㅤここで焔斗は警戒した。天界に関する文献はほとんど無い。遺物や、出来事などはあてにならないので天界はどんな所か、なんて誰も知らないはずなのだ。それはつまり、知っているのなら天界に関係する者の可能性が高い。警戒するのも当然だろう。

 

「警戒しないで!ちがうの、ヤミちゃんはね、その、」

 

「いいわ来羅。自分のことは自分で言うから。……あのね、私は、元天界人。今は堕ちた”堕天使”なの。」

 

ㅤそう言った後、闇華の背中から黒い天使の羽が現れる。”堕天使”。そんな存在までいるのか、と焔斗は思った。それに文献がないのは恐らく、

 

「なぜ、秘密を俺には話す?それ、そう言っていい事じゃないでしょうに。」

 

ㅤ秘密にしていなければ、今頃天界のことは広く伝えられただろう。もちろん、信じてもらうためにはかなりの苦労があるかもしれないが、それでも何かしらの文献は残ったはずなのだ。それがないのに目の前には堕天使。秘密にしていたのを焔斗だけに明かすのは、意味がわからなかった。

 

「理由はあるわ。天界の掟にこうあるの。一つ、天界側から現界、魔界への干渉は一切禁止する。許されるのは鑑賞のみ。ただし一つの例外を除く。……この例外っていうのが問題なの。もし、あなた達の転移が天界によるものだとしたら、と思ったけどそれはありえない。何故なら干渉しては行けないから。つまり、この出来事は天界に住む者達にとっては、想定外の世界からの干渉。つまり異常事態なのよ。そして、この異常事態によるけど、現状監視を一年続け、現界と魔界に大きく影響を及ぼすかどうか、というのを見極めるの。そして、大きく及ぼしすぎると判断された場合、天界がこの世界に攻め入り、その異常事態の原因、それとその原因に深く関わった者たちを永久に抹消しに来るのよ。」

 

「.......なるほど、つまり一年後、判断次第では俺と紫紅は命を狙われる、ということか。.......でもいいのか?今の話が本当だとすると、この話をしてしまった君達はもう.......。」

 

ㅤそう、先程までの戦闘なら問題はなかったかもしれないが、今この話をした以上、ある意味一番関わっていると言っても過言ではないだろう。つまり、もしその時がきたら彼女達も狙われるということだ。

 

「いいわよ、別に。私は既に堕ちた天使、何かしらの方法で狙われる可能性は大いにあった。.......私が堕ちた時に助けてくれた来羅を巻き込んじゃったのは、申し訳ないけど、ね。」

 

「そんな!そんなことは気にしなくていいよヤミちゃん!一緒に、一緒に頑張ろうね!」

 

ㅤそう言って闇華の手を握りつつも、その手は少し震えていた。先程焔斗をボコボコにした来羅ですら、天界の事は怖い。つまり、それほどまでに強いということか。いや、未知の存在に対する恐怖と言った方が正しいのかもしれない。

 

「ありがとう来羅。一緒に頑張ろうね。」

 

ㅤ震える来羅の手に自分の手を添えて闇華はそう言った。二人は本当に深い絆で結ばれているんだなと思えた。

 

「ありがとう、本当に助かる情報だった。でも、今は妹と再会することが最優先だ。」

 

「ええ、分かってるわ。だからしばらくの間」

 

「私達が鍛えてあげる!」

 

ㅤ焔斗はサキュバスと堕天使に弟子入りしたのであった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━魔界

 

「もっと冷静に、的確に。」

 

「くっ!」

 

ㅤ紫紅はトモの指導の元、日々鍛錬を続けているのであった。




今回はここまで!
いかがでしたか?

今回登場したのは、
Yamikaさんとララさん!
ありがとうございました!

次回
第12話『春輝の弟子』

おたのしみに!
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