平凡メイサーの異世界冒険譚   作:えんてぃ

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現界で闇華と来羅に出会い、魔界とついでに天界の情報も手に入れることが出来た焔斗。色々ありこの二人の下で鍛えられることになった。そのころ、紫紅は魔界で修行に励んでいたのだった。
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第12話『春輝の弟子』

「遅いです。『竜撃乱舞』」

 

「わっ!」

 

ㅤトモの短剣を使った重く速い超連撃。回避しようとしても手数が多すぎて避けきれない上、距離をとってもお得意のスピードで詰めてくる。

 

「『紫雷爆撃』!」

 

「くっ.......。」

 

ㅤそこで紫紅は防ぐのでも避けるのでもなく、攻めに出た。自身の紫雷を爆発するように解放させる。さすがに攻めきれずに、トモが一旦距離をとる。

 

「『紫雷牢獄』!!」

 

「なっ!?」

 

ㅤ予め隠して設置しておいた魔法を発動させ、トモを檻の中に閉じ込めた。そして、

 

「『無限紫雷棍』」

 

ㅤ閉じ込められたトモの周りに無数の雷の片手棍を出現させ、回転させながら彼を襲わせる。魔力尽きるまで永遠に。

 

「はああああああ!」

 

ㅤ攻撃が止まる、魔力はもうない。今の紫紅に出来るありったけを全てトモにぶつけた。まだそこまで修行した訳ではないが、確かに能力の上昇を実感できていた。

 

「60点、と言った所でしょうか。まあ、マシにはなりましたね、紫紅さん。」

 

「やっぱりそう?だめか〜〜」

 

ㅤバタッ、と仰向けに倒れる。するとトモが視線を逸らしながらボソッと言う。

 

「あと、もう少し淑女らしく、というか、今みたいに仰向けになると丸見えになりますよ.......。」

 

ㅤそれを聞いた瞬間バッ!とメイド服のスカートを抑える。さすがに恥ずかしいので頬も熱い。

 

「.......見た?」

 

「隅々まで。」

 

「なっ、ヘンタイ!」

 

ㅤ普通は見てても見てないと言うものだろうと、変に正直者なトモを睨みつけながら紫紅は思った。そんなやり取りをしていると修行場の扉が開けられ、春輝が入ってきた。

 

「あれ?使ってたんだ〜♪」

 

ㅤいつも通り陽気に振る舞う彼の隣に、春輝の白い服装とは真逆の黒めの似たデザインをした服装。銀髪のショートに少し紫がかった目。身長は春輝より低い。なんだが不思議な雰囲気を感じられる人物だった。

 

「ええ、ちょうど今終えたところです。お使いになるならすぐに退散しますね。」

 

「いや♪いいよ、せっかくだし僕の弟子の戦い方も観戦してみたらどうかな♪」

 

ㅤどうやら横にいるのは春輝の弟子らしい。紫紅の方に近づいてくる。

 

「やぁ、俺はサトシ!君を虜にするよ♡」

 

「.......うわぁ。」

 

「.......師匠、俺なにか間違ってました?」

 

ㅤ予想は付いていたが、あまりに予想通りすぎるナルシストだったため、紫紅は本当に嫌そうにドン引きした。サトシは悲しそうに春輝を見る。

 

「うん♪この娘は最初からこんな感じだよ♪僕にもぜ〜んぜんなびいてくれなかったしね♪でも、強いて言うなら初対面から虜にする、とかストレートに行くんじゃなくて、もっと女の子に寄り添う感じで♪この人なら頼れる、身を任せたい♡て思われるようにするといいよ♪」

 

「なるほど!勉強になります師匠!」

 

ㅤいや、そのアドバイスは大したアドバイスになってないのでは。と紫紅は思ったが黙っておいた。この二人には何言っても多分無駄だからだ。

 

「紫紅さん。」

 

「ん?何かしら」

 

「性格はああですが、サトシ様もなかなかの手練。それに、珍しい戦い方をします。それも悪魔と契約しているからこそなせる技なのですが、私も対策を見つけるまでは苦労しました。」

 

ㅤ悪魔との契約。異世界あるあるというか、前の世界ではファンタジーの世界観で、現実味のなかったことばかり現実として現れるので楽しい反面ちょっと飽きてきた。

 

「それで?戦ってみろってこと?魔力戻ってないわよあたし。」

 

「それなら大丈夫です。動かないでください。」

 

ㅤそう言うとトモは紫紅の頭の上に手を置き、「『魔力供給』」と呟く。すると、彼の手から紫紅の体に魔力がぐんぐん送られてきて、すぐに回復した。

 

「ほわぁ.......なんかいっぱいきたぁ.......はっ!こ、こんなことも出来るのね.......。」

 

「そんな顔もできるのですね。.......ええ、仲間の魔力が枯渇したら大変でしょう?そういう時用です。まあ使い方を間違えれば即死攻撃になるのですが。」

 

ㅤ慣れない感覚に変な声が出てしまったが、たしかに魔力が戻っている。不思議なものだ。最後のは恐らく送り方を間違えたり、送りすぎたりすると殺っちゃうということだろう。怖い。

 

「春輝様。せっかくの機会です。サトシ様と紫紅さんの試合形式の戦闘はいかがでしょうか。」

 

「お?うんうん♪それいいね♪乗った♪」

 

ㅤなんやかんやでサトシと戦うことになった。何を使うのかも分からない。見た感じ片手直剣以外は何も装備していないように見える。

 

(珍しい戦い方、って何かしら。それに悪魔との契約ってことは妨害的な何かをしてくる可能性もあるわね。それなら)

 

「よろしくね、お嬢さん!」

 

「女の子が好きならお手柔らかにね?」

 

「甘いね、勝負は別だよ!」

 

「それを聞いて安心したわ!」

 

ㅤこの世界に来てわかったことがある。みな好戦的で目が合ったら〇〇〇〇バトルみたいな感じで絶対戦ってる気がするのだ。お互いに武器を抜き、戦闘を開始する。

 

「小手調べよ!『紫雷散華』!」(しらいさんか)

 

「小手調べなんて余裕あるの、かな!」

 

ㅤ華が散るように美しく撒き散らされる紫の雷。一回の威力は高くないが、断続的にくらう可能性がある上に雷のため普通は動きも少し鈍らされる。もしゲームの敵が使ってきたら麻痺耐性なしではやってられないだろう。サトシはその散る雷の合間を縫って紫紅に接近する。

 

「甘すぎるよっ!『闇陰ノ斬撃』」(あんいんのざんげき)

 

ㅤ闇を纏った剣を振ったかと思うと、紫紅の周囲四箇所からも同じ軌道で陰の斬撃が迫る。

 

「っ!『紫雷結界』!」

 

「へぇ.......!」

 

ㅤ紫紅は結界を張りその全てを防ぐ。そのまま、

 

「爆!」

 

「なっ!」

 

ㅤ結界に使っていた雷を、爆発するように弾けさせる。接近しきっていたサトシに躱せるはずもなく、直撃した。

 

「.......やるじゃん!」

 

「大して効いてないくせに、お世辞は結構!」

 

ㅤ大して効いてはいないが、少し動きが鈍った所に紫紅は追い打ちをかける。体を回転させ遠心力をのせ、腰を使って全力でメイスを振る。さすがにこれは直撃し、サトシを吹っ飛ばして壁にうちつける。

 

「かはっ!?」

 

「ふっふ〜ん。これは効いたでしょ!」

 

「.......ほんと、思ったよりやるね。それじゃあ俺、本気だそうかな。」

 

ㅤサトシがそう言った瞬間、彼から禍々しいオーラが溢れはじめる。

 

「.......なに、この感じ.......。」

 

「『悪魔ノ力』」(チカラヲカセ)

 

ㅤそして、空間と時が歪んだ。




今回はここまで!
いかがでしたか?
今回登場したif民モチーフのキャラは
久しぶりに、
トモさん、春輝さん。
そして新しくサトシさんが出ています!

ありがとうございました!

次回
第13話『力の代償、紫紅の覚醒』

お楽しみに!
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