平凡メイサーの異世界冒険譚   作:えんてぃ

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来羅達と別れて食事を済ませた焔斗。彼女たちより先に戻ってきてしまい、少し休もうと思っていたところに、節狐が現れる。前よりも格段に強くなった彼女に苦戦しながらも、焔斗はついに殻を破った。この勝負、一体どうなる━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


第17話『魔力の共鳴』

 

︎ㅤ焔斗が『獄焔纏装』を発動した頃、来羅と闇華はまだ街にいた。

 

「っ!?闇華ちゃん!」

 

「ええ、分かってるわ!戻るわよ!」

 

ㅤ食後のデザートを買って、戻ってから焔斗も含めてみんなで食べようと思い店を見ていた二人。しかし、焔斗が『獄焔纏装』を発動したことにより、莫大な魔力の気配を感じ取った。

 

「「『魔翔』!」」(ましょう)

 

ㅤ魔力を利用した飛行法、『魔翔』。魔力の扱いが上手くなれば使用するのは簡単だが、使える人はそう多くない。それゆえ、これで飛んでいるととても目立ってしまうので多用はしていない。

 

(何よ今の魔力·····いや、今の爆発的なものは恐らく彼が成功した証。それはいいのだけれど、一緒にいる魔力が気になる。もし戦っていてギリギリで覚醒したのだとしたら、まずいわ。初めての纏装なんて、魔力切れまで何分持つか·····!)

 

「飛ばすよ!来羅ちゃん!」

 

「うん!」

 

ㅤ2人は急いで焔斗のいる場所に向かうのであった。

 

 

 

 

「ちっ!あんた強くなりすぎだっ!?」

 

「悪いな。俺もこれ程とは思わなかった。」

 

ㅤ節狐に片手棍をぶち込みながら、焔斗は余裕の表情で言う。実際、戦況は拮抗から圧倒へと変化していた。節狐が手も足も出ない。

 

「く、そ·····が。」

 

「なんだ、もう終わりか?どうやら修行で差がつきすぎてしまったらしいな·····。」

 

ㅤ焔斗は節狐を圧倒していた。それほどまでに『獄焔纏装』は強力だったのだ。だが同時に、

 

(魔力のコントロール、一応してはいるが。出力が多すぎる。こんなの後何分持つかわかんねえ·····!早く決着をつけないと·····)

 

ㅤ魔力切れ。それが迫っていることを自分でも感じとっていた。これでも節狐が立ち上がってくるようなら、本当はしたくないがとどめを刺すしかない、そう思った。そして、案の定節狐は立ち上がる。こちらを睨みつけ、戦意は未だ消えていない。焔斗は覚悟を決めた。

 

「すまないな、殺らなきゃ殺られるんだ!もう容赦しないぞ!」

 

ㅤ焔斗が節狐に迫る。あと少しで節狐にとどめの一撃が入る、と思った瞬間。

 

「なめんなよ·····!『本能解放』!!」

 

「くっ!?」

 

ㅤ以前、シンレ館に行く道中で戦った時に、最後に使おうとした技。焔斗はすっかり忘れてしまっていたが、節狐にも切り札はあったのだ。絶大な魔力を纏い、尾が九本生える。九尾の狐、ファンタジー系ではお約束ではあるが、大抵こういう奴は強い。今は戦いたくない相手だった。

 

「行くぜェ!」

 

「ちっ、こいyっ!?」

 

ㅤてっきり剣で攻撃してくるものだと思っていたが、違った。拳だ。節狐の拳がみぞおちに食い込む。仮に剣での攻撃だったとしても、速すぎて対処出来たかは不明だが。

 

「ぐふっ·····!」

 

「あたしにもこれくらい出来るんだぜ?ふんっ!」

 

ㅤそのまま思いっきり吹き飛ばされ、岩壁に叩きつけられる。ぶつかった衝撃により岩壁が崩れ、焔斗を埋めて行く。

 

「なんだ?たった1発で終わりかい?そんなわけないよなぁ?もしそうならガッカリだよ。」

 

「ご期待に添えたようで何より·····だぜ。」

 

ㅤ崩れた岩の中から焔斗が出てきた瞬間、節狐は面白い、こうでなくてはとニヤつく。だが、焔斗はもう満身創痍。『獄焔纏装』も解けてしまい、通常状態だ。

 

(諦めるしかないのか、ここで死ぬんだ、俺は。どうせ、妹より弱かった俺に出来ることなんてなかった。むしろここまでよくやった方だよ·····。)

 

「ああん?あんたまさか、もう戦えないって言うんじゃないよな?」

 

「戦えねえよ、もう立ってるのでやっとだ。」

 

ㅤチッ、と舌打ちした節狐がゆっくりと歩み寄ってくる。とても失望した、と言った表情だ。

 

「あんたみたいな強いやつは、初めてってわけじゃなかったが。『真紅の焔』を使うあんたに期待してたあたしが馬鹿だった。所詮、この程度だったなんてな。ガッカリだ。……もしかしたら鍛えりゃもっと強くなるのかもしれねえが、これは戦いだ。悪く思うなよ。」

 

ㅤ節狐は焔斗に向かって手をかざす。この至近距離で魔力弾でも放つのだろうか。どんな攻撃であれ、きっと助からないだろう。

 

「……じゃあな。」

 

「させないよ!『魔風衝波』!!」

 

ㅤついに殺される、と思った瞬間、覚えのある風の魔力が節狐を吹き飛ばした。

 

「『闇ノ迅雷』!!」

 

ㅤ直後、これまた覚えのある雷の魔力が節狐を襲った。来羅と闇華がようやく到着したのだ。ギリギリセーフのタイミングである。

 

「大丈夫?怪我……はしてるけど生きてるみたいだね!よかった!」

 

「ここは私たちに任せて、あなたは下がって回復してなさい。あの狐さん、ヤバいわ。二人がかりで勝てるかどうか……。」

 

ㅤ来羅と闇華の2人がかりでも厳しい戦いになる。闇華はそう言った。彼女達程の実力者でも、今の節狐を相手にするのは厳しいらしい。

 

「ちっ、邪魔しやがって!あたしとそいつの戦いだろーが!」

 

「うそぉ!?全然効いてないよ!?結構本気でやったのになぁ?」

 

ㅤ先程の2人の攻撃は節狐にはノーダメージの様子だった。

 

「悪いけど、弟子を死なせる訳には行かないのよ。私たちは全力であなたを倒す。」

 

「そーゆーこと!覚悟してよね!行くよ!闇華ちゃん!」

 

「「『魔力協奏』!!」」(マジックコンツェルト)

 

ㅤ闇華と来羅の魔力が共鳴し、増幅する。風と雷の協奏曲。その様子を見ながら焔斗は下がり、少しでも体力を回復させる。

 

(修行したのに、結局助けてもらって……。何か、なにか俺にできないのか。俺にしかできないようなこと、何か……。)

 

ㅤある重要な事を焔斗は忘れてしまっているのだが、それにはまだ気づかない。

 

「ったく、せっかくの真剣勝負邪魔しやがって……。邪魔なんだよ!あんたら!」

 

「行くわよ!覚悟して!」

 

「負けないんだからー!」

 

ㅤこうして、闇華と来羅対節狐の戦いが始まるのであった。

 




今回はここまでです!
いかがでしたか?
ほんとにお久しぶりです!笑
最初期と比べると更新ペースガタ落ちしてますが、
マイペースにゆっくりやっていくので
応援よろしくお願いします!

今回登場したif民モチーフの方は

Yamikaさん(闇華)

ララさん(来羅)

節狐さん(節狐)

でした!

ありがとうございました!

次回

第18話
『今の俺に出来ること』

おたのしみに!
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