更新です!スランプ入っててほんとすみませんw
これからもこんなことあるかもですが、読んでくれると嬉しいです。
それでは本編、どうぞ!
「ええ、そこでいいわ。いや、やっぱりもう少し角度を……」
「はいよ!このくらいかい?」
「うん、いい感じ。ありがとう。」
ㅤ闇華達のライブのため、獣人も協力して準備を進める。
「あ、闇華ちゃん!獅裂さん?が来たよ!」
ㅤ来羅の声に振り返ると、その向こうからやや急ぎ足で獅子の獣人が歩いてくる。
「お客人、誠に申し訳ない。少々用があったので遅くなってしまった。既にお聞きになっていると思うが、私が獅裂である。以後よろしくお願いする。」
「ええ、よろしくお願いするわ。」
ㅤ二人は挨拶を交わす。そして、そこにいた来羅はもちろん、桃歌も呼んで自己紹介をした。
「ふむ、今回のだが、ですが」
「無理に畏まらくていいわよ。気にしないから、普通に話してくれていいわ。私だって緊張はしてるけど、無理な態度は頭の回転を下げるから。」
ㅤ客人が来ることは珍しい、とクロリアは言っていた。獅裂は上の立場の者と話すこと以外の状況に、距離感に迷っているのか、先程から話し方がぎこちなかった。
「す、すまない、恥ずかしいところを見せた。では、遠慮なくお言葉に甘えさせてもらう。」
「ええ、そうしてちょうだい。」
ㅤ話し方が普通になってからは、とてもスムーズに会話が進んだ。当日の警備はどうする、客のスペースの人同士での間隔はどのくらい確保した方がいい等、明日のライブに向けての打ち合わせをする。ちなみに、来羅はそんなことあまりやらないので、今のうちにステージの方の準備にかかっている。桃歌も打ち合わせに参加しても良いが、今回の主役は闇華なので、来羅について手伝うことにした。
ㅤ獣人の協力もあり、ほんの二時間程度でステージの準備が完了した。人手はやはり大事である。
「ふぅ〜!おわったー!みんなありがとねー!」
「ありがとうございました!」
ㅤ︎二人がお礼を言うと獣人たちがサムズアップする。魔力強化がある上、来羅はパワー型なので獣人にも引けを取らない筋力なのだが、獣人達ならではの特殊な体質がとても役立った。
「うん、大体の事はこれで決まったわね。今日の明日で大変だとは思うけどよろしくお願いするわ。」
「ああ、任せとけ!」
ㅤ︎そうして、打ち合わせとステージの用意が終わり、用意された寝室で各々眠りについた。
ㅤ︎翌朝。用意されていた部屋に泊まり、桃歌は目覚める。少し昨日の旅と準備の疲れを感じるが、大丈夫だろう。朝のルーティンを手早く済ませ、ライブ衣装に着替える。
(大丈夫……あたしなら出来る。あの二人にはまだまだ追いつけないけど、あたしだってあたしなりの魅力がある。……アイドル活動、やってきたけれど。このまま続けていいのだろうか、人気になる必要はあるのかな。)
ㅤ︎決意したそばから、マイナス思考が心に入り込む。
(このまま人気になったとしても、どうせ最後、”あの日”になれば……)
ㅤ︎そこまで考えたところで頭を横に振り、余計な感情を振り払う。着替えが終わったところで、よし!と気合いを入れてから部屋を出る。ちょうど来羅達が部屋を出たタイミングに合ったらしく、挨拶を交わす。
「あ、おはようございます」
「ん、桃歌ちゃんおはよー!ふぁぁ」
「桃歌、おはよう。……ちょっと来羅、ちゃんと寝たんでしょうね?」
ㅤ︎一人だけ眠そうな来羅に闇華が呆れた顔で問いかける。
「寝たよぉ〜、楽しみでちょっと寝るの遅くなっちゃったけど……」
「まったく……。」
ㅤ︎ちなみに、これはいつもの光景である。若干寝不足っぽい来羅が大丈夫なのか、心配な時もあったが、なんやかんやでライブでは元気いっぱいだし、その他支障は全くない。まあ、いつかボロが出てもおかしくないので、闇華からはキツく言われているが。
「ライブ、楽しみですね。……まだ少し、緊張しますが。」
「緊張しなくていいわ。いつも通りやるだけよ。」
「そーそー!元気に行こー!」
ㅤ︎そうは言ってくれているものの、今回は順番的に先に桃歌が歌う日だ。そして、相手はアイドルファンという訳でもなく、アイドルをよく知らない者も多い獣人(もちろん、一部やけに詳しい者もいたが)。桃歌のライブで心を掴まなければ、来羅達の出番までに客が減るだろう。もしそうなったら……、いや。
(これは、むしろチャンス。今までは、アイドルの二人を知ってる人たちが観客に沢山いる所でいっしょにライブしてたけど、今回は、アイドルも知らない人達ばかり。なら、あたしのライブで好きになってもらおう、そして、観客のみんなとライブを楽しむんだ……!)
ㅤ︎舞台裏の待機所に着き、軽く事前の準備を済ませる。そして、ライブ開始の時間となり、桃歌はステージへと上がる。
『はーい!みなさん初めまして!桃色アイドルの〜桃歌です♪今日はライブ見に来てくれてありがと〜!』
ㅤ︎定番の挨拶を終えたあと、アイドルについて知らない人もいるので、長くなりすぎないように簡単に説明をする。
「桃歌ちゃん、大丈夫かな……。」
「来羅が不安になってどうするのよ。大丈夫よ、桃歌はしっかりやれるって今までのライブでも分かってるでしょ?」
「……うん、そうだね……。がんばれ、桃歌ちゃん!」
ㅤ︎声を大きくしすぎないように、ひっそりと応援をする来羅。桃歌はちらっと目線をそちらに向けて微笑む。
『と、いう感じだよ!だから今日は桃歌と盛り上がっていこー!』
ㅤ︎何となく雰囲気がわかってきた獣人たちが、「おー!」と声援を返す。これならとりあえずは大丈夫だろう。
『それでは聞いてください、《桃色everyday》!』
ㅤ︎そして、桃歌のライブが始まる。歌って踊る彼女に、獣人達はまだノリきれない雰囲気を出していたが、一部のオタ……熱狂的なファンが盛り上げているのにつられて、段々と歓声のボリュームが上がる。その歓声を受けて、桃歌もだんだんノリノリになり、ライブがさらに盛り上がる。
「わ〜、盛り上がってるね!大成功だよ!」
「ふふ、そうね。さ、私達も準備するわよ。」
ㅤ︎桃歌の後は闇華と来羅の出番だ。最後の身だしなみチェックをする。ライブを楽しむことはもちろんだが、桃歌に負けてられない。
「そろそろね、行ける?来羅。」
「もっちろん!いつも通り全力で楽しもう!」
ㅤ︎そう声を掛け合い、桃歌との交代のタイミングを待つ。
『みんな〜〜!ありがと〜!それじゃあ、熱の冷めないうちに、闇華さんと来羅さんに交代するよ!それ!』
ㅤ︎ポンッと桃色の煙を出して桃歌が消える。もちろん、彼女は魔法が使えないので魔法道具を使っての演出だ。そして、その煙が渦巻く風によって吹き飛ばされた。なびく風、そして少しバチバチと弾ける闇雷。煙が晴れた所には、桃歌ではなく、闇華と来羅が立っていた。
『みんな〜!桃歌ちゃんのライブ、楽しんでくれたかなー?』
『ここからは、私達のライブよ!盛り上がっていきましょ!』
ㅤ︎闇華の言葉に、観客が大きな声援で応える。地響きが起こっているのかと錯覚するほどの盛り上がり様だ。
『それじゃあ行くよー!』
『『《風雷crossing》!』』
ㅤ︎そして、闇華と来羅のライブが始まる。桃歌のふわふわとした明るく可愛い曲とは打って変わって、キレのあるかっこいい曲。風の魔力と闇雷の魔力を上手く使いながら、ライブの演出もしている。魔法があるゆえの工夫だ。無論、魔法がなくても桃歌のクオリティも負けてはいないが、迫力で言うならば断然こちらが上だろう。
「はっはは!すげぇ〜!これがアイドルってのかい!?戦うわけじゃないのに何が面白いのかって、正直思ってたが。これは引き込まれるね……!」
ㅤ︎観客に混じって見ている節狐達も感嘆の声を上げている。もちろん、その他の観客もとても盛り上がっている様子だ。
ㅤ︎二人のパフォーマンスは激しさを増していく。時に協調し、時に競い合うかのように観せる。それが観客の心を掴んでいた。
『さ〜!みんなもっと盛りあがっていこー!』
『ついてこられるかしら?』
ㅤ︎二人のその言葉に、歓声が更に沸き立つ。節狐も楽しんでいたが、唐突に魔力通話が届く。
(節狐様!今、お時間よろしいでしょうか!)
(なんだい、せっかく盛り上がってるってのに……。急ぎかい?そうじゃないなら後にしてくれないかい?)
(はっ!承知いたしました!)
(せっかくだ、あんたもこっちに来てこのライブを見るといいさ。まあ、裏で動いてもらってる分、目立たないように、だけどね。)
ㅤ︎そう言って魔力通話を切る。今のは分かりやすく言えば衛兵、よりも隠密行動に特化した部隊の者だ。主に気になったこと、不審に思ったことの調査をしている。今回の件は、依頼はしたが余程ではない限り、急ぐ報告にはならないはずだ。だからこそ、”急ぎなのか”という質問をした。本当に急ぐべき調査結果なら、この時点で聞けるし、そうでないなら急ぐこともない。彼らのことは信用しているので、その辺の判断は任せている。
『『『ありがとうございましたー!』』』
ㅤ︎そうして、何回か交代しながら(闇華ソロや来羅ソロもあった)ライブは無事に終わった。帰っていく観客からは様々な感想が聞こえてくる。
「いやー、あの二人組の魔法演出は凄かったね。そういえば、桃歌って子自身は魔法使ってなかったけど、なんでだろ?」
「その理由は分からねえが、なんというかそっちの方は俺は好きだったぜ!こう、なんていうか技術じゃなく体と気持ちでぶつかってきてる感じがしたからな!漢だぜ!」
「いや女の子でしょ。」
ㅤ︎あちこちで今のライブの話で盛り上がる獣人達。この国の音楽と言えば、心を落ち着かせるような穏やかな音楽しか無かったため、こういうものに抵抗があった者も多少居たようだが、結果的にはこれはこれでいい、となったらしい。つまりライブは大成功である。
「お疲れさん、あんた達、いいライブだったよ。戦いでもないのに、心踊っちまった。」
「それなら良かったわ、最高のライブを見せられて、ね。」
「大成功ー!」
「褒めていただきありがとうございます!」
ㅤ︎桃歌だけまだ若干セリフが堅いが、仕方ないことだろう。こういう真面目な所も彼女の魅力だ。
ㅤ︎そのあとは、大成功を祝して軽い宴会をした。獣人達と食事を楽しみ、闇華たちも疲れているからと、そこまで遅くならないように切り上げてくれた。意外と、演出にそこまで頼ってない桃歌にファンになった者が多く、頻繁に話しかけられていた。
──────翌朝。
「じゃ、まったねー!」
「失礼するわ。」
「お世話になりました!」
ㅤ︎各々挨拶の言葉を交わし、闇華達アイドル一行は、次の目的に向けて旅立つ。
「ふぉっふぉっ、元気な若者たちでしたなあ。年寄りにはちとついていけんかったわい。」
「ええ、新しい文化に触れることが出来ました。」
ㅤ︎幸菴がそう零し、狐郭が相槌を打つ。節狐は、もちろんライブも楽しかったが、また彼女たちと戦える日を楽しみにしていた。
「さて、報告を聞こうか。」
「はっ!」
ㅤ︎しばらくして節狐がそういうと、どこからか黒いイタチの獣人が現れる。”隠隊”の隊長、隠飌(いんふう)だ。彼女たちが来てから、あることを探ってもらっていた。
「報告ですが、対象、桃歌に対しての読心術を使用しても、彼女の心の奥を読むことはできませんでした。大変申し訳ございません!表面上、例えば無表情でも食べてるものを美味しいと思っていたり、そういったものは読み取れるのですが……。」
「……そうかい。気にしなくていいさ、何せ、あたしらでも読み取れなかったんだからねぇ。」
ㅤ︎闇華達がここに来た時、各所で獣人達は探りを入れていた。どんな思考を持っているか、どんな人物なのか。だから、闇華と来羅がただの人間でないことは既にバレている。しかし、それを隠していても、根が悪い者ではなく、害はないと判断したため通した。同じく桃歌も探っていたのだが、どうしても心の奥が読めない。仕方が無いので、言動行動全てを観察し、”現状害はない”という判断に至ったため、ライブも認めた。どれだけ上手く隠そうが、行動を起こす時は必ず少しは表面に出てくる。
「さーて、あんたは一体何者なんだい?桃歌。この世界に、”魔法が全く使えない”なんてやつは、聞いたこともない。あの転生者?とやらならまだしも、ね。」
「いかがいたしましょうか、節狐様。」
「そうだねぇ、監視を続けろ、と言いたいところだけど、流石に国を出てまで追跡していれば、バレるリスクもあるし、今はもういいよ。」
「かしこまりました!それでは失礼します!」
ㅤ︎そう言って、隠飌は姿を消す。いつもの持ち場に戻ったのだろう。節狐は酒を飲みながら、朝焼けを見る。
「本当に、あんたは何者なんだろうねえ。あの感じは一体……」
ㅤ︎もちろん、節狐も桃歌の心を覗いている。そして、奥まで読もうとした時、なにかに弾かれたのだ。魔力でもない、謎の力に。だが、それは節狐に異様な違和感を感じさせた。鳥肌が立つ程に。
「ははっ、そう思うと、通したのは間違いだったのかねえ……。まあ、結果今は何も無かったことだし、いいとするかな。」
(まさか、自然に魂を授かった生命じゃない、なんてことはないだろうねえ……。)
ㅤ︎ちなみに、この後朝から飲んでいることが狐郭と幸菴にバレ、めちゃくちゃ怒られた。
今回はここまで!いかがでしたか?
めっちゃ更新止まっててすみません。スランプに入ったのと好きなアニメできて追いかけまくってましたw
また、タイトルが前回の、次回予告でSTARTの間に点が入ってたと思いますが、ある有名グループの曲と全く同じだったので、念の為点なくしてます。そりゃ変換に出てくるよなあ
作中に出てくるもので何かと同じ名前あっても関係性はありません。ご理解くださいませ。
今回登場したif民モチーフは、
闇華さん(Yamika)
来羅さん(ララ)元if民
節狐さん(節狐)
でした!ほかはオリキャラですー!
次回、第13話『凄く美味しいクッキー屋さん』
お楽しみに!