平凡メイサーの異世界冒険譚   作:えんてぃ

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鬼族に会うため、その領地へと踏み入れた闇華達。そこには、大蛇に襲われて倒れた数名の鬼族、鬼人達がおり、彼らを救出する。しかし、そこへ現れた鬼人のエレンと仲間たち。エレンの提案で何故か来羅とエレンが戦うことになった。来羅が劣勢になり、焦った彼女は、まだ修行中でコントロールが効かない纏装術を解放してしまう。
──────


第3話 『破滅の風音』

「『嵐の調べ・破滅の章』!」

 

闇華の制止など聞くことも無く、来羅はその力を解放した。それは、密かに特訓していた更なる纏装術、風の調べの上、嵐の調べ。

それを更に無理矢理限界突破させた、まだ調整出来ていない纏装だった。

 

「っらぁ!」

 

「何っ!?」

 

来羅がエレンに攻撃を仕掛ける。その速度は、先程とは比べ物にならないほどの速さ、威力で、エレンも何とか自身の大剣で防げた程だ。

 

「お、重いっ!?」

 

「はああああ!」

 

何とか拮抗状態を保っていたが、来羅が更に力を入れ、エレンを吹っ飛ばす。

 

「くっ!」

 

「まだまだ!『嵐斧・滅風衝』!(らんぶ・めつふうしょう)」

 

今まで使った技より、威力が数倍以上にもなる打撃が、エレンを襲う。大剣で防ぎはしたが、その衝撃は殺しきれず、さらに壁に食い込まされる。

 

「ほんっと、思ったよりやるようやなぁ!」

 

なんだか口調が変わったエレン。こっちが本来の喋り方なのだろうか。そんなことを考える間もなく、彼の姿が目の前から消える。

 

「えっ!?、いや、後ろ!」

 

気配を察知した来羅が、そのまま全力で斧を後ろに振り回す。すると、予想していたところにエレンが現れる。が、残念ながらこの攻撃も防がれてしまう。

 

「この速さの移動も読むか!なら、もっと速度あげるで!」

 

再びエレンの姿が消える。そして、

 

「きゃっ!?」

 

今度は察知するより先に、エレンの攻撃が来羅に直撃した。

 

「一気に決めるで!『剣閃・月光』!(けんせん・つきみつ)」

 

光ったと思えば、攻撃が当たっている。そんな攻撃が、数え切れないほどの連撃で襲いかかる。とても、大剣使いとは思えない速さだ。来羅は、なんとか全方向に防御体勢を取ることで、ダメージを最低限に抑えてはいるが、反撃に出れないでいる。

 

「こんな、ところで……!こんなところでまた、負けるなんて……、嫌だあああ!」

 

「何っ!?」

 

来羅が魔力を解放して暴風、いや、豪風を巻き起こし、強制的にエレンの連撃を止める。

 

「負け、ルか……!」

 

(様子が……?)

 

来羅が魔力に呑まれて、理性を失いかけている。それを見た闇華は、すかさず飛び出して止めに入ろうとしたが、ここで体の異変に気づく。

 

(何、体が熱い……?っ!さっきの……!)

 

先程の大蛇戦で掠った攻撃に毒が入っていたらしく、片足が腫れ、動くと痛く、とても地面を蹴れそうにない。

 

「それでも、私が止めなきゃ……!」

 

「待ってください!その体じゃ、あっ」

 

蹴れないなら魔力で飛べばいい。闇華は止めようとする桃歌を振り払い、来羅の元へ向かう。

 

「うあアあアア!」

 

「力に呑まれたのか!?愚かな!しかし、想像以上に強力だ。全力を、今は出したくは無いんだが……仕方ないのか!」

 

実際、理性を失った来羅には、閃光の速さで動くエレンの攻撃はことごとく命中している。だが、その全てが、ダメージを与えられた感覚がないのだ。実際、彼女の体には傷一つない。

 

「来羅!やめなさい!もう十分よ!」

 

「っ、あんたは……というより、その脚でここに来ちゃダメだ!」

 

闇華が必死の形相で来羅の前に立ちはだかり、両腕を広げる。

 

「お願いだから落ち着いて……!力に呑まれて元に戻れなくなるわよ!」

 

「あ?ああう……うあ……ぐ……やみ、ちゃ……」

 

微妙に理性が戻ったのか、来羅が闇華の名前を呟いたように聞こえた。エレンも、もしかすると仲間の絆でどうにかなるのでは、と希望を抱いた。それが、間違いだった。次の瞬間に起こる事態に反応が遅れてしまったのだ。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」

 

「なっ!?きゃあああ!」

 

「しまっ!?」

 

戻りかけていたかに見えた理性だったが、突然、再び暴れだしたのだ。来羅の豪風をまともに受けた闇華は吹っ飛び、地面にたたきつけられる。本調子ならこのくらいどうってことは無いのだが、今は負傷している状態だったため、反応も受け身も遅れてしまった。

 

「タオス……!マケナインダカラ!」

 

「お前……!」

 

エレンの周りの空気が変わる。周りの地面が揺れ始める。

 

「あ、エレンさんキレた。」

 

鬼人たちの誰か1人がそう呟いたのが聞こえる。

そして、

 

「ウッ!?」

 

煌めく閃光と共に、来羅に重い一撃が入る。

 

「別に、正義のヒーロー気取る気なんてないけどな……」

 

エレンが歯を食いしばり、来羅を睨みつける。

 

「自分が、仲間を傷つけるかもしれねぇ技を、軽々と使ってんじゃねぇ!!」

 

エレンは、誰よりも仲間を大切に想い、信頼、絆を大事にする者だった。それ故、その敵が敵の仲間を傷つけるような行為すら、彼の逆鱗に触れるほどだった。

 

「闇華さん、だったか?」

 

「え、ええ……。」

 

先程、地面に叩きつけられた闇華に、エレンが声をかける。

 

「大丈夫だ、二人、いや三人か。邪悪な者ではないってことはわかった。だからあの暴走しているバカは殺しはしない。」

 

その言葉を聞いて闇華は少しほっとした。もし、この騒動で敵対視されれば、鬼人達と全面的に争うことになる。そうすれば今のままでは勝ち目がない。毒に犯された状態で逃げることも不可能だ。

 

「そして、その暴走しているバカは、俺が、ぶっ飛ばして目ぇ覚めさせてやる!!」

 

エレンの体から光のオーラが溢れはじめる。闇華は、出来れば自分が止めたいが、今は彼に任せるのが最善だと判断し、「お願い。」と頷く。

 

「『纏装・剣閃ノ光』(てんそう・けんせんのみつる)」

 

本気を出したエレンの戦闘が、始まる。




今回はここまで!いかがでしたか?
本日登場したif民モチーフのキャラは、
Yamikaさん(闇華)(元if民)

ララさん(来羅)(元if民)

Erenさん(エレン)

でした!

次回、第4話
『閃光の実力』
お楽しみに!
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