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「『嵐の調べ・破滅の章』!」
闇華の制止など聞くことも無く、来羅はその力を解放した。それは、密かに特訓していた更なる纏装術、風の調べの上、嵐の調べ。
それを更に無理矢理限界突破させた、まだ調整出来ていない纏装だった。
「っらぁ!」
「何っ!?」
来羅がエレンに攻撃を仕掛ける。その速度は、先程とは比べ物にならないほどの速さ、威力で、エレンも何とか自身の大剣で防げた程だ。
「お、重いっ!?」
「はああああ!」
何とか拮抗状態を保っていたが、来羅が更に力を入れ、エレンを吹っ飛ばす。
「くっ!」
「まだまだ!『嵐斧・滅風衝』!(らんぶ・めつふうしょう)」
今まで使った技より、威力が数倍以上にもなる打撃が、エレンを襲う。大剣で防ぎはしたが、その衝撃は殺しきれず、さらに壁に食い込まされる。
「ほんっと、思ったよりやるようやなぁ!」
なんだか口調が変わったエレン。こっちが本来の喋り方なのだろうか。そんなことを考える間もなく、彼の姿が目の前から消える。
「えっ!?、いや、後ろ!」
気配を察知した来羅が、そのまま全力で斧を後ろに振り回す。すると、予想していたところにエレンが現れる。が、残念ながらこの攻撃も防がれてしまう。
「この速さの移動も読むか!なら、もっと速度あげるで!」
再びエレンの姿が消える。そして、
「きゃっ!?」
今度は察知するより先に、エレンの攻撃が来羅に直撃した。
「一気に決めるで!『剣閃・月光』!(けんせん・つきみつ)」
光ったと思えば、攻撃が当たっている。そんな攻撃が、数え切れないほどの連撃で襲いかかる。とても、大剣使いとは思えない速さだ。来羅は、なんとか全方向に防御体勢を取ることで、ダメージを最低限に抑えてはいるが、反撃に出れないでいる。
「こんな、ところで……!こんなところでまた、負けるなんて……、嫌だあああ!」
「何っ!?」
来羅が魔力を解放して暴風、いや、豪風を巻き起こし、強制的にエレンの連撃を止める。
「負け、ルか……!」
(様子が……?)
来羅が魔力に呑まれて、理性を失いかけている。それを見た闇華は、すかさず飛び出して止めに入ろうとしたが、ここで体の異変に気づく。
(何、体が熱い……?っ!さっきの……!)
先程の大蛇戦で掠った攻撃に毒が入っていたらしく、片足が腫れ、動くと痛く、とても地面を蹴れそうにない。
「それでも、私が止めなきゃ……!」
「待ってください!その体じゃ、あっ」
蹴れないなら魔力で飛べばいい。闇華は止めようとする桃歌を振り払い、来羅の元へ向かう。
「うあアあアア!」
「力に呑まれたのか!?愚かな!しかし、想像以上に強力だ。全力を、今は出したくは無いんだが……仕方ないのか!」
実際、理性を失った来羅には、閃光の速さで動くエレンの攻撃はことごとく命中している。だが、その全てが、ダメージを与えられた感覚がないのだ。実際、彼女の体には傷一つない。
「来羅!やめなさい!もう十分よ!」
「っ、あんたは……というより、その脚でここに来ちゃダメだ!」
闇華が必死の形相で来羅の前に立ちはだかり、両腕を広げる。
「お願いだから落ち着いて……!力に呑まれて元に戻れなくなるわよ!」
「あ?ああう……うあ……ぐ……やみ、ちゃ……」
微妙に理性が戻ったのか、来羅が闇華の名前を呟いたように聞こえた。エレンも、もしかすると仲間の絆でどうにかなるのでは、と希望を抱いた。それが、間違いだった。次の瞬間に起こる事態に反応が遅れてしまったのだ。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
「なっ!?きゃあああ!」
「しまっ!?」
戻りかけていたかに見えた理性だったが、突然、再び暴れだしたのだ。来羅の豪風をまともに受けた闇華は吹っ飛び、地面にたたきつけられる。本調子ならこのくらいどうってことは無いのだが、今は負傷している状態だったため、反応も受け身も遅れてしまった。
「タオス……!マケナインダカラ!」
「お前……!」
エレンの周りの空気が変わる。周りの地面が揺れ始める。
「あ、エレンさんキレた。」
鬼人たちの誰か1人がそう呟いたのが聞こえる。
そして、
「ウッ!?」
煌めく閃光と共に、来羅に重い一撃が入る。
「別に、正義のヒーロー気取る気なんてないけどな……」
エレンが歯を食いしばり、来羅を睨みつける。
「自分が、仲間を傷つけるかもしれねぇ技を、軽々と使ってんじゃねぇ!!」
エレンは、誰よりも仲間を大切に想い、信頼、絆を大事にする者だった。それ故、その敵が敵の仲間を傷つけるような行為すら、彼の逆鱗に触れるほどだった。
「闇華さん、だったか?」
「え、ええ……。」
先程、地面に叩きつけられた闇華に、エレンが声をかける。
「大丈夫だ、二人、いや三人か。邪悪な者ではないってことはわかった。だからあの暴走しているバカは殺しはしない。」
その言葉を聞いて闇華は少しほっとした。もし、この騒動で敵対視されれば、鬼人達と全面的に争うことになる。そうすれば今のままでは勝ち目がない。毒に犯された状態で逃げることも不可能だ。
「そして、その暴走しているバカは、俺が、ぶっ飛ばして目ぇ覚めさせてやる!!」
エレンの体から光のオーラが溢れはじめる。闇華は、出来れば自分が止めたいが、今は彼に任せるのが最善だと判断し、「お願い。」と頷く。
「『纏装・剣閃ノ光』(てんそう・けんせんのみつる)」
本気を出したエレンの戦闘が、始まる。
今回はここまで!いかがでしたか?
本日登場したif民モチーフのキャラは、
Yamikaさん(闇華)(元if民)
ララさん(来羅)(元if民)
Erenさん(エレン)
でした!
次回、第4話
『閃光の実力』
お楽しみに!