平凡メイサーの異世界冒険譚   作:えんてぃ

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未完成の纏装を使用し、暴走してしまう来羅。彼女の理性はもはや無く、その攻撃はついに闇華までも傷つけてしまう。それを目の当たりにしたエレンは、仲間を傷つける可能性のある技を使った彼女に、静かな怒りを露わにした。


第4話『閃光の実力』

「『纏装・剣閃ノ光』(てんそう・けんせんのみつる)」

 

エレンを纏うオーラが一際眩しく輝く。暴走した来羅は、それを見て驚き、様子を見ているようだ。動きは止まったが理性が戻ったようには見えない。目から光は消え、体にはヒビのようなものが見え始めていた。恐らく、魔力の暴走により内側から体が崩壊しかけている。

 

「柊磨(とうま)!この闇華さんと、桃色髪でおさげの少女を抱えて集落に戻れ!それと、風花(ふうか)は先行して解毒薬、治療薬の用意を医師に伝えろ!絶対に死なせるな!大事な客人としてもてなせ!……もう1人のやつは俺が何とかする!」

 

「「了解!」」

 

エレンの声を聞いた鬼人の二人が、一斉に動く。風花と呼ばれた少女は来た方角に戻り、柊磨と呼ばれた青年は、闇華の傍に飛び降りる。

 

「わ、私はここに……」

 

「バカ言ってんじゃねえよ。そのままだと毒で死ぬぞ。早く行け、不安なのはわかるが、俺に任せろって言ったろ。大事な客人を殺しちまうなんてヘマ、絶対しねえから。」

 

それを聞いて、闇華は抵抗を辞める。柊磨はそれを確認して彼女を抱え、桃歌の方も抱えに向かう。

 

「さて、なんで止まってたのかは知らんが、そろそろ再開と行こうや。」

 

鬼人達はエレンの指示で集落に戻り、闇華達も連れていった今、ここには死んだ大蛇以外は、エレンと来羅しかいない。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」

 

一際大きく叫んだ来羅が、豪風を纏って突進する。闇華達が居た時よりも数段速く、激しい。もしかすると、ほんの少しだけ理性が残っており、力をセーブしていたのかもしれない。

 

「遅いで!」

 

またもや、エレンの姿が来羅の目前から消える。全力で突進した来羅は、直ぐに止まることも出来ず、地面に突撃する。大地はえぐれ、大きなクレーターが出来上がる。大蛇の死体は豪風に巻き上げられた。

 

「こっちや。」

 

エレンの行方を探っていた来羅の背後から、彼の声がした。刹那、

 

「『剣舞・鬼人裂斬』(けんぶ・きじんれつざん)」

 

とても大剣とは思えないほどの速い斬撃が、来羅を襲う。

 

「ガッ!?」

 

だが、来羅へのダメージは浅かった。一瞬動きが止まったものの、斧を大きく振るい、広範囲に無数の風の斬撃を飛ばす。物量で押し切る作戦だろう。

 

(今ので浅い、か……。想像以上に硬そうやな。)

 

「なら、これならどうや!『剣舞・豪鬼斬』!(けんぶ・ごうきざん)」

 

先程の攻撃は速さを重視した連撃。今度は、一撃に全てを込めた重い斬撃。鬼人特有の筋力と、エレンのセンスと日々の努力から成る全体重をかけた技。

 

「ガアッ!?いった……!」

 

今度は確実にダメージを与えた実感があった。それに、

 

(今、一瞬理性が戻ったか……?)

 

痛がった瞬間、一瞬、少しだけ目に輝きが戻ったように見えたのだ。

だが、それも直ぐに元に戻り、エレンへ反撃する。

 

「そんな攻撃は当たらんでぇ!」

 

今までと同じく、エレンはその反撃を難なく回避、または大剣で受け止める。彼に勝つには、今の理性を失い冷静さに欠ける来羅では厳しい。が、暴走状態の者は動きが読み辛いため油断はできないのだ。

 

「どうにかして気絶させんとな……。」

 

今回に関しては、殺さずに気絶させなければならない。単に殺すより、難しいのだ。

その後も、激しい攻防が続き、戦況的にはエレンの方が優勢だが、なかなか気絶の一撃を入れられずにいた。理由は、

 

(頑丈すぎるやろこいつ……!)

 

大型の魔物なら、確実に脳震盪を起こして気絶するであろう一撃を打ち込んでも、来羅は難なく立ち上がり、向かってくる。

 

「何とか隙を作れねえか……!」

 

来羅の猛攻を捌きながら、エレンは脳をフル回転させて考える。来羅の攻撃の単調さを利用して、何か策はないだろうか。半端な策ではダメだ。エレン程では無いにしろ、来羅のスピードは本物だ。下手なことをすれば逆に隙を突かれてしまう。

 

(そうや!やった事ないけど、これなら……!)

 

そして、ある一つの案を思いつく。リスクは確かにあるが、今の来羅に対してなら有効だと思えた。

 

(やってみるか……!)

 

「『鬼術・閃分身』(きじゅつ・せんぶんしん)」

 

「!?」

 

鬼族はパワーはもちろん、妖術のような魔法系も得意としている。今、エレンが発動したのは、自身の閃光の魔力で分身を多数生成する術だ。攻撃力や耐久力は本体には遠く及ばないが、それぞれが独立した動きをするため、惑わすには最適である。そして、複数の的が現れて本体がどれか分からない時に、大抵の人が決まってとる行動。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」

 

全方位、全分身を巻き込んだ超広範囲攻撃。来羅を中心に、岩をもえぐり飛ばす豪風が吹き荒れ、エレンの分身たちを消し飛ばす。この中に本体が居ると疑わず。そして、大技の後には必ず隙が生じる。エレンは、先程分身を生成した時点で、彼女の攻撃が届かない遥か上空へと飛翔していたため、この攻撃を回避しており、この隙に撃ち込むための力を溜めていた。そして、

 

「これで、終わりだ……!」

 

上空から光速で来羅に向かって落下する。重力加速度も重ねた一撃を彼女に打ち込むべく。

 

「!?」

 

「『剣閃・閃墜』(けんせん・せんつい)!」

 

ただでさえこの戦いでできていたクレーターに、さらなる深さのクレーターが出来上がる。

 

「あ……。」

 

ドサッ、と、来羅は気を失い倒れる。本来なら斬撃を入れるところだが、今回は無力化が目的のため、大剣の腹で叩きつけて気絶させたのだ。

 

「……もう、仲間を傷つけちまうような技を使うんじゃねえぞ。」

 

そう呟き、エレンは大剣を背にかけ、ふぅ、とため息をついた。

 

 

 




今回はここまで!いかがでしたカーニバル?

……コホン、今のは忘れてください。



今回登場したif民モチーフは、

Erenさん、(エレン)

Yamikaさん(闇華)(元if民)

ララさん(来羅)(元if民)

でした!ありがとうございました!

余談ですが、まさかハーメルンまでサーバー攻撃受けるとは……
世の中怖いですね 
サイト作者さんにはいつも感謝しております。
対策考案されてるようで、接続不安定な時もあるみたいですが、一緒に応援しましょう。


次回

第5話『鬼族の選択』

おたのしみに!
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