「『纏装・剣閃ノ光』(てんそう・けんせんのみつる)」
エレンを纏うオーラが一際眩しく輝く。暴走した来羅は、それを見て驚き、様子を見ているようだ。動きは止まったが理性が戻ったようには見えない。目から光は消え、体にはヒビのようなものが見え始めていた。恐らく、魔力の暴走により内側から体が崩壊しかけている。
「柊磨(とうま)!この闇華さんと、桃色髪でおさげの少女を抱えて集落に戻れ!それと、風花(ふうか)は先行して解毒薬、治療薬の用意を医師に伝えろ!絶対に死なせるな!大事な客人としてもてなせ!……もう1人のやつは俺が何とかする!」
「「了解!」」
エレンの声を聞いた鬼人の二人が、一斉に動く。風花と呼ばれた少女は来た方角に戻り、柊磨と呼ばれた青年は、闇華の傍に飛び降りる。
「わ、私はここに……」
「バカ言ってんじゃねえよ。そのままだと毒で死ぬぞ。早く行け、不安なのはわかるが、俺に任せろって言ったろ。大事な客人を殺しちまうなんてヘマ、絶対しねえから。」
それを聞いて、闇華は抵抗を辞める。柊磨はそれを確認して彼女を抱え、桃歌の方も抱えに向かう。
「さて、なんで止まってたのかは知らんが、そろそろ再開と行こうや。」
鬼人達はエレンの指示で集落に戻り、闇華達も連れていった今、ここには死んだ大蛇以外は、エレンと来羅しかいない。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
一際大きく叫んだ来羅が、豪風を纏って突進する。闇華達が居た時よりも数段速く、激しい。もしかすると、ほんの少しだけ理性が残っており、力をセーブしていたのかもしれない。
「遅いで!」
またもや、エレンの姿が来羅の目前から消える。全力で突進した来羅は、直ぐに止まることも出来ず、地面に突撃する。大地はえぐれ、大きなクレーターが出来上がる。大蛇の死体は豪風に巻き上げられた。
「こっちや。」
エレンの行方を探っていた来羅の背後から、彼の声がした。刹那、
「『剣舞・鬼人裂斬』(けんぶ・きじんれつざん)」
とても大剣とは思えないほどの速い斬撃が、来羅を襲う。
「ガッ!?」
だが、来羅へのダメージは浅かった。一瞬動きが止まったものの、斧を大きく振るい、広範囲に無数の風の斬撃を飛ばす。物量で押し切る作戦だろう。
(今ので浅い、か……。想像以上に硬そうやな。)
「なら、これならどうや!『剣舞・豪鬼斬』!(けんぶ・ごうきざん)」
先程の攻撃は速さを重視した連撃。今度は、一撃に全てを込めた重い斬撃。鬼人特有の筋力と、エレンのセンスと日々の努力から成る全体重をかけた技。
「ガアッ!?いった……!」
今度は確実にダメージを与えた実感があった。それに、
(今、一瞬理性が戻ったか……?)
痛がった瞬間、一瞬、少しだけ目に輝きが戻ったように見えたのだ。
だが、それも直ぐに元に戻り、エレンへ反撃する。
「そんな攻撃は当たらんでぇ!」
今までと同じく、エレンはその反撃を難なく回避、または大剣で受け止める。彼に勝つには、今の理性を失い冷静さに欠ける来羅では厳しい。が、暴走状態の者は動きが読み辛いため油断はできないのだ。
「どうにかして気絶させんとな……。」
今回に関しては、殺さずに気絶させなければならない。単に殺すより、難しいのだ。
その後も、激しい攻防が続き、戦況的にはエレンの方が優勢だが、なかなか気絶の一撃を入れられずにいた。理由は、
(頑丈すぎるやろこいつ……!)
大型の魔物なら、確実に脳震盪を起こして気絶するであろう一撃を打ち込んでも、来羅は難なく立ち上がり、向かってくる。
「何とか隙を作れねえか……!」
来羅の猛攻を捌きながら、エレンは脳をフル回転させて考える。来羅の攻撃の単調さを利用して、何か策はないだろうか。半端な策ではダメだ。エレン程では無いにしろ、来羅のスピードは本物だ。下手なことをすれば逆に隙を突かれてしまう。
(そうや!やった事ないけど、これなら……!)
そして、ある一つの案を思いつく。リスクは確かにあるが、今の来羅に対してなら有効だと思えた。
(やってみるか……!)
「『鬼術・閃分身』(きじゅつ・せんぶんしん)」
「!?」
鬼族はパワーはもちろん、妖術のような魔法系も得意としている。今、エレンが発動したのは、自身の閃光の魔力で分身を多数生成する術だ。攻撃力や耐久力は本体には遠く及ばないが、それぞれが独立した動きをするため、惑わすには最適である。そして、複数の的が現れて本体がどれか分からない時に、大抵の人が決まってとる行動。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
全方位、全分身を巻き込んだ超広範囲攻撃。来羅を中心に、岩をもえぐり飛ばす豪風が吹き荒れ、エレンの分身たちを消し飛ばす。この中に本体が居ると疑わず。そして、大技の後には必ず隙が生じる。エレンは、先程分身を生成した時点で、彼女の攻撃が届かない遥か上空へと飛翔していたため、この攻撃を回避しており、この隙に撃ち込むための力を溜めていた。そして、
「これで、終わりだ……!」
上空から光速で来羅に向かって落下する。重力加速度も重ねた一撃を彼女に打ち込むべく。
「!?」
「『剣閃・閃墜』(けんせん・せんつい)!」
ただでさえこの戦いでできていたクレーターに、さらなる深さのクレーターが出来上がる。
「あ……。」
ドサッ、と、来羅は気を失い倒れる。本来なら斬撃を入れるところだが、今回は無力化が目的のため、大剣の腹で叩きつけて気絶させたのだ。
「……もう、仲間を傷つけちまうような技を使うんじゃねえぞ。」
そう呟き、エレンは大剣を背にかけ、ふぅ、とため息をついた。
今回はここまで!いかがでしたカーニバル?
……コホン、今のは忘れてください。
今回登場したif民モチーフは、
Erenさん、(エレン)
Yamikaさん(闇華)(元if民)
ララさん(来羅)(元if民)
でした!ありがとうございました!
余談ですが、まさかハーメルンまでサーバー攻撃受けるとは……
世の中怖いですね
サイト作者さんにはいつも感謝しております。
対策考案されてるようで、接続不安定な時もあるみたいですが、一緒に応援しましょう。
次回
第5話『鬼族の選択』
おたのしみに!