そしてクルーズ船に乗って数日後に動き出した。船内でアナウンスが起こり、島に上陸することになった。それだけで終わるはずもなく、特別試験について告げられた。内容に関しては省くが一週間、無人島で生活をする。
色々と細かいルールがあるが、Dクラスににとってはチャンス。クラスポイントを増やせる可能性があるから。だからDクラスの人はすっごく盛り上がっている。
私としてはそんなことは別にどうでもいい。今の私は綾小路くんの隣に陣取って他の人たちを威嚇している。綾小路くんの隣は誰にも譲る気がない。今はクラスでこの無人島での一週間をどう乗り切るのかを相談をしている最中。私と綾小路くんはクラスの中心の輪から少し離れたところにいる。
私が綾小路くんに偽の恋人をやってもらうにあたって『視線を感じることが多い』と言ったけど、それはあくまで偽の恋人になるための嘘だった。でも、綾小路くんと偽の恋人になってから誰かからの視線を感じることが多くなった。
そしてそれは今も。どこからか分からないけど、誰からの視線。綾小路くんからの視線だったら大歓迎。でも、他の奴らからの視線は反吐が出る。特に綾小路くん以外の男の私を見る目は嫌い。
「綾小路くん」
「どうした?」
「…い、いや、何でもないよ。ごめんね、急に呼んじゃって」
ここで綾小路くんに言うことは出来る。でも、それを言って綾小路くんに労力を割いてもらうのは悪いと思ってしまう。自分の問題は自分で解決した方がいい。
それから時間が経って、クラスでの話し合いがひと段落ついて森の中へと足を進めていこうと決まった。他のクラスも少しずつ森の中へと入っていっている。
私は綾小路くんの袖を掴んで付いて行っている。綾小路くんは「手を繋ぐか?」と聞いてくれたけど、今回私の方から断る事にした。いつもの私なら喜んで承諾したはず。でも、森の中で手を繋いで歩くのは少し危険。足元もおぼつかないのに。綾小路くんが手を繋いだところで何かあるとは思っていないけど、綾小路くんが自分と手を繋いだせいで怪我でもしたら一生自分のことを恨む気がするし。
「それよりもお前はいいよな、櫛田ちゃんっていう彼女がいてよ!」
綾小路くんの隣を歩いている山内が綾小路くんの肩を叩きながら言った。今にでも地獄に落としたいほどに苛立ちがどんどん溜まっていく。
「ああ」
「なんだよ。その淡泊な返事はよ!」
「櫛田ちゃんもこんな奴じゃなくて俺に乗り換えない?」
この男は本当に何を言ってる。お前が綾小路くんと同列だと思ってるのか。まず、綾小路くんにお前が触れることでさえ、抑えられないのに綾小路くんを『こんな奴』と言われたことが何よりも嫌だ。
「……私は綾小路くんのそういう淡泊なところも好きだから」
「そうなんか。綾小路に飽きたらいつでも俺に乗り換えても良いからな」
まず、綾小路くん以外に好きな人なんて絶対に出来ないし。
そして無人島の特別試験が始まったのだった。
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綾小路清隆に櫛田桔梗への恋心に近いものは生まれるのか?
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生まれる
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生まれない