あれから櫛田と色々と話し合った。
そして今は場所を移してオレの部屋で詳細を話している。
櫛田桔梗という人間はとても危ういが、目的を与えることでその危うさが少しでも改善されるんであればいい。
そうでなければ櫛田桔梗は自らの人生を終わらせかねない。それに彼女にはまだ価値がある。
櫛田桔梗という女は先輩や同級生を含めて、まだ『可愛い』という印象を抱いている。
そしてそんな櫛田から迫られれば口が軽いような人間はすぐに落ちる。もちろん、龍園や葛城のようなハニートラップなんて引っかからない奴もいるが、オレたちはまだ高校生だ。全男子が耐性を持っているわけではないのだ。
「櫛田、お前にはCクラスの男子生徒に接近をして欲しい」
「うん」
「相手に関しては難しいが、小宮叶吾辺りが妥当だと考えている」
あまり中枢にいそうな人間はリスクが大きすぎる。例えを上げるとしたら金子や石崎に関しては龍園に近すぎるし、龍園への一定程度の信頼があれば簡単には揺らがないだろう。
それにこれはCクラスに情報を流してくれるような人間が一人いればいい。それなら相手はあんまり中枢にはいないが、ある程度の情報は得られるぐらいの人材がいい。
「私が小宮くんに近付いて情報を得ればいいんだね!」
「ああ、櫛田にはそれを頼む。これからのことを考えればCクラスの中に一人でも協力者がいるというのは、有難い」
「わかった、綾小路くんの期待を裏切らないように頑張る!」
「それは有難い」
その後もこれからのことを話し合って、ある程度終わると沈黙が流れる。
すると櫛田は少し移動してオレの隣にまで来た。
「櫛田はオレのこと好きか?」
「好きだよ」
「もし、オレが犯罪者になっても付いてこれるか?」
「うん、綾小路くんと一緒だったらどんな運命でも受け入れられるよ」
「そうか。オレはお前みたいな奴が側に居てくれて嬉しい」
「私の方こそ、綾小路くんと出会えなかったら世界なんて信じられないよ」
櫛田はこれ以上ないぐらいにオレに依存している。逆にこれ以上の依存は櫛田の破滅をもたらす。
「桔梗」
櫛田の方を見るとフリーズしたように固まっている。
「え……」
「二人の時間でぐらいは桔梗と呼んでもいいんじゃないかと思ったが、どうだ?」
「う、うん!桔梗って呼んで欲しい!」
「そうか。じゃあ二人の時は桔梗と呼ぶことにしよう」
櫛田にはこのまま依存してもらうのが一番良いが、それにはある程度こちらも櫛田に対して対価を支払わなければならないだろう。
櫛田は何もなくても働いてくれるだろうが、ある程度こちらから歩み寄れば櫛田はもっと頑張ってくれるだろう。それにあんまり追い詰めすぎるといつ…自らの命を捨ててしまうのか分かったものではない。
「そ、それなら…わたしも…清隆くんって呼んでも…いいかな?」
「いいぞ。オレだけ桔梗と呼ぶのはさすがにアンフェアだからな。オレのことも下で呼んでもらって構わない」
「……き、きよたか…くん」
「ああ、桔梗」
「清隆くん」
櫛田はオレの方に寄り掛かって来たが、オレは気にすることなく目の前を見る。
「私、清隆くんと出会えて幸せだよ」
「オレもだ…」
櫛田桔梗という人間はもう完全に落ちるところまで落ちている。
感想があればお願いします
綾小路清隆に櫛田桔梗への恋心に近いものは生まれるのか?
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