入学してそれなりに月日が流れて、綾小路くんとの関係はかなり良好と言ってもいいんじゃないかなと私的には考えていたりする。今でも一対一で会話をする時はかなり緊張はするけど、それでも最初の頃に比べればスムーズに会話をする事が出来ていると思う。だけど綾小路くんと話すようになってから…欲求は余計に高まっていく。最初の頃は話せるだけで満足だったし、嬉しかったものが『もっともっと』と欲が高まっていく。
「もっと綾小路くんと一緒に過ごせるようになったらいいな」
--------
昼休みになりいつもの人たちと食事をしようかなと考えていると端末にメッセージが届いている事に気付いた。誰だろうと思って開いてみるとそこには………『綾小路清隆』と表示されていた。一瞬、時が止まってしまったような衝撃に襲われた。
正直、連絡先を交換してからはあんまり連絡を取っていない。私の方からはいつでも連絡したいけど『うざい女』とは思われたくもないしね。
そう思われたら最後は軽蔑な視線を迎えられるかしれない。そうなったら私は崩壊する。こんなにも一人の人間に依存するような生き方をする自分を愚かだと思ったりもするけど今の私にとってそれが一番の幸せなんだから仕方ない。
綾小路くんからのメッセージの内容は「今から食堂に来れるか?」という内容だった。そのメッセージに私はすぐに返事をした。
そして急いで食堂に行くと…綾小路くんの姿があった。昼休みという事もあってたくさんの生徒が学食に溢れているけど綾小路くんを見つけるのには苦労しない。自分が惚れている相手の姿を見つけられないはずがないから。
「悪いな。来てもらって」
「ううん。全然、大丈夫だよ」
まさか綾小路くんからお誘いを受けるとは考えていなかった。だから誘われた時には顔に出ていないか心配してしまうほどに喜びに満ちていた。だって一目惚れをした相手からどんな事でも誘われたんだ。綾小路くんが私を選んでくれたんだから。
「それで櫛田を呼んだのは――――――――
綾小路くんの意図を聞いて、さっそく私は綾小路くんに付いて行くとそこには私達よりも一つ上の学年の先輩が座っていた。綾小路くんはその先輩の隣の席に腰を下ろした。私は先輩の前の席に腰を下ろした。正直、この場を見た時に綾小路くんが私に求めている事はある程度理解できた。
その後は綾小路くんが望んでいるように私は振舞った。好きでもない人間に誘惑するような事をするのは最悪な気持ちだったけど綾小路くんが望んでいる結果にするのには必要な事だったから仕方ないと言い聞かせた。
--------
そして目的を達成して私と綾小路くんは隣同時でベンチに腰を掛けていた。手を伸ばせば綾小路くんに触れられるぐらいの距離。最初は隣に座る事を渋っていた綾小路くんだが私の押しに負ける形で隣に座ってくれた。
「今回は付き合わせて悪かったな」
「そんなことないよ。綾小路くんの頼みだったら喜んで引き受けるよ!!」
私が頼みを聞くのは綾小路くんの頼みだけ。それ以外の奴の頼みなんて死んでも聞く気がしない。だって私は彼以外に興味がないから。
「そうか、そう言ってくれると有難い」
彼は無表情で口にした。彼の言葉には感情がのっていない。全てが『無』。それは今に始まった事ではないのは分かっているし、そういうところがカッコいい。だけどたまには私に笑顔を見せてくれないかなという密かな期待を胸に秘めていた。
「これからも何かして欲しい事があったら言ってね!」
それから少し会話をして私と綾小路くんは別れた.。
綾小路くんは二年生の先輩から一年前の問題用紙を貰うために私を利用したんだと思う。だけどそうだとしても『利用』だとしても何でも彼が私を頼ってくれたのは変わりない事実。その頼ってくれただけでも嬉しい。どんなに汚い事だとしても綾小路くんからのお願いをされれば私はそれを成し遂げる。愛している相手からのお願いであればそれを断るなんて選択肢は全くない。
綾小路清隆に櫛田桔梗への恋心に近いものは生まれるのか?
-
生まれる
-
生まれない