もし、櫛田桔梗が綾小路清隆に一目惚れをしたら   作:主義

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結果

櫛田と綾小路の関係はすぐに船上の至るところに伝わった。いつもよりも伝わるのが早いのは船の上だからだろう。様々な生徒がいて驚愕する者、こそこそと噂話を進める者たち。

 

綾小路清隆という今まであまり人目に触れることのなかった名前がこの1日の間に1年全員に知れ渡った。今までは全然注目を浴びることのなかった『綾小路清隆』という名前は船内の至る所に伝わっている。

 

 

――――――――――――――

今日も私と綾小路くんは一緒に過ごしている。綾小路くんの用事がない時にだけこうやって一緒に居られる。

 

 

「ごめんね、綾小路くん。私が恋人の振りをして欲しいなんてお願いをしたからこんなことになっちゃって」

 

船内は私と綾小路くんの噂で持ち切りだ。私が少なからず好意を抱かれていたのは知っていたけど、まさかここまで大事になると思っていなかった。それに何より今回の噂で許せないのは綾小路くんのことで明らかに意図的にひどく言っていること。

 

私がどれだけ言われたとしても別に構わない、何も感じないわけではないけど、自分への悪口とかだったら割り切る事もできる。でも、綾小路くんに対しての悪口だけはどうしても許せない。誰が言っているのかを突き止めて、そいつに土下座させて謝らせたいけど、綾小路くんはそういうことを望んでいないのを私は知っている。

 

 

「別に構わない。元々、恋人の振りをすればこうなる事は分かっていたことだ」

 

それでも綾小路くんは目立つような行為はしたくなかったはず。私のお願いを聞くために目立ちたくなかったのに目立たせてしまった。

 

 

「で、でも、綾小路くん」

 

 

「別に気にする必要はない」

 

 

「綾小路くんがそう言うなら……それで綾小路くん、今日はどうしたの?」

 

今回は私が呼んだのではなくて、綾小路くんの方から呼んでくれた。だから、いつもより何倍も嬉しかった。私から呼び出すんじゃなくて相手の方から呼び出されるだけでここまで嬉しいなんて初めて。綾小路くんに出会ってからは初めての事が一杯だ。

 

 

「ああ、今回はこの後のことに関すること」

 

 

「え、この旅って普通に夏休みのクルーズ旅行じゃないのかな?」

 

 

「表向きにはそんな感じだろう。だが、後数日のうちに何かしらの事が起こるはずだ。学校側が主催で行っている以上は何かあると考えた方がいいからな」

 

本当に綾小路くんは先の先まで読んでいるんだなぁと改めて再確認させられた。私なんかは普通に旅行的感じで居たけど、綾小路くんは先の事をずっと考えていたんだ。

 

 

「うん、わかった」

 

 

「一応、櫛田にはこの事を伝えておいた方が良いと思ったな。今日は呼び出して悪かったな」

 

 

「あ、あの!!」

 

偽でも恋人関係になるのはうまくいった。でも、恋人関係になってからずっと気になっていることが一つだけある。それはお互いの呼び方。私は『綾小路くん』、綾小路くんは『櫛田』。お互いに呼び方は苗字で名前で呼んでいない。私としては名前の方で呼びたい……でも、それはさすがに綾小路くんも嫌かなと考えてしまうと言えない。

 

 

「なんだ?」

 

 

「い、いやなんでもない。ごめんね、急に呼び止めちゃって」

 

 

「そうか」

 

私は去っていく綾小路くんの背中を眺めることにしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「おい、お前ら準備はできてるか」

 

 

「ああ、できてるよ。いつでも」

 

 

「あの時の恨みは絶対に忘れねぇ…」

 

 

綾小路清隆に櫛田桔梗への恋心に近いものは生まれるのか?

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