鯨と蛸の呪い合い   作:スクリーム1st

7 / 9
10000UA本当にありがとうございます。
初めて書いたもので至らないところもあるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。


7話

伏黒にブチ切れられてから、一週間が経った。

未だに俺は答えを出せていない。

俺の存在意義。今まで取るべきだった行動。そして、軽い気持ちで貶めた命への贖罪。

その全てに対し、俺は深い後悔を抱いている。……と言っても、その時傷つけたものには何もできない。

 

「どうすればよかったんだろうな……どうすればいいんだろうな」

 

どろりとした気持ちの中、絞り出すように呟く。ホント、何やってたんだろうな俺は。

もう何もしない方がいいんじゃないか、と。そういう気持ちが湧いてくる。

 

「でも、何もやらないままじゃ申し訳が立たない」

 

そうして、俺は立ち上がる。暗い気持ちを抑えながら、吐き出しそうになりながら。

何も、解決しないまま。

 

~~~~~~~

 

この一週間で、天内はぎこちないながらも呪力の操作が出来るようになっていた。

そもそも彼女は呪力を持っているのかという懸念があったが、それは杞憂だった。

なんとコイツ、俺の半分くらいの呪力を持っている。半分と言うと聞こえが悪いかもしれないが、2年鍛えた特級呪霊の半分だ。かなりの量なのは違いない。さすがは星漿体って所か?

だが、術式は未だに判明していないようだ。これについては無いという可能性もあるが、まあそれはそれで訓練が無駄になる訳では無いし、少し残念だが仕方ない。

 

体術については、まだ体力作りの段階だ。元々活発な性格だが、長時間の戦闘に耐えられる持久力を持っているワケでもない。日毎にこなせる訓練の量が増えているので、技の段階に入るのも時間の問題だろうが。

問題点は、伏黒だ。あれ以来、俺達は良好な関係を築いているとは決して言えない距離感を保っている。というのも───

 

「あー、その、伏黒?ちょっといい、か?」

「あぁ?」

「うっ、いやその、この前は……」

「チッ」

 

───こんな感じで、本題に入る前に避けられてしまうのだ。まぁこれは俺がビビりすぎなのも良くない気がする。でも仕方ないだろ、怖いんだよ!

あの叱責の原因が俺にあることは理解してる。今までの軽い気持ちでの殺しも含めて。だからこそ今割とダウナーなんだが…。

 

「ダメだ陀艮、謝る隙がねえ」

「ふむ……彼も今は虫の居所が悪いのかもしれないな。少し経てば落ち着くだろうし、今はそれについて考えてみるべきなのではないだろうか?」

「んー…。そだな、俺も急ぎすぎてたかも」

 

この気まずい感じ、いるだけでキツいものがあるが……猶予だと思おう。

 

伏黒にブチ切れられてから、一週間が経った。

未だに俺は答えを出せていない。

俺の存在意義。今まで取るべきだった行動。そして、軽い気持ちで貶めた命への贖罪。

その全てに対し、俺は深い後悔を抱いている。……と言っても、その時傷つけたものには何もできない。

 

「どうすればよかったんだろうな……どうすればいいんだろうな」

 

どろりとした気持ちの中、絞り出すように呟く。ホント、何やってたんだろうな俺は。

もう何もしない方がいいんじゃないか、と。そういう気持ちが湧いてくる。

 

 

~~~~~~~

 

「こう……こうじゃな!?」

「おぉー、ブレブレだけど出てるな」

 

この一週間で、天内はぎこちないながらも呪力の操作が出来るようになっていた。

そもそも彼女は呪力を持っているのかという懸念があったが、それは杞憂だった。

なんとコイツ、俺の半分くらいの呪力を持っている。半分と言うと聞こえが悪いかもしれないが、2年鍛えた特級呪霊の半分だ。かなりの量なのは違いない。さすがは星漿体って所か?

だが、術式は未だに判明していないようだ。これについては無いという可能性もあるが、まあそれはそれで訓練が無駄になる訳では無いし、少し残念だが仕方ない。

 

体術については、まだ体力作りの段階だ。元々活発な性格だが、長時間の戦闘に耐えられる持久力を持っているワケでもない。日毎にこなせる訓練の量が増えているので、技の段階に入るのも時間の問題だろうが。

 

~~~~~~~

 

気分転換に呪具探しに行った。

俺の推定にはなるが、三級相当が二つと、二級相当が一つ。かなりいい結果になったが、その間もあまり気持ちは晴れなかった。

海から上がると、天内が疲れた顔でトボトボと歩いていた。

 

「お、今終わりか?」

「うむ……あのタコの扱きは何とかならんのか?ちと厳しすぎる」

「結構合理的な所があるからな。早く強くなるためだと思って頑張りな」

 

陀艮は考えて行動するタイプだ。俺とは正反対。

感情で動く事も無くはないが、それも俺と比べれば無いに等しい。

やっぱり呪霊の性格は最初からある程度決まっているのかもしれない。それとも俺が反面教師になったのか。どちらにせよ俺とは違う。

決して同じ存在になることは無い。だからこそ愛おしい。

自分と全く同じ存在がいて好きになれるだろうか。少なくとも俺ならおかしくなってしまうだろう。

その変化は、とても大切なものだ。

 

「…おーい、どうした?目が虚ろになっとるぞ」

「ハッ!すまん、ちょっとトリップしてた」

「そ、そうか……そういえば、あの筋肉との関係はどうなのじゃ?」

 

うっ、そこを聞くかあ……。

痛いとこ突くな、こいつ。

 

「……まだなんも話せてねーよ」

「ま、そんなことだろーと思っとったわ。みっともないのー、モジモジしおってからに」

「ぐうっ……なんも言い返せねえ」

「しょーがないから手伝ってやろう。お主らの空気もそろそろ鬱陶しくなってきたところじゃ」

 

口調は偉そうだが、俺の事を気遣ってくれているのが伝わる。こいつも優しいな。

俺は恵まれてる。

 

「というかお主、もう生きる目的はあるのではなかったか?なんだったか、平穏な生活だったか」

「……あれ?」

 

そうじゃないか。

俺は最初から目的を決めていた。なぜ今になって思い出す?何故忘れていた?

なんだ。俺に一体何が起こってる。

んー……まあいいか(・・・・・)。とりあえず伏黒と話そう。

 

「よく分からんが、ありがとな天内。おかげで初心を思い出せた」

「……うーん…なーんか拍子抜けじゃが、まぁ良いわ」

 

俺は拠点へと戻った。

そこであんなことが起きているとも知らずに、呑気に緩やかな足取りで。

 

 




詰閂(つみぬき)推定:特級
金属で出来た手枷型の呪具。沈没船内で盃鑼が発見。海底で拾ったにも関わらず、錆は一切ない。
繋がれた対象がある一定の距離を移動すると、凄まじい力で根元部分に引き寄せる。
術式を打ち消す効果は無いので、伏黒に効果があったのは偶然。

新拠点
盃鑼たちの新たな拠点。
術式によって多数の個室が造られており、スペースには困らない。
周辺には海藻や水生生物が多数生息している為、食料には困らない。


地上で何着か拝借して来たものを陀艮が洗濯している。
呪霊二人は女物がよく分からないので適当に選んだ。
天内は満足していない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。