Muv-Luv Alternative : Reincarnation   作:アレクシア少佐

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6. 訓練小隊

結局、教官...まりもちゃんが何事かと駆けつけ、どうにか冥夜の誤解を解くことができた。

 

「サクラ、本当に何事も無かったのだな?そなたが大丈夫だと言うのであれば、それでよいのだが...。」

 

「...冥夜、勘違いさせて...ごめん。本当に、何も無いから...。」

 

「ふむ。そこの男、すまなかったな。許すがよい。」

 

心底疲れた、という表情をしている白銀武。

...レポートの件で煽ってきたことは、これでチャラにしておいてやろう。

 

この一件で、冥夜とは打ち解けた...まではいかないだろうが、仲良くなれたようだ。

 

「貴様が、白銀武だな?そしてそっちのお前が...白銀桜花、で間違いないか?」

 

はい、と白銀武と共に返事をしておく。

 

まりもちゃんを見ると、あの光景...を思い出してしまいそうになる。

 

ダメだ、今思い出せば、吐くか泣き出してしまうか...。

...女になったせいか、泣きやすくなっているような気がする。

 

「では、この二人が?」

 

「小隊集合ッ!」

 

まりもちゃんが号令を掛けると、何人かが走り寄ってくる。

 

誰か足りない気がする。

...そうか、美琴はまだ入院中なんだっけ。

 

「207小隊集合しましたッ!」

 

「よし...では、紹介しよう。新しく207小隊に配属された、白銀武訓練兵と、白銀桜花訓練兵だ。」

 

「...白銀武です。よろしくお願いします。」

 

チラっと冥夜のほうを見て、おずおずと名乗る白銀武。

 

「白銀桜花です。よろしくお願いします。」

 

「季節外れの編入に驚いただろうが、白銀武はとある事情によりこれまで徴兵免除を受けていた者だ。白銀桜花は、少尉任官していたらしいが...負傷により、先日まで療養していたとのことだ。」

 

「色々とありまして...今後ともよろしく。」

 

「座学は問題無いと思いますが...体力など身体的にどうなっているかも分からないので、鍛え直して貰おうかと。よろしくお願いします。」

 

無難な受け答えをしておく。

 

「訓練には明日から参加してもらう。わかったな?」

 

「「はいっ!」」

 

みんなと一緒に、元気よく返事をする。

 

「とりあえずは、一緒に食事でもして早く交流を深めることだ。榊、食事の後兵舎への案内など、諸々頼んだぞ。」

 

「はいっ!」

 

「では残り10分、引き続き訓練だ。二人は少し見学していろ。」

 

「「わかりました。」」

 

みんなが、残り時間の訓練のために戻っていく。

 

「...タケル、さっきはすまなかったな。冥夜の顔を見たら、つい...な。」

 

「本当だよ、まったく...。本気で、殺されるかと思ったぞ...。」

 

適当な軽口を叩きつつ、訓練を見守る。

 

...今の身体で、長距離走などできるのだろうか...今から、不安が募る。

 

とにかく、白銀武と協力して、前回同様みんなを、白銀武をさっさと任官させてしまうことが目標になりそうだ。

 

...夕呼先生に頼んで、私は体力が落ちているから鍛え直す、という意味で訓練兵にしてもらった。

総戦技は、パスさせてもらった。...面倒くさいしな。

 

その代わり、総戦技後はすぐに少尉に復帰...とはいかず、教導補佐をする手筈だ。

 

まあ、先に少尉になってしまって、みんなとの交流が思うようにいかないよりはいいだろう。

 

 

 

 

「小隊集合――ッ!」

 

どうやら、残っていた訓練が終わったようだ。

 

 

 

 

 

みんなでPXに向かう。

 

「白銀さーん、サクラさーん、榊さん、こっち!」

 

たま...に呼ばれて、席に着く。

 

「早かったな。」

 

「だって...案内の必要なんて全くないんだもの。...まるで何年もここにいたみたいに、飲み込みが早くて...さっさと終わらせるって感じだったわ。」

 

...そりゃ、ね...実際、思い出せる限りではずっとここにいるわけだしな...。

 

「別にいいじゃないか委員長、予習の成果だよ。」

 

「...委員長?」

 

彩峰が不思議そうに言う。...言われてみれば、初対面なのにそんなこと言いだすのって変だよな...。

...変に思われるのは白銀武だけで十分だ、私は名前で...呼ぶ努力をしよう。

 

千鶴、って?恥ずかしくて呼べるわけ...!

 

...無難に榊、でいいか...。

 

「何だか分からないけどこの調子よ...いい加減呆れてたところ。」

 

「わるいな、分隊長はオレの知り合いの学級委員長だったヤツにそっくりなんだよ。」

 

適当な言い訳で誤魔化す白銀武。

 

「その言い訳、聞き飽きた。...まあいいわ。」

 

「二人とも、これを教官から預かってきたぞ。」

 

冥夜に、紙きれを手渡される。

入隊宣誓のヤツだ。

 

「あ、ありがとう。二人ともそれ、明日までに暗記して。入隊宣誓をしてもらうから。」

 

...懐かしいなぁ。

 

こんなのもあったなぁ、としみじみ思い出していると。

 

「ところで二人とも...聞いておきたいことがあるの。」

 

榊が話を切り出す。

 

「ん、どうした?」

 

「単刀直入に聞くわね...期待して、いいの?」

 

何のことか、と思ったが、総戦技のことか?あんまり時間もなかったはずだ。

 

「神宮司教官からは、『特別な人物』だと聞かされているわ。...それは私達...ひいては、この国の、この星のためになる...そういうことなのよね?」

 

...。

 

「そうだ、少なくともオレはそのつもりだ。」

 

言い切る白銀武。...青いガキだな、と思ってしまうが、私だってそう思っているのは確かだ。

だが。

 

「...同じく、と言いたいところだが...そうだな。もう二度と、大切なものを失わない、失いたくない...失ったものを、取り戻したい。それだけだ。」

 

そう言って、改めてみんなの顔を見る。

冥夜、榊、たま、彩峰...。今は美琴がいないが、それでも、思うところはある。

 

「私は、『特別』なんだと思う。だけど...それ以上に、1人じゃ何もできない、ただのガキだよ。」

 

そう、結局1人じゃ何もできない...何も守れなかった。

結局、人間が1人死ぬつもりで頑張っても...限界はある。

 

「だから私は、みんなと...『特別』になれたら、って思う。...1人じゃ何もできないし、何も守れないから。」

 

守りたいと心の底から思っていた、大好きだったみんなでさえ、世界を去る最後の瞬間には誰一人残っていなかった。

 

空気がしんみりしてしまったが、言いたいことは言えた。

 

「...そなたは、強いのだな。」

 

「いや、冥夜...私は強くなんてない。ただ...もう二度と、絶望したくないだけだ。」

 

もう二度と...不測の事態で、みんなを失いたくない...。

たとえ予想外の、最悪が起ころうとも、冷静に対処できるようになるつもりだ。

 

「へぇ...御剣から聞いた話の印象と、全然違うのね。」

 

「冥夜から聞いた話...?」

 

まさか、一番最初の泣きながら冥夜を抱きしめたことかッ!?

 

チラッと冥夜を見ると、ばつの悪そうな顔をしている。

 

「そなたらの紹介があった後、訓練中にそなたらの印象について話しておった。その折に...すまないサクラ、許すがよい...。」

 

...まぁ、第一印象が悪いよりかは良いんだけど...。

 

「気にしてないよ、冥夜。」

 

「そうだそうだ、コイツに遠慮なんていらねぇ。言いたい事があったら言ってやれっ!」

 

根に持ってるのか、タケルが茶化すように言う。

元は同じ人間とはいえ、腹が立つな...。

 

「そういえば、白銀さんとサクラさんは、兄弟なんですかー?」

 

たまがそう言うと、他のみんなも興味津々に...。

 

...確かに、苗字が同じ二人組が入ってきたら、何かそういう関係性があるよな...。

 

「...まあ、そんなところだ。双子だから、年齢は同じ...だぞ?」

 

どうして年齢で言いよどむんだよ...怪しいだろ。

 

「ちなみに私が双子の姉だぞ?先に少尉任官したのも、私だしな。」

 

「ぐうッ...少尉任官を持ち出すのはズルだろ...。」

 

...前回よりも、もっと打ち解けられたようで、良かった。

 

「明日から、頑張りましょうね!」

 

「ああ、頑張ろうな。」

 

「よろしく、壬姫。」

 

たま...と呼びかけたが、咄嗟に名前で呼ぶことができた。

前の自分を見ていて、初対面で名前呼びはともかく、委員長と呼ぶのはまあまあ恥ずかしいな...。

 

「香月博士と神宮司教官のお墨付きだから、きっと大丈夫だよ!」

 

「...だといいけど。」

 

「1ヶ月もすれば、総合戦闘技術評価演習...総戦技があるわ。それは何としても成功させなくちゃいけない。」

 

「当然だ、あれは前半の締めくくりみたいなものだし、絶対に失敗は許されない。」

 

「あ、私は総戦技はパスだから、安心してくれ。...元々、少尉にはもうなっているし、あくまで体力を取り戻すための訓練兵期間だからな。」

 

成程、と納得される。一度パスしたものを、二回もやる必要はない。

 

「まあ総戦技は...判断に困ったり、分からなくなったら...タケルに押し付けろ。」

 

「オレかよっ!?他人事だと思いやがって...。」

 

実際他人事だしな。私が総戦技をやるわけじゃない。

 

ふふっ、とみんなが笑ってくれる。

 

「それに先んじてあと1週間もすれば、鎧衣も戻ってくるはずだ。その時には、207小隊を最強のチームにしておきたいものだ。」

 

「鎧衣...。」

 

「鎧衣さんは、訓練中に怪我をして今入院中なんです。」

 

「様々な方面、特にサバイバルに関しての知識については右に出る者がいないわね。」

 

美琴のサバイバル術には、かなり助けられた覚えがある。

毒蛇に嚙まれても、美琴のおかげでなんとか助かったし...。

 

「とにかく、期待してるからね、白銀!」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「「私は、国際平和と秩序を守る使命を自覚し、厳正な規律を保持し...。」」

 

入隊宣誓を行っている。

今となってはもう、懐かしいものでしかないが、改めて心に刻む。

 

一通り宣誓し終えると、どこからかまりもちゃんの声で。

 

「横浜基地一同、貴様らの入隊を歓迎する!」

 

その言葉が聞こえたと同時に、ビシッと敬礼する。

 

これで、訓練小隊への入隊宣誓は終わりだ。

この後からは、早速訓練が始まる。

 

 

 

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