このの世界に落ちてから3時間ほど経った。その間、全身が反動で動けず大の字で爆睡かましてしまった。
全くもって不甲斐ない。10年後の俺であれば魔法を使うまでもなかった。デバイスでバリアジャケットを身につけ、魔法で身体強化、マナゾーンを駆使しるくらいで大丈夫だっただろう。それを〈闇纏・無明峰打ち〉〈闇繭〉を使うとは。
え?バリアジャケットとマナゾーンはできただろうって?バリアジャケットは身長が縮んだことで再調整が必要だし、ジャケットと同様の理由で総魔力量が減り、空気中の魔力を使おうにもミッドと違い地球は魔力がめっちゃ薄いし…とにかく無理だった。
「まだ少し痺れるなぁ」
一度出ると体力と魔力はある程度回復し、手足も少し痺れるが程々に動くようになった。
起き上がって伸びたり曲げたり…日常的な動作に問題はなさそうだ。
「…誰、なの?」
いざ人が多い場所へ行こうと思った矢先、1人の少女がフェレットを連れてやってきた。
近くに来ていたのだろう。爆音で驚かしてしまったのか。それはすまない。
『君、魔法使えるよね』
念話だ。知っている人に声が似ている気がする。だが、余計な人と余計な縁ができると未来へどんな影響を及ぼすか分からない。よって無視しよう。
「すみません。ちょっとした…化学の実験に失敗してしまい爆発しちゃいましたハハハ」
『キミは漂流者なのかい?』
無視。
「お騒がせして申し訳ありません」
『危ない!後ろ!』
「なっ、」
念話の主が警告を出した。俺がいた時代ならまだしも、10年前の地球なんて知らない。もしかしたら凶暴な生物がいるのかも!
「…」
……何もない。
『キミ、念話は聞こえていたみたいだね』
「…あ」
ハメられた。
〜〜〜
「改めて、キミは漂流者なのかい?」
使い魔(?)のようなフェレットにハメられて、少女の家に入れてもらった。
そこで自分達の情報を交換しようと言う話になった。
「まぁ…そんなところだよ」
(未来の住人とは言えないわな…)
「どこの世界だい?僕はミッドチルダのスクライア一族出身だ」
「俺は…まぁ、ミッドの辺境だよ」
「…君も異世界人なの?」
「一応、そうなるね。にしてもここがあの地球とは。噂には聞いていたが、本当に魔法無しで栄えているんだな」
「あぁそれ!僕もこっちに来た時は驚いたよ。いや〜感覚を共有できる人が来てくれて良かった〜」
なんか共感されたんだが。
「で、キミは何なんだい?この子の使い魔?」
「いいや。僕の名前は“ユーノ・スクライア”だよ。この子は、」
「“高町なのは”って言います。よろしくお願いします。君の名前は?」
(やっぱりね…。この子が「エース・オブ・エース」高町一等空尉の10年前の姿。で、このフェレットが時空管理局「無限書庫」司書長 スクライア先生か。話には聞いていたけど、こんな若い頃から末恐ろしいな)
予感はあった。10年後の世界では2度だけだが地球の高町家に呼ばれた事もあり、家と表札を見て確信していた。この魔力量…本当に幼い頃から才覚に溢れてたんだな〜。
「俺の名前はやが…いや、ヤミ・ウィリアムだよ」
危ない危ない。八神の名を出すところだった。ひとまず適当に思いついた名前を名乗ろう。にしてもなんだよウィリアムってw
「ヤミ君の使う魔法ってすごいね。どんな魔法なんだい?」
…あぁ、あの事か。
「あれは世界樹魔法って言うんだ。制圧力と後方支援に長けている代わりに魔力をバカみたく消費するんだ」
俺が着地した場所はもれなく地面はめくれて軽いクレーターが空いている。
現地人が見たら驚くと考えた俺は闇魔法とは別のもう一つの魔法 世界樹魔法〈ミスティルテインの種〉を使用し、回復したての魔力をほとんど使って木を作り出して穴を埋めた。多少不自然でもクレーターを見られるよりかマシだろう。
「…じゃあもう一つのデバイスは?」
「うん。予想通り、別の属性用だよ。俺の魔力は特殊で専用デバイスじゃないと扱えない代物なんだ」
流石スクライア先生。俺が魔法を発動する時、ネックレスの1つを使用したのを見てもう1つの属性を当てるとは…末恐ろしい。いやマジで恐ろしい。
「ねぇユーノ君…」
「あぁうん。いいね」
2人は耳打ちで何かの相談をしている。
「君に頼みたい事があるんだ」
「うん。無理だ」
「え?」
話は察しがつく。高町一等空尉が言っていた。幼い頃、とあるロストロギアの収集をしていた。と。その時にスクライア先生と出会ったとも。
俺にその収集を手伝えと言いたかったのだろうが申し訳ない。10年後の友人のよしみで手伝いたい気持ちはあるのだが、俺はやらなければいけない事があるんだ。だから、ごめんちゃい。
「もしもロストロギアを見つけたら念話するけど、収集の手伝いは出来ない。俺には俺のするべき事があるから。ごめんね」
「いいや、こっちこそ僕たちの問題に巻き込んで申し訳ない」
「じゃあね。また会おうなの」
こうして俺は高町家を後にするのだった。
なのはside
「断られちゃったの」
「仕方ないよなのは。やっぱり僕達で探すしかないよ」
家を出て行くヤミ君を見送ってから、自室でユーノ君とお話しする。
私達は2人でとある探し物をしているのだが、全く見つからないのでヤミ君に手助けを求めたが、あっさり断られてしまった。
「それにしても、何か引っかかるんだよな〜」
フェレット姿のユーノ君はヤミ君とのやりとりをずっと気にしていた。私も正直言えば気にはなっている。
私たちの会話は何か、何かが噛み合っていなかった。
「…あ!彼は“収集の手伝い”と言っていた!」
「あ!」
違和感の正体が判明した。ヤミ君は私達が探している物をロストロギアと勘違いしたのだろうか。
テーブルの上に置かれた紙を手に取る。その紙の中央には茶毛の虎猫の写真が載っており、その猫の名前や性格、好物などが細かく書かれてあり、「探しています」の文字がやけに目を引く。
「すずかちゃん家の猫を探していただけなんだけどな〜」
そう。私達は今日一日すずかちゃんの家から脱走した猫を探していた。
街中や路地裏など猫が居そうな場所を巡って、最終的に入った森でヤミ君と出会ったんだ。
ピピピ「あ、すずかちゃん?え、猫見つかったの?よかったね〜!うん。うん。気をつけてね〜。おやすみなさーい」
すずかちゃんから着信があり、出てみる。脱走した猫はご飯の時間になると帰ってきたらしい。
猫が見つかって何よりだ。
さて、学校の宿題をやろう。
「そういえば、どうしてユーノ君はフェレット姿なの?」
「聞いてくれなのは!クロノのヤツが変身魔法の練習とか言ってかけてきたんだ!あと数時間で解けるらしいが、散々な目にあったよ!」
「ははは…」
そっとしておこう。
なのはside out
〜いろいろ補足コーナー〜
・マナゾーンとは
自身の中を流れる魔力を自身のを中心に展開しする技術のこと。これにより、自分の周囲の魔力を味方とし、魔力に関して特に機敏となり、同名の技でも大幅に強化され、離れた場所の魔力を駆使して魔法を放つ、空気中の魔力を蹴って移動など、その恩恵は強大。魔導師ランクS以上でも極僅かの人しか使えない。
・世界樹魔法
闇とは違うもう一つの属性。自分や周囲の魔力を糧に育つ世界樹を操る。
育てる都合上、種や根をあらかじめ植えなければいけない手前や育てるための魔力が必要な点からして非常に扱いにくい。
10年後の世界では乱戦状態の戦場に根や種を仕込み、ある程度魔力が散布し、育つのに十分な魔力が溜まると味方を撤退させ、敵を幹に巻き込んで大樹が生える感じで使っている。
地球は空気中の魔力がほぼ無いため、数時間で回復したヤミの(生命活動に支障がないくらいの)全魔力を消費して使った。
・ヤミの魔力球
魔力は人それぞれの光を放っている。なのはだったらピンク、フェイトならイエローに光ってる。ヤミの場合、闇魔法の黒色と世界樹魔法の金色の2色が同時に混在している。
・すずかちゃん家の猫
最近は柵の穴から外へ出るのが楽しみ。居なくなって大騒ぎになっているなんて知る由もない。