「おぉ、これが卍解…すごい!全身から力が溢れてくる…!」
グリフィス准尉の髪は、先端から黒く染まり、全身から黒い魔力をが溢れている。そのスピードは一瞬で俺の全身を切るほどだ。
あまりにも速いもんで、俺の持つ防御手段が通じない。
「この速さがあれば誰も僕を止めることは出来ない!ハハハハハ!!」
溢れる力を使いたくてしょうがないように、黒い斬撃を周囲に放つ。
「アンタ、ちょっと身勝手すぎんか」
「…なんとでも言いなよ。僕はこの誰にも負けない力で僕は平等な力の世界を作り、トップに立つんだ!
「そうかい。別にアンタがトップに立とうと知ったことじゃ無いが、大切な人には手出しさせねぇぞ!」
「…戯言は僕に勝ってから言いなよ!ヤミィ!!」
(大振り!)
グリフィス准尉は大きな横振りの一撃を放った。これなら躱せる。
斬撃を躱し、懐に入り込んで刀を薙ぎ払う。
「残念だったね。当たらなかったよ」
間合いを読まれて数歩下がって鋒スレスレで避ける。
「いや、当たりだ」
闇魔法〈闇纏・黒刃〉
闇で刃を伸ばし、浅いながらも切る。初ダメージだ。
「っ、クソッ!」
グリフィス准尉は目を丸くしていた。今の自分がまさか傷を受けるとは考えもしていなかったという顔だな。
お互い後方へバックステップを踏み、距離をとる。
「もうやめるんだグリフィス准尉」
「まだだ。僕はこんな力を得たんだ…特別な力を得たんだ!僕は強い!誰よりも!ヤミよりも!」
「チッ、“ニ佐”か“さん”をつけろよメガネ野郎がぁ!」
「うるさい!黙れぇ!!〈月牙天穿〉!!!」
「闇魔法…〈闇纏・無明斬り〉ッ!」
再び黒い斬撃が衝突する。大きさこそグリフィス准尉の方が大きい。また斬撃を飲み込んで当たる。この大きさなら致命傷になる。
とグリフィス准尉は考えただろう。だが今回は俺が一枚上手だった。
「グハッ…。な…何故、だ…」
グリフィス准尉の斬撃すらも斬り裂いて俺の斬撃が命中する。俺は心臓を狙ったつもりなんだが、斬撃を大きくしたせいでキモノを斬り多少彼を切っただけに過ぎない。
「“純度”だよ。なんだってそうだろ。同じ黒が衝突した時、“純度”が高い方が勝つ。それはキャリアにも言える事だろ」
確かに俺らは特殊な力があったから今の階級だと言ってもいいだろう。だがそれは一筋縄ではなかった。
はやては闇の書事件で心に大きなダメージを受けたそうだ。俺だって魔力の質のせいで小学生の頃は酷いイジメに遭っていた。
それを乗り越えて、力を正しい事に使いたくて今が生まれたんだ。
l種キャリアだろうとll種キャリアだろうと、関係無いのだ。
「グリフィス准尉には確かに特殊な物は無かったかもしれない。自分よりも下の人が特殊な力を持っているってだけですぐに追い抜いたのかもしれない。だが、それだけで准尉の積み上げてきたキャリアは傷つかない。准尉には准尉の強さがあるだろ」
「ヤミ…」
「“ニ佐”か“さん”をつけろよ。メガネ、買い替えないとな」
手を差し出した。グリフィス准尉は刀を置き、応えるように手を取った。
その瞬間、
「ッ!う、うわぁぁぁぁぁあああああッ!!!!!」
「んだこれ!」
俺が切った傷から白いナニカが溢れ出てすぐに准尉を飲み込んだ。
咄嗟にナニカを斬ったが斬られた側から生えてくる。
「グルルルァァ…」
程なく、グリフィス准尉は白いナニカに完全に覆われてしまった。
黒いキモノはそのままで体が白く染まり、2本の角が生えた妙な仮面を身につけていた。
「…良い雰囲気は壊さないお約束だろうが!」
〈闇纏・無明乱れ斬り〉
〈無明斬り〉を何発も放った。目の前が真っ暗にまるほど斬りつけた。
「…無傷ってそりゃ無いでしょ。ッ!!」
傷一つついていなかった。
白いヤツのパンチを闇を纏った刀でガードした。あわよくば斬ってやろうなんて思っていた。
俺の刀はヤツのパンチを受け、ひび割れて砕けた。
「これ…ちょっとヤバいかも…」
“さん”を付けろよデコ助がぁ!