【褪せ人視点】
ゴドリックを倒してから色々あった。
ゴーリーという老人から夜巫女の霧という魔術を教わった。
防具の耐久に関係なく体を蝕む恐ろしい魔術だ。
更にミリセントという女性に出会った。
腐敗に侵されながらも必死に耐える美しい女性だった。
どこか危うさも感じる。
片腕の女性の一人旅か、心配だ。
また会えると良いな。
サリアの秘密を聞き、封印を解いて宝を入手した。
ルーサットの名を冠した杖だ。
サリアにルーサットが封印されているという噂は、杖のことだったのか。
私はカーリア貴族の食客の息子として城館で生まれた。
若くして魔術の輝剣を習得し、将来有望ともてはやされ、
魔術の勉強に勤しみ、輝石魔術の源流の存在を知った。
源流がカーリア王家によって禁忌とされていることは知っていた。
しかし、当時の私は愚かで、逆に興味を持ってしまった。
ルーサットという源流の魔術師の存在を知り、接触を試みて、
弟子入りしようとした結果、貴族にバレて拘束。
親は私を庇うこともなく絶縁され、
問答無用で追放となった。
当時は怒りもしたが、今では後悔しかない。
なぜ禁忌と分かっているのに調べたのだろう?
源流以外の魔術を修めた結果、更に進化する為に、というわけでもないのに。
当時の私は若かった。
故に間違いを犯した。
それだけのことだった。
ルーサットに会うことができたら、なぜ源流が禁忌なのかを聞きたかったが、諦めよう。
今はティシーさんの言うことを聞いて、狭間の地を平和にするのだ。
決意を新たにした私に、ティシーさんは言った。
「用は済んだ?
じゃあラダーン倒そうか」
……それはまだちょっと怖い。
が、頷いた。
頑張ろう。
ラダーン祭り。
私の想像以上に苛烈だった。
正気を失った状態であれか。
全盛期のラダーン将軍はどれだけの実力者だったのか。
最強と言われる訳だ。
しかし、それと同じくらい、ティシーさんは強かった。
豪胆ライオネル
大角のトラゴス
翁
半狼ブライヴ
戦士の壺 鉄拳アレキサンダー
指巫女サロリナ
城主ジェーレン
私は一人遠距離攻撃を主体としていたので、
皆の強さがよくわかった。
一級の戦士たちだ。
それでもラダーンの攻撃に一人、また一人と倒れた。
同じくラニの従者であるブライヴも倒れ、万事休すかと思ったが、
ティシーさんが強すぎた。
ラダーンの攻撃をひらりとかわし、距離を取り、死の刃を当てる。
まるでラダーンと戦うのに慣れているかのような立ち回りだ。
普段は祈祷を中心に戦っているので忘れていたが、
彼女は黒き刃。接近戦こそが本領だ。
結局、私はいつも通り岩石弾を放っているだけで終わってしまった。
6人を戦闘不能に追い込んだラダーンだったが、
結局ティシーさんが被弾したのは一回のみ。
やはり彼女こそが王の器ということなのだろう。
そしてティシ―さんは休むことなく隕石の落ちた場所に向かうという。
あんな怪物と戦った後なのに、流石だ。
*******************************************
ラダーン戦後、ハイト砦西に向かう。
隕石が落ちて地面に大きな穴が空いていた。
穴が空くのは分かるけど、なんで岩が浮いてるんだろう?
まあいいや。
落下死に気を付けながら下っていく。
どれだけ強くなっても高所から落ちたら死だ。
さっき戦ったラダーンだって落ちたら死ぬ。
諸行無常だ。
慎重に進みつつ写し身が居る場所までたどり着いた。
ここのボスはこちらの装備や記憶を丸パクリしてくる。
ゲームだとAIがアレなので微妙だったが、ここでは分からない。
念には念を入れる。
俺は褪せ人くんから杖と刀を取り上げて、この先に進むように言った。
首をかしげながらも従う褪せ人くん。
素直すぎるだろ。
俺がパッチだったら装備根こそぎ奪われて井戸に落とされてたぞ。
そのまま進んだ結果、写し身の雫が現れ、無手の褪せ人くんをコピーした。
馬鹿め。罠にかかったな。
俺は速攻をしかけ写し身の雫を倒した。
君は珍しい奴だよ。
敵として出た時は弱くて味方になると強いんだもん。
レアだレア。
夜の神域で確実に入手しよう。
さて、先に進み祖霊の森の祝福へ。
ここの祖霊は脅威の弓命中率を誇るから俺と褪せ人くんに見えない体を使う。
ゲームでは味方には使えなかったが、ここでは使える。
超便利。
祝福からジャンプして夜の神域へ。
相変わらず落ちそうなマップだ。
気を付けて進まなきゃ。
とはいえ敵はそんなに強くない。
サクサク進み、途中で写し身の雫の遺灰を入手。
……あれ?
あ、石剣の鍵が無い。
忘れてた。
あー、どうしよう。
ん?
褪せ人くんがもっているそれは!?
おお、素晴らしい。
流石は主人公。やるじゃん。
どこで見つけたの?
嵐丘のボロ家?
あー、そういえばあそこにあった……かも?
まあいいや。ナイスナイス。
安全な効率プレイを意識してるから寄り道全然してないもんな。
完全に忘れてた。
次から気を付けよう。
これで最強の遺灰をゲットだ。
厳密にいえばティシ―と写し身の二強だけど、
この世界では俺がティシ―だからな。
写し身の一強である。
褪せ人くんに写し身の雫の遺灰を使うように言う。
しかし、難色を示した。
あら珍しい。どうしたの?
……あー、クラゲに愛着がわいたのか。
なるほど。
まあ気持ちは分かる。
うーん、じゃあ危ない時にだけ使えばいいかな?
え?霊呼びの鈴2つあるから俺が使えばいいって?
なんで?
一個は塔でラニ様から。
もう一個は円卓で双子の老婆から買った?
あー、なるほど。
どうやらゲームの知識にとらわれすぎていたようだ。
ラニ様は序盤の教会でトレントに乗った褪せ人に鈴を渡してくれるが、
そのイベントを逃した場合、双子の老婆が売っている。
しかし、ここではラニ様は塔に来た褪せ人くんがトレントに乗ってたから鈴を渡したし、
褪せ人くんは双子の老婆が売ってたから貴重品だと思って買った。
ということらしい。
理解した。
しかし、召喚する人が別とはいえ、遺灰を複数召喚なんてできるのかな?
土壇場で無理だったら嫌なので次のボスで試してみよう。
さて、色々あたふたしたが奥に進み、
大量の写し身の雫を俺がひきつけている間に、、褪せ人くんに指殺しの刃を入手してもらう。
そして、急いで祝福まで引き返し、ラニ様の塔までワープ。
これゲームだけの機能じゃなくて本当によかった。
いや、夜の神域は引き返せないから出来なかったら積むんだけどね。
そしてラニ様に指殺しの刃を渡すと、姿を消した。
ロマンチストのくせに孤高を気取る可愛い魔女である。
さて、追いかけよう。
じゃないとイベント進まないしね。
次はレナの塔だ。