雄二視点
夏祭り。
それは、昨年も来年も、いや……その先もまだまだあるであろう、何の変哲も無い出来事。
ただ、一つを除けば、の話だが。
俺と、明久とムッツリーニと秀吉との4人で来た、夏祭りだった。
射的で勝負をし、かき氷の早食いをし、途中で会うクラスの奴らに軽く挨拶をした。
だが、ふとした瞬間、明久がいなくなった。
何処だ、何処に行った。
右見て、左を見て、件のバカは存外近くにいた。
そこは、ああ、あれだ。
俺たちが一時期バイトに行った所。あの時は確か店長が暴走しちまって、給料が貰えなかったな。
清水の家の店が屋台を出していた。しかも、店番はその清水だ。
……是非とも行きたくは無い所だ。
何より一番驚いたのは…………そこに明久がいたこと、である。
……ああ、そういうことか。
俺は、一人勝手に納得し、近くのベンチに腰掛けた。ムッツリーニと秀吉は、飲み物を買いに行くと言って、気がつくと居なくなっていた。
そう、ことの発端はなんだったか……。
それは、一ヶ月前のことだった。
文月学園2年を……いや、学園を代表するバカ、吉井明久。
貧乳好きのレズ娘であり、D組の問題児、清水美春。
島田美波を巡っていろいろな諍いを起こす奴らだが、誰がこんな結末を予想しただろうか。
……おそらく、本人たちさえも想像しなかっただろう。こんな結末を。
だが、そんなありえない物語に光を差し込んだのは、紛れも無く、あのバカ達だ。
いい意味でも、悪い意味でも、『バカ』と言われる吉井明久は、確かに、様々な人々の心を虜にした。
ある人には、憧憬の念を。
またある人には、恋慕の思いを。
希望を与え、皆に手を差し伸べた。
そのせいで誰かに嫌われようとも。
誰にも、持つことは無い宝を持っていた。
まあ、羨ましいと、憧れともいえばそれまでだが。
…………俺も救われたと言えば、そうなんだが。
ライバル意識から認めたくないと言うのが、大部分だ。
…………まさか、あの女にまで手を差し伸べるなど思いもしなかった。
……清水美春。
Dクラス戦では大分世話になった。代表ではないが、かなり手強かったのを、覚えている。
女子なのに関わらず、島田に恋をした、困った女子だ。誰かに追いかけられる、と言う点についてはよく理解できる。互いに苦労しているもんなあ……。
と、それは置いておいて。
やはり、人生何があるかなんぞ、何も分かりやしない。
俺は、遠い空を見上げ、柄にも無くそんなことを思う。
ま、あいつらの姿を見れば余計に、な……。
以上、短いプロローグでした! 今すぐ続けたいところですが、作者は学生の上に、もうテスト期間なのです。更新超不定期になります。ごめんなさい。