そこには白く輝く球体の結界があり、その中に上半身は人、下半身は大蛇の男性が虹色の石を守るように胸に抱いて鎮座していた。
魔王子アーサー、彼は自らのユニークスキル『冥狂死衰』により自分の母の魂が籠っている魂石を守っているのだ。
このスキルの効果は自分の周りに自らの命が尽きるまで完全防御の結界を張り、自らの意識は昏睡するという命を懸けて何かを守るスキル。
彼は命を懸けて母の魂石を守り、その石を目指してきた鬼達を引き付ける事があったからゴンザレス太郎達は勝利できたのだ。
「兄さん、忘れててごめんね。でも私達、勝ったよ。皆の仇取れたんだよ」
結界内のアーサーは妹のサラの言葉にも反応しない。
まだ胸元が動いているので呼吸はしている、弱々しくだが生きては居る、だが彼が死ぬまでこの結界は解けない。
でも結界が無くならないことには彼は助けられない。
戦う鬼達は居なくなっても彼はそこで死ぬまで戦い続けるのだ。
「流石俺の自慢の息子だ。あの光の柱だけでなくアイツの魂石も守り通したか」
声がして見上げると上から魔王が降りてきた。
魔王もまたかなりの重症だが、それよりも息子の事を気にして降りてきたのだろう。
魔王の言葉通りアーサーは天の裁きだけでなく、ここに居た筈の鬼神からも母の魂石を守り抜いたのだ。
「パパ、どうにかならないの?」
「無理だ、このスキルはどんな攻撃でも破壊できないし、相手のスキルを解除する『デスキル』を持ってる者がこの場に居たとしてもアレは使用者に触れなければ発動しない」
そう話し魔王はアーサーの結界に手で触れる。
触れた対象に一切危害は加えないが、絶対に何も通さない結界の存在に悔しそうな顔を一瞬見せる魔王。
だがすぐに表情を切り替えて振り返りゴンザレス太郎に問う。
「それよりもだ少年、この足元の白金貨は何だ?」
魔王は足元を見ながら問う。
穴の底を埋め尽くす白金貨の量はもはや数えられる気すらもしない。
一枚の価値は現代日本で1000万円程の価値と言うのを魔王は理解しており、過去に実際に見たこともあった。
だからこそこの光景が異常なんて言葉で言い表せ切れない事も理解しているのだ。
「あぁそう言えば魔王さんは僕のユニークスキル『プロアクションマジリプレイ』を知りませんでしたね」
聞いたことの無いスキルの名前に首をかしげる魔王は…
「いやいい、俺よりも強いやつにさん付けされるのは困るから魔王でいい。っでなんだそのスキルは?」
「今回のは僕のスキル効果『燃えた物原価に変わる』ですよ」
そう、これがゴンザレス太郎が今回発動させていた最後のコードである。
鬼の山の下には当然破壊されてはいるが魔物の町があった。
壊されていても原価は変わらず、天の裁きの超高温で焼いて消滅させられた建物や家具等町にあった全ての物は原価に変わる。
更にここに居た鬼達の体から取れる素材もギルドや以来主が買い取る最初の金額が暫定計算され、全ての原価が白金貨に変わったのだ。
特に戦鬼等SSSランク以上の魔物の素材なんてとんでもない額に膨れ上がる。
その証拠にゴンザレス太郎達が立っている場所は実は天の裁きにより溶岩の様になっているのだが、その上に白金貨が重なり合い地面みたいになっていたのだ。
平面で見てもとんでもない額なのは間違いないのだが、果たして下にそれが何キロ続いているのかはまるで検討も付かなかった。
「あっ!」
サラが気付いて声を上げる。
そう、ゴンザレス太郎は言ったのだ。
『最終目標は、鬼を全滅させて全員無事で更に助けられる人を全て助けてこの町の復興資金も用意する』
サラは今日何度目か分からない涙を流しゴンザレス太郎を見る。
だがゴンザレス太郎は人差し指を立てて横に振る。
そして、サラは涙で前が見えなくなるほどの驚きと感動、そして感謝をゴンザレス太郎に送るのだった。
「はい、魔王子アーサーさんだよ」
サラの目の前にゴンザレス太郎がアーサーを背負って歩いてきたのだった。