異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第3話 小さな変化

「フーカこれなんてどう?」

「もうちょっと小さくないと…」

「ん?こう?」

 

現在ゴンザレス太郎とフーカは冒険者ギルドの余った依頼の処理、通称ゴミ拾いを行っていた。

どうしても依頼料金が安かったり、難易度がおかしい依頼は放置され残される、なのでこういった仕事を行う専門の依頼が存在するのだ。

要は受けた冒険者ギルドの信用に関わるので不良債権処理というやつである。

実はSランク冒険者の副業として成り立ってたりする、定期的にこれをやる事で手当て金が支払われるのだが、その実態はあまり知られていない。

だが、ゴンザレス太郎の両親が引きこもったゴンザレス太郎を心配していたのと、ギルドマスターがゴンザレス太郎のスキルの汎用性が高すぎるのに目を付けた事が重なり、特例で補助金を支払うと言うことで二人は仕事として行っていた。

現在二人が受けているのは『翡翠の石でネックレスを作って母の墓石に備えたいので翡翠の石が欲しい』と言う依頼である。

二人は翡翠が取れる東にある西山鉱山の麓に来ていた。

 

「あらら…」

 

ゴンザレス太郎のチョップで翡翠を小さく割ろうとしたのだが、攻撃力が高過ぎる為に翡翠ほ粉砕してしまったのだ。

ちょっと力入れたらこれなので、ステータスが高過ぎるのも困りモノである。

魔物の町から帰ってから急ぐ度にドアノブ握り潰したりスプーンが指の形に変形したりと力加減に苦労してたりする。

だが甘えてくるフーカとサラの全力を平気な顔して受け止めれるので、二人にとっては有り難いことでもあった。

 

「あっ、まただね」

 

ゴンザレス太郎は少し離れた所に魔物の姿を見掛ける、実はこの魔物達は神のプログラムでフーカを狙っているのだが、フーカ自身も強くなりすぎていて魔物は近付いたところで傷一つ付けられず、しかも横にいるゴンザレス太郎の強さは異次元レベルである。

その為、本能で逆らったら種族単位で絶滅させられると魔物も一瞬で理解する事となる。

実際に鬼族はゴンザレス太郎によって絶滅させられているのもあるだろう。

 

「最近魔物を変に見掛けるけど、なんなんだろうな?」

「………多分、始まってるんだと思う」

 

フーカは繰り返した死の原因の一つに、魔物に追われ続け殺された経験があったのでそれを理解していた。

だがゴンザレス太郎のお陰もあり、並の魔物には目の前で昼寝してても殺されないレベルに強くなっている。

神の誤算でもあった。

人間の7歳の女の子が強制集中ヘイトを集める、これだけで事故で勝手に死ぬだろうと神は考えていたのだ。

 

「まぁ、これくらいなら問題はないだろ?」

「うん、タツヤのおかげで今までの人生では考えられないくらい強くなってるし」

「帰ったら他にどんな内容だったか、思い出すのは辛いかもしれないけど話してくれるか?」

「うん…分かった…」

 

二人は手を繋いで町へと帰っていく。

ギルドの人間は知らない、依頼の翡翠の石20個は全てフーカが見付けて集めていて、もしもゴンザレス太郎が一人でこの依頼を行っていたら20どころでない数を持ち帰っていたであろう事を…

依頼に出る必要もなく、適当に購入した翡翠一個を『アイテム増殖』で増やしたであろう事を…

相場の崩壊を回避したフーカのお手柄である。


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