後ろから聞こえた声にゴンザレス太郎の表情が暗くなる…
「おーいゴン太!何か芸やれ~」
朝から嫌なやつに出会ってしまった。
この世界にも学校があり、小学校と同じような一般常識を教えるための授業が6年間ある。
現在ゴンザレス太郎はこの学校の2年生である。
そして、学校に行く途中で出会ってしまった。
いつもゴン太を虐めてくるコイツは虐めっ子の『アイアン』。
ユニークスキルは『熱血』らしく、1回だけどんな攻撃も倍になると言うスキルだ。
これのせいで喧嘩に強く、まさにガキ大将という立場の少年だ。
「んん?!ゴン太の癖に無視するとは生意気だー!」
「ちょっとアイアン止めてよ~」
いつもゴンザレス太郎の事をゴン太と呼んでくるこのアイアンには取り巻きの子分が居る。
「おはよーアイアン」
「おーホネオ!ちょっとゴン太押さえろよ」
「アイよ」
この髪の毛が3本前にとんがった変な髪形、嫌がらせな好きそうな吊り目のコイツがホネオ、彼はアイアンの子分だ。
折角神力が5000貯まったから、早めに学校に行ってトイレでガチャ回そうと思ってたのに最悪だ。
ホネオはゴンザレス太郎の後ろから羽交い絞めにするように体を固定する。
ゴンザレス太郎よりも背の低いホネオだけならば簡単に振りほどけるのだが、それをするとアイアンに更に虐められる…
だからゴンザレス太郎はグッと歯を食いしばる!
そして、目の前に立ったアイアンが拳を振り上げ・・・
「ちょっと何してるのよ!」
「やべっシズクだ逃げろー」
殴られるところを間一髪で助けられたゴンザレス太郎。
助けれくれたのはクラスのマドンナ的存在の美少女『シズク』ちゃんである。
アイアンが虐めをしているのを目撃したら、それをいつも止めに入る彼女…
シズクちゃんはゴンザレス太郎が去年すれ違った勇者と同じユニークスキルを得た少女だった。
なんの偶然かと思いたいところだが、この町に住んでいる以上は同じようにあの礼拝堂で6歳の時に祈りを捧げる。
なのであそこに来ていた子供はほぼ同級生として同じ学年に居るのは言わなくても分かるだろう。
「またゴン太君アイアンに虐められてたのね・・・たまにはやり返したらいいんじゃない?」
「冗談じゃないよ、そんな事をしたらどんな酷い目に合わされるか・・・」
実際やり返したとしても相手は二人、どう考えても不利である。
それに今のゴンザレス太郎の頭の中は、ガチャで何が出るかって事で一杯なのである。
「もぅ、男の子なんだからもっとシャキっとした方が良いわよ」
そう言い残し、シズクちゃんは先に学校へ行ってしまう。
クラスのマドンナ的存在の彼女は本当にモテる。
だから自分なんかに興味を持つ訳がない、とゴンザレス太郎も考えている。
でもクラスメイトの中で唯一自分の事だけは『ゴン太君』と略称で呼んでくれるのが嬉しかった。
ただ単にゴンザレス太郎って呼び難いからなのかもしれないが、それでも他の誰を呼ぶときでも本名をそのまま呼んでいる彼女…
だからこそ、自分だけが特別扱いされていると感じて嬉しくなっているゴンザレス太郎であった。
そして、学校に到着し一人トイレに入りコードナンバーガチャを選択する。
実に1年振りにスキルを使えるという事で、どんな内容が出るのかワクワクが止まらないゴンザレス太郎。
現れたウインドウにあの時と同じように立体的な宝箱が現われ、その中から紙が出てくる・・・
ゆっくりと開かれたそこに書かれていたのは・・・
『好感度MAX ○○○○○○○A 12324493』
っと表示されていた。