ゴンザレス太郎とフーカは町に戻り、依頼の品をギルドに渡して報酬を貰い、二人で歩きながらこれまでフーカが死んだ数々の内容を聞いたのだが…
「…まだあるの?」
「うん、でも後は似たような死に方ばっかりかな?」
かなりの数の死因を一通り聞いたが、半分以上は魔物や人に殺されるって内容だったのでそれは除外しても大丈夫だろう。
今のフーカを殺すならSランク冒険者を全員揃えるか、SSランク以上の魔物が襲ってくるくらいでないと不意打ちでも殺せないからだ。
「そうだ、フーカこれ渡しておくよ」
そう言ってゴンザレス太郎は瓶を取りだし渡した。
その中の赤い液体に見覚えが勿論あり、フーカはそれをスキミングで見て驚く!
「タツヤ、これ?!」
「実はこないだからまたガチャ回しててね、やっと出たんだよ『使用したことのあるアイテムランダム復元』が」
それはご存知『効果範囲内の全ての者の全回復&死者すらも死んでから10分以内なら生き返る』アイテム『ラストエリクサー』であった。
だがこの『使用したことのあるアイテムランダム復元』は過去にゴンザレス太郎が使用したことのある全てのアイテムからランダムでアイテムを復元するのだが、無から作り出す為に神力を異常な量消費するのだ。
今のゴンザレス太郎には同行の洞窟や、鬼の山や、鬼神を倒した時の神力があるが、それでも超希少アイテムのラストエリクサーの出現確率は滅茶苦茶低かった。
その為、ゴンザレス太郎がこれを出すまでにかなりのアイテムと呼んでいいのか分からないゴミが出ていたりする。
ちなみにアッポーペンが大量に出たのは使い道がない事が関係しているのかと一人納得しつつ、町の孤児院に寄付したりしていたが、何故リンゴにペンが刺さった状態で寄付されるのか孤児院の人は首をかしげていた。
「もし、俺が守りきれない事があってもこれがあれば最悪の状況でも助かる可能性があるからね」
「タツヤ…ありがとう…」
自分の身を心配しているゴンザレス太郎がラストエリクサーを複数用意出来たのなら、一本ではなく複数渡す筈だと理解しているフーカはこれがやっと用意できた一本なんだと理解した。
「でもね、これはタツヤが持ってて。もし私が死んでも10分以内なら生き返らせられるでしょ?」
「そう…だね、分かった。これは俺が持ってるよ」
こうして、突然やって来るフーカの死に警戒する二人であったが、特に魔物のヘイトを集めるくらいで何事もなく、たまに働くだけのニート生活を送る二人は2月を迎えていた。
ちょうどその頃、白い部屋で長編小説を読み終えた神がそこに居た。
「あれ?まだ死んでないのか…そっか、この娘町から出てないのか。確かこの町には…あぁ、こいつらが居たな。じゃコイツらを使うか!」
何かのイベントを操作した神はまた別の小説を読み始める…
「悪徳令嬢にシンデレラに桃太郎…
人間は本当に面白い話を考えるなぁ!」
再び趣味に没頭する神であった。