神の仕込んだウィルス兵器『デスポイズン』は空気感染し、感染した全ての生物はHPを一時間で30%減らす猛毒であった。
感染後即処置をしなければ3時間程で死に、回復アイテムで一時的にHPを回復させて治療したところで毒そのものは決してなくならない。
ただデスポイズン自体は炎に弱い性質がある、その為感染者を火葬すればそれ以上の拡散は防げる。
だがそれはあくまでも全員が死んだ状態での話で、生き残りが居れば更に感染は広がると言う悪夢のようなウイルスであった。
唯一の懸念として、火に弱い事から民家などに忍ばせた場合、その民家が火事になったりして消滅してしまう。
それを避けるために、そのウィルスが入った兵器は民家から離れた土の中に神は設置して埋められた状態で保管されていた。
しかも、もしも地中で拡散されれば土壌も汚染する…
使用されたその土地は暫く使用できなくなる恐るべきものであった。
「なのに何故だ!何故何も起こらない!?」
神は苛立っていた。
確実に仕込んだ筈のネタ兵器が不発に終わったのだから仕方あるまい。
そして、その原因はやはりゴンザレス太郎にあった。
元々町の中に在って、民家の立てられない場所で、人が入れる場所にこの兵器は仕込まないと意味がない。
その為、神が作成時に設置した条件に合う場所は河川敷であった。
そう、この兵器はゴンザレス太郎の『埋めたアイテムランダム変化』の実験で使用された場所の地下深くに埋まっていたのだ。
そして、マコトのミスで『クイーンボムの堪忍袋の緒』の大爆発に巻き込まれこのデスポイズンは吹き飛んでいた。
だがそれでも地中で汚染が少しはあったのだが、その場所が聖女様の誕生の地として祭られ人が入らなかった事で人的被害は皆無となっていた。
更にサリアの『セーブラック』と組み合わせて埋められた、結局掘り起こされてないゴンザレス太郎が埋めたアイテムが『女神の涙』と言うあらゆる汚染を浄化する伝説級のアイテムに幸運にも変わり、土壌を浄化していたのである。
結果、この場所は『女神の涙』の効果で美しい花を一面に咲かせ、聖女の聖地としてなにもしなくても聖女の力で清められ続けていると噂されて更に崇められ、観光名所となり大事に保護されていたのであった。
全ては偶然の産物、幸運の大バーゲンセール効果はとんでもなかった。
「こうなったら、アイツに殺らせるか…高々人間一人相手にだが折角魔王を名乗らせてるんだ。」
そう呟き、実力行使に出る事を決めた神…
神はいよいよ何も知らないまま、自分の作った異世界へ入ることを決めたのだった。