異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第8話 魔王様のお断り

一人の少女が居た。

身長は低く120センチくらいであろうか。

セミロングの銀髪の髪に花をイメージした小さな飾りを着け、ヒラヒラと踊る白いワンピース姿で少女は魔物の町の中を徒歩で歩いていた。

細くて白いその腕の先には、人よりも大きなハエの姿をした魔物の頭部が握られ引きずられていた。

 

「魔王お土産喜ぶかな?」

 

その少女の通った後には、少女の見た目で判断して襲い掛かった魔物の死体が道標のように一定間隔で転がっている。

見た目で判断して襲い掛かった愚か者共の末路であった。

知性のある者ならその異常性にすぐ気付くであろう。

よく見れば彼女は宙を歩き、風は彼女を避けて通っているのが分かるからだ。

そして、少女は魔物の町に到着し唖然とする。

 

「どうなってるのこれ?」

 

この世界の魔物の町と人間の島の間には行き来が出来ないように魔海を神は作っていた、それにも関わらず人間と魔物が共に町を復興しているのだ。

少女は自分が設定していないあり得ない光景にただ立ち尽くす…

そこに、ただならぬ気配を感じて飛んできた魔王が降り立った。

見た目は少女だが明らかに異質な存在感を持った少女。

魔王は少女を一目見て理解した。

 

「なんの用だ神よ?」

「ん?あぁ魔王か、良く分かったね」

「これだけ人間でも魔族でも無い気配、しかもそれだけ異質なモノを展開していればな」

 

魔王に言われ思い出したかのように少女は体の周りに張っていたモノを解除する。

そして、手に持っていた魔物を魔王に向けて放り投げ…

 

「お土産だよ」

「ふむ、一応礼は言っておこうか」

 

軽々とその魔物の死体を受け止め、魔王は周りに闇の結界を張る。

 

「ここなら会話は漏れない、それでなんの用だ神よ?」

「うん、実はさ人間を一人殺してほしいんだ」

「ふむ…何か理由があるのか?」

「ちょっとね…」

 

神の言葉に疑問を持ちつつも、目の前の存在がこの世界を作った唯一神だと理解している魔王は断るのは避けるべきかと考えていた。

かといって無差別に言われるままに人間を殺すと言うのも抵抗がある。

理由と相手次第だと考えた魔王は質問に質問を返す。

 

「折角この世界までわざわざ来てくれた事だし神には恩義も感じている、だから相手と理由次第では考えなくもないが教えてもらえるか?」

「理由はちょっと言えないんだけど、相手はね『フーカ』って名前の人間の女の子のなのさ」

 

その言葉に目を大きく開いて驚いた魔王。

だが、直ぐに態度を変えて高々に笑い声を響かせる。

 

「はっはっはっはっ!断る!」

「へぇ、魔王でも女の子を殺すのには抵抗があるって事かな?」

「いや、そんな事が出来るわけもなく、実行しようとすればゴンザレス太郎に魔族は根絶やしにされてしまうからな」

「ゴンザレス太郎?誰だいその変な名前のやつは、それに魔族を根絶やしにって魔王でも冗談言うんだね」

「フフフッ知らないのか神のくせに、悪いことは言わん諦めてあの白い部屋にでも戻るんだな」

「へぇ!僕にそんな口を聞いてただですむと…」

 

次の瞬間少女の首はもぎ取られ、体がその場に崩れ落ちる。

魔王はその頭部を闇魔法で粉々にするのだが…

 

「ひっどいなぁ不意打ちで殺すなんて」

 

魔王の目の前には銀髪の少女が立っていた。

勿論足元には首の無い死体が倒れている。

 

「俺の返答は変わらん、ゴンザレス太郎には一生掛かっても返せない恩があるんでな」

「ふーん、僕の大切な体を殺しておいてそんな事言うんだ。後悔してもしらないよ?」

「好きにするといい、この件に関して俺はアイツ等の側に付かせてもらうぞ」

 

その言葉を聞いて少女は魔王を睨み付けてその姿を消す。

足元にあった神の姿をした首なし死体も風に融ける様に消えた。

 

「ゴンザレス太郎に伝えねばな…」

 

魔王は闇の結界を解除しサラの元へ急ぐのであった。

 

 

 

 

 

「くそっ!くそっ!くそっ!くそぉー!!!」

 

怒り狂っている少女姿の神は数日後、人間界のとある洞窟に来ていた。

 

「もうこうなったら最後のアレを起動してやる!こんな失敗作の世界なんて壊れちまえばいいんだ!」

 

そして、扉を無理矢理開けてその中にある祭壇の前に立つ。

 

「魔物の国も人間界も滅びるといいさ!僕に逆らった事を後悔しながら死ね魔王とゴンザレス太郎!」

 

そこは封印の洞窟と呼ばれる場所、ヤバイが適当に並べ直した滅茶苦茶な配置になっていた祭壇に気付かないまま、祭壇は神の手により跡形もなく破壊される。

しかし、神はまだ知らない…

復活する鬼どころか鬼の全種類が絶滅している事実を…

何も知らないまま高らかに神の笑い声が洞窟内に木霊するのであった。

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